いつもお世話様です。
【YYNews】【YYNewsLive】【杉並からの情報発信です】を主宰する市民革命派ネットジャーナリスト&社会政治運動家の山崎康彦です!
本日木曜日(2020年01月16日)午後9時50分から放送しました【YYNewsLiveNo2920】の放送台本です!
【放送録画】79分58秒
https://ssl.twitcasting.tv/chateaux1000/movie/588504963
【放送録画】
☆今日の最新のお知らせ
①『田中龍作ジャーナル』への『財政支援』のお願い!
昨日月曜日(2020.01.13)の放送の中でも取り上げましたが、田中龍作さんは1月24日支払期限の『サーバー料金34万3,405円』の支払いに苦しんでいます。
もしもこの支払いができないと『田中龍作ジャーナル』の配信が停止となります。
数少ない日本の『独立系ジャーナリスト』である田中龍作さんの取材活動を緊急に支える必要がありますのでぜひ財政支援をしてください!
『支援金支払い』の必要情報は以下の記事に掲載されております!
▲サーバー料金の請求が来ました 払わなければ『田中龍作ジャーナル』は止められます
2020年1月13日 田中龍作ジャーナル
https://tanakaryusaku.jp/
②一昨日火曜日(2020.01.14)夜の『YYNewsLive』で放送しましたメインテーマ『(ブログ記事再掲)なぜ『欧州ロスチャイルド家』は50兆ドル(約5400兆円)もの『とてつもない資産』を秘密裏に蓄積できたのか?』の『YouTube表紙』です。
【現時点での視聴者数】
【TwitCasting】: 341名
【YouTube】: 402名
_________________________
計 743名
②昨日水曜日(2020.01.15)夜の『仏日語放送』で放送しましたメインテーマ『Quelle est "la vraie cause" de "la destruction de ・・?,現在我々が世界規模で直面している『生活破壊』『人間の尊厳の破壊』『地球環境の破壊』の『根本原因』とは何か?』の『YouTube表紙』です
【現時点での視聴者数】
【TwitCasting】: 101名
【YouTube】: 176名
_________________________
計 277名
☆今日の注目情報
①[記者手帳] がんばれ! 山本太郎
2020/01/15 ハンギョレ新聞
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200115-00035470-hankyoreh-kr
日本のみならず、韓国でもSNSで注目を集めている日本の政治家がいる。結党9カ月の日本の新生政党「れいわ新選組」の山本太郎代表だ。「れいわ新選組」は、「令和時代(日本の年号)」を新たに導く組織という意味だ。
党代表の山本は院外で活躍している。日本の参議院比例代表選挙は党と個人に投票してそれを合算する方式だが、山本は昨年7月の参議院選挙で全候補者全体中、最多得票を獲得。しかし候補者名簿の3位を選択したため落選した。れいわ新選組は戦略的に比例名簿1、2位を重度障害者に割り当て、彼らが当選した。選挙が終わって山本が選んだのは「街頭質疑応答」だ。ほとんどの政治家が選挙シーズンに派手な街頭演説を行ういっぽう、彼は選挙が終わってから、より本格的に人々との対話に取り組み始めた。北海道、九州、沖縄、東京、大阪、京都など全国を回った。
これには理由がある。彼は今年46歳(1974年生まれ)。15歳の時から芸能人として生活してきた。彼の人生を変えたきっかけは2011年の東日本大震災。原発の危険性を隠ぺいする日本政府を批判しただけなのに、その後ドラマ出演が取り消され、芸能プロダクションからも追い出された。彼は芸能生活ができなくなると、原発反対運動をしながら1年半にわたって全国を回った。人々と出会い、原発問題だけでなく貧困、非正規労働者、障害者など日本の絶望的状況に目覚めはじめた。「こんな地獄が広がっているとは知らなかった。私はこのような問題に声をあげたこともなければ行動することもなかった。無関心な私がこの地獄のような世の中を作ったんだと思った」。朝日新聞の発行する月刊誌『ジャーナリズム』との最近のインタビューの内容である。彼は現場で日本の姿をありありと見て、政治の世界に足を踏み入れた。2013年の参議院選挙では東京選挙区から出馬し、当選している。
山本は常に現場で新しい道を探った。昨年9月から12月まで行われた山本の全国ツアーの映像の中でも「涙の演説」は韓国でも有名だ。「人間の価値を生産性で語る世の中、あなたは家の役に立っているか、会社の役に立っているか、社会の役に立っているかという空気の中で、もうみんなボロボロなんですよ。1年間で2万人ぐらい人死んでいるんですよね、自殺で。死にたくなるような世の中やめたいんですよ。この国で一番えらいの誰? 皆さんなんですよ。…だったらやりましょうよ」山本は、こう言いながら子どものように涙を流した。
人の心を打つ演説だけでなく、山本が持って歩く5万枚のスライドには労働、経済、財政、教育など、彼が取り組みたい政策が盛り込まれている。そして現場で有権者と対話しながら少しずつ修正している。私は全国ツアーの映像をしばしば見るのだが、今は山本よりも現場での反応の方が興味深い。あまり自分の意見を表に出さない日本人が、公共の場で自由に質問する姿が新鮮だ。「山本はいつも国民という単語ではなく、この国に住んでいる人たちと言うが、理由があるのか」「中学生です。今、日本の教育制度は深刻だ。教育公約を聞きたい」「日本が日米関係で自主独立という立場を取るうえで、防衛、外交はどうすれば良いと思うか」「9歳。地球温暖化は人間がコントロールできないほどの臨界点に達しているようだ。どうすればいいか」。彼らは山本と新しい日本を語っていた。
日本社会が変われば、韓日間の歴史問題も未来志向的に解決できるのではないか。日本社会が強制動員、慰安婦被害を国益ではなく人類の普遍的な人権問題と見るようになるというは夢に過ぎないのだろうか? 山本に質問する日本人を見ると小さな希望がわく。まだ日本社会には山本の政治を「ショー」と見る人が多い。しかし、このような「ショー」なら、続けても悪くはないと思う。応援する。頑張れ! 山本太郎!
キム・ソヨン統一外交チーム記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
☆今日のひとこと
■『金融経済』と『実体経済』の関係 (山崎康彦)
①『実体経済』とは、我々の日々の労働によって『価値』を生み出す『実物経済』である
②『金融経済』とは、『実体経済』から派生した『カネと金融商品』を『売買』するだけで何の価値も生まない『博打経済』である。
③『実体経済』と『金融経済』の関係をわかり易く言うと、『実体経済』は人間の『健康細胞』であり『金融経済』は『癌細胞』ということになる。
④『金融経済=癌細胞』は『実体経済』である人間の『健康細胞』に取り付き、養分を吸い取って周囲に毒素をまき散らして死ぬまで肥大化する『癌細胞』なのである。
⑤日本の『実体経済=健康細胞』の規模は、GDP(国内総生産)の同じ年約540兆円(約4.4兆ユーロ)である。
⑥他方日本の『金融経済=癌細胞』の規模は公表されていないが、『金融経済=癌細胞』の規模を年間の『金融商品と取引額』とすると、私の計算では約1京円(10000兆円)となる。
⑦日本の『金融経済=癌細胞』の現在の規模は『実体経済=健全細胞』の『約20倍』になっていることになる。
⑧世界支配階級と代理人の各国国支配階級は『金融経済=癌細胞』が『実体経済=健全細胞』を破壊し殺している『真実』を隠している!
