26日のブログでは、
「床断熱を基本としているが、実は基礎断熱も採用したことはある。」
と書きました。
その際、「空調方式もセットで―。」という条件付きとも書きました。
手法は以下です。
①外張り断熱(基礎・壁・屋根) + 気密施工
②スラブヒーター(深夜電力)
③壁内空気循環
④スラブヒーター熱の壁内導入
⑤蓄熱暖房機
⑥床下シャッター付断熱換気口
下の写真が実例です。
(べた基礎下+基礎断熱)
基礎を断熱します。
スラブヒーターをコンクリートに打ち込むので、土間下断熱をします。
(スラブヒーター)
べた基礎に電気のヒーターを打ち込みます。
そんなことすると強度的によくないのでは?と思うかもしれませんが
この程度はなんの問題ありません。
またコンクリ温度が冬と夏で変化しにくいので、実はコンクリにとってもよい。
(基礎内側断熱)
さらに基礎の内側にも断熱を行います。(最初の写真のは基礎の外側)
この断熱材は、フェノールフォーム断熱材(商品名ネオマフォーム)といって
薄くても高性能な断熱材です。
さらに、写真中央に基礎に切り欠きがありますが、
ここに断熱材入りの可動換気口を設けています。
夏や梅雨時の床下湿気は排出されます。
冬は閉めておき、スラブヒーターの熱で乾燥します。
(外張り断熱)
壁は柱の外側に断熱材を施工します。
壁内断熱では、厳密に言うと柱や間柱部分で「ヒートブリッジ=熱橋」となります。
計算上、今のエコポイントをもらうための「次世代省エネ基準」や「長期優良住宅」でも
壁内断熱はOKですので、この例はものすごく厳密にやった例です。
サッシ周りも気密テープで隙間をつぶします。
壁内が空洞ですから、スラブヒーターからの熱がうまく循環し、また木材の腐りも防げます。
(通気工法)
外壁側はもちろん通気工法を採用します。
実は、この上に張るサイディング゛は断熱材裏打ちのもの゛を使用し、
ダブル断熱になります。
(屋根断熱)
2重垂木として、しっかり通気層を確保します。
通気層がないと、屋根野地板と断熱材の間で結露してしまいます。
2重垂木でなくても通気を確保することが大切で今はそのためのスペーサー部品もあります。
そのような感じですが、、、
わざわざ壁や屋根まで説明したのは、
高温多湿の日本の木造住宅には通気が必要
ということが言いたいから。
ですから、基礎断熱で、その内部の空気を換気しない(換気設備を入れない)のでは
問題が大きいのではないか…と思います。
なぜ、外壁通気工法が開発されたか?
それは、通気がなくて断熱した住宅が、壁内結露を起こして木材が腐ったという事例が
過去にたくさんあり、その失敗を経て今の通気工法があるのです。
壁や屋根の通気には留意するのに、基礎は室内空間と一体だからOKなどという理屈は、
確かに床下は壁に比べ空間が大きいが、それでもにわかには信じがたい。
現に、基礎断熱には床下換気扇を併用する設計をしているところもあります。
私もそのような対処に加え、
かつ住む方がそのことをよく理解することが必要と思います。
“はやり”ではある基礎断熱ですが、
それは施工がしやすいから…という側面があり、それはどういうことなのか…
ということを一度考えてみる、その結果OKなら採用するという手順は必要とおもいます。
床下のない木造の神社なんてないし、平安時代の寝殿造りは高床式だった。
歴史から推察することも大切だし、
かつ新しいことには新しい対処が必要かどうかを考えることも大事かなと思います。