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AX-Chair & Table

2011-07-15 | 北欧デザイン

AX Chair

1950年にペーター・ヴィッツとオーラ・モーゴード・ニールセンの2人のデザイナーと

フリッツ・ハンセン社の共同研究によって、

デンマークで開発され、大量生産された製品です。

Axchair_2_01

今日紹介するのは、椅子ではなく、Tableのほう。

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テニスラケットの構造を応用した脚部分の構造美はAX-Chair譲り。

天板の突板もよい物を選んでいると思います。(思いたい...)

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貫部分と脚の接続部もすこしふくらみを持たせています。

110711_2 (ジョイント)

そして、その貫は中央部分で団子のような木製ジョイントでクロスされ、

の安定感を高めています。

110711_6 (柱脚)

110711_3

脚頭はY字状になり、(たぶん)テーブルの安定性と天板との接続性を高めています。

よーくみると、少しゆがんだ感じで、工業製品っぽさはありません。

110711_7 (接合部)

いつ見ても見飽きないデザインです。


ボーエ・モーエンセン 北欧椅子 そしてIKEA

2011-05-23 | 北欧デザイン

先日のNHK「美の壺」という番組で、北欧インテリアが扱われました。

フィン・ユールやハンス・J・ウェグナーなどと共に、

ボーエ・モーエンセンの椅子が紹介されていました。

110523_2 (シェーカーチェア)

No.39  シェーカーチェア。

番組の解説によると、

1947年にデザインされたこの椅子は、

木材の輸入がままならなかった戦後の時代に、

構造上必要最小限の構成部材でつくられ、

しかも、(比較的)安価に販売されたこともあり、

現在、デンマークのいたるところで見られるそうです。

フィン・ユールやウェグナーなどの、優美なラインの芸術品のような高価な椅子の一方で、

モーエンセンのこのNo.39のような庶民的な椅子が同世代に誕生し、普及したことは

興味深いです。

現在でも、北欧家具にはいくつかの系譜があるような気がします。

①伝統を受け継ぐ、芸術品のような椅子が継続あるいは復刻される系譜

②現代のデザイナーが、新しい技術や素材に挑戦する系譜

③北欧の特徴である、シンプルで小ぶりで、庶民的な価格で(大量に)供給する系譜

IKEAなどは、③の系譜なのでしょう。

北欧家具が黄金時代といわれた20世紀に

世界市場をターゲットに家具の輸出で外貨を稼いで自国の産業を支えたデンマーク。

その姿勢をそのまま現代市場規模にあわせ、徹底したコストダウンと、

そのためのノックダウン構造+持ち帰れるパッケージ=自動車社会への適合。

IKEAの姿勢は、①や②の系譜と比べると、ビジネスだけと捉えててしまいがちですが、

実は、木や布などの温かみのある素材と色彩のインテリアアイテムを、安価に提供する

という点では、むしろモーエンセンの考えを引き継いでいるのかもしれません。

確かにIKEAの家具やインテリアは、

楽しい...。

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北欧家具 AX-Chair at 清家清邸

2011-04-12 | 北欧デザイン

数冊の本を借りました。

AX-Chairのある空間―。

建築家 清家 清自邸「私の家」に置かれたAX-Chairです。

110412_2_2(BRUTUS 2011/2/15)

AX-Chairは1950年代に北欧デンマークでデザインされた椅子。

(過去ブログ「北欧デザイン」カテゴリにて紹介)

北欧で最初に成形合板三次元曲面仕上げを取り入れた椅子で、

当時の最先端技術を駆使して開発された椅子。

1954年のミラノ・トリエンナーレで金メダルを受賞しました。

北欧家具はこの時期黄金時代を迎えていました。


そして...清家 清自邸。

1955年に建てられた住宅です。

コンクリートブロック造の中に、木の温かみが融合したこじんまりした住宅です。

日本にモダニズムが入ってきた時代。

ヴァルター・グロピウス(ドイツ・バウハウス校舎設計者にして初代学長)も

この清家邸を工事中に訪れているそうです。


時代を経て21世紀。

住宅と家具はいい味を醸し出しています。

110412_3 (BRUTUS 2011/2/15)

110412 (家庭画報2007.3)