⑨日本と世界各国で共通に起きている『悲劇と不幸』の『根本原因』は、肥大化した『金融経済=癌細胞』が『実体経済=健康細胞』を『全面破壊』して殺し、自分だけが肥え太り続けていることなのだ。
1. 貧困と格差が蔓延している。
2.幾ら働いても労働者の賃金は低下し長時間労働による『過労死』と『うつ病』が激増している。
3.政府を批判し貧困や不平等を糾弾する国民を弾圧する独裁的な大統領や首相が多数登場している。
4.地球温暖化によって大規模な台風や豪雨や高温や森林火災が発生し人間と動植物を破壊している
⑩『金融経済=癌細胞』による『実体経済=健康細胞』の『全面破壊』をストップする方法とは『実体経済=健康細胞』への課税を廃止し『金融経済=癌細胞経済』に『5%の金融商品取引税』を課税することである。
⑪日本の1京円(10000兆円)の『金融経済』に『5%の金融商品取引税』を課税すれば500兆円の『新税』が生まれる。
⑫いま日本をはじめ世界各国で必要なことは、各国の『金融経済』に『5%の金融商品取引税』する『市民革命政権』を一日も早く樹立して『金融経済』を縮小させ『実体経済』を再生させることである。
☆今日の推奨本(朗読)
■【推奨本】エレーナ&ベアタ・エルマン、グレタ&スバンテ・トゥーンべり著『グレタ たった一人のストライキ』(海と月社刊2019年10月7日)
第十四回朗読 (2020.01.16)
●難民に住まいを提供する (P43)
(1)今日のメインテーマ
■スイス中央銀行の金融政策の目的は『スイスフランの安定=為替管理』だが米中央銀行、欧州中央銀行、日銀の金融政策の目的は『自国の景気刺激のための金融緩和』である!(No1)
この違いがよくわかる『スイスインフォ』の記事を二つ取り上げました。
【違いのポイント】
①スイス中央銀行(SNB)の金融政策
1.スイス連邦憲法は、スイス中央銀行(SNB)に『国全体の利益を考慮した金融政策『を行うよう義務付けている。収益を上げたり配当金を分配したりすることはSNBの目的ではない。
2.スイス中央銀行(SNB)は『外貨準備管理』を役割として持っている。「いつでも金融・通貨政策をとる余地がある」状態を保つ使命をもっている。
3.スイス中央銀行(SNB)は個別株を積極的に買っている。SNBは米国株を含め1527億フラン(約16兆6千億円)を外国株に投じている。
4.スイス中央銀行(SNB)が外国株を積極的に買うのは、『安全資産』であるスイスフランの『為替レート』を安定させ急激な『フラン高』を抑制するためである。
5.スイス中央銀行(SNB)が『為替レート安定』のためにスイスフランを売り、ドル、ユーロ、円を買うことで貯まった巨額な外貨の運用のために外国株を購入している。
6.スイス中央銀行(SNB)の外国株などを『資産購入』の目的は、『スイスフラン高』のためにスイス企業が輸出競争力を失わないために『為替介入』を行うためのであり『金融緩和』のためではない。
②米中央銀行(FRB),欧州中央銀行(ECB),日銀の金融政策
1.米中央銀行(FRB)、欧州中央銀行(ECB)、日銀の金融政策は、スイス中央銀行(SNB)のように『国全体の利益を考慮した金融政策』ではなく『自国の景気を刺激するための金融政策=金融緩和』である。
2.そのため米中央銀行(FRB)、欧州中央銀行(ECB)、日銀は民間の『株』や『社債』ではなく自国政府発行の『国債』や『政府機関債』を『資産購入』するのが大半である。
3.米連邦準備制度理事会(FRB)は株の購入が禁止されている。
4..欧州中央銀行(ECB)の資産購入プログラムも国債や政府機関債などに対象が絞られている。
5..日銀は上場投資信託(ETF)(注山崎:年間約8兆円)の購入を通じて株に投資するが個別の銘柄の買い手として名が挙がることはない。
【該当記事1】
▲金融政策 スイス中銀、巨額黒字で「大盤振る舞い」
Armando Mombelli
2020/01/14 スイスインフォ
https://bit.ly/2NvyuKp
新デザインの100フラン札を掲げるスイス国立銀行(中央銀行)のトーマス・ジョルダン総裁
2019年、スイス国立銀行(スイス中央銀行、SNB)は490億フラン(約5兆6千億円)と、過去2番目に大きな黒字を叩き出した。潤沢な資金を背景に、SNBは連邦や州に「大盤振る舞い」する方針だ。
巨額の黒字の理由は?
SNBは特に資本・為替・金市場で大きな利益を出した。中でも力強い世界株式相場で400億フランの利益が生まれ、金相場の上昇も70億フラン近い利ざやをはじき出した。
SNBは9日、2019年の決算は490億フランの黒字になる見通しだと発表した。詳細な結果は3月に発表予定。
なぜSNBは過去数年、黒字を出し続けているのか?
2008年、世界各国の政府は深刻な金融危機への備えを欠いていた。以来、米国や欧州、日本を含む多くの中央銀行は金融市場や国民経済の崩壊を防ぐため、積極的に金融市場に干渉するようになった。
SNBもそれに追随した。08年にはスイス最大の民間銀行UBSの救済に、500億フラン超を拠出。翌年には継続的に為替介入し、スイスフランの高騰を抑えようとした。そのためにSNBは外貨準備を大幅に引き上げる必要があった。10年間で外貨準備は800億フランから8000億フランに膨らんだ。スイスの国内総生産(GDP )を上回る額だ。
外貨準備の拡大は過去数年、SNBに大きな黒字をもたらしたが、大きな赤字の原因になる年もある。
SNBの利益はどう分配されるのか?
