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散歩と俳句。ときどき料理と映画。

犬釘

北海道の古物商から犬釘が届いた。
ネットのオークションで550円(税込)で落札したものである。
骨董市では一本2500〜3000円で売られているから、送料と合わせても安かった。

長さ:155㎜、重量:304g

犬釘は鉄道のレールを枕木に固定する締結装置の一種で、鉄道の黎明期から使われている専用の釘である。

レールを抑えるアメリカ型犬釘

届いた釘は頭の部分が丸くなっているところを見ると、
アメリカ型の”turtle”と呼ばれている種類である。和訳すると「亀頭型」となる。
最初にこの国に入ってきたのはヨーロッパ型(イギリス型)で、
釘頭部のレールまたはプレートを押さえる部分が犬の鼻を、
釘を引き抜くための両側の突起が同じく垂れた耳を連想させることからそう呼ばれるようになった。
英語でも”dog spike”と呼称される。

ヨーロッパ(イギリス)型の犬釘。こちらの方がたしかに犬に見える

犬釘は枕木に直接打ち込まれることで、枕木上のレールを押さえつけて固定する。
しかし、振動によって緩みやすいこと、再度打ち込んでも同じ拘束力が発揮できないこと、
また、枕木側にも割れや腐朽など天然材ならではの問題があり、
列車の高速化や高頻度化を果たす上で大きな障害となっていった。
これらの問題を解決するため、木製マクラギと犬釘は幹線をはじめとして次第に使われなくなり、
代わりにPCマクラギやスラブ軌道、締結装置にはボルトと板ばねの組み合わせか、
ロール形ばねが用いられるようになった。

下の写真は1869年のアメリカの大陸横断鉄道の開通式の模様。
鉄道路線が完成するにあたって、最後に記念のために打ち込まれるのが
ゴールデン・スパイク(golden spike)と呼ばれる黄金の犬釘である。

 ゴールデン・スパイク

犬釘を見るとボブ・ディランの1979年のアルバム『スロートレイン・カミング』の
ジャケットのイラストを思い起こす。

収録されている「スロートレイン」の和訳は以下の通り。

  時々オレはひどく落ち込んで、
  姿を消した仲間たちの身に一体何が起こったのかと考える。
  アラバマにいる愛人はひどく現実的な女で、
  生活を改めて真っ当になりなさいとオレに忠告する。
  さもないと、そこらで野垂れ死んで、
  事故死として処理されるのがオチよ。
  人類のエゴは拡張し、法律は時代遅れで、
  なんの役にも立たず、私たちはもはや身の置き場ひとつない。
  勇者の家では墓の下でジェファーソンが寝返りを打ち、
  阿呆どもがすっかり舞い上がり、
  悪魔をも操作しようとしている。
  大物ぶった交渉家、いんちきヒーラー、女嫌いたち、
  恫喝の達人に、提案の達人。
  だがオレの見ている敵は小ぎれいな身なりをしているぜ。
  信仰とは無縁の人ぬすびとが、宗教をまねて語ってやがる。
  人びとは飢え、渇いている。なのに穀物倉庫ははち切れんばかり。
  ひとに分け与えるより、備蓄するほうがコストがかかると知ってるかい?
  抑圧を解き、野望を追求せよ、と奴らは言う。
  それでいながら兄弟愛の生活などを説く。
  そんなんで食って行ける奴がいたら、ここに連れて来い。
  やがて、ゆっくりと、ゆっくりと蛇行しつつ列車がやってくる。
  やがて、ゆっくりと、ゆっくりと蛇行しつつ列車がやってくる。
  やがて、ゆっくりと、ゆっくりと蛇行しつつ列車がやってくる。

ゆったりとしたテンポの曲だが、詩の内容は黙示録的で辛辣である。

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