このシリーズ記事は、拙ブログが執拗に行っている一部御用達の「神無月の巫女」という禁断のアニメ・漫画作品を、またしても考察してみるものです。しかも、誰も頼んでもいないのに、大神ソウマの視点から。
このアニメは一般的に百合アニメと解され、かつ、そのように紹介されます。
百合だけではない、いろんな要素がある複合的なストーリーではあるのですが、最近は視聴者の志向が最初から固まっていて、いわば欲求に対しての処方箋か、利用価値を見越した商品であればあれほど名作とされるもの。お金と時間をかけて楽しむものだから当たり前なのですが、自分が見たいと願うニーズが、情報に左右されすぎている感じがしないでもないですね。
このアニメ作品は、大神ソウマという少年を軸にして考えてしまうと、感動がかなり薄れます。
あけすけに言うと、都合よく片思いの女の子に利用されて捨てられた存在。痩せ我慢した男性の美学ということができます。男は黙って行動しろとか、背中で語れとかいうけれど、別に男性のみならず、いまは女性だろうと、どっちつかずな中性だろうと、仕事や成果、家庭や社会への貢献度で評価される時代ですね。ソウマに肩入れしてしまうと、姫子は浮ついた少女に見え、千歌音は美しいけれど、プライドが高くて嫉妬深い、なのに最後においしいところだけさらってしまうように感じます。ですから、多くのファン(とくに百合を愛してやまない派)は、けっしてうっかりソウマに感情移入してはいけない、とか、ロボットはおまけ、というありがたい取扱い説明書を教えてくれたりします。
ただ、ある物語を特定の角度から眺めないのは、ちょっと窮屈。
私はこのアニメ、男の子に加担してなんだこりゃ、ひどい!という意見を抱くのもアリかなと思います。この作品を見て百合に嫌悪感があるという声もあるようですし、正直、視聴者の倫理観を試されかねないような場面もありますし(笑)。
というわけで、需要はなさそうですが、この考察シリーズは勝手にはじまります。
原案を書いたのは数年前。没予定でしたが、壊れた旧PCから拾い出したのでついでに。全六回を予定しています。
ところで。アニメ「神無月の巫女」をソウマ視点から解説したネタ漫画があります。
この「ソウマさん日記」(作・ぷろとん様)(http://archive.fo/ePb8)、アニメ放映直後に多くあった古きファンサイトの一つでもありますが、切り口が面白くて笑えたんですが、現在見られないようですね、残念。2004年の放映当時、小学二年(!)で観ていたという方もいて驚きですが、原作漫画がお子様に人気のあった『けろり軍曹』の掲載誌でしたからね…。最近は見かけないけれど、昔はわりとソウマが主人公の二次小説やイラストもありましたよね。
この更新は、いつものごとく不定期です。
【目次】
神無月の勇者・大神ソウマの秘め力(一)
神無月の巫女キャラクター考察シリーズ続編。大神ソウマはアニメ史上もっとも不幸な人物? いえいえ、彼こそは作品内ではもっとも幸せな人物なのです。
神無月の勇者・大神ソウマの秘め力(二)
男が成長するために乗り越えなければいけない相手とは? 大神ソウマがほんとうに勝たなければいけなかった相手は、姫宮千歌音ではなかった。
神無月の勇者・大神ソウマの秘め力(三)
大神ソウマと姫宮千歌音。来栖川姫子をめぐる三角関係、その勝敗のバランスは。
神無月の勇者・大神ソウマの秘め力(四)
大神ソウマこそは、もうひとりの月の巫女だった? 姫宮千歌音と相反するその本質に迫る。
神無月の勇者・大神ソウマの秘め力(五)
大神ソウマはかわいそうではないという十分な理由は、姫宮千歌音との関わりに隠されていた。愛する人のからだが傷ついたとき、こころが他者に向いていると知ったとき、彼がとった行動こそこの漢(おとこ)の本質を語る。
神無月の勇者・大神ソウマの秘め力(六)
「俺にできることはせいぜい地球を救うことぐらいだけど」の名言にこめられた、ソウマ少年の「秘め力」とは。善意のうえに成り立つ幸福こそ最上のものであり、ゆえにやはり大神ソウマは幸せになれる人物だったと言えるのです。
★★神無月の巫女&京四郎と永遠の空レビュー記事一覧★★
「神無月の巫女」と「京四郎と永遠の空」に関するレビュー記事の入口です。媒体ごとにジャンル分けしています。妄言多し。