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フィン・ユール邸  視点

2013-11-17 | 北欧デザイン

飛騨高山のキタニ敷地内に建つフィンユール邸へ

久しぶりに行ってきました。

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フィン・ユールは、No.45などの美しい椅子のデザイナーとして有名。

置いてある家具の優雅さに、ついつい目を奪われます。

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この日の午前中は、

自分たち2人以外に予約がないことを確認していたこともあって、

貸し切り状態。

それに、少し青空と光の差す天気でしたので

なおさら、建築設計者としての視点で

建築家フィン・ユールがどのような空間を作ろうとしたのかに

想いをはせつつ、ゆっくり見ることができました。

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フィン・ユールは、

空間、居場所、居心地をデザインしたかったんだと思います。

乱暴に言えば、

No.45やチーフテンや、No.53の〝優美なラインそのもの〟は、

空間における絵画と同じ扱いだと思います。

あのラインは、もちろんデザイナーと1つの家具のアイコンであり、

商業ベースで考えれば付加価値。

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もし、この家が家具のショールームであったなら、

ガーデンルームのソファは、

作りつけである必要ななかったし、

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その窓から、すり鉢状にあがる庭を眺める視点や

庭そのものをデザインしたり、

高山のフィンユール邸を建てる際にも問題となった、

わざわざ雨の集まる敷地の一番低い位置に

建物の床レベルを設定する必要もない。

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そして、その場所から

こんな空が見えるような窓を作る必要もない。

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陽のあたる、南に面したクローク廊下のソファ。

そこから眺められるリビング。

関係性―。

内と外、建築と自然、交わる視線や気配

座り心地、暖かい陽の光。

キタニのRoyal Copenhargen roomを設計させてもらった時に

資料として見せてもらった、

フィン・ユールによるデザインの

コペンハーゲンのRoyal Copenhargen のショールームと同じ。

家具単体を見ているだけでは分からない。

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この家は、建築家フィンユールによる

関係性のデザインのかたち。


フィン・ユールの見た風景 05

2013-01-07 | 北欧デザイン

ベッドルーム。

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この日は、猪飼節子 絵画展の最終の週末。

彼女が見た自然風景を、心象風景として描いた絵画は、

フィン・ユール邸の白い空間にマッチしていました。

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ホワイト塗装を施したパイン材の床。

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窓から見える風景。

5回にわたって、

フィン・ユールの見た風景の追憶を書いてきましたが、

こうして改めて写真を見ると、

フィン・ユール邸は、

北欧の気候風土から生まれた、光の家なんだな~と思います。

一つ一つの、内装、外装に使われた色彩もまた、

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光から生まれた、光によって表現された自然界の色。

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家具に使われる鮮やかなファブリックの色もそう。

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北欧の、光の家。


フィン・ユールの見た風景 04

2013-01-06 | 北欧デザイン

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クローゼット通路の一角にある、作りつけのソファ。

一番のお気に入り空間。

家に欲しい...

と思って、実際に本棚を並べた隅っこにコーナーを作ろうかと思ったくらい。

(…本棚が長くてスペースがなかった

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南の陽が入って、午前午後ともに心地よい空間。

ソファの背とアームの高さも、包まれる感じで絶妙です。

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アームのふんわり具合もなかなか。

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いい。

ここがお気に入り、という人は自分だけではないので、

フィン・ユール邸では

とかくリビングがクローズアップされますが、

実は、フィン・ユールも、ひそかにここがお気に入りだったのではないかと

想像したくなる空間です。


フィン・ユールの見た風景 03

2012-12-31 | 北欧デザイン

ガーデンルーム。

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上の写真は、

リビングのチーフテンチェアに座って、

ガーデンルームを見たもの。

目に入ってくる、青いソファと、鉢植えの植栽が印象的。

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実は、完成する前の、家具が入らない状態では、

そんなに印象的でもなかった空間ですが、

ソファと植栽が入って、そして、

冬の午後の日差しが入ったとき、最も印象的になった空間が、ここ。

陽の温かさが心地よくて、

なんでしょう、植物園の温室に居るような気分。

外の自然以上に、自然を感じる。

太陽の光、温かさ、植物の緑が凝縮された感じです。

北欧の気候からすると、

この空間は本当に貴重な、インナーガーデン。

インナーガーデンとはこういうものなんだ。。。

そんなに広くない、4畳半位の空間ですが、

そう思わせてくれる、自分にとっては結構衝撃的な体験です。

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ダインニングから見たガーデンルーム。

空間の高低差が、素晴らしい効果を生み出しています。

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テラスからガーデンルームを見る。

この日も、晴れ間に小雪の舞う天気。

ガーデンルームは、

北欧の人々の、冬を心地よく過ごしたいという気持ちから

生まれた空間なのだろうと思います。


フィン・ユールの見た風景 02

2012-12-30 | 北欧デザイン

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リビングに置かれたNo.45

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黄色いソファの座り心地も、光があたった感じも、

温かみを感じますが…

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このNo.45のアーム。

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何とも手になじむ。

こういう曲線をみると、

なぜか、ル・コルビジェのロンシャンの教会が浮かんできます。

コルビジェは、「建築は機械である」 「モデュロール」など、

建築界に大きな影響を与えたモダニズムの巨匠であり、

ザヴォア邸や、幾何学的なデザインは有名ですが、

晩年の大作であるロンシャンの教会は、何とも言えない有機的な建築。

決して理論だけでは作り得ない建築。

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フィン・ユール邸の建築自体は、

直線的な、モダニズムの流れをくんだデザインです。

しかし、色彩の取り入れ方は、なにかこう、ほっとさせる。

そして、

フィン・ユールデザインの家具の特徴である、有機的なラインが、

直線的な空間とうまく溶け合い、

「自然」を感じさせてくれるような気がします。