民事裁判の記録(国賠)・自衛隊車とバイクの交通事故の民事裁判

1・訟務検事の証拠資料のねつ造など不法な弁論。
2・玖珠署の違法な交通犯罪の捜査,虚偽の実況見分調書の作成

28:判決 p13~25

2006-11-11 01:07:30 |  第3訴訟 第1審 被告国(訟務検事)
第3 争点に対する判断
 1 前記争いのない事実等に証拠(甲5,17,22,25ないし27,29,
  30,32,60ないし62,67)及び弁論の全趣旨を総合すると,本件事
  故及びその後の捜査,訴訟の経緯について,以下の事実が認められる。
  (1) 本件事故発生の状況
   ア 本件道路は,山間部を南北に走る曲がりくねった県道で,事故発生現場
    付近は,原告車の進行方向から見ると,湯布院町方面から小国町方面に向
    け,勾配が約100分の5の下り坂で,半径約25メートルの左カーブ(い
    わゆる「ヘアピンカーブ」)になっている。道路の東側は,比較的背の高
    い雑草の生えた草地を隔てて杉林になっており,西側は土手及び擁壁にな
    っている。カーブが急であることと,原告車の進行方向左側道路外に背の
    高い雑草が存在することが原因で,いずれの進行方向からも,相互の見通
    しはあまり良くない。
     道路はアスファルト舗装されて平たんであり,歩車道の区別はなく,中
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    央に黄色ペイントの実線で中央線が引かれている。同道路の幅員は上下線
    併せて約9.1メートルで,両側に白色ペイントで外側線が引かれている。
    外側線の内側の幅員は,原告車の進行車線が約3.9メートル,反対車線
    である自衛隊車の進行車線が約3.7メートルであった。本件事故当時,
    路面は乾燥しており,凹凸や障害物もなかった。
     本件道路は,大分県公安委員会によって,最高速度40キロメートル毎
    時(常時),追い越しのための右側部分けみ出し通行禁止(常時)の指定
    がそれぞれされていた。
   イ 原告車は普通自動二輪車であり,車長2.1メートル,車幅0.7メー
    トル,車高0.95メートルである。
     本件事故当時,原告車のハンドル,ブレーキの機能に異常はなかった。
     本件事故による原告車の損傷状況は,ハンドル右先端破損,右レバー先
    端擦過,右前ウィンカー破損,ステップ右側後方の凹損,マフラー擦過,
    右前輪ホーク擦過及び同部分への黒色付着,前照灯枠破損等であり,小破
    であった。
   ウ 本件大型トラックは大型貨物自動車であり,車長7.23メートル,車
    幅2.485メートル,車高3.080メートルであった。本件炊事車は,
    フルトレーラであり,車長4.195メートル,車幅2.090メートル,
    車高1.840メートルであった。
     本件事故当時,本件大型トラックのハンドル,ブレーキの機能に異常は
    なかった。
     本件事故によって本件大型トラックに損傷は生じなかった。本件炊事車
    には,右側タイヤ枠擦過,右側タイヤ擦過の損傷が生じたが,その程度は
    軽微であった。
   エ 本件道路面には,中央線から自衛隊車進行車縁側に約40センチメート
    ル入ったところに原告車のタイヤ痕1条が印象され,更にそれに連なるよ
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    うに,中央線から原告車進行車線上に入ったところに原告車の転倒によっ
    て生じた擦過痕2条がそれぞれ印象されていた。
   オ 小野寺は,時速約40キロメートルの速度で本件道路の自衛隊車進行車
    線を南から北へ進行して,本件事故現場手前の右カーブに入ったところ,
    約30メートル前方の,カーブの内側道路外の雑草越しに,原告車が原告
    車進行車線を進行してくるのを認めたが,特に危険を感じなかったので,
    そのまま進行した。ところが,原告車と本件大型トラックが15,6メー
    トルにまで接近したところで,原告車がコントロールを失って左右に大き
    く振れ,小野寺の視点からは,原告車が自衛隊車の方に突っ込んで来るよ
    うに見えた。小野寺はとっさにブレーキを踏もうとしたが,ブレーキを踏
    むより早く,原告車が本件大型トラックの運転席の横を通り過ぎて,本件
    炊事車に衝突ないし接触した。
  (2)本件事故の実況見分の状況及び同調書の作成の経緯
