和菓子の国の人だから

関西中心に美味しい和菓子を紹介。
貴方の旅に和菓子でちょっとアクセント…

014(京都)八幡 走井餅

2012-06-26 20:10:59 | 京都の和菓子
今回は、京都府八幡市の石清水八幡宮前に
ある「やわた走井餅老舗」の「走井餅」。

こちらは、江戸中期の明和元年(1764年)
に近江(現滋賀県)の大津宿で創業、名湧水
「走井」を用いた名物として歌川(安藤)広重
の東海道五十三次「大津宿」にも描かれたほど。
その後、明治43年(1910年)に分家して、
名水で名高いここ男山(石清水)の麓へ引き
継がれる一方、本家は間もなく廃業したとか。

<東海道五十三次の大津宿>

左下方で噴出している井戸が、走井。
店はもうありませんが、この井戸は今も残り、
水が湧き出ているそうです。

ところで、現在の大津市には走井市郎右衛門
の末裔として商標と製法を受け継いだという
「走り井餅本家」があり、「走り井餅」を
取り扱っているようです。
この両者の関係は良く分かりませんが…
美味しければ別にそれでいいです。

<やわた走井餅老舗の店構え>

なかなかいい雰囲気を醸しています。
石清水八幡宮の一ノ鳥居前にふさわしい。

<店内>

弥次さん、喜多さんが座っていそうな腰掛け
やのれんなど歴史を感じさせる店内。
また、店内からちょっとした庭も望め、ここ
まではほぼ満点。

<走井餅>

とりあえず、煎茶のセット(\350)を注文。
他にも抹茶やコーヒーのセット、走井餅1つ
に水無月かわらび餅が付いたものもあります。

独特の形は刀身を模しており、平安時代の
名刀鍛冶、三條小鍛冶宗近が走井で名刀を
鍛えた故事に因み、剣難を逃れ、開運出世
の縁起を担いだと伝えられています。

柔らかな羽二重餅が甘過ぎないこしあんを
包んだ、優しく素朴な餅。
誰が食べてもまず間違いないと思います。

とはいえ、絶品とか、メチャ旨というには、
なにかが足りない気がするのも事実。
ひょっとしたら、逆に風情ある店構えなどの
影響で、期待感が高まり過ぎたのかも…。

それでも、石清水八幡宮に訪れた際は是非
一度は食べておきたいところです。
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013(大阪)堺 天領もなか

2012-06-16 18:48:47 | 大阪の和菓子
今回は堺銘菓シリーズ第6弾。

見て楽しく、食べて美味しい南曜堂さんの
天領もなか。
南曜堂さんは大正時代創業の老舗のもなか
専門店。
あれこれ手を出さず、もなか一本勝負の
専門店とは、さすがは和菓子の激戦区。

<南曜堂の店構え> ~堺市堺区南旅篭町

堺の旧市街地に佇むこじんまりとしたお店。
それにしても、控えめな外観で、うっかり
していると前を通り過ぎそう。

<天領もなか>

江戸時代の堺が堺奉行(のち大坂町奉行)
の支配下にある天領(幕府直轄領)だった
ことにちなんだもの。
(1個 \115)
城の天守をイメージしたもので、ほどよく
パリパリした皮に上品な粒あんが包まれて
いて、なんとも形が可愛らしい。
最近は皮と餡を別々にし、皮のパリパリ感
が売りの手作りタイプが増えていますが、
私は皮と餡の一体感がある従来タイプの
もなかが好きです。


<ちんちん電車もなか>

堺市街を走るちんちん電車を模したもなか。
(1個 \135)
中につぶあんと餅が包まれています。
餅入りなので食べごたえあり。


<小槌もなか、乳守もなか>

小槌もなかの中身はつぶ餡と餅です。
基本的にちんちん電車もなかと同じですが
こちらの方がちょっとだけ大きめ。
(1個 \145)

