今年の2月に調査した、
古民家の付属建物解体改修が完成しました。
崩れかけの見た目もよくない付属家屋を撤去し、
残った建物の保全と修繕を行なった...という内容。
付属家屋を解体した跡地は、駐車場に。
一般的にいう、「美しい景観」...とは正直言えないでしょう。
でもブログに載せてみました。
古い町並みの置かれた現実だから。
特定地域に建つ古民家の修繕・修景・保全には、
補助金が出ます(一方、勝手に壊せない)。
しかし、それにはタイミングによって1年以上待つことになります。
事情により、今回は施主自費工事でした。
その費用を回収しないといけないし、仮に保全工事に補助金が出ても、
敷地や建物は、
・放置するわけにもいけない。維持管理が必要。
・維持管理の手間(時に費用も)は掛かるし、税金も。
・制約・地価が高い・寒い家・スーパー遠いという不便な所に新たに住む人は稀。
・観光客がたくさん訪れるエリアから外れており、店舗なども見込めない。
・1人1台の車社会
・・・
という現実の前では、
駐車場にするという選択肢以外、見当たらないのが現状です。
この地域も大学の研究室が調査し、景観の提案を行なっていました。
理想の実現には、上記のような事情を踏まえた
「景観維持保全のための効果的かつ弾力的で運用可能な資産活用の提言」
がセットで、実行されなければなければ、単なる論文遊びです。
古民家の景観を、その場所で維持していくことは、
人口減少社会の中で、とても難しい問題。
せめて、建物だけでも保全されることは、
将来の景観形成と、土地建物の活用に期待が持てるという点で
肯定的に評価することだろうと思います。
付属家屋が撤去され、青空が見えるようになりました。