一生ものの家具 四つの条件。

 1.時とともに味わいを増すこと~経年変化~

 2.飽きのこないデザイン~流行を追わない~

 3.修理ができること、修理がしたくなること~素材と構造~

 4.できれば同じものが買いたせるといい~流通性・定番性~


残念ながら、AX-Chairは中古市場でのみ入手できる状況です。

しかし、1~3は何とか可能。

私の所有するAX-Chairは、リペアされてまだ1年。

手入れをしながら、清家邸にあるような深い味わいが醸し出される時を迎えるまで、

大切に使いたいと思いますね。


木工産業のまち 飛騨高山

2011-02-23 | 北欧デザイン

つい先日の地元情報誌の「市民時報」に、

飛騨の木工関連企業で作っている木工連が、

高山市長と共に、中国大連市に売り込みに行ったという記事がありました。

私が言うのもなんですが、とてもいいことと思います。

中国で3年ほど仕事をした経験上、

商習慣や常識の違いで戸惑うこともありましたが、

とにかくTRYしなければゼロ。

10年前までは、日本国内の需要が縮小傾向にありつつも、

なんとかなった。経済規模が縮小する今、ようやく世界市場に―。

しかし...

たとえば巨大市場中国。

欧米の企業は5年以上前から進出している。

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(中国高級家具市場にはすでに欧米ブランドがひしめいている)

一方、中間層をターゲットにした家具市場では、

すでに中国企業は、かなり高度な加工まで可能で、

かつ比較的安価に供給している。

しかも、欧米のデザイナーや技術者と協力して、デザイン力もUPしている。

では、これから出ていく日本の企業は何を売りにするのでしょうか?

市場と国民性を反映したConceptとターゲットを明確にし、

強烈にアプローチしないと伝わらない。

なんとなーく的な島国発想では通用しない。

なんかいい感じー、では伝わらない。

つまり、ゼロと同じ。

これが、私が3年間の中国で叩き込まれた意識でした。

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(中国の伝統文化やトレンドをどれだけ深く参照できるか)

大連市長代理と会談したからといって、

展示会に出展したからといって、もっと困難なのはそこから先。

そこまでは、中国市場は本当にWelcome!

損も儲けも関係ないから。

デンマーク等北欧諸国他、欧米企業は、

常に世界市場に目を向けていました。

ですから、世界で売るためのノウハウや習慣は身に付いている。

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(1950年代Ax-Chair)

そこに

追いつこうとするのか、或いは、唯一無二を打ち出せるのか?

それは他人ごとではなく、自身に向けられていることでもあります。

困難は自分の中にあり、突破口は自分の中にしか宿らない―。


アルネ・ヤコブセン グランプリチェア(Arne Jacobsen Grandpri Chair)

2011-02-21 | 北欧デザイン

アルネ・ヤコブセン グランプリチェア。

1957年にミラノトリエンナーレ(家具の祭典)で、グランプリを受賞したことに由来します。

現在フリッツ・ハンセン社から発売されているものは、スチール脚ですが、下の写真のチェアは、脚部も積層材でできています。

受賞当時そのものの、ビンテージ品です。

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(Grandpri Chair)

このチェアのデザイナーであるヤコブセンデザインのアントチェアは、2次元曲線の組み合わせで3次元曲線を生み出しています。

しかしこのグランプリチェアは、それを発展させ、さらに曲面を大きくした3次元曲線で座り心地がよくなっています。

当時の人たちが、いかに労力と知力を注いだかがうかがえます。

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(背板の曲線美)

そして、この初期グランプリチェアの最大の特徴である脚部のデザイン―。

積層材で、断面は六角形に仕上げられています。

無垢材ではないのです。

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(脚部)

これは、技術的にはどういうことかといいますと...

現在は、突板を真空パックのような方法で練りつけることができます。が、当時そんな技術はありませんでした。これは、各面に一枚一枚丁寧に突板を練りつけた後、余計な分を丁寧にナイフで切り離して仕上げているのです。

じーっと、そういう目で見なければ全くわからない。

    丁寧な仕事が、小さな椅子に、大きな存在感を与えた。


デザインだけではない。

これを実現しようとした、すべての人の力がこもっているのでしょう

P2193737m (先端部)

私の手に入れたグランプリチェアは、経年の使用で、座面から背板へと直角に曲がる部分に亀裂が入っているため、私以外の方が座ることをおすすめできません。

ぎりぎりのところでデザインしていたのでしょう。

またこれまで、日常の生活の中で、たくさんの人に愛着を持って使われてきたのだと思います。そう思うと、感慨深いものがあります。