SNBの収益の分配方法は、連邦財務省とSNBの間で取り決められている。2016~20年の取り決めででは、配当準備金に繰り入れがある場合、1年当たり10億フラン以上を配当金として、3分の1を連邦政府、3分の2を州政府に配分する決まりになっている。この配当金の最低額は、配当準備金の黒字が200億フランを超えると20億フランに引き上げられる。
こうした決まりになって以来、連邦・州政府はSNBが赤字を計上した年もほぼ毎年配当金を得ている。配当金がゼロだったのは2013年だけだ。
なぜSNBは配当金を大盤振る舞いするのか
SNBによると、今後の配当に備える配当準備金は過去最高の860億フランに到達した。SNBは取り決められた20億フランを超える配当金(金額は未定)を連邦・州政府に納めることができる。ここ数年で政治家や労働組合、各州からの批判が高まっているのを考慮した上での決断だ。
連邦憲法は、SNBに国全体の利益を考慮した金融政策を行うよう義務付けている。収益を上げたり配当金を分配したりすることはSNBの目的ではない。全ての主要政党は中央銀行の独立性を尊重している。
それでもこの数年は外貨準備や黒字の拡大を背景に、配当金の増額を求める圧力が高まっている。
労組は一例として、基礎老齢年金(AHV)の健全化や企業年金の利子率引き上げに収益を充てるよう提案している。5年前に始まったSNBのマイナス金利政策により、年金基金の運用が難しくなっていることが理由だ。スイス労働組合連合(SGB/USS)のピエール・イヴ・マイヤール会長は「SNBが数十億フランの収益の扱いに困っているのに、年金制度が弱体化しますます財布の紐を締めなければならない理由を人々にどう説明すればいいというのか」と話す。
SNBのトーマス・ジョルダン総裁は数週間前、こうした要望をやんわりと拒否した。「金融政策と社会政策を混同するのは危険なことだ。SNBに不必要な圧力がかかるため、SNBの適切な機能遂行を阻害することになる」
【該当記事2】
▲通貨の番人 GAFA投資進めるスイス中銀が抱えるリスク
ムートゥ朋子
2019/07/19 スイスインフォ
https://bit.ly/38fQBvT
スイス国立銀行のファサード
グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン。「GAFA」と総称され政治さえ動かす力を持つ巨大IT企業たちに、巨額を投資する世界でもまれな中央銀行がある。スイス国立銀行(SNB)だ。
米証券取引委員会(SEC)は1億ドル以上の米国株を保有する機関投資家に、四半期ごとに保有株の総額・数量などの開示を義務付けている。SNBもその対象で、直近3月末時点で保有する米国株は2507銘柄、総額911億6099万ドル(約9兆8千億円)。上位10銘柄には米国を代表する大企業が名を連ねる。
SNB保有米国株 保有額の推移
SNB保有米国株 保有額の推移を示す折れ線グラフ
公表データで遡れる2013年6月からの変化をみると、アップルやフェイスブックなど、「GAFA」と呼ばれる巨大IT企業への増額が際立つ。6年前にトップだったエクソン・モービルは低調だ。足元の順位は米国の時価総額ランキングに酷似する。
一方、保有株数を眺めると、その順位は少し異なる。トップはジェネラル・エレクトリックの2903万株で、2013年から王座を譲ったことはない。その他通信事業者や精密、製薬などの企業がトップ10に並び、GAFAではアップルしか顔を出していない。GAFAに積極投資しているというより、保有株の評価額が膨らんでいる格好だ。
SNBの米国株 保有数
SNBの保有する米国株数の推移を示す折れ線グラフ
フラン売り介入の副産物
SNBの株買いがこれほど注目されるのは、個別株を買う先進国の中央銀行はスイスくらいだからだ。SNBは米国株を含め1527億フラン(約16兆6千億円)を外国株に投じている。一方、米連邦準備制度理事会(FRB)は株の購入が禁止されており、欧州中央銀行(ECB)の資産購入プログラムも国債や政府機関債などに対象を絞っている。日銀も上場投資信託(ETF)の購入を通じて株に投資するが、個別の銘柄の買い手として名が挙がることはない。これら中銀の資産の大半は国債で構成されている。
SNBはなぜ個別株を買うのか。他の中銀との違いは、SNBが金融緩和の手段として資産を購入しているわけではないことだ。
日銀などの資産購入は国内の金融市場に十分な資金を提供することで、企業がお金を借りやすくし、景気を下支えする狙いがある。多少はリスクの高い資産を買い取り、市場参加者がリスクを取って投資するのを促す必要があるが、「景気刺激」の名目で個別企業の株を買い入れれば市場に思わぬ憶測を呼ぶ。大半は安全性の高い国債に振り向ける。
一方、SNBの株買いの資金源は、フラン相場の高騰を食い止めるための為替介入だ。リーマン・ショックや欧州財政危機以降、安全通貨とされるスイスフランには資金が集まりやすく、フラン高が進みがちだ。フラン相場を押さえるため、SNBは2011年9月にフランの対ユーロ相場に上限を設け、無制限でフラン売り・ユーロ買い介入をする姿勢を見せた。15年1月に上限は撤廃されたが、その後もフラン高圧力が高まる場面では介入を続けていた。
買い入れた外貨は、緊急時に外貨建て債務の支払いなどに充てる外貨準備に充てられる。昨年末時点で7385億ドルと、10年前の10倍以上に膨らんだ。ただ18年初以降は増加が止まっている。フランが上昇しにくくなり、介入の必要がなくなってきたためだ。
外貨準備とフラン相場
SNBの外貨準備高の推移を示すグラフ
スイスで外貨準備の管理は中央銀行の役割で、「いつでも金融・通貨政策をとる余地がある」状態を保つ使命がある(中央銀行法第5条他のサイトへ)。SNBは04年に策定した投資政策の基本方針で「長期的な収益性とリスクのバランスを改善するため、外国為替資産の一部は、株を含む国債以外の資産にも振り向ける」と明記している。
要は、スイス企業が輸出競争力を失わないために為替介入を行い、その結果貯まった外貨の運用先として、一部を米国株など先進国株に充てているという構図だ。
外貨準備は、スイス中銀のバランスシート(貸借対照表)の資産の部に「外国為替投資」と計上される。2018年の決算では、外国株が124億フランの損失を出したが、外国債券の損失56億フランと合わせた損失180億フランのうち、113億フランは為替相場の変動が原因だった。外国株は配当金340億フランという収益ももたらしており、株の暴落がなければまずまずの収益源と言ってよさそうだ。
本当のリスクはどこに?
SNBはどのように収益とリスクのバランスをとっているのか。外国為替投資の内訳をみると、7割は外国債、2割が外国株、1割がその他の債券で、この配分はほぼ一定だ。通貨別にみたユーロ建てが40%、ドル建てが35%、円建てが10%、英ポンド・カナダドルなど他の通貨が15%程度という比率もほぼ変わらない。
SNBで投資方針を決めるのは理事会他のサイトへだ。総裁と副総裁、理事から成る組織で、日本の政策委員会に当たる。安全性や流動性、収益性を踏まえ、金融政策と利益が相反しないように投資戦略を立てる。その枠組みの中で、行内の投資委員会が通貨の配分や期間などを決める。中銀の監視役である銀行評議会(Bank Council)他のサイトへもリスクを管理する。
株式投資に関しては次のようなルールがある。
購入対象は主要株価指数を構成する上場企業の株。先進国・途上国かは問わない
戦略的利益を追求することはなく、一般的に株式の選択には関与しない。株価指数の組み合わせを複製することによって受動的に管理する
潜在的な利益相反を排除するために、原則として中・大型株の銀行および先進国の銀行には投資しない
国際的に違法な武器を製造する企業、基本的人権を大規模に侵害する企業、または重大な環境破壊を体系的に引き起こす企業には投資しない