   ア 平成11年10月7日午後0時34分から午後1時20分までの開,玖
    珠警察署の間ノ瀬久太巡査部長を見分官とし,堀部金丸警部補及び早水満
    堯司法巡査を補助者(なお,見分官と補助者いずれも所属,階級は本件事
    故当時のものである。),小野寺を立会人とした本件事故の実況見分が行わ
    れた。原告は,本件事故直後に小国公立病院に搬送されていたため,実況
    見分が実施された際は事故現場にいなかった(そのため,同実況見分終了
    後に,小野寺が原告車に積まれていた原告の荷物を,同病院まで届けた。)。
   イ その後,後記(4)のとおり,原告が国に対して別件訴訟を提起したことか
    ら,堀部警部補は,平成13年9月27日付けで,上記実況見分に基づい
    た本件実況見分調書を作成した。なお,同調書には,実況見分の際に堀部
    警部補らが撮影した本件事故現場写真(以下「警察現場写真」という。)
    16枚が添付された。
  (3)自衛隊員による本件事故現場写真の撮影
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   ア 上記実況見分が実施された際,これに並行して,陸上自衛隊第8師団第
    42普通料連隊第4中隊陸曹長赤埴源蔵(所属,階級は本件事故当時のも
    のである。以下「赤埴」という。)が,本件事故現場の写真を撮影した。
   イ その後,後記(4)のとおり,原告が別件訴訟を提起したことから,浅香ら
    は上記事故現場写真14枚を平成13年10月11日作成の書証(標題は
   「事故現場写真」である。以下「自衛隊現場写真」という。)として,別
    件訴訟の裁判所に提出した。
  (4) 原告は,平成13年7月23日,横浜地方裁判所に対し,本件大型トラッ
    クの運行供用者である国を被告として,別件訴訟を提起した。
  (5) 自衛隊による本件事故再現の実施
   ア 自衛隊は,別件訴訟が提起されたことから,本件事故の状況等を調査・
    確認するために,平成13年9月18日に事故状況再現見分を行った。
   イ 上記再現見分の模様を撮影した写真8枚(以下「再現見分写真」という。)
    は,浅香らによって別件訴訟の裁判所に書証として提出された。
  (6) 別件訴訟における原告の証拠収集活動
   ア 原告は,別件訴訟で,裁判所に対し,以下のとおり,文書送付嘱託の申
    立て又は文書提出命令の申立てをした。
   (ア)平成13年9月3日付けの申立て
     ① 玖珠警察署が作成し,大分地方検察庁日田支部が所持している本件
      事故の実況見分調書の送付嘱託
       この申立ては採用され,同支部は平成14年2月15日,本件実況
      見分調書を別件訴訟の裁判所に送付した。
     ② 陸上自衛隊北熊本駐屯他業務隊の作成及び所持にかかる,本件事故
      に関する調査資料の提出命令(なお,文書の表示は「実況見分調書」
      「事故現場見取図」「事故現場及び損害状況写真」「供述書」「自動車
      検査証」である。)。
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   (イ)同年11月5日付けの申立て
      大分県玖珠警察署の所持する,本件事故直後に作成された実況見分調
     書等の文書送付嘱託
   (ウ)平成14年4月24日付けの申立て
      陸上自衛隊第8師団第42普通科連隊が所持する,自衛隊車の平成1
     1年10月7日から同年10月15日を含む期間が記載されている車両
     使用請求書・車両運行指令書の送付嘱託
   イ 原告は,平成14年5月27日,被告に対し,以下の点について当事者
    照会を行った。
   (ア)別件訴訟で実施された小野寺の証人尋問で言及された「近松3佐」の,
     氏名及び階級,職種及び職務,所属部隊,特別司法警察職員か否か,本
     件事故当日の動静
   (イ)自衛隊現場写真に写っている自衛官及び警察官の氏名,職務及び所属
   (ウ)再現見分写真に写っている4名の警察官の氏名,階級及び所属
   (エ)警察現場写真に写っている自衛官2名及び警察官1名の氏名,階級及
     び所属
   (オ)前記ア(ウ)の申立てにかかる文書
     被告は,平成14年6月7日付けの回答書で,上記いずれの照会事項に
    対しても回答しない旨,原告に回答した。
  (7) 別件訴訟の判決と不服申立て
