先日のNHK「美の壺」という番組で、北欧インテリアが扱われました。
フィン・ユールやハンス・J・ウェグナーなどと共に、
ボーエ・モーエンセンの椅子が紹介されていました。
(シェーカーチェア)
No.39 シェーカーチェア。
番組の解説によると、
1947年にデザインされたこの椅子は、
木材の輸入がままならなかった戦後の時代に、
構造上必要最小限の構成部材でつくられ、
しかも、(比較的)安価に販売されたこともあり、
現在、デンマークのいたるところで見られるそうです。
フィン・ユールやウェグナーなどの、優美なラインの芸術品のような高価な椅子の一方で、
モーエンセンのこのNo.39のような庶民的な椅子が同世代に誕生し、普及したことは
興味深いです。
現在でも、北欧家具にはいくつかの系譜があるような気がします。
①伝統を受け継ぐ、芸術品のような椅子が継続あるいは復刻される系譜
②現代のデザイナーが、新しい技術や素材に挑戦する系譜
③北欧の特徴である、シンプルで小ぶりで、庶民的な価格で(大量に)供給する系譜
IKEAなどは、③の系譜なのでしょう。
北欧家具が黄金時代といわれた20世紀に
世界市場をターゲットに家具の輸出で外貨を稼いで自国の産業を支えたデンマーク。
その姿勢をそのまま現代市場規模にあわせ、徹底したコストダウンと、
そのためのノックダウン構造+持ち帰れるパッケージ=自動車社会への適合。
IKEAの姿勢は、①や②の系譜と比べると、ビジネスだけと捉えててしまいがちですが、
実は、木や布などの温かみのある素材と色彩のインテリアアイテムを、安価に提供する
という点では、むしろモーエンセンの考えを引き継いでいるのかもしれません。
確かにIKEAの家具やインテリアは、
楽しい...。