陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。葉を見て森を見ないひとの思想録。

神無月の巫女DVD-BOX

2009-04-26 | 感想・二次創作──神無月の巫女・京四郎と永遠の空・姫神の巫女


私がクチコミで買わないものひとつが、本やDVDである。そして、私は(DVDはともかく)本をよく買う。つまり。私はあまりクチコミに頼って物を購入しない不活性な消費者だといえる。
クチコミで買ってもいいと思えるのは、べつに騙されたとしても惜しくはないような、ちょっとした美容品だとか、食品だとかだ。

本やDVDをひとの判断にゆだねないのは、ひとえにむだに高い私の自尊心からくるのだが.要するにみんなが読んでるなら、いっそ自分は読まないでおこう、という反骨精神であり、マイノリティな好事家をきどっているからである。

しかし、あけすけにいえば、文化においては、私は冒険できないのである。
ひとに薦められ、むだに大枚はたいていいものを買っても、使いこなせない。さいしょに購入したマックのノートブックもそうだった。卒論とわずかなレポート作成だけに使っただけで潰れてしまった。マック好きの先輩に猛烈に薦められて買ったのだが、けっきょくワープロなみにしか用いずに、宝の持ち腐れだった。

ついでにいうとこれおもしろいから読んでとむりやり薦められたものは、よほどのことがない限り、好きにならない。
貴女だったらぜったいにこれ好きになる、といわれて押しつけられたものほど、じつは相手の好みそのままだったりするものだ。自分と相手の嗜好がまったくおなじだと思い込んでいる。これは不幸なことだ。同じものが好きであっても、どの部分が好きか、によって諍いごとになることはしばしばある。

こういう薦め方をするひとは暇を持て余していて、単に自分と同じ土俵で語りたい、さらにいえば自分がわずかに早くそれを知り情報通であるだけで先輩面して大いばりしたいだけだけだ。いや、自分もこの手ののめりこんだら周囲が見えなくなるタイプなので、よくわかる(笑)
(大学の教官などには、たいがいこのタイプが多い。自著もしくは自分の研究に関する文献をむりやり学生に読ませるような人種は、たんに学生の研究の自主性を奪って、自分の研究につごうよく巻き込みたいだけである)
こうした情報成金はネットが普及してから加速したが、たとえばブログの商品紹介レヴューにしても、かならずしも本人が使用したものではないものを無責任に薦めている例もある。

だから、私は本やDVDに関してはネットで噂をあつめるが、それに縛られることはあまりない。
さりげなく本が部屋におかれあって、手にとってみたら意外と感動した、というのが私の理想なのである。

その経験があってから、長年側ちかくにおいておこうと思うものは、用意周到に情報をあつめてから購入する。ただし、本などはブックオフなどで安価であれば衝動買いしてしまうのだけれど。

さて、私がクチコミで買った代表としてあげるならば、それはアニメのDVDである。
このブログでもさんざんとりあげている、神無月の巫女全六巻初回製造特典のDVD-BOXつき。
私はこの商品を現実の誰かかから、薦められたわけでもない。そして薦める気もないのである。なぜなら、知らないうちにひとりでこっそり楽しみたいアニメだからだ。


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このアニメはじつはテレビ放送で最終回ふくめ二話ほどを視聴し、さらにはのちにレンタルで視聴しなおした。ただ、この時点では、石橋を叩いて叩いてから渡る、慎重な性分の私は買う気はなかった。
私の鈍い購買欲を刺激したのは、じつはある熱心なファンブログの記事にであったからである。〇五年その当時としては、そのブログはかなりていねいに各話ごとの解説を発表されていた。

そして、ここが肝心なのだが、そのブロガーの文面から察する性格になんとなく親しみを覚えたからである。
あたりまえだが、どんなに多くが絶賛するような作品であっても、虫の好かないタイプから薦められたら、私は試すどころかまっこうからお断りするか、へたするとくどくどとそのつまらなさをあげつらっていくだろう。

たいがいの批評家の価値判断とはおよそこうした私感に基づくものであって、それ以上ではない。つまり、誰かの趣味を否定することからはじまる。
日ごろつねに、作品とその制作者の実人生とは別物と割り切って考えるのをよしとするのだが、およそ作りての思想なり感情なりがいかんなく詰め込まれたものである以上、完全に無縁であるとはいえまい。
だからこそ、ある作品を猛烈に支持するひとが、どんな思想の持ち主かということは、判断材料の下地にしてもさしつかえない。

さて、その意味でいえば、私はこの作品のファンを自認するには及ばない。そして、第一人者になろうとも思わない。なぜならこれに知悉しても、なにもならないからだし、他に考えるべきことがおよそたくさんありすぎるからだ。
だから、きょうはじめて拙ブログをごらんになって興味をもたれた方は、まだ私が初々しい歓喜を寄せて、この作品の紹介につとめていた時代の記事を紹介するにとどめる。

『神無月の巫女』のススメ
『神無月の巫女』のススメ その3
漫画 『神無月の巫女』 其の参
漫画 『神無月の巫女』 其の四


かつてのように熱に浮かされて語ることはなくなったが、あいかわらず、この作品が好きで忘れられないという事実にはかわりない。
しかし、私は純粋にこの作品そのものを、そのすばらしさを余すところなく語るというよりも、これをダシにして妄想に走るという方向違いをいとわしく思ってきたのだった。ま、それは今後もひっそりと続けていくが。

さて前置きはそのぐらいにして。
きょうの本題は、先般も記事にしたDVD-BOX新装版である。
以前の記事(神無月の巫女DVD-BOX新装版)でもとりあげたが、実は、ある部分を見落としていた。

それはこの新装版が、全三巻だということ。ということは、もしかするとDVD-BOX外装のみならず各巻のジャケット絵や、DVDのレーベルの絵も描きおろしされる、ということなのだろうか?

私は北米版をもっていないのだが、物もの日記さまというブログ様のレヴューによれば、どうやら三巻セットでDVDのレーベル絵は原作の介錯氏が描いたものだったらしい。
三巻のばあい、ブックレットもどうつけるのかが気になるのだが。


しかし、私は、この作品を生涯手放したくないというほどの入れこみがあるなら、やはり旧版を全巻揃えられることをおススメする。ブックレットはもちろん、附録の声優さんによるオーディオコメンタリは、作品の理解をするうえでは重要な手がかりになるだろうから。

それからひとつだけいっておくが、すこし中身を削って値段をさげて売るという手法は、あまりよろしくない。
多くのデフレスパイラル、価格への信頼失墜はこの無意味な値段の切り下げによって生じている。こうした価格設定でいちばん割りをくうのは、すくない予算で制作している現場の人間ではないだろうか。経費で切り詰めやすいのは、人件費だからである。

アマゾンでは一万円札でお釣りがくる値段で売られているが、さて、これが出たことによって、旧版が値崩れをおこし、けっきょく利益にならないのではないか、という事態すら危惧する。

私は断言していうが、これにほんとうに価値を見出しているならば、はじめての方はなるべく、旧版のほうをお買い求めいただきたい。三万円とすこし、という値段はあの旧DVD全巻の総体的価値からすれば、かなり妥当な金額だ。

ところで、ここさいきん、原作者先生がご自身のブログで神無月にふれる発言をなさったり、絵を描かれてているようだが、これはなにかの予告なのだろうか?



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