■愛しのクリスマスイブ

恋人たちのクリスマスイブはロマンチックでキラキラしてた。
街角は待ち合わせのカップルが次々に並んでは消えて行く。
携帯電話もスマホも無い、どこでどうやって待ち合わせが組み立てられたのか覚えていない。
二人の世界になって消えて行くカップルを何組も見送ったよ。
いよいよ自分の番が来た。
高鳴る鼓動、周りが何も見えなくなった。
逢うなり唐突に「教会に行こう」と彼が言った。

小さいころに洗礼を受けたという彼は知らない街でも臆せずに私を教会に誘った。
薄暗い中でのミサ、賛美歌が流れていた。
二人は何を誓い願ったのか.....
外に出ると粉雪が舞っていた。
「ホワイトクリスマスだね」...と、どちらからともなく言い合う。

寒い冬の街、うっすらと降り積もる雪、流れるクリスマスソング....
まるで新曲のPV映像になりそうなほど二人はヒーローとヒロインだった。
ロマンチックとはこういうことを言うのだろうと初めて思った。
クリスマスイブを過ごす相手は誰？
決まっていた気持ちとは反対に時は残酷に動き始めた。

二人の運命はこの時決まったんだね。