リスクはきっちりコントロールされているようだが、国民の目は厳しい。批判の矛先はリスクの高さよりも、環境や人権への配慮が足りないことだ。
スイス気候連盟はSNBの投資が気温を4~6度上昇させていると非難。昨年4月にはパリ協定や国連の持続可能な開発目標(SDGs)に公式にコミットするなど、10項目の提言を盛り込んだ報告書を発表した。
ドイツ語圏のスイス公共放送(SRF)は昨年、トーマス・ジョルダン総裁との独占インタビュー他のサイトへで、SNBが米軍需メーカーのレイセオン株を保有していると厳しく追及した。総裁は「兵器メーカーをすべからく除外するのではなく、違法な兵器を生産する企業の株はポートフォリオから外している」と説明し、中銀の方針に変更はないと強調した。
スイスの「軍隊なきスイスを目指す会他のサイトへ(GSoA/GSsA)」らはSNBや政府系基金などに兵器メーカーへの投資を完全に禁止するよう求めるイニシアチブ(国民発議)他のサイトへを提起。昨年6月に必要な署名を集め成立した。連邦議会は今年6月にイニシアチブに反対する方針を決めた。来年にも提案の是非が国民投票にかけられる。
扱う金額も中銀という立場からも、SNBの投資方針が市場の手本となるのは確かだ。だが環境や人道を突き詰めすぎると投資が恣意的になったり、投資先が絞られすぎたりといった危うさも出てくる。SNBにとっての最大の投資リスクは、直接民主制の根付いたスイスの国民性かもしれない。
(おわり)
(2)今日のトッピックス
①安倍首相「躊躇ない」が発端 通常国会“冒頭解散説”再浮上
2020/01/15 日刊ゲンダイ
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/267591
「桜」を蹴散らしたい(2019年「桜を見る会」の安倍首相夫妻)/(C)日刊ゲンダイ
20日の通常国会召集を前に、永田町に“微風”が吹き始めた。内閣支持率の下落に加え、カジノ汚職事件で元内閣府副大臣が逮捕されて立ち消えになった冒頭解散説が再び流れているのだ。国会冒頭の動き次第では、一気に突風になる可能性がある。
◇ ◇ ◇
直接のきっかけは、安倍首相が12日のNHK番組で、衆院解散・総選挙に関して「解散すべき時が来たと思えば解散に躊躇はないが、現在のところ全く考えていない」と話したことだ。解散時期については嘘を言うのが永田町の慣例だから、「躊躇はない」の発言だけがクローズアップされた。そのうえ、最近の安倍首相はやけに上機嫌なのだという。
「下落が止まらなかった支持率が回復基調にあるからでしょう。共同通信の世論調査では6ポイントも上がった。『桜を見る会』の疑惑追及や公私混同批判にさらされてイライラしているところに、カジノ汚職事件で逮捕者が出た年末が“底”でした。野党の合流話が進んでいることにもカリカリしていた。解散が遠のいたと見て、野党の合流話が止まったことも好材料です。総理の周辺でも『今なら勝てる』という主戦論が再浮上しているのです」(官邸関係者)
「今なら勝てる」
それで囁かれているのが、補正予算をさっさと成立させて解散、2月中に投開票というシナリオだ。
本予算の審議に入れば、「桜を見る会」やカジノ汚職、自衛隊の中東派遣などで野党から厳しく追及される。最近の政府答弁の迷走ぶりをみていると、嘘とゴマカシで長丁場を乗り切れそうにない。野党が攻め立てれば、再び支持率が下がることは確実だ。その前に解散を打った方が得策だと考えても不思議はない。
選挙後に内閣の小幅改造を行って、カジノ疑惑などで名前が挙がっている政務三役を本予算審議の前に交代させられるメリットもある。このタイミングを逃せば、夏の東京五輪後まで事実上、解散権が封じられる。二階幹事長も13日、解散の時期について「必然の課題があれば別だが、わざわざ東京五輪の前に大騒ぎする必要はないんじゃないか」と語り、東京五輪・パラリンピックが閉幕する9月上旬までの解散には否定的だった。
支持率が下がり、伝家の宝刀も竹光だとバレていたら、首相が求心力を保つことは難しい。2月選挙は五輪前のワンチャンスでもあるのだ。
「死に体になるのを避けようと思えば、選挙に打って出る可能性は十分ある。野党の合流がまとまらず、準備が間に合わない今が勝てる好機なのは間違いありません。“桜疑惑”は首相夫妻の問題ですから、本予算審議の前に選挙でリセットして、うるさい野党を蹴散らしたいという願望もあるでしょう。最後は首相がどう決断するかです」(政治評論家・有馬晴海氏)
大義など関係なく、勝てるときに選挙をやるのが安倍政権の流儀だ。野党は内輪モメしている場合ではない。
②真珠湾訪問「何のため?」 地理歴史にうといトランプ氏浮き彫り、米記者新刊
2020年1月16日 AFP日本語版
https://www.afpbb.com/articles/-/3263735?cx_part=latest
米ハワイ・ホノルルの真珠湾で、第2次世界大戦中の日本軍の奇襲による犠牲者を追悼するアリゾナ記念館を訪問し、海に花を投げるドナルド・トランプ米大統領とメラニア夫人(2017年11月3日撮影)
【1月16日 AFP】ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領はインドと中国が国境を接していることを知らず、ハワイの真珠湾(Pearl Harbor)を訪問する意味もよく理解していなかった──米紙ワシントン・ポスト(Washington Post)の記者2人による新著「A Very Stable Genius(非常に安定した天才)」の内容の一部が15日、同紙に掲載され明らかになった。
フィリップ・ラッカー(Philip Rucker)記者とキャロル・レオニグ(Carol Leonnig)記者が手掛けた同書は、トランプ氏の気まぐれな振る舞いの数々とともに、基礎的な地理や歴史に対する無知ぶりを浮き彫りにしている。
同書によるとトランプ氏は、インドのナレンドラ・モディ(Narendra Modi)首相との会談の席で、「あなた方は中国と国境を接しているというわけではないでしょう」と発言したという。実際にはインドと中国は隣国で、1962年にはヒマラヤ(Himalaya)山中の係争地をめぐって紛争も起きている。
このトランプ氏の発言と、インドが直面する中国の脅威を否定するような態度を受けて、「モディ氏は驚きに目を見張った」「モディ氏の表情は徐々に、衝撃から懸念へ、そして諦めへと変わっていった」と同書は記している。
この首脳会談の後、米国との外交関係から「インドは一歩引いた」とトランプ氏側近の一人は著者らに語ったとされる。
また同書には、1941年12月7日の真珠湾攻撃で日本軍によって撃沈された米戦艦アリゾナ(USS Arizona)の追悼式典にトランプ氏が出席した際のエピソードも紹介されている。それによるとトランプ氏は、当時大統領首席補佐官だったジョン・ケリー(John Kelly)氏に向かって「ジョン、一体これは何だ? 何のための訪問だ?」と尋ねた。
「トランプ氏は『真珠湾』という言葉を聞き、歴史的な戦闘のあった場所を訪れるのだという点は理解したようだったが、それ以上はあまり分かっていないように見えた」という。
新著は、「彼(トランプ氏)は時々、危険なほど無知だ」との米ホワイトハウス(White House)元上級顧問の言葉も引用している。
③トランプ大統領の弾劾訴追決議、上院に送付 21日に審理開始
2020年1月16日 AFP日本語版
https://www.afpbb.com/articles/-/3263696?cx_part=latest
米首都ワシントンで、ドナルド・トランプ大統領の弾劾訴追決議に署名するナンシー・ペロシ下院議長(2020年1月15日撮影)
【1月16日 AFP】米下院は15日、ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領の弾劾訴追決議(起訴状に相当)を上院に送付した。