    別件訴訟の裁判所は,平成14年8月30日,原告の請求を棄却する判決
   をした。これに対し,原告は控訴を提起したが,東京高等裁判所は,平成1
   5年2月4日,控訴を棄却する判決をした。
    その後,原告は,最高裁判所に上告するとともに,上告受理の申立てをし
   た。東京高等裁判所は平成15年4月11日,上告受理申立てを却下する決
   定をした。これに対し,原告は許可抗告の申立てをしたが,同裁判所は平成
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   15年5月6日,不許可の決定をした。原告は,この不許可の決定に対し,
   特別抗告の申立てをした。最高裁判所は,平成T15年9月12日,上記上告
   を棄却する決定及び上記特別抗告を棄却する決定をした。
  (8) 原告による行政訴訟の提起
    原告は,平成16年6月14日,横浜地方裁判所に対し,神奈川県公安委
   員会を被告として,同委員会が原告に対し同年4月20日付けでした運転免
   許更新処分のうち,原告を一般運転者として認定した部分の取消しを求め,
   行政処分取消請求訴訟(平成16年(行ウ)第37号)を提起した。同裁判所は,
   平成17年4月20日,原告の請求を棄却する判決をした。
 2 争点(1) 別件訴訟で浅香らが証拠資料を隠ぺい・破棄したか。)について
   原告は,別件訴訟で浅香らが,以下の(1)ない(4)の証拠資料について,これ
  を隠ぺい・破棄したと主張するので検討する。
  (1) 玖珠警察署の実況見分調書について
   前記1(2)で認定したとおり,本件事故に対する玖珠警察署員による実況見
   分は,本件事故当日に行われたこと,別件訴訟の裁判所に提出された本件実
   況見分調書は,作成日付こそ本件事故から約2年後ではあるが,内容として
   は,本件事故当日に実施された実況見分に基づく調書であることが明らかで
   ある。そして,警察が本件事故直後に,本件実況見分調書とは別個の新たな
   実況見分調書を作成したと認めるに足りる証拠もない。
    よって,浅香らが,警察が本件事故直後に作成した実況見分調書を提出し
   なかった違法をいう原告の主張は採用できない。また,本件事故現場の見取
   図が,別件訴訟で浅香らが陳述した平成13年11月5日付け準備書面に添
   付されていることも同準備書面(甲21)から認めることができるから,浅
   香らが別件訴訟で同見取図を提出しなかった違法をいう原告の主張も,採用
   できない。
  (2) 車両使用請求書・車両運行指令書について
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    前記1(6)ア(ウ)の認定事実及び証拠(甲62)によれば,確かに別件訴訟の
   裁判所が,当該文書の送付嘱託の申立てについて,明示的には採否の決定を
   していないことがうかがえるところである。しかし,別件訴訟の判決文(甲
   8)等から推認できる訴訟経過に照らせば,別件訴訟の裁判所は,当該申立
   てに対しては黙示にこれを却下したものと認められるのであるから,採否の
   判断をしなかった点における国の違法をいう原告の主張は採用できない。
  (3) 当事者照会について
    別件訴訟の判決文(甲8)によれば,別件訴訟の争点は,本件事故の原因
   が原告及び小野寺のいずれの過失によるものであったかの点であると認めら
   れる。ところが,原告が当事者照会を求めた事項は,前記1(6)イのとおり,
   必ずしも上記争点と関連するとはいえない微細な点に及ぶものである。
    したがって,浅香らがこれらの照会に応じる必要がないと判断したことは,
   別件訴訟の争点との関係で格別不合理とはいえないから,当事者照会に浅香
   らが回答しない違法をいう原告の主張は採用できない。
  (4) 運行記録計について
    前記1(2)の事実に別件訴訟における小野寺証言(甲22)及び本件実況見
   分調書(甲42)を総合すれば,本件事故の実況見分が,小野寺立会の下で,
   現場の模様や,原告車と本件大型トラックの距離,位置関係を記録,計測し
   たものであり,それ自体適切に行われたものであることが認められ,上記実
   況見分の実施について違法性をうかがわせる資料は存在しない。
   そうすると,このような本件実況見分の結果をまとめた本件実況見分調書
   も,適法に作成されたものというべきである。確かに本件実況見分調書に運
   行記録計の記録紙が添付されていないことが認められる(甲42)が,上記
