まりぶろぐ

舞台や映画、本の感想などを綴ります。

劇団四季『夢から醒めた夢』③

2006-06-30 00:43:37 | 舞台芸術

この『夢醒め』は、今までに3回観たと言いましたが、

その度に感想が変わりますね。

1回目観たとき(20代前半だったと思います)は、

まだ今みたいに演出や脚本が練られてなかったと

いうこともありますが、他の外国産のミュージカル

(アンドリュー・ロイド・ウェーバー作曲の「オペラ座の

怪人」や「CATS」)などに比べると、音楽もダサい気がして。

三木たかしさんの作曲なんですが、ちょっと演歌調なん

ですよね(笑)。親しみやすいメロディではありますが。

あと、話もちょっと子供向けで、ベタだし・・・と1回目は

あまり良いと感じませんでした。

でも20代後半に観たとき、すっごく感動したんですよね、感激かな。

私は24歳のときに、若くして父親を病気で亡くしているんですが、

朝に倒れて24時間眠ったまま、そのまま亡くなってしまい・・・

前日の夜まで、普通に会話をしていたのに・・・「さよなら」も

「ありがとう」も言えなかった。親孝行も何にも出来なかった。

後に残るのは後悔ばかり。と、マコの気持ちにシンクロ

してしまって。

「生と死」について、いろいろ深く考えていた時期でした。

そして、それからまた○年経って・・・。今は自分が病気です。

自分も苦しい思いをたくさんしましたが、他の人の「弱さ」も

理解できるようになりました。でも、反対に世の中の

病気の人への偏見や差別、社会的保障の無さなど・・・

理不尽な事と直面し、迷い、今も戦っている途中です。

社会人として復帰できない、結婚もしてないから主婦として

の立場もない、拠り所となる子供もいないし・・・。

ポジティブにいこうと思っても、どうしても「何のために

生きてるんだろう。誰が私を必要としているんだろう。

永遠に治らなかったら、どうして生きていくのか。

周りに迷惑をかけるだけの人生なのか・・・」とか

ネガティブシンキングになり、浮上できない日々もあります。

そんなとき、この『夢醒め』の中で、ピコが任務を果たし、

多くの人に見守られながら、霊界に別れを告げるときの

歌、「夢をありがとう・・・優しさをありがとう・・・」

そして、周りの人々からの「命ある限り、生きていてほしい・・・」

という言葉にすごく励まされました。

私にはまだ家族もいるし、心配してくれる多くの友達もいる。

まだ病気でも出来る、たくさんのことがある、とそう

一瞬でも信じられたから。

次に40代、50代・・・で観たら、また違った感想に

なるんだと思います。それだけに、『レ・ミゼラブル』と

同じくらい私には、そのときの気持ちの揺れが反映され、

いろいろ考えされられるミュージカルですね。

最後に劇場を出るときは、体が何だか軽くなった感じ。

心のパスポートはいつも「白い」ままで、いたいですね。

私もまだまだ、他の人に「夢を配達」できるように

早く復活したいなと強く思いました。


劇団四季『夢から醒めた夢』②

2006-06-29 00:20:21 | 舞台芸術

ちょっとだけ、幽霊の世界を覗いてみたい、

なんて、ピコは好奇心旺盛な女の子。

夜の遊園地で、美少女の本物の幽霊の

マコと知り合います。

つらい身の上話を聞いてくれる人をずっと

マコは探して待っていました。

母親と2人で暮らしていた、母親思いのマコ。

突然の事故で命を落としたマコは、きちんと

母親に「最後のお別れ」を言いたい、1日だけ

ピコと入れ替わってほしいと頼みます。

マコとの友情、そして好奇心から、願いを承諾する

ピコ。マコと入れ替わって、霊界の入り口の空港へ

旅立ちます。

そこで、ピコは、戦争や飢餓、災害など世界の

様々な事情で命を失った子供たちや、もう十何年も

相方を待ち続けているおじいさん、そして、ヤクザや

暴走族、過労死したサラリーマンなど、いろんな

人々に出会います。

