ロンドンの廚(くりや)

ロンドンに住むフードライター Yasukoの「廚(くりや=台所)事情」ブログです。

驚きのエコレストラン。

2008-07-02 | お店
ここまで徹底して環境に優しくしちゃうひともいるんですね....。

というのが、先週取材したロンドンのレストラン「エイコーン・ハウス」のオーナーシェフ、アンソニー・ポッツ=ドーソンさん。



2メートル近い長身に人懐っこい笑顔のイケメン、テレビでもお馴染みのセレブシェフなんです。
日本でもよく知られている、ジェイミー・オリバーとは、リバーカフェで一緒に働いた仲で、彼の最初のレストラン「15」のヘッドシェフも務めました。

一見、お洒落なカフェのよう。しかし、実はここは、環境への負担を出来るだけ減らそうと言う、半端じゃない努力が結実したエコハウスなのであります。

床と調理台はリサイクルされたプラスティック、家具にはサステナブルな木材が使われ、照明は風力発電。
イギリスのレストランでは、日本のように「お冷や」がタダで出されることはなく、有料のミネラルウォーターを頼むことになりますが、ここでは、再使用可能な特製ガラスボトルで、自然な方法で不純物を取除いた水道水を無料で提供してます。

そして、肝心の料理と言えば、「産地産消」を可能な限り貫き、しかもグルメでヘルシーなメニューが並ぶんです。
出来るだけ国産の有機栽培食材をつかって公害、食害を減らすのに貢献。
だから、「カリフォルニア産のオレンジジュース」など、遠距離輸入を伴う素材の使われるメニューはいっさいありません。コーラもないよ。

キッチンを覗けば、ここでも徹底してゴミの量を減らす努力がなされ、生ゴミのうち青果物はすべて温風で顆粒状に乾燥させてから土に戻しているそうです。だから、普通のレストランでは毎朝行われるのが当然の生ゴミ回収も、ここでは2週間に1度で十分、と言う驚きもの。

出される料理の量も、おなかの空き具合でサイズを選べるようになっており「なるべく残飯を出したくない」アーサーさんの意向が現れています。胃袋の小さい日本人にもこれはとてもうれしい。

その上「地元の若い人たちにもっとこの世界に入ってほしい」と、地域コミニュティーと連携してシェフトレーニングまでやってしまっています。ジェイミーのレストラン「15」も、学校を中退し、グレていた若者を集めて育てていますね。イギリスのレストランが近頃、外国から来たシェフやスタッフばかりに占領されているトレンドを懸念してということもあるそうです。

ほれぼれするようにかっこいいアーサーさん、セレブシェフとしてお金儲けだけ考えていてもよさそうなのに、全くその逆みたいです。老子の本を読み、中国哲学が好きというインテリな面と、ものすごーくざっくばらんで「気取ったやつはさあ、大嫌えなんだヨ、オレ」(ほんとにこういう感じの英語を話すんです、ロンドン子なのだ)と言い捨てる素顔の、取り合わせが超面白い人でした。

エイコーン・ハウス
Acorn House Restaurant

69 Swinton street
London WC1X 9NT
電話:0207 812 1842


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