2023年04月05日
リポート 北海道機船漁業協同組合連合会内 一般社団法人北洋開発協会 原口聖二
[洋上風力発電と漁業 海外の経験#24 ノルウエー 漁業を犠牲すること自体環境に優しくない]
日本での、先行する欧米の洋上風力発電の漁業分野との共栄、相乗効果等の成功体験は、ほとんどが開発事業者による切り抜き発信で、実際に漁業分野の情報にアクセスしていくと様々な問題が報告されている。
ノルウエー漁業者協会会長カレ・ヘッゲボは、新たな同国のファデルとスヴェンネルの南の所謂“スカガ・フィールド”での洋上風力発電プロジェクトを取り上げ、漁業を犠牲にすること自体が環境に優しくなく、しかも経済的にも有益ではないと指摘している。
カレ・ヘッゲボは、政治的圧力と無責任な地方自治体の決定により、重要な産卵地域と漁場が洋上風力発電開発のために開放される可能性があることに大きな懸念を抱いている旨を表明した。
同協会洋上風力担当上級顧問ヤン・ヘンリック・サンドベルグは、いくつかの地方自治体が海洋エネルギー法のプロセス規制、ノルウェー漁業の基盤、良好な共存のための政治的ガイドラインのいずれをも、知らないように見えると述べ、多くの人が当該沿岸沖合のプロジェクトに関するプロセスに批判的な立場にあると言及、計画予定に重要な漁場が存在することを説明した。
また、サンドベルグは、地方議会の決定は、漁業界や漁業管理当局と事前に対話なく行われ、不完全な知識に基づいているだけでなく、海洋産業間の良好な共存のために何が必要かについての理解を欠如していると批判した。
大規模洋上風力発電所は、わずか1年前に多くの人が考えていたよりもはるかにエネルギー効率と面積効率が低いことが示されている。
サンドベルグは、風力発電プロジェクトの提案する前に、漁業管理当局と漁業組織に絶対に連絡をとる必要があり、提案は、公開の場で論議されるべきで、この限りにおいて、漁業と海洋環境に必要な配慮を払うことが可能になり、伝統的な海洋産業と新しい海洋産業が将来にわたって良好に共存できるようになると語った。
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