陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。葉を見て森を見ないひとの思想録。

『魔法少女リリカルなのはStrikerS THE COMICS』 第一巻

2007-10-03 | 感想・二次創作──魔法少女リリカルなのは


リリカルマジカルごきげんようっ!
本日は先日購入いたしました『魔法少女リリカルなのはStrikerS THE COMICS』第一巻(原作:都筑真紀・漫画:長谷川光司、ノラコミックス、二〇〇七年六月)のご紹介をします。
例によってネタバレ嫌いなひとは回避です、回避!

これはアニメがはじまるおよそ半年前、〇六年十一月から『メガミマガジン』誌上に掲載されてきたもの。
第一巻に収録されたのは七話。「A's to StrikerS」の三話は文字どおり、二期の最終回十五歳になった三人が管理局入りするまでの話。「Starting Stars」はスバルとティアナの訓練校時代のエピソードがメイン。この頃から腐れ縁だったんですね(笑)最後の一話は「Standby Riot 6」すなわち機動六課の始動であり、アニメ第一話「空への翼」へと繋げています。また巻末には、都筑先生が直筆で漫画用に設定したキャラクター原案集もあります。アニメを補完するサイドストーリーと、設定資料をかねたお得な一冊です。魔法の解説も作中で絵付きで詳しく語られているので、この手のファンタジーものの咀嚼に弱い私めはとても参考になりました。アニメ一見じゃ覚えきれない脇キャラの顔と名前も、要領の少ない頭にはいるようになったし。

ただ、すこし不満点を述べさせてもらうなら。
表紙からもわかりますとおり、絵柄がアニメとは全然違いますね。
この漫画家さん、キャリアはあるらしく、画力はかなりある方です。
ですが…なんといいましょうか、できたらもっと愛らしく美しく色っぽくなのはたちを描いてくれたらなぁっと、思うんですよね。チラリズムとかなくて嫌みはないのはいいんだけど、(ただしお約束なシャワーシーンはあります(笑))なんか健全すぎるんですよねえ。あとコメディタッチのとき、コケシみたいに簡略化しすぎ(笑)
ほんとに格闘少年マンガっぽいんです。これは漫画家のせいというより、原作者の趣味なのかもしれません。(都築さんは恋愛ものの描写がお嫌いだそうで)アニメだと監督はじめいろんな演出家の手を経てキャラがいろいろ改変されちゃうから。でも、九歳だったらこれでもいいんですが、正直十九歳でこのショタ顔は…。12頭身ぐらいにしてくれないと、中学生ぐらいにしかみえない(この絵柄が好きなひと、ごめんなさい。でも、私それなりの年を重ねた大人の味わいを漂わせていないのって、なんか嫌なんです。成人前でもなのはたちには単に「可愛い」とは別の魅力が備わってるはずなので)やっぱ出版社が学研だし、掲載誌面のファンページのイラスト投稿見る限り十代のファンの子たちが多いので、配慮してるんですかね。というか、『メガミ』読んで思ったのですが、最近のアニメってなんであんなにロリ趣味ばっかりなんですか?ひと昔前は、もっとお色気なお姉さんとかが主流だったと思うんですけど。低年齢化してるのかな、やっぱ。

正直、画風は漫画家の特性だからしょうがないとしても。『メガミ』十月号のシグナムさんと血の模擬戦を演じたなのはの狂喜じみた姿のカットはやめてほしかった。「ひぐらし」じゃないんだから(苦笑)

まあ、なのはたちはあれでもいいかもしれないけど、
フェイトちゃんはやっぱもっと美麗に華麗に描いて欲しい(要求し過ぎ)
なんか顔が下膨れなんだもん…。

いちばんがっかりだったのは、なのフェ分がぜんぜんっないこと!(驚愕)
三期アニメ本編でも世界設定がおおきくなりすぎた分、リリカル要素が削られてましたが、さらにそれを押し進めたかたち。
だって、だってね。この漫画のフェイトちゃん、なのはより一足早く母親面で。もうすっかりエリオのお母さんなんですよ。
しかも、しかもですよ。よりによって、あの淫獣に(いちおう彼はいまじゃずっと人型形態です、念のため(笑))。

