平成17年(ワ)第3710号 国家賠償請求事件 原告 出羽やるか 被告 国 準 備 書 面 (6) 平成18年5月31日 横浜地方裁判所第9民事部合議係 御中 原告 出羽やるか 原告は,次のとおり弁論を準備し,原告の主張の趣旨を明らかにする。 略称等は,本準備書面で新たに用いるもののほかは,従前の例による。 目 次 第1 訴状及び準備書面の変更・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1 第2 KP34.9の里程標・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1 第3 本件事故の態様(初認位置)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4 第4 本件事故による道路の痕跡(タイヤ痕と擦過痕)・・・・・・・・・・6 第5 本件事故による自衛隊車の制動痕・・・・・・・・・・・・・・・・・10 第6 おわりに・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・11 第1 訴状及び準備書面の変更 1 訴状21頁第4の2の「慰謝料等」の「等」の文字を削除する。 2 準備書面(1)5頁第1の2の「慰謝料等」の「等」の文字を削除し,「別件行 政訴訟遂行などにより生じた財産的損害を加えれば」を,「別件行政訴訟遂行な どにより原告が蒙った精神的苦痛を加えれば」に改める。 3 訴状18頁第3点1及び21頁第5点での引用を改め,本準備書面もって, 以下の通り具体的に主張する。 第2 KP34.9の里程標 1 原告の主張(1) ・事故当日,事故現場見取図(甲23)のKP34.9の位 置に里程標は存在しない。 1/11 原告が平成11年10月29日に撮影した写真(甲66)には,里程標は写 っていない。写真(甲66)は原告が玖珠警察署からの帰途,道路の南側の草 地の東端に駐車し,その位置から西へ歩き,カーブの頂点付近で引き返し,本 件事故現場を撮影した,同一の機会に撮影した一連の写真である。写真は普通 の写真店でネガフィルムからプリントしてあるから「加工」はされてない。里 程標は自分では動かない。里程標が写ってない理由は写真にはないものは写ら ないからである。被告は写真(甲66)の成立を争っていない。 2 原告の主張(2) ・警察及び自衛隊が撮影したKP34.9の里程標の写真と 原告が平成13年10月30日に撮影した写真に写っている同里程標とは,地 上高及び設置されている位置が異なる。(甲34) 別件行政訴訟で,担当裁判官の適切な釈明により,神奈川県公安委員会は, 平成17年1月18日付けで,乙4号証として実況見分調書に添付された写真 ⑪の拡大写真(甲33)を提出した。 甲34①は,甲33の拡大写真である。(甲34②は,原告が平成13年10 月30日に撮影した写真を拡大し,甲34①の画面と同じになるようトリミン グした写真である。基点となるものとして,(1)ガードレール上の2個の視線誘 導標,(2)その延長上にある擁壁上の(警ら車の後窓を通して見える)警戒標識, (3)間ノ瀬巡査部長の後ろにある警戒標識がある。 ガードレールの袖の視線誘導標を基点として甲34①と②を重ね合わせ(透 かして)見ると,(2)の警戒標識の高さは一致するが,甲34②の里程標の標示 板は自衛官の肩付近の高さに位置する(甲第80号証)。甲34①の標示板は自 衛官の臀部に写っている(甲35①・②)から,甲34①の標示板の地上高は 明らかに甲34②の標示板より低い。 本件道路は,日本道路公団の「別府阿蘇道路」として,昭和39年10月, 水分峠~一の宮間の有料道路として完成した。平成6年6月に大分・熊本県道 別府一の宮線となり無料化された。その名残として里程標が設置されている。 2/11 大分県「道の相談室」によると,里程標の立替えが平成12年6月頃から平成 13年度に行なわれた(甲第81号証)。立替えられた後の里程標の形状・寸法 は甲81に記載の図面及び写真のとおりである。