ロンドンの廚(くりや)

ロンドンに住むフードライター Yasukoの「廚(くりや=台所)事情」ブログです。

パンケーキ・デー Pancake Day

2011-03-08 | 廚ばなし(たべもの&のみもの)
今日は、Shrove Tuesday シュローブ・チューズデーです。

欧州では、キリスト教の復活祭(イースター)の前の40日間、肉や乳製品、脂と言ったこってりした食べ物を控え、粛々とした日々をすごす習慣がありました。

その始まりの前日に、台所にある卵やミルクを使い切ってしまおうという「謝肉祭」、これがシュローブ・チューズデーで「パンケーキ・デー」とも呼ばれています。

昔この日は、半日で仕事を切り上げて良く、村々ではパンケーキを小さなフライパンの上で落とさずにひっくり返しながらゴールまで走る、「パンケーキ競争」が行われました。

国によってこのパンケーキの作り方や食べ方は違いますが、イギリスでは、クレープをちょっと厚めにしたような素朴なパンケーキを何枚も焼き、レモンとお砂糖をふりかけて食べます。




ーーー イギリスのパンケーキ・デーを楽しもう ーーー

<基本のパンケーキ生地 イギリス編>
ふるった薄力粉 110グラム
牛乳 200ml
水 75ml
卵(Mサイズ)2個
溶かしバター 25g 

<作り方>
牛乳と卵は冷蔵庫から出して室温に戻し、水と混ぜます。
ボウルに入れたふるった粉に、上の液体ミックスを少しずつ混ぜ、1時間寝かせておきます。

混ぜる時は、フォークか箸でさっくりと、泡立てないように。
だまが少々あっても大丈夫です、フォークの背で荒く潰しておけば、1時間後にはスムーズなクリーム状になっています。

スポンジ状のアメリカンパンケーキとちがい、しっとりぺったりした焼き上がりが理想なので、泡はいらないのです。

さて、パンケーキ用のフライパンがあれば(直径16-18センチ、深さ2センチ)、最高です。


煙が薄く立ち上るまで一度熱してから、火から離してさまし、バター10グラムとサラダオイル10グラム(分量外)を入れます。
ぶつぶつしてきたらキッチンペーパーで余分な油を拭き取ります。
拭き取ったペーパーは、キープしましょう。

いったん火から下ろして3呼吸くらい待ち、生地をお玉にすくい、傾けたフライパンの中心から渦を巻くように流します。フライパン自体も手首を軸にして回転させるような感じで動かします。

要するに、適した温度で生地を流し、なるべく早く薄く円形に広げる、のがコツです。



このサイズのフライパンなら、生地50mlがちょうどいい量ですが、フライパンの温度が高すぎると、生地を流した途端に固まって倍ぐらいの量が必要になります。
温度が低すぎると、なかなか焼けず、こなこなしたパンケーキができてしまいます。

この温度加減だけは、なんどもやってみないとわかりません。

ふちが乾いて来たら、フライパンを揺すり、生地が乾いて動くようになるまで続けます。
中火で2分くらい。
そして、フリップ!(ひっくり返し)
うまく着地できたかな。
あらぬ方向に飛んで行ったり、二つ折りになったり、まったくうら返らなかったり。



うら側は1分で焼けます。

大きな鍋にお湯を沸かし、網を挟んでお皿を載せ、そこに焼き上がったパンケーキを続々と載せて暖かくキープします。

今日は、まずマッシュルームのクリーム煮と魚のフライ、チーズなどをつつんでごはんっぽくいただき、それから、伝統のレモンと砂糖がけをくるくると巻いてデザートに。



娘は自分の好きなチョコレート・クリームを塗ってむしゃむしゃ。

私はレモンカードという濃厚なクリームを。

と、いろいろなバリエーションが楽しめます。

砂糖とレモンの他に、よく見かける中身は、メープルシロップがけ、手作りのジャムを水でのばしたソース、リンゴやあんずの甘煮、炒り卵とスモークドサーモン、ほうれん草のクリーム煮などです。