乳守もなかは粒あん、こしあん、ゆずあん
の3種類。
(1個 \115)
ゆずあんはゆずの風味はあまり強くなく、
ゆずあんとしては割と甘め。

う~ん、さすがはもなか専門店だけあって、
色々あります。
いずれもおいしく、なにより形が楽しい。
小さい子供も喜びそう。


~堺プチ案内~
今回は南曜堂さんのもなかにちなんで以下の
2つをご紹介。

まずは、天領もなかにちなんで
<土居川>

堺は中世の自治都市、そして江戸時代は天領
(幕府直轄領)という特別な町でした。
大坂夏の陣(1615年)での焼失後、幕府により
町は復興され、周囲に濠も掘り直されました。
この土居川は町の南側の濠にあたり、土の堤防
(土居)を築いたのが名前の由来だそうです。

次に、ちんちん電車もなかにちなんで
<阪堺電気軌道阪堺線>

堺の市街地を南北に貫く大道筋(紀州街道)
に沿って走っています。
しばらく見ていると色々な形式、色の電車が
走ってきて見飽きません。
ちんちん電車ってなぜか懐かしさを感じます。
たまにはのんびり乗って和菓子巡りも楽しそう。

堺銘菓シリーズは、まだまだ続きます。
さて、次はどこを紹介しようかな~。
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012(大阪)堺 斗々屋茶碗

2012-06-09 17:47:23 | 大阪の和菓子
今回は堺銘菓シリーズ、第5弾。
改めて、これまでにご紹介した4つを振り
返ると…
 (1)くるみ餅(かん袋)
 (2)芥子餅(本家小嶋)
 (3)肉桂餅(八百源来弘堂)
 (4)大寺餅(河合堂)
たまたまですが、ぜ~んぶ「餅」。
「堺には餅しかないのか?」と思われては
困るので、今回は「饅頭」です。
しか~し、どこにでもあるただの饅頭では
ありません。
見た目に印象的な巨大饅頭、「丸市菓子舗」
の「斗々屋茶碗」です。

明治28年(1895年)創業と100年を
超える歴史あるお店。
ただ、これまでに紹介した堺の老舗和菓子
店が創業数百年クラスの超老舗と比べれば
なんとなく新しく感じます。
また、住吉大社、方違神社の御用達とか。

<丸市菓子舗の店構え> ~堺市堺区市之町

木造ではなさそうですが、立派な老舗感
漂う店構え。
商品は「利休古印」という干菓子や包丁を
象った「包丁ぼうろ」などもありましたが、
ここは迷わず巨大饅頭「斗々屋茶碗」を注文。
もちろん、ミニではなく通常サイズです。

<斗々屋茶碗>

木目調の立派な紙箱のふたを開けると、
ドドーンと茶碗型の巨大饅頭が登場。
それにしても、なんというインパクト!
そしてこの馬鹿デカさ!
直径16cm、高さ5~6cm程あります。
(1個 ¥1,680)

これは千利休が珍重した名碗「斗々屋」を
実物大に再現した饅頭だそうです。
形だけでなく、饅頭自体も凝った造りで、
粒あんと柚子あんが二層になっています。
なかなか似たような商品はないでしょうね。

肝心の味ですが、周りの皮はしっかりして、
割と歯ごたえがあります。
粒あんと柚子あんの組み合わせがなかなか
いけます。
私の好きなブラック珈琲とも相性良しです。

前から食べてみたかったけど、そのサイズ
のせいで、少し遠慮していました。
包丁で切り分け1/4ほど食べると、さすが
にお腹が膨れてしまいました。
食後だったので1/8で充分だったかも…。

~堺プチ案内~
今回は丸市菓子舗さんからすぐ北、旧堺市街
を東西に走り、南海本線堺駅と南海高野線
堺東駅を結ぶ道、「大小路」をご紹介。

<大小路>

一見なんてことない道ですが、これこそ堺の
地名の由来「境」を表す道。

現在、大阪と堺の市境は大和川ですが、
江戸時代までは大小路が摂津と和泉の国境。
要は堺の町の北半分が摂津、南半分が和泉
という、まさに「境」です。
ちなみに明治14年までは堺県が存在し、
和泉と河内の一部に加え、大和(現在の奈良)
全域までもその範囲に含まれていたそうです。

さて、まだ堺には美味しい和菓子がいっぱい。
次はどれにしようかな。
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