地上高は1500mm程度で, 標示板の寸法は,縦140mm,横350mmである。 路側用ガードレールの高さは800mm前後であるから,ガードレールと比 較しても,実況見分調書に添付された写真⑪(甲32⑪・33・35①・35 ②)の里程標の地上高は,1500mmより明らかに低い。 3 原告の主張(3) ・事故当時,本件道路の里程標は,キロメートル標(ポスト) と100メートル標では形状寸法が異なっていた。KP34.9の里程標は1 00メートル標で,事故現場見取図(甲23)のKP34.9の位置の地点よ り45メートル前後別府よりにあった。警察,自衛隊の写真には,キロメート ル標と同じ形状寸法の100メートル標が写っている。 間ノ瀬巡査部長は,「現場を見てください,さっき紙をあげたでしょう,形で いったらですね,この紙よりも若干小さいぐらいの標板が道路の左側について いるのです,水分峠から,キロメートルの地点ですよと書いてある標板なんで すよ,それのヘヤピンカーブの丁度その衝突地点のすぐそば,倒れられたすぐ 傍に34.9と書かれたあれがある」と述べている(甲5の15頁)。「さっき あげた紙」は,交通事故担当者告知表(手書き書き込み部分 作成者 原告) である(甲第82号証)。同告知表の寸法は,縦64mm,横89mmである。 「34.9とかかれた標板の大きさ」は「縦64mm,横89mmより少し小 さめである」との間ノ瀬巡査部長の認識,説明を疑うべき事情は存在しない。 立替えられた里程標の標示板の寸法は,縦140mm,横350mmである から,本件事故当時存在した100メートル標の寸法と明らかに異なる。 4 自衛隊が玖珠警察署の実況見分に関与していることは,実況見分調書に添付 された写真⑪に間ノ瀬巡査部長と同行している2名の自衛官が写されているこ とからも明らかである。 3/11 5 浅香らは,本件事故当時には事故現場見取図(甲23)のKP34.9の位 置に里程標が存在しないことを知っていた(知りうる立場にあった)。 第3 本件事故の態様(初認位置) 1 小野寺は,実況見分調書(甲42の19頁)では,「小野寺が最初に原告車を 認めた地点は㋐,その時原告車は①,危険を感じ・ブレーキをかけた地点は㋑, その時の原告車は②,衝突した地点はⓍ,その時小野寺は㋒,原告車はⓍが右 前部,小野寺が停止した地点は㋓,原告が転倒した地点は③,原告のバイクが 転倒した地点は④」と各地点を指示説明した。各地点関係位置は交通事故現場 見取図第3図(甲42の23頁・甲38)記載のとおりである。 2 小野寺は,別件訴訟の証言調書速記録(甲22)では,「カーブに入る手前は, 右側が杉林になって見通しは悪いが,①の地点で見通しがよくなる(甲22の 6頁)。小野寺が①の地点で,イ地点の原告車(バイク)を発見した。①の時点 では異常は認められなかったので,バイクに注意しながら進行した。小野寺が ②の地点,バイクがロの地点で危険を感じた。②の時点でバイクとの距離は1 0から15m以内であった。危険を感じてから一瞬のことで,ブレーキをかけ る間もなく,ハンドルを切る時間もなく,バイクは横を通り過ぎ,小野寺が④ の地点で,トレーラがⓍの地点で衝突した。(甲22の7,8頁)」と証言した。 各地点は事故現場見取図(甲23)記載のとおりである。 3 実況見分調書添付の交通事故現場見取図(甲38)と自衛隊の事故現場見取 図(甲23)を,自衛隊車の最終停止位置(甲38の㋓と甲23の⑤)を重ね, 擁壁になっている西側の道路の外側線を重ね合わせると,衝突位置付近の道路 及び原告車の転倒位置は大体一致する(甲40・本図では,甲6を甲23,甲 7を甲38と読み替える。) この原告作成の事故現場見取図(甲40)で検証(事実を確認・証明する) すると,小野寺が原告車を初認した位置方向距離などについての,警察官への 指示説明(甲42,甲38)の場合はバイクを「右方向の視界を遮る草木の左 4/11 側に」に初認しているが,別件訴訟の小野寺の証言(甲22,甲23)の場合 はバイクを「草地越しに」に初認していていることになり,全く異なる。 