歌舞伎見物のお供

歌舞伎、文楽の諸作品の解説です。これ読んで見に行けば、どなたでも混乱なく見られる、はず、です。

「弥栄芝居賑」 いやさかえ しばいのにぎわい

2009年11月01日 | 歌舞伎
「弥栄芝居賑」 いやさかえ しばいのにぎわい
弥(いや)というのは、「いよいよ」くらいの意味です。いよいよ栄える、芝居のにぎわい、です。

誰かの襲名披露公演のときにしか出ません。タイトルも一定ではなく、似た感じの違うタイトルになるかもしれません。

舞台に芝居小屋のセットを作り、役者さんたちがが通行人に扮して、芝居小屋の前でそのとき襲名した役者さんの噂をしてほめちぎる、というだけのもの。
襲名ごあいさつをエンターテインメント化したものです。
「作り事」の部分と「現実」の部分がないまぜになっているかんじが楽しい舞台です。

いちおう、所作(しょさ、踊りね)もののカテゴリーに入るはずです。
「河竹黙阿弥(かわたけ もくあみ)」が明治初期に、市中の風俗をリアルに取り入れた所作ものをいくつも書きました。
浅草や新橋、上野などの江戸(東京)の街の華やかな場所を舞台に取り、芸者さんや通人、芸人、とび職、ときに役者さんも実名で出たりして
華やかな会話を繰り広げ、当時流行っていた踊りを踊る、というような内容です。
これももともとはそういう作品群のひとつだったのだろうと思います。

手持ちの黙阿弥の所作作品集の中には類似の設定のものはないので、そういう作品をイメージした完全な新作なのかもしれません。

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