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古民家保全と景観

2011-05-14 | 古民家

今年の2月に調査した、

古民家の付属建物解体改修が完成しました。

P5146133m (残された蔵)

崩れかけの見た目もよくない付属家屋を撤去し、

残った建物の保全と修繕を行なった...という内容。

付属家屋を解体した跡地は、駐車場に。

一般的にいう、「美しい景観」...とは正直言えないでしょう。

でもブログに載せてみました。


古い町並みの置かれた現実だから。


特定地域に建つ古民家の修繕・修景・保全には、

補助金が出ます(一方、勝手に壊せない)。

しかし、それにはタイミングによって1年以上待つことになります。

事情により、今回は施主自費工事でした。

その費用を回収しないといけないし、仮に保全工事に補助金が出ても、

敷地や建物は、

・放置するわけにもいけない。維持管理が必要。

・維持管理の手間(時に費用も)は掛かるし、税金も。

・制約・地価が高い・寒い家・スーパー遠いという不便な所に新たに住む人は稀。

・観光客がたくさん訪れるエリアから外れており、店舗なども見込めない。

・1人1台の車社会

・・・

という現実の前では、

駐車場にするという選択肢以外、見当たらないのが現状です。

この地域も大学の研究室が調査し、景観の提案を行なっていました。

理想の実現には、上記のような事情を踏まえた

「景観維持保全のための効果的かつ弾力的で運用可能な資産活用の提言」

がセットで、実行されなければなければ、単なる論文遊びです。


古民家の景観を、その場所で維持していくことは、

人口減少社会の中で、とても難しい問題。

P5146149m (壁と屋根)

せめて、建物だけでも保全されることは、

将来の景観形成と、土地建物の活用に期待が持てるという点で

肯定的に評価することだろうと思います。


付属家屋が撤去され、青空が見えるようになりました。


飛騨高山観光 古民家(無料見学)を訪ねる

2011-02-25 | 古民家

飛騨高山には、

江戸時代~明治~大正時代に建てられた古民家が点在します。

吉島家、日下部家(日下部民芸館)などは有名ですし、上三之町の古い町並みもそうですね。

今日、紹介するのは、吉島家から北へ100m位歩いた場所にある古民家。

「宮地家住宅」といいます。

うれしいことに、この建物は“無料”で見学できます。

http://map.search.yahoo.co.jp/search?fr=top_ga1_sa&ei=UTF-8&p=%E9%AB%98%E5%B1%B1%E5%B8%82%E5%A4%A7%E6%96%B0%E7%94%BA2%E4%B8%81%E7%9B%AE44%E7%95%AA%E5%9C%B0

明治8年にこの付近で大きな火災があり、その直後に建てられた住宅だそうです。

詳しい内容を知りたい方は、建物内にA41枚のパンフが置いてありますので、

ここでは、私がいいなと思ったポイントを少しだけ書きます。

1102251 (吹抜けにある障子窓)

玄関を入ると、吹き抜けがあります。

住宅密集地で上部から採光を取っているのは、

有名な古民家である、吉島家や日下部家住宅と同じです。

ただ、あそこまでダイナミックな木構造ではなく、

おとなしい落ち着いた雰囲気です。

注目は、上の写真中央上部ある障子窓。

なぜあんなところに?

1102252 (写真左の障子窓が吹き抜けに面する)

これです ↑

2階の廊下に面しているんですね。

この障子窓を開けると、1階から2階に風が抜けて、奥にみえる中庭に面した窓から風が抜けていきます。

    
        風を家じゅうに回す仕掛けの一つなんですね。

どうですか?現代の住宅にも応用できますね。

(実際、設計したことがありますが、すごく風が抜けて気持ちいいですよ。)

1102253 (こじんまりしているが凛とした中庭)

飛騨は雪が降るので、中庭なんか大変では?と思われるかもしれません。

しかし、不思議なことに、中庭ってあまり雪が積もらないんです。

ですから、古民家には意外と中庭はたくさんあります。

最後に...

1102254 (レトロなスイッチ)

いい味出てます...

最近手伝わせてもらった、古民家の改装設計でも、

あえて、これと同じものを電気屋さんが探してくれて取りつけてくれました。

なにかこう...雰囲気を大切にしたい気にさせますね。

     古民家の醸し出す雰囲気


大切にしたいです。


飛騨高山の古民家から ~ごえもん風呂~

2011-02-21 | 古民家

五右衛門(ごえもん)風呂―。

資料では知っていましたが、実物を見たのは初めてでした。

P1060696

(左官仕事で作られた、柔らかいフォルム)

P1060698

(内部は本当に“鍋”みたいです)

P1060693

(お風呂の外側にある、この鉄口から薪を入れていました)


今はもう使われていないそうです。

壁天井は漆喰仕上げで、腰部分は、ちょっとおしゃれに赤いタイルを使ってある。

赤いタイルも白いタイルも、どことなく柔らかさのある質感でした。

多分、焼成温度が今ほど高くなかったか、

あるいは安定した温度で焼かれていなかったためでしょう。


ほとんどのモノが数値で管理され、数値で評価される時代に、

手づくり感のあるものも評価される。

2月5日のブログで紹介したマグカップ...

数回に分けて紹介している北欧デザインの家具も工業製品でありながら、意外に手づくりなことろがある。

   

          数値を超えた価値を感じるもの


“作り手の気持ち”

それが、1つの共通するキーワードなのかもしれません。