民事裁判の記録(国賠)・自衛隊車とバイクの交通事故の民事裁判

1・訟務検事の証拠資料のねつ造など不法な弁論。
2・玖珠署の違法な交通犯罪の捜査,虚偽の実況見分調書の作成

53:控訴人準備書面(7)-1

2008-01-15 08:00:37 | 第3訴訟 第2審 被告国(訟務検事)

      平成18年(ネ)第5934号 国家賠償請求控訴事件
控 訴 人 出羽やるか
被控訴人 国
          準 備 書 面(7)
                   平成19年11月27日
東京高等裁判所第21民事部 御中
                         控訴人 出羽やるか
 控訴人は,被控訴人の平成19年11月27日付け準備書面(3)をうけて,下記
のとおり弁論を準備する。
 なお,略称等は本準備書面で新たに用いるものの他は従前の例による。
第1 控訴人が主張する間接事実(争点) (控訴人準備書面(5)及び(6))
 1 KP34.9の警戒標識(甲67-1)・・・・・・・・・・・・・・・・1
 2 徐行の道路標示(甲32-7)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3
 3 炊事車の衝突痕(甲67-13)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4
 4 事故直後の控訴人車の停止位置(甲32-16)・・・・・・・・・・・・・5
 5 自衛隊の実況見分調書(乙1)(甲28・甲31)・・・・・・・・・・5
 6 玖珠警察署の実況見分調書(甲42)・・・・・・・・・・・・・・・・6
 7 草地に移動された自衛隊車(甲67-5-6-12-13-14)(甲32-5~9)・・・7
 8 KP34.9の里程標(甲67-1・甲67-8)(甲33・甲32-11)・・7
第2 控訴人が主張する間接事実(争点)に対する被控訴人の認否・反論
 1 KP34.9の警戒標識(甲67-1)(争点1
  (1) 被控訴人の反論(被控訴人準備書面(3)第1の2の(1)・4頁)
    本件事故当日である平成11年10月7日に撮影された複数の写真に,い
   ずれも,本件警戒標識が北方向へ走行する車両から正面が見えるように設置
   されているものとして写っており,同月29日,控訴人が当該標識を撮影し
   た時にもそれと同じ角度で写っているのであれば,本件警戒標識は,本件事
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   故当日も,同様の角度で設置されており,自衛隊現場写真は,それをそのま
   ま撮影したものであると考えるのが自然である。平成13年に撮影された写
   真で向きが変わっているのは,平成11年10月29日以後,正しい角度に
   設置し直したからにすぎない。控訴人の上記立論は,すべて,本件警戒標識
   が,本件事故以前には正しく南方向へ走行する車両から正面が見えるように
   設置されていたはずであるとの前提に立っているところ,そのような事実を
   認めるに足りる証拠はなく,控訴人の主張は失当てある。
  (2) 控訴人の主張(控訴理由第11・12点)(控訴人準備書面(5)第3の1)
    本件警戒標識は刑事事件に関する証拠である。浅香らは平成13年9月1
   8日に本件事故の再現実況見分を実施し,平成13年11月5日別件訴訟の
   乙1号証として自衛隊写真(甲67)を本件事故当日撮影したとして提出し
   た。同日浅香らが陳述した準備書面(1)(甲21)には,本件警戒標識につい
   て,上記工事の事実を含め事故現場の変更について何ら説明していない。
    被控訴人は,本件事故当日に撮影された複数の写真(自衛隊現場写真(
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),警察写真(甲32)及び控訴人写真(甲66))に誤った角度に設
   置された標識が写っているから,本件事故当日も同様の角度で設置されてい
   たと考えるのが自然であるという。
    控訴人は,同標識は本件事故発生日の翌日の平成11年10月8日から,
   控訴人が玖珠警察署を訪れた前日の同月28日の間に立替えられ,誤った角
   度に設置されたと主張している。本件事故以前に存在した本件警戒標識が誤
   った角度に設置された標識である蓋然性はない。北方向へ走行する車両に対
   する右カーブの警戒標識は,自衛隊写真(甲67-6),警察写真(甲32
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のガードレール上に設置されている,「黄色の地に1個の赤色のアロー
  (矢羽根)[>]」の標識である。
    控訴人が撮影した警戒標識の写真(甲66)は,黄色の蛍光塗料がフラッ
   シュに反応してくっきり写っている。擁壁上の2個の標識も黄色の矢羽が鮮
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   やかに写っている。本件警戒標識の立替えにあわせて再塗装している。
   控訴人は,誤った角度に設置された標識が写っている自衛隊写真(甲67-1),
   及び警察写真(甲32-11)は,事故当日に撮影されていないか,写真が変造
   されていると主張しているのである。
2 徐行の道路標示(甲32-7)(争点2