民主党のナンシー・ペロシ(Nancy Pelosi)下院議長は、「大統領がわが国の国家安全保障を台無しにし、就任宣誓に違反し、わが国の選挙の安全を危うくする行動を取ったことは、非常に悲しく、悲劇的なことだ」と述べた後、儀式用のペンで「職権乱用」と「議会妨害」の2つの弾劾訴追決議に署名した。
米共和党のミッチ・マコネル(Mitch McConnell)上院院内総務は、「上院での弾劾裁判は21日に本格的に始まる予定」と語った。審理は2週間続く見通し。
共和党は定数100の上院で53議席を占めているため、有罪・罷免に必要な上院議員の3分の2以上の賛成を得る可能性は極めて低い。
④トランプ氏やグレタさん参加 ダボス会議、気候や中東議題に
2020年01月15日 時事通信
https://www.jiji.com/jc/article?k=2020011500179&g=int
国連本部で開かれた気候行動サミットで演説するスウェーデンの環境活動家グレタ・トゥンベリさん=2019年9月23日、ニューヨーク(AFP時事)
【ベルリン時事】世界経済フォーラムは14日、スイス東部ダボスで21~24日に開く年次総会(ダボス会議)に、トランプ米大統領やメルケル独首相、環境活動家グレタ・トゥンベリさんら、各界のリーダー約3000人が参加すると発表した。
気候変動や格差問題に加え、緊張が高まる中東情勢も主要議題となる見通し。中東からはイラクのサレハ大統領らが参加するが、米国と対立を深めるイランのザリフ外相は出席を直前に取りやめた。
日本の安倍晋三首相や、中国の習近平国家主席、ロシアのプーチン大統領は参加者リストに入っておらず、欠席するとみられる。民間企業からは、米アップルや中国の阿里巴巴(アリババ)集団などの幹部が集まる。
昨年9月にニューヨークの国連本部で開かれた気候変動対策の具体策を表明する「気候行動サミット」では、グレタさんが「怒りの演説」を行い、注目を浴びた。トランプ大統領も短時間出席し、会場でグレタさんと「ニアミス」する場面もあった。
⑤「名簿はなかったことに…」官僚たちが目論んだ完全犯罪 すべてはアベのために
2020年1月14日 田中龍作ジャーナル
https://tanakaryusaku.jp/
山井和則議員。オリジナルの文書を出すよう内閣府に求めているが、約束の時刻を過ぎても持って来ない。「本物を止めているのは誰か?」と語気を強めた。=14日、衆院16控室 撮影:田中龍作=
官僚たちは安倍首相のウソを繕うために完全犯罪を目論んだ。
黒塗りであれば隠したことが明らかになる。だが、白塗りにしてコピーをかければ、問題の箇所は最初からなかったことになる・・・
“事件”のいきさつはこうだ―
昨年11月22日、参院予算委員会の理事懇談会に、政府が桜を見る会の推薦者名簿を提出した。各省庁が保管していた4千人分だ。
この名簿の一部に巧妙な文書改ざんがあった。部局名を修正テープで白塗りにしたうえでコピーをかけていたのだ。それが理事懇に提出された。
白塗りにしたのは「内閣官房内閣総務官室総理大臣官邸事務所」とその略称である「閣総」。閣総は安倍首相からの推薦を取りまとめる。疑惑の核心を握る組織だ。
理事懇に名簿を提出する2日前(11月20日)に、衆院内閣委員会で内閣官房の審議官が「内閣総務官室(閣総)の推薦者名簿は廃棄済み」と答弁していた。
もし「内閣官房内閣総務官室総理大臣官邸事務所」と「閣総」を消さずに出したら、廃棄していないことがモロバレとなる。
このため内閣府は白塗りの細工を施したのである。ウソにウソを重ねるというやつだ。
政府が参院予算委員会の理事懇に提出していた改竄文書。左はしの空白には「閣総」と書かれていた。
理事懇への書類は与野党が合意したうえで提出される。改竄した書類を出すのは、公文書偽造の罪にあたるばかりではない。国会に対する冒涜なのである。
役人の一存でこんな大それた犯罪ができるわけがない。
きょう14日にあった野党ヒアリングで、山井和則議員(立憲)が「決裁したのは(内閣官房)人事課長か、官房長か、菅官房長官か?」と政府側を質した。
内閣府大臣官房の酒田元洋・総務課長は「最終的には人事課長です」と答えた。
政治家を守るために、官僚は泥をかぶる決心を固めているようだ。
東京新聞の追及がなければ、与野党の国会議員はガセをつかまされたままだった。
公文書改竄すなわち歴史を改竄するという犯罪は闇に埋もれたまま。完全犯罪が成立していたのである。
~終わり~
◇
【お知らせ】
サーバー料金の請求が来ました。払えなければ『田中龍作ジャーナル』は止められます
田中龍作の取材活動支援基金
⑥鳩山氏遺族は7億円申告漏れ 世襲議員に"無税相続"の抜け穴
2020/01/15 日刊ゲンダイ
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/267528
遺産は100億円超の鳩山邦夫元総務相(C)日刊ゲンダイ
東京国税局が故・鳩山邦夫元総務相の遺族に相続財産約7億円の申告漏れを指摘した。問題は漏れた相続財産の中身だ。政治団体への貸付金を相続財産に含めないなどのミスがあったという。資金管理団体など政治団体を用いた資産継承こそ、国税のタブーだった。
邦夫氏が代表を務めた資金管理団体「新声会」の収支報告書によると、2016年6月の死去時に邦夫氏からの貸付金は6件、計約4億5000万円あった。うち1件8000万円は母・安子さんの死去に伴う相続分。もう1件の約2400万円は当初、妻エミリーさんが16年7月に貸し付けたと記載したが、昨年4月に修正。邦夫氏が亡くなる4日前に貸し付けたと改められた。
16年8月に新声会は貸付金を清算せず、人件費に約55%の資金を費やすなど残金をほぼ使い切り、いったん解散。当時は秘書だった次男の二郎衆院議員が同名の資金管理団体を届け出ると、貸付金の記載はごっそり消えた。
故人が会社や個人などに貸し付けた資金は原則、相続対象となるが、遺族は新声会への貸付金を申告しなかった。
■安倍家も小渕家も…
政治団体の代表の政治家が死亡、もしくは引退後の残金処理に規定はない。後継者が新たな代表になって政治資金を継承したり、別団体に移すことも可能な上、引き継いだ資金は相続税や贈与税の課税対象外となる。
この“抜け穴”こそ「課税逃れの世襲特権」と呼ばれるゆえんで、国税当局も手も足も出せなかった経緯がある。実際、00年の小渕恵三元首相の急逝後、資金管理団体に残った約1億6000万円は、娘の優子元経産相の資金管理団体が複数の政治団体を通じて“相続”。小泉進次郎環境相も父・純一郎元首相の引退後、複数の政治団体を通じて政治資金をほぼ丸ごと継承した。安倍首相も父・晋太郎元外相の死後、政治団体を引き継ぐと同時に6億円超もの政治資金をそっくり継承。「相続税逃れ」と報じられた。
「当局が政治団体を用いた資産継承に踏み込んだのは画期的。相続税の大幅改正で大した資産のない庶民まで課税強化される中、世襲議員の課税逃れの放置は許されない。今回を機に国税には追及を強めて欲しい」(政治資金に詳しい神戸学院大教授の上脇博之氏)
持っている人から取るべきだ。
⑥
(3)今日の重要情報
①山口敬之逮捕を握り潰した中村格が警察庁ナンバー2に!『報ステ』に圧力、安倍秘書の息子の喧嘩にまで介入した“官邸の忠犬”
2020.01.15 Litera
https://lite-ra.com/2020/01/post-5206.html
警察庁ナンバー2に中村格が!(警察庁HP)
ついに、あの“官邸の忠犬” “政権の爪牙”が警察庁ナンバー2の座に就く。昨日14日、警察庁長官に松本光弘次長、警視総監に斉藤実副総監が昇格する人事が閣議で承認されたが、同時に警察庁次長に中村格官房長が就くことがわかったからだ。