4 事故現場見取図(甲23)で,小野寺が,①地点で草地越しに(イ)地点の 原告車を認めてから衝突するまで,自衛隊車は23.3メートル走行している。 自衛隊車が毎時40キロメートの速度で走行していたと仮定すると,初認後2. 097秒で衝突が発生している,原告車が小野寺に初認された地点(イ)から, 衝突地点Ⓧ)までの走行距離は45メートルである。原告車が毎時40キロメ ートルの速度で走行していたと仮定すると,2.097秒で23.3メートル 走行する。自衛隊・警察の主張する衝突時刻には原告車は衝突地点から21. 5メートルの地点にいる (45-23.3=21.5)。浅香らが主張する事 故の態様では本件事故は発生しない。 5 自衛隊車の助手席に乗っていた片岡は,別件訴訟における陳述書(甲26) で,「右前方約30~40mぐらいの位置に同カーブに近づいてくるバイクを 確認しました。対向車線は,道路に端に沿って約1mぐらい草刈りしてあった ので見通しは良好でした。」と陳述している。片岡は「カーブの内側にある草地 越しに」ではなく「右方向の視界を遮る草木の左側に」原告車を認めたのであ る。小野寺も警察官への指示説明(甲42,甲38)では,小野寺が㋐の位置 で①の位置に原告車を認めている。すなわち,右方向の視界を遮る草木の左側 に原告車を初認したと供述している。 6 原告の主張する本件事故の態様を,原告作成の事故現場見取図(甲第39号 証1/2)及び同付属書類(甲第39号証2/2)に記載した。 小野寺は,同現場見取図((甲39)の◎の地点で,(ロ)の地点を走行してく る原告車を「右方向の視界を遮る草木の左側に」に約31mの距離で初認した。 本件事故現場付近の◎の地点で右カーブに高速で進入する大型トラックの運転 手は全神経を進路方向に集中している。◎若しくは,①の地点で(イ)の方向 を見る余裕もなく,もし見たとしたらわき見運転である。もともと(イ)方向 5/11 は草木に遮られ見通せない。 7 事故現場見取図の「カーブの内側にある,道路外の草地」には,道路脇に沿 って,1乃至2メートルに破線が描かれている。甲38では草地が道路側から 「草地」と「草」とに区別されている。小野寺が最初に原告車を認めた地点㋐ とその時原告車は①の地点を結ぶ線は甲38の「草地」の上を通る。 8 事故当時の現場付近の草地の状況は,原告が平成11年10月29日に撮影 した本件事故現場道路写真(甲66)のとおりである。 9 自衛隊撮影の事故現場写真(甲67)の写真甲67①は当時の草地の茅(か や)の状況がわかる。自衛隊車が写っている写真(甲67⑤⑥)では茅の生育 状態が他の写真と異なる。実況見分調書添付の写真(甲32)も自衛隊車が写 っている写真では茅の生育状態が他の写真と異なる(甲32⑤⑦)。甲37②も 茅の生育状態が他の写真と異なる。 10 本件のように,相互の見通しの良くない場所での現場写真には,相手を初認 した位置からの見通しの状況を示す写真が存在しなければならない。現に事故 再現写真(甲27)の第1番目に「バイクを確認した位置」のような草地の状 況を明らかにする写真が示されている。(事故再現見分時には現場の状況が変更 されていることは,訴状(18頁)第3,第2点12(5)で主張した。) 本件事故直後,現場には交通事故処理のプロである保安警務隊がいて,撮影 を担当する隊員が現場写真を撮影したことは証拠から明らかである。信用する に足る写真で,草木の状態がわかるのは,自衛隊写真(甲67①・⑧)及び実 況見分調書添付の写真(甲32③)の3枚だけで草地の上の相互の見通しの状 況がわかる写真は一枚も提出されていない。 第4 本件事故による道路の痕跡(タイヤ痕と擦過痕) 1 小野寺は,別件訴訟の証言調書速記録(甲22の9~10頁)で,「現場検証 した警察官は本件事故の状況について,バイクのタイヤ痕が中央線より約60 センチ自衛隊車の車線上にはっきり残っていたので,バイクが中央線をオーバ 6/11