2023年5月23日 北海道新聞様から転載
漁業と洋上風力共生へ研究会 室蘭・推進協に設置、地域と話し合う素地づくり
室蘭洋上風力関連事業推進協議会(MOPA)の意見交換会が23日、室蘭市の蓬崍(ほうらい)殿で開かれ、同協議会の中に、発電事業と漁業の共生を目的にした研究会を設置すると発表した。一般海域での洋上風力発電施設建設については、漁業者など住民の理解が必要だが、室蘭周辺の漁業者は洋上風車の建設に懸念を抱いている。協議会は研究活動を通して、漁業への理解を深めることで、地域の漁業者と話し合いができる素地をつくりたい考えだ。
市内外85の会社・団体でつくる同協議会は、洋上風力発電の経済効果を波及させるため、室蘭港を日本海側への建設拠点港とするだけでなく、室蘭周辺の海域にも発電事業を誘致し、建設後の保守管理や点検などの拠点にもしたい考え。長期的に港の利用の維持につなげる狙いだ。
だが、合意が不可欠な室蘭周辺の漁業者の理解は広まっていない。昨年11月に室蘭市が設置した勉強会には発電事業者や漁業者が参加。漁業者から海域の漁業権が室蘭漁協だけでなく、複数の漁協にまたがっていると指摘されたり、地域の漁業についての理解を深めるよう求められたりした。
こうした経緯を踏まえ、同協議会が設ける研究会では、室蘭沖や噴火湾でとれる魚種について、大学などが集積したデータを基に学習する。この地域の漁業の特徴を知った上で、その後、漁業者とともに海での漁業調査を共同で行う構想がある。賛同する会員が一定数集まり次第、今年8月をめどに活動を始める考え。漁業者とともに行う調査については、漁業者の協力が得られれば、次年度以降の実施を計画する。
MOPA研究調査グループの吉田昌弘DENZAI常務執行役員は「洋上風力の発電事業の話をする以前に、海を知ることは漁業者に対しての礼儀だ。とにかく謙虚な姿勢で漁業を学びたい」と述べた。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます