5月20日PM
アルヴァ・アアルトの自邸とアトリエを訪ねました。
ガイドブックから、
アトリエは6月以降でないと見学できないことは分かっていました。
アアルトのアトリエは閑静な高級住宅街の中にありました。
白く塗られたレンガにできる陰影が
モダンな建物と自然との調和を演出しているような気がします。
残念ながら、中を見学することはできませんでしたが、
レンガ、木といった素朴な材料と、
白くぬるというモダニズムへの傾倒と思われる意匠が、
不思議と心地よい。
それは、周辺環境のせいもあるし、当日の快晴の青空のせい
かもしれません。
続いてアアルトの自邸です。こちらは見学ができました。
1時間ごとに時間を制限したガイドツアー(英語)での見学。
見学料は日本円で約1800円程度と高かったですが、
今回なんと他に見学者がいなくてプライベートツアーとなりました。
ヘルシンキから北へ列車で4時間ほどの小都市ユバスキュラから
こちらに移ってから構えた自邸兼アトリエ事務所建築です。
建物内の高低差と建具を利用して、
仕事場、重要かつ親密な人との交流の場を兼ねたセミプライベート空間、
そして2階のプライベート空間から成ります。
事前に本などで知ってはいましたが、
ガイドさんの説明によると、アアルトは日本の影響をかなり受けています。
そのため、引き戸や竹の意匠がデザインに取り入れられており、
また、竹細工のような日本の工芸品も飾られていました。
ソファをはじめ家具類もすべて座ったり触れることができ、
アアルトがくつろいだであろう生活を、短い時間ですが体験することができました。
訪れた時間は午後の4時。
少し陽が傾きかけて、室内に光が差し込んでくる時間帯。
杉のブラインドを通して入ってくる西日が心地よかった。
アアルトに限らず北欧の建築家は、西日を大切にします。
もちろんそれは寒い地域で貴重な陽の光と温かさを
室内に取り込むためでもありますが、
1日の終わりに室内をオレンジ色に染める光は、
そのまま暖炉の色に通じ、リラックスした時間を演出します。
朝日の青白い光から夕暮れのオレンジ色に変わっていく光のリズムは
人間の身体リズムにも心地よいのではないでしょうか?
見学の最後に購入した、アアルト自邸の解説本
(こことユバスキュラのアアルト美術館でのみ販売)には
アアルトがこのテラスでくつろぐ写真が掲載されています。
ディティールをいくつか紹介。。。
有機的なラインです。
部分的に変化を持たせています。
通風専用の窓です。
FIXの大きな窓とは別に設けられています。
気密性を確保する工夫がなされています。
これは、アアルトだけではなく、その他でも見られるディティール
寒い地域の工夫でしょうか。
修復かもしれませんが…おしゃれですね。
こういったディティールと見ていくと、
今年1月30日に完成した
飛騨高山フィン・ユール邸を思い出し、その共通点の多さに驚きます。
(飛騨高山フィン・ユール邸については私の過去ブログまたは
KITANIのHPをご参照。)
次に外部です。
住宅の西側には広い庭が広がっています。
隣地は現在も1段低い位置で広場になっており
プライベート感の保たれた庭です。
この庭でアアルト夫人がくつろいでいる写真がありました。
庭を望む位置にあるコーナーです。
仕事場ではここが特等席だったのでしょう。
そして何より…クスッと笑ってしまったのは、こちら
アアルトは、嫌いなクライアントが来たときなどには、
この小さなドアに通ずる階段を登って、プライベート空間に逃げたそうです。
仕事場からレンガの階段を上った所にある資料室にあります。
面白いですね。
アァルト建築の代表的なモチーフになっていますね。日本の影響を受けていることに驚きます。