久しぶりに行ってきました。
フィン・ユールは、No.45などの美しい椅子のデザイナーとして有名。
置いてある家具の優雅さに、ついつい目を奪われます。
この日の午前中は、
自分たち2人以外に予約がないことを確認していたこともあって、
貸し切り状態。
それに、少し青空と光の差す天気でしたので
なおさら、建築設計者としての視点で
建築家フィン・ユールがどのような空間を作ろうとしたのかに
想いをはせつつ、ゆっくり見ることができました。
フィン・ユールは、
空間、居場所、居心地をデザインしたかったんだと思います。
乱暴に言えば、
No.45やチーフテンや、No.53の〝優美なラインそのもの〟は、
空間における絵画と同じ扱いだと思います。
あのラインは、もちろんデザイナーと1つの家具のアイコンであり、
商業ベースで考えれば付加価値。
もし、この家が家具のショールームであったなら、
ガーデンルームのソファは、
作りつけである必要ななかったし、
その窓から、すり鉢状にあがる庭を眺める視点や
庭そのものをデザインしたり、
高山のフィンユール邸を建てる際にも問題となった、
わざわざ雨の集まる敷地の一番低い位置に
建物の床レベルを設定する必要もない。
そして、その場所から
こんな空が見えるような窓を作る必要もない。
陽のあたる、南に面したクローク廊下のソファ。
そこから眺められるリビング。
関係性―。
内と外、建築と自然、交わる視線や気配
座り心地、暖かい陽の光。
キタニのRoyal Copenhargen roomを設計させてもらった時に
資料として見せてもらった、
フィン・ユールによるデザインの
コペンハーゲンのRoyal Copenhargen のショールームと同じ。
家具単体を見ているだけでは分からない。
この家は、建築家フィンユールによる
関係性のデザインのかたち。