ロンドンの廚(くりや)

ロンドンに住むフードライター Yasukoの「廚(くりや=台所)事情」ブログです。

イギリスの冬野菜:セロリアック

2010-02-26 | 廚ばなし(たべもの&のみもの)
yasukoは、英語圏向け日本料理のライターとして、できるだけオーセンティックな日本の「家庭料理」を欧米に紹介したいと願っています。
でも、全ての食材を日本から取り寄せるなんて、エコ的な観点から言ったらよくありませんよね。
だから、できるだけローカルな食材を使う事に気をつかってます。

オーガニックの青果宅配ボックスを利用しているのも、その考え方からです。
季節季節の旬の野菜を、クリエィティブに使って和食を作る。
海外に住む日本人なら、誰もが多かれ少なかれトライすることです。

でも、そのことは案外に知られていません。

日本人はお金持ちだから、調味料から和野菜まで、なんでも空輸しているに違いない。
クジラやマグロの捕獲ぶりをごらんなさい。
環境への影響なんて、考えないんでしょう。

そんな手紙をもらうこともあります。
以前は反論していましたが、偏見に固まった人はたいがい聞く耳をもたないので、自分の料理本から私の信念を感じてもらえなければ、もういいや、と思うことにしています。

さて、閑話休題。

イギリスの冬、といえば、北国ですから穫れる野菜は根菜ばかり。
今日ご紹介するのは、なんとも妙な格好の野菜、セロリアック Celriac です。

さしわたし約15cm、まるで、木星か土星の衛星の一つのような格好をしています。

上から見た所。


おしりから見た所。


その名の通り、セロリそっくりな匂いのする芋、という表現が正しいでしょうか。
セロリとは親戚です。

こちらでは、にんじんなど他の根菜と肉と一緒にキャセロール(オーブン煮込み)として使われてきました。
これは、皮を剥いて角切りにした所。
強いセロリの香りはあっても、アクはありません。



トレンディないただきかたは、茹でてマッシュにして、癖のあるチーズと混ぜること。
癖のない白身魚のソテーに添えるレストランが多いですが、私にはどうもいい組み合わせには思えません。
単品で充分に個性があるのです。
今日は、 スティルトンという青カビチーズ

を混ぜて、クランベリーなど、夏に凍らせておいた果物で作った甘酸っぱいソースをかけたものを前菜としてみました。



赤ワインとの相性抜群です!

かりかりに焼いたトーストの上に置いたり、パイケースみたいなのに入れてもいいと思いました。

和食風には、きんぴらや豆乳入りみそ汁などに仕立てると、セロリの香りが引き立ちます。