「ユーノも(なのはのことが)やっぱり心配でしょ?」

なんて語りかけるんですよ?!
ありえない!なんで恋敵に塩を送るようなこと言うんですかッ?!フェイトちゃん!!
これじゃあ、フェイトちゃんがユーノの秘めた恋心を知っていて、それを後押ししてる発言みたいにきこえるんですね。エイミィさんまで、「なのはちゃんとうまくいってるの?」なんてお節介焼く始末ですよ。由貴姉えよけいなこと言わんでください!(いや、中の人に罪はないだろ、この場合)しかし、ユーノはポーカーフェイスで、「なのはは青い空が似合うからさ」なんて言ってのけちゃう。

フッ…淫獣の愛って、どうせその程度だったんだね。(ニヤリ)

重体になったなのはを看病したのは、フェイト、ヴィータ、ユーノの三人とのことですが、ヴィータは心底心配してるけど照れくさがって面には出さない。
というわけで、完治後も無茶をつづけてより夢の空をたかく飛ぼうとするなのはに、フェイトちゃんははらはらしっぱなしなんですよね。せめて、こんなさらっと流すんじゃなくて、あの事件をきっかけにしたフェイトちゃんの変わりないなのはへの想いがちゃんと描かれてたらよかったのになぁと。そこが残念なんですね。
しかも、キャリア試験に一発合格したはやてちゃんと引き合いにだされて、二度も落ちたことをほじくり返されるフェイトちゃんの落ち込みようったら。傷口に塩を塗りこめるシグナム姐さん、鬼ですか(苦笑)
アニメ本編以上に、フェイトちゃんの支倉令なみなヘタレ化が進んでしまっているご様子。

ああっ、もうっ。
こんなの、フェイトちゃんじゃない!私のフェイトちゃんじゃない!
きっとプレシア母さんのつくった、できそこないのフェイトちゃんもどきなんだぁあああッ!!(落ち着きなさい)

というわけで、私はこれからコミック版のフェイトちゃんは、アナザーフェイトちゃんとお呼びして、別物として眺めることにします(強引)

と本命カップルズに対し不服はあるのですが、かといって他はまったく申し分ないです。
陸士訓練校生時代のスバルとティアナなんか、すごく初々しく百合ってて。
スバルほんといい子ですよね。憧れのなのはさんのプロマイドをペンダントにしてるのは、さすがにひきますけど(一言余計です)きっと毎月欠かさず購入している『メガミマガジン』のピンナップを切り抜いてきたんでしょう(んなわけない)
「ランスターさん」から「ティア」という呼び方にかわって離れがたい名コンビになるまでの、ふたりの馴れ初めがよろしい。
ティアナに冷たくされつづけてるのに

「パートナーのプライドを守る役目が、あたしにはあるから」

って言い切ってしまえるスバルが、すごくかっこよくて。
遊園地でナカジマ姉妹に翻弄されちゃうティアナもすごくいいですね。ティアナは天涯孤独だったから、ギン姉えの優しさに絆されたんでしょうね。「ギンガさんと会ったから、ナカジマって呼びづらくなった」って、ああ、このツンデレ娘もやっぱり姉萌えなんですか、そーですかと。中原麻衣嬢か誰かが語ってたと思うんですが、いっけんスバルが甘えてティアナがリードしてるようにみえるデコボココンビだけど、じつは逆なんだと。ここを読んだらギンガの救出は、スバルとティアナのタッグ組んでやって欲しかったなぁと思いました。二期のはやてとリインフォースを、なのはとフェイトふたりで救ったみたいに。ひとりずつの見せ場を設けるためだからしょうがなかったんだけど。