薄力粉をそば粉に変えると、フランス式のガレット(パンケーキ)になります。

12枚焼いたのがあっというまになくなってしまいました。
こんどは、卵3個にして18枚焼こう....。

簡単迅速おいしいチーズパン

2011-01-11 | 廚ばなし(たべもの&のみもの)
クリスマスにイギリス人の友達夫婦からウィスキーをいただきました。
サントリーの「山崎」。

とてもオリエンタルな箱に入って届きました。


サントリーは、スコットランドのボウモアなど銘酒の蒸留所をたくさん所有していて、その名はイギリスでもよく知られています。でも日本生まれのこのウィスキーが、酒屋はもとから全国のスーパーにまで並ぶようになったのは最近の話。

日本にいたときはあまりウィスキーを飲まなかったyasukoですが、オーヘントッシャン蒸留所を訪れてからというもの、すっかりウィスキーファンになってしまいました。

日本人のための日本人によるウィスキー、と言うのがよくわかるとしみじみ。

(あれっ!クリスマス年末飲みすぎたので、1月の晩酌は週一回って決めたんじゃなかったっけ。)

後悔先に立たず。舌の滑りが良くなった所で、今日のお題の「パン」。

イーストを使わずにできる、チーズと野菜いりのパンです。
デリア・スミスという有名な料理研究家のレシピ。
あまりに簡単でおいしいので、何度も作っているうちすっかりうちの献立になってしまいました。


まぜて、焼くだけなんです、マジに。

<材料>
強力粉、全粒粉がベスト 225g
卵 Lサイズ 2個
牛乳 大さじ1
塩 小さじ1 から1.5
パルメザンチーズ 50g 5ミリ角に切る
セージ(ハーブ) 生のみじん切りがベストだけどドライでも可、大さじ1杯分
根菜か水気の少ない野菜 カボチャ、ジャガイモ、サツマイモ、タマネギ、にんじんなど、175g(皮むき後)ここではパースニップを使っています。

飾りに:パルメザンチーズを薄くそいだもの 25g
セージの葉、3-4枚
オリーブオイルかサラダ油 小さじ1
ダスティングのための小麦粉少々

<作り方>
オーブンを190度に温めておきます。

粉と塩をふるう。大きめのボウルを使いましょう。
ここで、粉に空気をたっぷりふくませると仕上りもふわっとなります。
全粒粉だと、しゃりしゃりした胚芽がざるに残りますが、捨てないで混ぜます。

そのボウルの中に、野菜をチーズおろしか鬼おろしなどで荒くおろします。
粉をまぶしながら。

パルメザンチーズとセージを混ぜます。

卵とミルクを合わせてよく溶きまぜ、少しずつボウルの中に加えていきます。
パレットナイフか大きめのフォークを突き刺すように構えて、ざくざくぐるぐる切るようにするとうまく混ざります。

クッキングシートを引いた天板に、薄く油を塗り(材料の分量外)、ボウルの中身をまとめながら乗っけます。
粉をまぶした手で、ラグビーボールのような形に整えます。丸でもいいです。

包丁で、表面に十字の筋をつけます。

セージの葉の裏に、分量(小さじ1)オリーブ油を塗り、パンの上に飾りとして貼付けます。
いろいろな色のセージを育てていますが、今日のはトリカラーという、表が草色で裏が紫のタイプ。
雪焼けしてちょっとかわいそうな状態ですが、焼いちゃえば大丈夫。
おまけにローズマリーもちょっと挿してみました。
薄く削ったパルメザンをちりばめ、ダスティング(粉を全体にまぶす)します。

オーブンの上段に入れ、40-50分焼きます。

パンの表面にいい焼き色がついて、竹串を差すと何もつかずに出て来る状態が出来上がりです。

このチーズパン、焼きたてならバターもなにもいりません。
スープと一緒にランチ、ワインのお供に...食べ始めると止まらなくなります。


野菜とチーズはいろいろなコンビを楽しめ、無限にバリエーションができます。

ギリシャのフレッシュチーズ「フェタ」、フランスのブリー、カマンベール、クリーミーなドルシラッテ、コムテ、イギリスのチェダー、レスター、スペインのマンチェゴ、スイスのグリエール、オランダのクミンの種入りゴーダ...プロセスチーズだって大丈夫。

古く堅くなってしまったチーズの処分にもぴったりです。
今回はこちこちになっていたパルメザンをごりごりとすってかけました。
おろし金の歯がこぼれるかと思ったけど、高いパルメザン!無駄にしたくないです。

今回はパースニップを使いましたが、野菜は<材料>にある中から何でも。
パースニップは、英国式:風邪対策でも紹介したヨーロッパの野菜で、こんな形。

ハーブも、タイム、オレガノなどお試しください。

翌日に残ったら、軽くトースターで焼いてバターを塗ってみてください、これがまた格別なのです。
冷凍もできます。

和風バージョンも作ろう、とひじきとモツァレラチーズの薫製を入れて、ハーブのかわりに山椒の葉をつかってみたけら、香りが強すぎました。
シソは、高温だと香りが飛んでしまうし。
もっと実験が必要だな。


鮭をおろしてハッピー・クリスマス!

