散歩と俳句。ときどき料理と映画。

八王子市大塚の寺社へ 5 帰路

清鏡寺と御手観音堂をあとにして通りに出ると、
来る時には、気付かなかった用水路がある。

その少し先に小さな三角の緑地があり、
大きな桜の樹の下に覆屋が見える。

覆屋の中は地蔵菩薩と思われるが、そばにはいけないのではっきりしない。

刻まれた文字が読めない。

近寄ってみると覆屋の中には石碑がふたつあり、
その右横にも石碑。
道路からではなにが書かれているのかよく見えない。
敷地には柵があるわけではないから、
石碑のそばに寄って写真を撮っていると、
後ろから
〈そこはウチの敷地なんではいらないでもらえますか〉
と声をかけられた。
咎めるような声ではなく、
静かにさとすような声である。

〈申し訳ありません〉と言いながら振り向いて
声の主の顔を見ると優しそうな表情のご老人。
〈どうもすみませんでした〉と再び謝ったあと、
〈この三つの石碑がなんだろうと思ったもので、
つい入ってしまいました。これはなんの石碑でしょう?〉
と厚かましく訊ねるワタシである。
ご老人は
〈それがねえ、私にもわからないんさ、
大昔からあるんやけどな〉とのこと。

ご老人に一礼してその場を離れ、
野猿街道に戻り堰場のバス停に着くと
すぐに南大沢駅行きのバスが来た。

20分ほどで南大沢に到着。
降車のさいにシルバーパスを提示しようと、
いつもパスを入れている財布の中をさがすが見当たらない。
ポケットにもない。
まずい、どうやらどかで落としたようだ。

運転士に
〈シルバーパスを落としてしまったようです〉
と話すと、運転士は
〈どこから乗車ですか〉
〈堰場です〉
〈300円になります〉
ギャフンである。
ビンボー人がお金を使わずに
呑み食いもせずに散歩した結果、予期せぬ散財。
ボンヤリしておるからこんなことになる。

ウチに帰ってシルバーパスの再発行の手続きをネットで調べる。
期間中1回に限り再発行できるらしい。
手続きは、ウチの近くなら京王バス南大沢営業所。
すぐ近くだ。
電話すると休日にもかかわらず手続きができるとのこと。

営業所まで出向き、手続きは終わったものの、
再発行は連休明けの5月7日だと言われる。
連休中はバスでの遠出はできなくなってしまった。

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