   の事実が直ちに同調書の作成の適法性を否定する根拠にはならないものであ
   る。
    したがって,本件実況見分調書に運行記録計の記録紙が添付されていない
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   ことをもって同調書の適法性を否定する原告の主張は採用できない。
   以上(1)ないし(4)のとおり,別件訴訟で浅香らが証拠資料を隠ぺい・破棄した
  との原告の主張は理由がない。
 3 争点(2)(浅香らが,自衛隊の実況見分調書等を隠ぺいしたか。)について
   浅香らは,自衛隊が本件事故直後に作成した実況見分調書等を隠ぺいしたと
   主張するので検討する。
  (1) 前記1(1)の認定事実によれば,本件事故は原告の過失に基づく結果であり,
   小野寺には何ら過失のないことが認められる。
    ところで,「自衛隊と警察との犯罪捜査に関する協定」(乙1の1)を受け
   て作成された「自衛隊と警察との犯罪捜査に関する協定の運用に開する了解
   事項」(乙1の2)によれば,道路交通法に定める車両の交通に関する犯罪の
   捜査は,人の死傷又は物の損壊を伴うものにあっては,自衛隊の隊員が犯し
   たものであり,かつ,被害者が自衛隊の隊員である場合又は被害物件が自衛
   隊の所有し,若しくは使用する物件である場合においては,警務官が分担し,
   その外の場合においては,すべて警察官が分担することとされている。
    これに基づいて検討すると,本件事故は,非自衛隊員の原告のみが負傷者
   となっているから,上記了解事項に照らして,本件事故の捜査は警察官が行
   うものと認められ,その他一件記録を精査しても,本件事故直後に自衛隊が
   自ら実況見分を行ったことを示唆するに足りる証拠は,これを見いだすこと
   ができない。
    したがって,自衛隊自らが本件事故の実況見分を行った事実はなく,自衛
   隊作成の実況見分調書の存在を前提に浅香らの違法をいう原告の主張は採用
   することができない。
  (2) なお,原告は,「陸上自衛隊損害賠償実施規則」(甲28)中に,大要「自
   衛隊員が,職務執行中に他人に損害を与えた場合には,速やかに所属の部隊
   等の長に報告するものとすること,報告を受けた部隊等の長は,直ちに当該
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   駐屯他業務隊等の長に賠償事故発生の概要及び処置した事項等について通知
   するものとすること,当該駐屯他業務隊等の長は,所要の発生報告書及び事
   故現場見取図を作成し,方面総監に報告する。この場合において,陸上自衛
   隊に賠償責任がないと思料される事故であっても現実に損害が発生し,かつ,
   将来賠償請求の可能性のある事故等について報告漏れのないよう特に留意す
   るものとする。」旨の規定があることを根拠に,自衛隊作成の本件事故の「発
   生報告書」「実況見分調書」が存在することを主張する。
    しかし,前記1(3)アの認定事実に照らせば,本件事故直後に現場写真を撮
   影した赤埴らは,本件事故現場の自衛隊車進行車線内に原告車のタイヤ痕が
   残っていたことを認識していたものと認められる。そうすると,本件事故に
   つき,小野寺には過失がなく,自衛隊が事故発生報告書等を作成するまでの
   必要がないとした陸上自衛隊北熊本駐屯他業務隊長の判断は,上記事故現場
   の状況に照らして不合理なものではないといえるから,原告の主張は採用で
   きない。
 4 争点(3)(本件事故当日の現場写真がねつ造・改ざんされたものか。)につい
  て
   原告は,本件事故当日の現場写真がねつ造・改ざんされたものであると主張
  するので検討する。
  (1) 原告は,種々の事情を挙げて,警察現場写真及び自衛隊現場写真が,本件
   事故当日に撮影されたものでなくねつ造・改ざんされたものであると主張
   し,それに沿う証拠を提出する。
    しかし,原告が挙げる種々の事情の大半は,写真画面上の単なるコントラ
   ストの問題や,自衛官の位置等について,原告個人の主観に基づいてこれを
   不自然であると論難しているにすぎないものであって,ねつ造・改ざんがあ
   ったことを疑わせるような客観的な根拠となるものではないと言わざるを得
   ない。なお,個別に検討を加えるべきものは,後記(2)のとおりである。