キャロやエリオの前話もあって、三期の新主役たるフォワード陣四人に焦点をあてた内容となっています。
極端に胸がときめくような展開はないのですが、(これは二巻以降に期待なのかな?)、戦闘シーンの構成などは優れているように感じられます。アニメ本編が派手なドンパチがあまり見られなかったところを補完しているんでしょうね。十五歳時のなのはたちがレリックと遭遇した破壊戦は圧巻。まだこの頃は能力限定かけられてなかったんでしょうね、たぶん。
アニメを観ただけでは不十分な理解だった今期の戦いの背景がよくわかるものとなっていて、読み応えはかなりあります。機動六課の設立が、四年前の航空火災での対応の遅れを案じたはやての発意によることはアニメで語られていましたが、事態はそれ以前、彼女たちがレリックに初遭遇したときから、はじまっていたのですね。アニメの最終話で明らかにされることでしたが、六課がレリック事件だけを専門に追う期間限定の特殊部隊であったとも、はっきり示されています。(私は永続機関なんだとずっと思ってました(汗))
魔法を防御するAMF(アンチマギリングフィールド)機能をもった未確認物体に抗するための魔導師の育成を、数年計画で執務官たるフェイトはもくろんでいた。陸士訓練校の校長にその打診を図ります。そして戦技教導隊所属のなのはは、もっと実践的に前線での魔導師を指導できる立場として機動六課の教導官役を喜んで買って出た。
はやてがシステムを用意し、フェイトが運営プランを練り、なのはが実行に移す。三隊長陣のコンビは完璧ですね。ここまで、意思の疎通が図られている組織ってすごいです。もちろん、小さなアットフォームな組織だからこそ、できることなんでしょうけど。どんな組織もおおきくなるほど、ひずみを抱えて管理するのが難しくなるものですから。

この一巻にはいわばふたつの卒業式と入学式があるのです。
ひとつは、十五歳のなのは、フェイト、はやての学園生活の終わりと、空への旅立ち、新たな事件への介入。
もうひとつは訓練校を卒業して機動六課にスカウトされたスバル,ティアナの入隊。自然保護隊から転属したキャロと、フェイトの親心を知りつつもあえて管理局入りしたエリオ(訓練校行かなくていいの?)
となりますと、最後の卒業式、すなわちひとつの事件に端を発した六課メンバーズの別れが考えられますね。
さて、それは二期の最後のような悲しい別れだったのか。
この漫画版では、アニメとは違った最終回をみせてくれるのかなと楽しみにしております。

よく言われてることですが、やはり九歳のなのは達が時空管理局入りするまでの空白の六年間に触れられていないのはすこし残念ですね。今後アニメもしくは漫画の続編があったら『スターウォーズ』みたく、遡及的に描いてくれたら嬉しいなと思ってみたり。

あ、ところで。『メガミ』十月号掲載の第十話、ヴィヴィオが登場。
な、なんとフェイトちゃんのお膝に座って、サイドポニーにしてますよ!!(大狂喜)
そうか、黒ヴィヴィオのあれって、フェイトちゃんの刷り込みだったんですね!
というわけで、光源氏計画の首謀者はじつは、なのはママじゃなくて、フェイトパパだったのでした(違)

今度届く『なのはA's』のコミック版は、なのフェ的に期待がもてそうなんで楽しみです。



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2 Comments

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Unknown (ユリミテ)
2007-10-03 22:23:35
すばらしい考察ですね。天晴れ。
私そこまで読み込んでなかったです(笑)
しかし、なのフェ分が足りないのは同意。
本当に、肝心なところがはしょられすぎです。
それと、A’sのコミックスですが、
「うそ、これで説明終わり?」って
呆然とすると思いますよ、闇の書事件のくだり。
でもね、思わずニヤニヤしてしまうなのフェ分がみられます。
ヒントは「みかん」と「運動音痴」
特に何気ない…、いや、やはり読んでからということで。
このころから私は「なのフェ」だと思っているんです。
かいがいしく世話を焼くフェイトがGJ!
すずアリもみられて2倍お得ですよ^^