次長というと長官のたんなる補佐役のように受け取られがちだが、実際にはその権力は絶大で、指揮監督は全国におよび、事実上、警視総監以上の権限をもつ。しかも、予算をはじめ人事や政策立案まで握るポジションであり、さらに出世コースとしては次期長官が約束されたも同然だ。
そのポストに官邸の忠犬たる中村氏が就く──。この人事に、憤りを覚える人はきっと多いはずだ。
というのも、中村氏といえば、昨年12月に東京地裁で勝訴した伊藤詩織さん事件で山口敬之氏の逮捕を潰した最重要キーマンだからだ。
あらためて振り返ると、元TBS記者で「安倍首相にもっとも近いジャーナリスト」と呼ばれていた山口敬之氏から性暴力を振るわれたという伊藤さんの相談を受け捜査を担当していた高輪署の捜査員が、2015年6月8日、逮捕状を持って成田空港で山口氏の帰国を待ち構えていた。ところが、この逮捕直前に上層部からストップがかかった。この逮捕取りやめを指示したのが、当時、警視庁刑事部長だった中村氏だった。実際、山口氏の逮捕を取りやめるよう指示したことについて、本人が「週刊新潮」(新潮社)の直撃に対し、「(逮捕は必要ないと)私が決裁した」と認めているのである。
伊藤さんの著書『Black Box』(文藝春秋)には、伊藤さんが直接、中村氏への取材を二度試みたくだりが出てくるのだが、それによれば、中村氏は一切の説明をせずに逃げたのだという。
〈出勤途中の中村氏に対し、「お話をさせて下さい」と声をかけようとしたところ、彼はすごい勢いで逃げた。人生で警察を追いかけることがあるとは思わなかった。
私はただ、答えが欲しいのだ。中村氏にはぜひ、「私のした判断は間違いではなかった。なぜなら……」ときちんと説明して頂きたい。なぜ元警視庁刑事部長の立場で、当時の自分の判断について説明ができず、質問から逃げるばかりなのだろうか?〉(『Black Box』より)
結果的に事件は2015年8月に書類送検され、山口氏は翌年7月22日付けで嫌疑不十分で不起訴処分に。逮捕寸前まで行った事件が、このように中村氏の逮捕取りやめ指示によって“ブラックボックス”のなかに押し込められてしまったのである。
そして、この中村氏による逮捕取りやめ指示の背景にあるとみられてきたのが、中村氏と菅義偉官房長官の関係だ。中村氏は第二次安倍政権発足時に菅官房長官の秘書官をつとめており、“菅の懐刀”と言われてきた。
その深い関係を象徴するのが、『報道ステーション』(テレビ朝日)の古賀茂明降板事件だ。2015年、IS人質事件に関してレギュラーコメンテーターだった古賀氏は安倍首相が「『イスラム国』と戦う周辺国に2億ドル出します」と宣戦布告とも取られかねない発言をおこなったことを批判。さらに「まぁ私だったら“I am not ABE”(私は安倍じゃない)というプラカードを掲げて、『日本人は違いますよ』ということを、しっかり言っていく必要があるんじゃないかと思いましたね」と発言した。
この発言に官邸は大激怒。本サイトでも当時伝えているが、「菅官房長官の秘書官」が番組編集長に電話をかけまくり、編集長が出ないと今度はショートメールで「古賀は万死に値する」という、恫喝をかけた。その「菅官房長官の秘書官」が中村格氏だったのである。
『報ステ』に圧力メール、安倍首相秘書の息子のために「ゲーセンのケンカ」に捜査一課を投入
古賀氏は著書『日本中枢の狂謀』(講談社)のなかで、この『報ステ』に恫喝メールを送った「菅官房長官の秘書官」が中村氏であることを明かし、こう綴っている。
〈一月二三日の最初の「I am not ABE」発言の直後、なんと番組放送中に、まず中村格官房長官秘書官(当時)から、報道局ニュースセンター編集長の中村直樹氏に電話があったという。たまたま中村編集長が電話を取り損ねると、今度はショートメールが入った。テレ朝関係者に聞いた話では、その内容は「古賀は万死に値する」といったような、強烈な内容だったそうだ。〉
〈報道によると、この日、菅官房長官は、秘書官と一緒に官邸で番組を見ていたそうだ。その真偽はさておき、仮に直接聞いていなくても、私の発言を知れば、菅官房長官が激怒することは容易に推測できる。
秘書官としては、アリバイ作りのためにも、すぐに抗議しておかなければならない。それが秘書官の務めだ。そこで、とにかく放送中にアクションを起こしたことを菅官房長官に示すため、ショートメールを送ったのではないか、といわれている。〉
つまり、菅官房長官によるメディア圧力の実行部隊として中村氏は動いてきた人物でもあるのだ。その後、中村氏は警視庁刑事部長として伊藤さんの事件の逮捕状を握り潰したわけだが、この一件にとどまらず、中村氏は安倍政権の“秘密警察”と化してきた。
たとえば、中村氏がやはり刑事部長だった2015年、中村氏の指示により、安倍首相の秘書の息子が被害者となったゲームセンターでの喧嘩になんと凶悪犯罪を扱う捜査一課が投入され、強引に容疑者逮捕に及んだと昨年11月に「週刊新潮」が報道。記事によると、事情聴取で被害者の父親が「安倍総理の秘書をしていた」と話し、その報告書が本部に上げられたため中村部長が大騒ぎ。〈被害者は安倍(晋三)総理の秘書の息子さんなんだ。すぐに逮捕して欲しい〉と捜査一課長に精鋭を招集させた。そして、当時は東京・三鷹の小学校教諭の男性が児童に対する強制わいせつなどの疑いで逮捕されメディアでも大きく報じられたのだが、その捜査が大詰めを迎えていたときに釣宏志・捜査一課長が捜査員を呼び出し、こう命じたのだという。
〈三鷹をちょっと止めて別の件をやって欲しいんだ。世田谷署管内のゲームセンターで子供が殴られた。すぐやってくれ。(加害者を)3日で逮捕しろ。これは中村刑事部長のご下命だ〉
官邸の忠犬”中村格が実権を握り、警察はますます“安倍首相の私兵”に!
また、中村氏をめぐっては、昨年2月に刑事告訴され議員辞職した自民党の田畑毅・前衆院議員(のちに書類送検、不起訴)の問題でも、捜査の指揮を執った愛知県警本部長を警察庁に呼んで慎重捜査を厳命したと噂され、「田畑氏が刑事告訴された2月上旬以降、警察庁の中村格官房長が頻繁に官邸を訪ねている」とも報じられた。
安倍首相にベッタリの記者の逮捕取りやめを指示しただけではなく、政権に打撃を与える議員の事件への介入まで……。まさに“安倍官邸の忠犬”と呼ぶにふさわしい中村氏だが、問題なのは、今後、警察庁次長として権力を増大させた中村氏による“政権の秘密警察化”がさらにエスカレートすることは目に見えているということだ。
前述したように、中村氏は菅官房長官の秘書官時代に『報ステ』に圧力をかけた張本人だったわけだが、警察庁ナンバー2という立場から社会部にも睨みをきかせることができる。つまり、官邸が政治部に圧力をかけているのと同様、中村氏の権限で社会部の報道にまで介入することもできると言っていい。
さらに、一般市民への圧力も強まるはずだ。すでに昨年7月の参院選時には北海道札幌市で安倍首相の街頭演説中に「安倍やめろ!」とヤジを飛ばした市民が警察に取り押さえられ強制排除されるといった問題が起こり、この1月9日には、12日の“安倍やめろデモ”の運転手として東京都公安委員会に届出をしていた男性が「車庫飛ばし」という微罪で逮捕され、実名報道されるという事件が起きている。
中村次長の下で、こうした戦前の言論弾圧さながらの警察による違法捜査が頻発するだろう。
忠臣が論功行賞を得て、ますます安倍首相による「警察権力の私物化」が進んでゆく──。それは安倍首相を批判する行為自体が取り締まり対象となりうるという、恐怖の世界のはじまりなのである。
(編集部)
*************************
【杉並からの情報発信です】【YYNews】【YYNewsLive】
情報発信者 山崎康彦
メール:yampr7@mx3.alpha-web.ne.jp
*************************
【YYNews】【YYNewsLive】【杉並からの情報発信です】を主宰する市民革命派ネットジャーナリスト&社会政治運動家の山崎康彦です!
