福岡オリンピック招致に反対する会

福岡市のオリンピック招致に反対する市民団体

石村善治代表委員の意見陳述

2006年08月12日 | Weblog
「オリンピック招致反対」請願のための意見陳述

 平成18年請願代19号「オリンピック招致反対について」の請願者、「福岡オリンピック招致に反対する会」の代表委員の一人として、平成18年5月26日現在請願者11万4,071人、最終提出者13万6,576人に及ぶ請願者の請願事項「オリンピック招致はやめること」について、その趣旨を申し述べます。

 昨年9月の福岡市長の2016年オリンピック招致の突然の発表と、その後の福岡市当局の急速な準備手続きは、市民にとってはいわば「寝耳に水」ともいえる驚きと同時に怒りの声を福岡市民の中に巻き起こしました。市民にとってはオリンピックのための多くの競技用施設、アクセス道路や鉄道の整備に要する莫大な財政負担を強要される巨大開発行政による市財政のいっそうの悪化、とくに保育所・高齢者・教育などの市民の健康・福祉、子育て行政の貧困・弱体化などを肌身に感じ、体験させられています。このさい、福岡市のやるべきことは、オリンピックの招致ではなく、これらの市民のための行政であることに大きく声をあげたのです。いまでは、多くの市民が、福岡市が現在2兆7,000億円の借金を抱え、それが市民一人当たり200万円の多額の市債であり、文字どおり「日本一の借金財政政令市」であることを知っています。

 「福岡市ホームページ『市民の声』より」(平成17年11・12月受付)に見られる市民の招致反対の声に対する福岡市の回答(「お答えします」)も、市民の切実な疑問に対する回答というよりは、こんな説明をしています、「スポーツのみならず、数々の文化行事などを通して相互理解を深め、地域に活力を与えるとともに次代を担う子どもたちに夢と希望をもたらし、また世界平和に貢献する世界最大のイベントです」とか、「世界最大の総合イベントであるオリンピックに挑戦し、実現することによって、これまでの福岡市の都市戦略を飛躍させる起爆剤となるとともに、福岡市のみならず総体として地方からメッセージを世界に発言することができます。」といったような、「うたい文句」か、場合によっては、「オリンピック憲章」には謳われていない「都市再開発」のてまのオリンピック招致を公然とかかげています。私たちは、いま福岡市がやるべきことは、市民の福祉・教育の充実、市民の平和と安全と暮らしを守ることであると信じています。そのような決意と希望のもとにこの請願書を13万有余の市民の名をもって訴えているのです。スポーツにしても、市のやるべきこと、市民のやるべきことはたくさんあるはずです。市民としてスポーツ施設の充実とか、スポーツ関係要員の充足とかがそれでしょう。

 先月7月20日、私を含めて代表委員6人は、「日本オリンピック委員会(JOC)」を訪問し、オリンピック招致推進室室長(中森康弘)と一時間にわたり面談・意見交換の機会をもちました。その中で特に印象に残ったのは、選考の最大の問題は「プランの実現性があるかどうか」であるという点の指摘、とくに「須崎埠頭の広大な再開発が成功するかどうかについて」の調査を挙げた点です。また、市民の協力がなければ成功しないともいい、市民の7~8割の賛成がないと難しいとも述べたことでした。
 市民の7~8割の賛成といえば、われわれの署名数は、全市民人口の10%に近い数ですし、福岡市が市民5000人を対象に実施したアンケートでは、招致自体の賛否を問うものではありませんでしたが、回答率27%にすぎず、市の大会「コンセプト」に「共感できる」はその内、52%にとどまっています。このアンケートh、招致賛成を問おうとしない「PRのための世論調査」にすぎないと私は思っていますが、それにしても、およそ7~8割の賛成などといえるものではないでしょう。

 福岡市民は、オリンピックが福岡市民にとって、また福岡市にとって現実的にどのような意義をもっているのか、そしてなぜ今なのか、なにが本当のねらいなのか、大規模都市開発ではないのかと鋭く見抜いているのです。オリンピックの「たてまえ」や「美辞麗句」を聞こうとしているのではないのです。現在の福岡市民は、25年前(1981年)の「博多湾環境影響評価条例(まちづくり条例)制定」運動以来、多年の住民自治の運動の歴史を経験してきています。昨年の「人工島住民投票条例制定運動」では、総数7万6,922名の厳格な法律要件を備えた「署名」に市民の力を示しました。残念なことに福岡市議会はこれを無視しました、今回の署名はそれにもまさる市民の洞察力と英知と行動力を示しています。さらに、今回の「オリンピック招致反対」署名運動は、地方自治住民運動の質に大きな変化があることを私は感じています。それは、市民が自治体の「財政」そのものに深い関心と理解をもっていることです。「行政」のあり方を市民自身の「納税者」の権利意識のもとに、はっきりと、具体的にとらえるようになっていることです。この点に今回の署名運動の大きな飛躍的意味があると考えられます。本市議会は福岡市民の住民自治のこの力を侮ってはならないと思います。「納税者主権」の行使ともいわれるような今回の署名・請願運動に、市民の代表機関としての議会は真摯率直に答え、オリンピック招致に反対されることを希望し陳述を終わらせていただきます。

最新の画像もっと見る