2010-12-25 | 廚ばなし(たべもの&のみもの)
12月25日。クリスマスはイギリス人にとって最も重要な一日です。

我が家のクリスマスは、一昨年から家族だけでパジャマのままのんびり過ごす日。

私以外に肉を食べる人がいないので、伝統的な七面鳥料理などはしません。

クリスマスイブには手巻き寿司。
クリスマスには、鮭とムール貝のワイン蒸しで祝います。

で、毎年、新鮮な鮭を丸ごと買って解体し、刺身用、ステーキ用、鍋用などに取り分け、すぐに食べない分は冷凍します。
鮭は、捨てる所がまるでないと言われる魚で、骨も頭もすべて利用します。

昨日は、せっせと鮭をおろしていました。

ワタシの楽しみは、骨についた身を漉いてかき集め、おひとり様の豪華なプリ・クリスマスごはん「鮭のたたき」を楽しむ事。
執拗なまでに(笑)こそげとった身に、ネギの小口切りといりごま、わさびと醤油をまぜ、2-3分置いて、炊きたての玄米といっしょにいただきます。



あらで作ったお吸い物を添えて。
だし汁にショウガと酒を少し、仕上りに生醤油を垂らし、しらがネギを載せるくらいのものすごくシンプルなおつゆですが、これが、おいしいの~。



これでクリスマスは準備万端、ぷはー。

ハッピー・クリスマス!

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フローズン・ブリテン(凍り付いたイギリス)

2010-12-08 | Weblog
寒い!

もう3週間になります、この寒さ。

先週は雪で北でも南でも交通網が麻痺し、凍結道路や空港閉鎖などがまだまだ続いています。

屋外に10分も立っていると、ほっぺたや鼻が痛くなって来ます。
バスを待っていると、あまりの寒さにイライラしてしまいました!

ほんとうは、ごぼうとブラック・サルシファイと言うイギリス野菜の話を書くつもりでしたが、とりあえず、このBBCのニュース画面をカメラで撮ったものをごらんください。先週の各地の状況です。


北イングランドでは深さ35センチの積雪。


スコットランドでは氷点下26度を下り、観測史上最も低い気温-27.2度に迫りました。
しかも、この低温記録は1月のもの。
11月末から12月初旬にかけてこんなに寒くなる事は大変めずらしいそうです。


リポーターさんも顔がこわばってません?

ミーティングやインタビューが予定どおりに進まず、このままではクリスマス休暇を迎えられない!?

焦っております.....

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ハロウィーン

2010-11-01 | 廚ばなし(たべもの&のみもの)
昨日は、ハロウィーンでした。

ハロウィーンは、もともとアメリカのお祭りだったのですが、ここ数年イギリスでもお祝い...と言うか騒ぐようになりました。
日本でも同じみたいですね!

お菓子、衣装、いろいろなお店が「ハロウィーン・セール」をやっていました。
どんな行事も、商売にはありがたい口実と言うわけで...。

子供たちは、オバケや魔女などに扮して近所をぞろぞろ回って歩きます。

カボチャのランプがかざってある家は「襲ってもいいと言うサイン」です。

ドアを開けた人に向かって、「トリックかトリートか!?」と一斉にちいさなかわいい声が上がります。

うちの娘はもう小学校中学年ですが、いろいろ工夫を凝らしたコスチュームの友達と出かけました。
といっても、この国では12歳くらいまで子供だけで出かけるのはダメ。
親がついていなくてはならないので面倒ですが...。


魔女になった彼女のペット「キャンディ」ちゃんです。



帽子はワタシが、ほうきは娘が作りました。


それを、ドレスの肩に縫い付けて、まるで子猫が肩の上に乗っかっているようにして。

友達の親御さんが付き添い人になってくれ、一同は出発。
待っている間、親同士はカボチャのスープとワインで盛り上がって。

オレンジの酸味がさわやかなスープでした!


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