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    これに対し,前記1(2)(3)の認定事実によれば,本件実況見分が本件事故直
   後に行われたこと及び警察現場写真及び自衛隊現場写真が,同実況見分の際
   に撮影されたものであることが明らかである。さらに,別件訴訟における小
   野寺の証言(甲22)や,玖珠警察署署員と原告の会話内容(甲5)を子細
   に検討しても,本件実況見分が事故当日行われたことを疑わせる点はないし,
   本件炊事車の擦過痕や本件事故現場道路の擦過痕が後日ねつ造されたような
   事情をうかがうこともできない。
 (2)  原告の主張のうち,以下のアないしエについて個別に検討を加える。
  ア KP34.9の警戒標識(甲67①)
    原告は,上記警戒標識が本件事故当日に事故現場には存在しなかったと
   主張するが,原告が平成11年10月29日(本件事故の約3週間後)に
   撮影した現場写真(甲66,以下「原告現場写真」という。)には,上記
   警戒標識が写っていることが認められる。このことからすれば,当該警戒
   標識は本件事故当日から既に存在していたものというべきである。
  イ 原告車に積まれた原告の荷物(甲67①⑧)
    原告は,本件事故当時,原告車に荷物は積まれていなかったと主張する
   が,前記1(2)アの認定事実に反するもので採用できない。
  ウ 原告車車線上のひし形マーク(甲67②)
    原告は,自衛隊現場写真に写っている9個のひし形マークのうち,3個
   は本件事故当日に存在していなかった旨主張するが,当該写真と,原告現
   場写真(甲66①ないし③)とを比較検討すると,本件事故当日,事故現
   場に9個のひし形マークが存在していたものと認められる。
  エ KP34.9の里程標(甲32⑨,67①⑧)
    当該里程標については,原告が平成11年10月29日に本件事故現場
   を撮影した写真(甲66)には,これが写っていないことが認められる。
   しかし,右事実から直ちに同日以前の,本件事故当日に同里程標が存在し
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   なかったとまではいうことができない。また,警察現場写真及び自衛隊現
   場写真を全体として検討しても,同里程標の部分が後に挿入された画像で
   あると認められるような特別な事情は,これを認めることができない。
 (3) したがって,警察現場写真及び自衛隊現場写真のいずれについても,ねつ
   造・改ざんがあったとは認められないから,この点をもって浅香らの違法を
   いう原告の主張は理由がない。
 5 以上のとおりであるから,別件訴訟における浅香らの違法行為をいう原告の
  主張はいずれも理由がなく,原告の請求は,その余の点について判断するまで
  もなく,理由がない。
 6 原告の文書提出命令の申立てについて
   原告は,①陸上自衛隊第8師団司令部付隊及び陸上自衛隊西部方面総監部を
  相手方として,i本件事故の発生報告書及び事故現場見取図,ii実況見分調書,
  事故現場及び損害状況写真,iv小野寺と助手の片岡高房の供述書,車両運
  行指令書について文書提出命令の申立て(平成17年(モ)第2411号)及び②
  国を相手方として,i自衛隊現場写真の原本及びネガフィルムのべた焼き,ii
  本件再現見分写真の原本及びネガフィルムのべた焼きについて文書提出命令の
  申立て(平成18年(モ)第386号)を,それぞれしている。
   しかし,いずれの申立てについても,申立てにかかる文書の存在を認めるに
  足りない。よって,原告の上記文書提出命令の各申立ては,いずれも理由がな
  いものとしてこれを却下する。
 7 以上のとおり,原告の請求は理由がないからこれを棄却することとし,訴訟
  費用の負担につき民訴法61条を適用して,主文のとおり判決する。
     横浜地方裁判所第9民事部
         裁判長裁判官  土屋 文昭
                24
         裁判官     一木 文智
         裁判官     吉岡 あゆみ
              25
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これは正本である。
   平成18年11月10日
   横浜地方裁判所第9民事部
      裁判所書記官     大園 守雄
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