この『夢醒め』は、今までに3回観たと言いましたが、
その度に感想が変わりますね。
1回目観たとき(20代前半だったと思います)は、
まだ今みたいに演出や脚本が練られてなかったと
いうこともありますが、他の外国産のミュージカル
(アンドリュー・ロイド・ウェーバー作曲の「オペラ座の
怪人」や「CATS」)などに比べると、音楽もダサい気がして。
三木たかしさんの作曲なんですが、ちょっと演歌調なん
ですよね(笑)。親しみやすいメロディではありますが。
あと、話もちょっと子供向けで、ベタだし・・・と1回目は
あまり良いと感じませんでした。
でも20代後半に観たとき、すっごく感動したんですよね、感激かな。
私は24歳のときに、若くして父親を病気で亡くしているんですが、
朝に倒れて24時間眠ったまま、そのまま亡くなってしまい・・・
前日の夜まで、普通に会話をしていたのに・・・「さよなら」も
「ありがとう」も言えなかった。親孝行も何にも出来なかった。
後に残るのは後悔ばかり。と、マコの気持ちにシンクロ
してしまって。
「生と死」について、いろいろ深く考えていた時期でした。
そして、それからまた○年経って・・・。今は自分が病気です。
自分も苦しい思いをたくさんしましたが、他の人の「弱さ」も
理解できるようになりました。でも、反対に世の中の
病気の人への偏見や差別、社会的保障の無さなど・・・
理不尽な事と直面し、迷い、今も戦っている途中です。
社会人として復帰できない、結婚もしてないから主婦として
の立場もない、拠り所となる子供もいないし・・・。
ポジティブにいこうと思っても、どうしても「何のために
生きてるんだろう。誰が私を必要としているんだろう。
永遠に治らなかったら、どうして生きていくのか。
周りに迷惑をかけるだけの人生なのか・・・」とか
ネガティブシンキングになり、浮上できない日々もあります。
そんなとき、この『夢醒め』の中で、ピコが任務を果たし、
多くの人に見守られながら、霊界に別れを告げるときの
歌、「夢をありがとう・・・優しさをありがとう・・・」
そして、周りの人々からの「命ある限り、生きていてほしい・・・」
という言葉にすごく励まされました。
私にはまだ家族もいるし、心配してくれる多くの友達もいる。
まだ病気でも出来る、たくさんのことがある、とそう
一瞬でも信じられたから。
次に40代、50代・・・で観たら、また違った感想に
なるんだと思います。それだけに、『レ・ミゼラブル』と
同じくらい私には、そのときの気持ちの揺れが反映され、
いろいろ考えされられるミュージカルですね。
最後に劇場を出るときは、体が何だか軽くなった感じ。
心のパスポートはいつも「白い」ままで、いたいですね。
私もまだまだ、他の人に「夢を配達」できるように
早く復活したいなと強く思いました。