あと、小説版は、プレシアテスタロッサが狂気の沙汰に走った経緯がよくわかって、ある意味別物の読み物として面白いです。なのはとフェイトの海鳴り臨海公園での真剣バトルも読み応えアリですし。
返信する
『A's』コミック版に期待 (万葉樹)
2007-10-04 02:14:52
リリカルマジカルごきげんよう。ユリミテ様。

>なのフェ分が足りないのは同意。

そうですよね!そうですよね!やっぱりなのフェはアニメに頼らざるをえないのか(哀)
これ読んだ直後に、アニメの母娘百合回を観なおしていたのでなおさら、無念が募ってしまいました。
これ二巻ぐらいで終わると思うんですけど、十月号の『メガミ』見た感じでは、とても続巻でも補完されるとは思えないんですよ。アニメの最終回についてもアレだったし。あ、でもちゃんと二巻目も買うつもりではいますけど。なのフェ分はなくても、アニメ本編の隙間を埋めてくれそうなエピソードにしてくれそうな気がするので。別にこの物語に限ったことですが、つくづくアニメ映像の話をまじめに漫画に直したら、すごい何倍もの時間と労力がいるんだなって感じました。いろいろ文句たれてますが、すごく出来はいいコミックスと思えます。満足。

『A's』のコミックスはいよいよ明日届くのですが、すごく楽しみです。
ユリミテ様の情報で買う気になりました。表紙を見た限りではこの頃の絵柄のほうがかわゆいですよね。長谷川氏はロリなので、十九歳ななのはさんたちを描くのがイヤとみた(嘘)
といいますか、たぶん二十歳近くの女性の百合を描くと生々しくなるのが嫌なんで、避けてるのかなと思ってみたり。

>「うそ、これで説明終わり?」って呆然とすると思いますよ、闇の書事件のくだり。

ある意味、前作の漫画では、百合萌えに重きをおいたので、今作は逆に世界設定の説明に力をいれた構成になっているのかもしれませんね。でも『StS』はほんとに複雑すぎて、公式のちゃんとした読みやすい解説書がないと物語にはいりづらいと思います。とくに私のような新規参入者で免疫がない人にとっては。

>ヒントは「みかん」と「運動音痴」

このキーワードでどんなことが起こったのか、想像できそうな気がします。看病ネタみたいなもんでしょうか、やっぱ。

>かいがいしく世話を焼くフェイトがGJ!

な、なんだってぇー!!
この頃から、やっぱなのはひと筋十年、貞淑な奥さんだったんだ、フェイトちゃん。

>すずアリもみられて2倍お得ですよ^^

あ、このふたりって公式認定百合カップルだったんですね。知らなかった。やっぱ大富豪どうしですから、気が合うんでしょうかね。一期でなのはがふたりから距離が遠くなった話があって、せつなかったです。なんか、すごくリアルな小学生話だなぁと(微苦笑)
三期でもちょこっとでいいから、登場して欲しかったファンも多かったのでは?

小説は『StS』コミックといっしょに買ったのですが、まだ読めてません。
評価が高いのであとのお楽しみにとっておこうと思いまして。そういや『マリみて』の最新刊もまだ…。
ところで、私はこの物語に出会って、ある意味いちから物語を理解することの難しさ、ひとにわかりやすく説明することの大切さを学んだような気がします。(それが今後生かされるかはさだかではありませんが(汗))長くファン続けてると固定観念にとらわれてしまい。ついつい判ったような口調で書いてしまいがちなので。物語を初心に還ってみれて、新鮮な気持ちになれました。神無月祭りを前にして、こういう心持ちになれたのはよかったとつくづく感じています。
では、コメント&なのは情報ありがとうございました!
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