  (1) 被控訴人の反論(被控訴人準備書面(3)第1の1の(4)・3頁)
   控訴人は本件実況見分調書に控訴人走行車線に「徐行」と書かれていたと
   の記載がないこと及び自衛隊現場写真に写っている人物が警察現場写真に写
   っていないことをもって,「徐行」という標示の写っている警察現場写真は
   ねつ造されたものであると主張するようである。しかしながら、控訴人指摘
   の事情をもって,道路標示が存在しなかったと認めることはできないことは
   当然であり(特に,写真に写った人物の有無に関する控訴人の主張は,人間
   が容易に移動可能な存在であることを無視するものといわざるを得ない。),
   結局,当該道路標示が存在しなかったはずであるというのは,控訴人の憶測
   の域を出ない。
  (2) 控訴人の主張 (控訴理由第14点) (控訴人準備書面(5)第3の2)
    警察写真(甲32-7)には,炊事車の右側車輪に見入っている間ノ瀬巡査
   部長と2名の自衛官が写っている。
    自衛隊写真(甲67-5-6)は警察写真(甲32-7)と同一の機会に同一の
   炊事車を写しているが人物は写っていず,写真の明度が上げられ路面が白く
   なり警察写真に写っている徐行の道路標示が消えている。
    警察写真(甲32-7)には,熊本方面への車線に「徐行」の道路標示が写
   っている。この道路標示は事故当時存在しない。もし存在しておればこの車
   線を通行した控訴人には徐行義務が発生したはずであるが,浅香ら及び警察
   からの控訴人の徐行義務違反の主張はない。したがってこのことからもこれ
   らの写真が事故当日写されたものでないと断定できる。
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    控訴人が平成11年10月29日本件事故現場道路写真(甲66)を撮影
   した時には「徐行」の道路標示は存在していない。人間と自衛隊車は容易に
   移動可能な存在であるが,道路標識標示の設置は簡単ではない。
    そもそも控訴人は,事故当日自衛隊車は草地に移動されていないと主張し
   ているのである。《(争点7)(控訴人準備書面(6)第2 草地に移動された
   自衛隊車)(甲67-5-6-12-13-14)(甲32-5~9)》
 3 炊事車の衝突痕(甲67-13)(争点3
  (1) 被控訴人の反論(被控訴人準備書面(3)第1の2の(2)・5頁)
    自衛隊車両は戦場で使用されるから一般車両を相当上回る強度を備えてい
   るからバイクと接触した程度では,写真に明瞭に写るような傷はできない。
  (2) 控訴人の主張(控訴理由第18点)(控訴人準備書面(5)第3の3)
      接触したのは,控訴人車の前輪右ホーク(甲69-9-10-11)と炊事車のホイ
   ールナット(甲67-13)である。控訴人車のホークには上部(甲69-10)と
   下部(甲69-11)にゴージ(丸のみで削ったような傷)がある。
    自衛隊車両は頑丈であるとしても,ホイールナットが破損していないのは
   不自然で,ペイントまで傷が付かなかったということはありえない。
    ちなみに,警察写真(甲32-4)でh堀部警部補は下部の傷は「擦過及び黒
   色模様の色付着」と説明しているが上部の傷(地上高約62センチメート
   ル)を看過している。警察写真(甲32-9)ではタイヤの部分に「擦過痕」
   と説明をつけている。ホークの「黒色模様の色」は黒色のタイヤの色が付着
   したと判断したと思われるが,実際はホーク下部の傷(ゴージ)から流れ出
   たホークオイルが時間の経過により黒色に変色付着したものであることは,
   上記ホークの傷を実際に目で見,指で触ればバイクのホークから油が流出し
   ていることが容易に感知できる。
    実況見分とは,捜査機関が五官の作用により,物,場所又は人の身体につ
   いて,その存在及び状態を感知する捜査方法である(甲96号証の2)から,
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   堀部警部補が,本件事故当日に実況見分を行ったとは到底考えられない。
 4 事故直後の控訴人車の停止位置(甲32-16)(争点4
  (1) 被控訴人の主張(被控訴人準備書面(3)第1の3の(1)・6頁)
   訴訟にいかなる証拠を提出するかは当事者の自由であり,「証拠を提出し
   ないこと」を違法と評価される根拠はないし,提出した写真が不明瞭である
   ことが違法となることもあり得ない。そもそも,控訴人が「隠蔽している」
   と主張する写真は存在していない。
  (2) 控訴人の主張 (控訴理由第19点)(控訴人準備書面(5)第3の4)
    浅香らは,控訴人車の転倒位置の写真(甲67-8)を提出した。同じ場所
   を写した警察現場写真(甲32-15-16)には路面に「バイク」という文字など
   が明瞭に写っているが,「本件事故現場路面に印象されていた擦過痕を撮影
   したもの」とだけ説明されている。
    写真(甲32)を撮影したのは堀部警部補とされているが,堀部警部補が,
   本件事故当日に実況見分を行ったとは到底考えられない。
    浅香らは,「バイク」の転倒位置が路面に記された写真(甲32-15-16)が
   存在していることを当然に認識していた。