本日木曜日(2020年01月16日)午後9時50分から放送しました【YYNewsLiveNo2920】の放送台本です!
【放送録画】79分58秒
https://ssl.twitcasting.tv/chateaux1000/movie/588504963
【放送録画】
☆今日の最新のお知らせ
①『田中龍作ジャーナル』への『財政支援』のお願い!
昨日月曜日(2020.01.13)の放送の中でも取り上げましたが、田中龍作さんは1月24日支払期限の『サーバー料金34万3,405円』の支払いに苦しんでいます。
もしもこの支払いができないと『田中龍作ジャーナル』の配信が停止となります。
数少ない日本の『独立系ジャーナリスト』である田中龍作さんの取材活動を緊急に支える必要がありますのでぜひ財政支援をしてください!
『支援金支払い』の必要情報は以下の記事に掲載されております!
▲サーバー料金の請求が来ました 払わなければ『田中龍作ジャーナル』は止められます
2020年1月13日 田中龍作ジャーナル
https://tanakaryusaku.jp/
②一昨日火曜日(2020.01.14)夜の『YYNewsLive』で放送しましたメインテーマ『(ブログ記事再掲)なぜ『欧州ロスチャイルド家』は50兆ドル(約5400兆円)もの『とてつもない資産』を秘密裏に蓄積できたのか?』の『YouTube表紙』です。
【現時点での視聴者数】
【TwitCasting】: 341名
【YouTube】: 402名
_________________________
計 743名
②昨日水曜日(2020.01.15)夜の『仏日語放送』で放送しましたメインテーマ『Quelle est "la vraie cause" de "la destruction de ・・?,現在我々が世界規模で直面している『生活破壊』『人間の尊厳の破壊』『地球環境の破壊』の『根本原因』とは何か?』の『YouTube表紙』です
【現時点での視聴者数】
【TwitCasting】: 101名
【YouTube】: 176名
_________________________
計 277名
☆今日の注目情報
①[記者手帳] がんばれ! 山本太郎
2020/01/15 ハンギョレ新聞
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200115-00035470-hankyoreh-kr
日本のみならず、韓国でもSNSで注目を集めている日本の政治家がいる。結党9カ月の日本の新生政党「れいわ新選組」の山本太郎代表だ。「れいわ新選組」は、「令和時代(日本の年号)」を新たに導く組織という意味だ。
党代表の山本は院外で活躍している。日本の参議院比例代表選挙は党と個人に投票してそれを合算する方式だが、山本は昨年7月の参議院選挙で全候補者全体中、最多得票を獲得。しかし候補者名簿の3位を選択したため落選した。れいわ新選組は戦略的に比例名簿1、2位を重度障害者に割り当て、彼らが当選した。選挙が終わって山本が選んだのは「街頭質疑応答」だ。ほとんどの政治家が選挙シーズンに派手な街頭演説を行ういっぽう、彼は選挙が終わってから、より本格的に人々との対話に取り組み始めた。北海道、九州、沖縄、東京、大阪、京都など全国を回った。
これには理由がある。彼は今年46歳(1974年生まれ)。15歳の時から芸能人として生活してきた。彼の人生を変えたきっかけは2011年の東日本大震災。原発の危険性を隠ぺいする日本政府を批判しただけなのに、その後ドラマ出演が取り消され、芸能プロダクションからも追い出された。彼は芸能生活ができなくなると、原発反対運動をしながら1年半にわたって全国を回った。人々と出会い、原発問題だけでなく貧困、非正規労働者、障害者など日本の絶望的状況に目覚めはじめた。「こんな地獄が広がっているとは知らなかった。私はこのような問題に声をあげたこともなければ行動することもなかった。無関心な私がこの地獄のような世の中を作ったんだと思った」。朝日新聞の発行する月刊誌『ジャーナリズム』との最近のインタビューの内容である。彼は現場で日本の姿をありありと見て、政治の世界に足を踏み入れた。2013年の参議院選挙では東京選挙区から出馬し、当選している。
山本は常に現場で新しい道を探った。昨年9月から12月まで行われた山本の全国ツアーの映像の中でも「涙の演説」は韓国でも有名だ。「人間の価値を生産性で語る世の中、あなたは家の役に立っているか、会社の役に立っているか、社会の役に立っているかという空気の中で、もうみんなボロボロなんですよ。1年間で2万人ぐらい人死んでいるんですよね、自殺で。死にたくなるような世の中やめたいんですよ。この国で一番えらいの誰? 皆さんなんですよ。…だったらやりましょうよ」山本は、こう言いながら子どものように涙を流した。
人の心を打つ演説だけでなく、山本が持って歩く5万枚のスライドには労働、経済、財政、教育など、彼が取り組みたい政策が盛り込まれている。そして現場で有権者と対話しながら少しずつ修正している。私は全国ツアーの映像をしばしば見るのだが、今は山本よりも現場での反応の方が興味深い。あまり自分の意見を表に出さない日本人が、公共の場で自由に質問する姿が新鮮だ。「山本はいつも国民という単語ではなく、この国に住んでいる人たちと言うが、理由があるのか」「中学生です。今、日本の教育制度は深刻だ。教育公約を聞きたい」「日本が日米関係で自主独立という立場を取るうえで、防衛、外交はどうすれば良いと思うか」「9歳。地球温暖化は人間がコントロールできないほどの臨界点に達しているようだ。どうすればいいか」。彼らは山本と新しい日本を語っていた。
日本社会が変われば、韓日間の歴史問題も未来志向的に解決できるのではないか。日本社会が強制動員、慰安婦被害を国益ではなく人類の普遍的な人権問題と見るようになるというは夢に過ぎないのだろうか? 山本に質問する日本人を見ると小さな希望がわく。まだ日本社会には山本の政治を「ショー」と見る人が多い。しかし、このような「ショー」なら、続けても悪くはないと思う。応援する。頑張れ! 山本太郎!