自分が悪くない場合は白いパスポートを貰え、

天空の星となれるのですが、人間界で悪いことを

してきた人は、グレーか黒いパスポート。

それが白に変わるまで、霊界の空港で働いたり

して、善行を積まなければなりません。

受験戦争に敗北したのを苦にして、自殺した

メソという男の子とも出会います。

彼の持っているカードはグレー。

彼は、ピコをだまし、ピコの持っている

マコの白いパスポートを盗んでしまいます・・・。


劇団四季『夢から醒めた夢』①

2006-06-28 05:00:21 | 舞台芸術

この前、京都劇場に劇団四季のミュージカル、

『夢から醒めた夢』を観にいった。

この作品を観るのは、もう3回目になる。

これは、赤川次郎原作の同名の絵本が

原作である。初めはファミリー・ミュージカル

として公演され、その後、何回も内容が練られ、

劇団四季のオリジナル・ミュージカルの

代表作品となった。

まず、驚くのが劇場に足を踏み入れると

もうそこは異次元の世界・・・。

遊園地かサーカスのように、不思議な

格好をしたピエロや足長の人形、

ドレスを着てくるくるまわる人形、

ちょっと不気味な老婆などが、ロビーや

客席の通路で、私達を迎えてくれるのだ。

この作品を観に行くときは、少し早く

劇場に入るのがお勧めだ。

この日は女子中学生の団体鑑賞が入って

いたのだが、この趣向に皆、いたくお気に入りで

携帯などで写真を撮ったりしている子も多かった。

そして、劇場の座席に座っていた一人の

不思議な男性がコートを脱ぎ、ステッキを

持って立ち上がると、舞台が始まる。

今回、その男性のとなりの席だったので

わかっていても、その始まり方に驚いて

しまった。彼は「夢の配達人」。

彼に誘われて、私達観客は、ピコという

1人の少女の夢を共有することになる・・・。


『間宮兄弟』②

2006-06-26 23:18:25 | 映画

佐々木蔵之助さんの巧さはテレビドラマでも

よく観られるし、皆さんもご存知だろう。

白い役も黒い汚れ役も出来るマルチな役者

さんである。

今回も小心者でマイペースな兄役を巧く

演じていた。

それ以上に感心したのが、弟役のお笑いコンビ

”ドランクドラゴン”の塚地武雅だ。下手をすると

気持ち悪い役になってしまいそうなところを、

ちょっとオタクだけど、かわいらしい兄思いの弟

を、キャラを活かして演じ切っていた。

最後の方なんか、女の子に抱きしめられる

ところなど、いとおしく思えたほどだ。

そして、2人の間に流れる独特の空気感が、

観ていて、気持ち良かった。

江國香織さんの小説は、淡々とした日常を

描いていていても、どこかせつなくて、

ちょっぴりおかしくて、独特の透明感が漂う。

それをうまく表現できていた演出だったと思う。

今までも、「きらきらひかる」なんかは良かったけど、

「情熱と冷静のあいだ」とか、何か違うんだよなぁ

と思うことも多かったからだ。


『間宮兄弟』①

2006-06-25 22:43:44 | 映画

昨日、元同僚のOさんと、映画『間宮兄弟』を

観にいった。京都の烏丸四条にある「京都シネマ」

という映画館で上映されていて、この映画館は

私は初めて行ったのだけれど、日本映画や

ちょっとマニアックな外国映画中心で、ラインナップが

いい感じ。

『間宮兄弟』は、私も好きな作家・江國香織さん原作の

小説を、森田芳光監督が映画化したものです。

Oさんが兄役の佐々木蔵之助さんのファンなので、

このチョイスとなりました。

仲の良い30代の凸凹独身兄弟の普段着な日常が

描かれている。

兄の明信と弟の徹信は30歳を超えても、同居を

続けている。兄はビール工場、弟は学校の用務員だ。

そんな2人の悩みは恋人がいないこと。

そこで、弟の徹信は、自宅でのカレー・パーティを企画。

同僚の教諭の女の先生と、行きつけのCDレンタル・

ショップの店員の女の子を誘うことにするが・・・。