 5 自衛隊の実況見分調書(争点5
  (1) 被控訴人の主張 (被控訴人準備書面(3)第1の3の(2)・6頁)
    控訴人は,本件事故において,小野寺は業務上過失傷害の被疑者であった
   から,北熊本駐屯地業務隊古澤秀一が実況見分調書を作成していた旨主張す
   るがこの点については,既に,被控訴人準備書面(2)第2の5(7頁以下)に
   おいて反論したとおりである。自衛隊が本件事故の実況見分を行った事実は
   ない。本件事故の捜査担当は警察官であり,警務隊により本件事故に関する
   捜査資料が作成されるものではない。
  (2) 控訴人の主張(控訴理由第10点)(控訴人準備書面(5)第3の5)
    本件は,「自衛隊と警察との犯罪捜査に関する協定(乙第1号証)」により,
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   犯罪捜査は警察官が行うが,賠償事故の調査は「陸上自衛隊損害賠償実施規
   則(甲28)」に基づき駐屯地業務隊が行う。控訴人の請求により開示され
   た行政文書には,駐屯地業務隊防衛庁事務官が作成した実況見分調書,事故
   状況写真,供述書,車両運行指令書等が含まれている(甲31)。
    本件は人身事故であり,当然に賠償に係わる事故である。北熊本駐屯地業
   務隊防衛庁事務官古澤秀一が実況見分調書を作成することになる。
    ちなみに,上記協定(乙1)第3,第4は「警務官と警察官とは,犯罪の
   捜査に関し相互に援助を依頼することができる。」,「警務官と警察官とは,
   犯罪の捜査について参考となる事項を相互に通報するものとする。」などと
   規定する。自衛隊写真(甲67-1)には小国警察署署員2名と早水巡査長な
   らびに近松3佐と複数の保安警務隊員が会合しているのが写されており,同
   写真(甲67-2)には,近松3佐が早水巡査長に何らかの資料を手渡してい
   るのが写っている。しかるに,被控訴人及び浅香らは本件事故処理に警察官
   が係っていることを頑なに否定している。