散歩と俳句。ときどき料理と映画。

葱坊主

一昨日朝の散歩のついでに小滝橋の地産マルシェに寄ると珍しいものが並んでいた。
〈葱坊主〉である。葱の収穫期を過ぎて先端につく蕾のことだ。
これを売っているのを見るのは初めてで驚いた。
パックのなかに15個ほど入って150円+税。
どんなものかと試しに買うことにした。安ければすぐ買うワタシである。

調べてみると天ぷらか茹でたものを酢味噌和えにするとおいしいらしい。
さっそく天ぷらにしてみた。
葱坊主だけというわけにもいかなので、
イワシを紫蘇の葉でくるんだものと、舞茸も一緒に揚げることにした。

全部天ぷらにしても食べきれないだろうから、8個を使用。舞茸も天ぷらに

こちらはイワシの天ぷら。捌いて開いたものが3尾入って220円

葱坊主はとてもおいしい。葱の香りがいい塩梅である。

しかし、いつもというわけにはいかない。この季節だけのものだろう。

やはり酒のアテに季節のものをいただくのは大事である:笑。
そういえば葱坊主は晩春の季語である。

葱坊主の句をいくつか。

夜が来る数かぎりなき葱坊主   西東三鬼
葱の花ふと金色の仏かな     川端茅舎
時間からこぼれていたり葱坊主  橋 間石
晴れわたる五億年後の葱坊主  津沢マサ子
月の夜は朱儒の来てゐる葱坊主  浅沼艸月
燈を浴びて裁きのつづく葱坊主  徳弘 純
球体を出でゆく死者と葱坊主  増田まさみ
葱坊主どこから見ても後向き  小檜山繁子
葱坊主どこをふり向きても故郷  寺山修司
葱坊主はじけんばかり夜へつづく 佐藤鬼房

三鬼と鬼房の〈葱坊主〉と〈夜〉の取り合わせがとてもいい。 

寺山修司の句は

わが夏帽どこまで転べども故郷

と同工異曲。どちらが先かわからないが、自己模倣の句である:笑。

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