キム・ソヨン統一外交チーム記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
☆今日のひとこと
■『金融経済』と『実体経済』の関係 (山崎康彦)
①『実体経済』とは、我々の日々の労働によって『価値』を生み出す『実物経済』である
②『金融経済』とは、『実体経済』から派生した『カネと金融商品』を『売買』するだけで何の価値も生まない『博打経済』である。
③『実体経済』と『金融経済』の関係をわかり易く言うと、『実体経済』は人間の『健康細胞』であり『金融経済』は『癌細胞』ということになる。
④『金融経済=癌細胞』は『実体経済』である人間の『健康細胞』に取り付き、養分を吸い取って周囲に毒素をまき散らして死ぬまで肥大化する『癌細胞』なのである。
⑤日本の『実体経済=健康細胞』の規模は、GDP(国内総生産)の同じ年約540兆円(約4.4兆ユーロ)である。
⑥他方日本の『金融経済=癌細胞』の規模は公表されていないが、『金融経済=癌細胞』の規模を年間の『金融商品と取引額』とすると、私の計算では約1京円(10000兆円)となる。
⑦日本の『金融経済=癌細胞』の現在の規模は『実体経済=健全細胞』の『約20倍』になっていることになる。
⑧世界支配階級と代理人の各国国支配階級は『金融経済=癌細胞』が『実体経済=健全細胞』を破壊し殺している『真実』を隠している!
⑨日本と世界各国で共通に起きている『悲劇と不幸』の『根本原因』は、肥大化した『金融経済=癌細胞』が『実体経済=健康細胞』を『全面破壊』して殺し、自分だけが肥え太り続けていることなのだ。
1. 貧困と格差が蔓延している。
2.幾ら働いても労働者の賃金は低下し長時間労働による『過労死』と『うつ病』が激増している。
3.政府を批判し貧困や不平等を糾弾する国民を弾圧する独裁的な大統領や首相が多数登場している。
4.地球温暖化によって大規模な台風や豪雨や高温や森林火災が発生し人間と動植物を破壊している
⑩『金融経済=癌細胞』による『実体経済=健康細胞』の『全面破壊』をストップする方法とは『実体経済=健康細胞』への課税を廃止し『金融経済=癌細胞経済』に『5%の金融商品取引税』を課税することである。
⑪日本の1京円(10000兆円)の『金融経済』に『5%の金融商品取引税』を課税すれば500兆円の『新税』が生まれる。
⑫いま日本をはじめ世界各国で必要なことは、各国の『金融経済』に『5%の金融商品取引税』する『市民革命政権』を一日も早く樹立して『金融経済』を縮小させ『実体経済』を再生させることである。
☆今日の推奨本(朗読)
■【推奨本】エレーナ&ベアタ・エルマン、グレタ&スバンテ・トゥーンべり著『グレタ たった一人のストライキ』(海と月社刊2019年10月7日)
第十四回朗読 (2020.01.16)
●難民に住まいを提供する (P43)
(1)今日のメインテーマ
■スイス中央銀行の金融政策の目的は『スイスフランの安定=為替管理』だが米中央銀行、欧州中央銀行、日銀の金融政策の目的は『自国の景気刺激のための金融緩和』である!(No1)
この違いがよくわかる『スイスインフォ』の記事を二つ取り上げました。
【違いのポイント】
①スイス中央銀行(SNB)の金融政策
1.スイス連邦憲法は、スイス中央銀行(SNB)に『国全体の利益を考慮した金融政策『を行うよう義務付けている。収益を上げたり配当金を分配したりすることはSNBの目的ではない。
2.スイス中央銀行(SNB)は『外貨準備管理』を役割として持っている。「いつでも金融・通貨政策をとる余地がある」状態を保つ使命をもっている。
3.スイス中央銀行(SNB)は個別株を積極的に買っている。SNBは米国株を含め1527億フラン(約16兆6千億円)を外国株に投じている。
4.スイス中央銀行(SNB)が外国株を積極的に買うのは、『安全資産』であるスイスフランの『為替レート』を安定させ急激な『フラン高』を抑制するためである。
5.スイス中央銀行(SNB)が『為替レート安定』のためにスイスフランを売り、ドル、ユーロ、円を買うことで貯まった巨額な外貨の運用のために外国株を購入している。
6.スイス中央銀行(SNB)の外国株などを『資産購入』の目的は、『スイスフラン高』のためにスイス企業が輸出競争力を失わないために『為替介入』を行うためのであり『金融緩和』のためではない。
②米中央銀行(FRB),欧州中央銀行(ECB),日銀の金融政策
1.米中央銀行(FRB)、欧州中央銀行(ECB)、日銀の金融政策は、スイス中央銀行(SNB)のように『国全体の利益を考慮した金融政策』ではなく『自国の景気を刺激するための金融政策=金融緩和』である。
2.そのため米中央銀行(FRB)、欧州中央銀行(ECB)、日銀は民間の『株』や『社債』ではなく自国政府発行の『国債』や『政府機関債』を『資産購入』するのが大半である。
3.米連邦準備制度理事会(FRB)は株の購入が禁止されている。
4..欧州中央銀行(ECB)の資産購入プログラムも国債や政府機関債などに対象が絞られている。
5..日銀は上場投資信託(ETF)(注山崎:年間約8兆円)の購入を通じて株に投資するが個別の銘柄の買い手として名が挙がることはない。
【該当記事1】
▲金融政策 スイス中銀、巨額黒字で「大盤振る舞い」
Armando Mombelli
2020/01/14 スイスインフォ
https://bit.ly/2NvyuKp
新デザインの100フラン札を掲げるスイス国立銀行(中央銀行)のトーマス・ジョルダン総裁
2019年、スイス国立銀行(スイス中央銀行、SNB)は490億フラン(約5兆6千億円)と、過去2番目に大きな黒字を叩き出した。潤沢な資金を背景に、SNBは連邦や州に「大盤振る舞い」する方針だ。
巨額の黒字の理由は?
SNBは特に資本・為替・金市場で大きな利益を出した。中でも力強い世界株式相場で400億フランの利益が生まれ、金相場の上昇も70億フラン近い利ざやをはじき出した。
SNBは9日、2019年の決算は490億フランの黒字になる見通しだと発表した。詳細な結果は3月に発表予定。
なぜSNBは過去数年、黒字を出し続けているのか?
2008年、世界各国の政府は深刻な金融危機への備えを欠いていた。以来、米国や欧州、日本を含む多くの中央銀行は金融市場や国民経済の崩壊を防ぐため、積極的に金融市場に干渉するようになった。
SNBもそれに追随した。08年にはスイス最大の民間銀行UBSの救済に、500億フラン超を拠出。翌年には継続的に為替介入し、スイスフランの高騰を抑えようとした。そのためにSNBは外貨準備を大幅に引き上げる必要があった。10年間で外貨準備は800億フランから8000億フランに膨らんだ。スイスの国内総生産(GDP )を上回る額だ。
外貨準備の拡大は過去数年、SNBに大きな黒字をもたらしたが、大きな赤字の原因になる年もある。
SNBの利益はどう分配されるのか?
SNBの収益の分配方法は、連邦財務省とSNBの間で取り決められている。2016~20年の取り決めででは、配当準備金に繰り入れがある場合、1年当たり10億フラン以上を配当金として、3分の1を連邦政府、3分の2を州政府に配分する決まりになっている。この配当金の最低額は、配当準備金の黒字が200億フランを超えると20億フランに引き上げられる。
こうした決まりになって以来、連邦・州政府はSNBが赤字を計上した年もほぼ毎年配当金を得ている。配当金がゼロだったのは2013年だけだ。
なぜSNBは配当金を大盤振る舞いするのか
SNBによると、今後の配当に備える配当準備金は過去最高の860億フランに到達した。SNBは取り決められた20億フランを超える配当金(金額は未定)を連邦・州政府に納めることができる。ここ数年で政治家や労働組合、各州からの批判が高まっているのを考慮した上での決断だ。
連邦憲法は、SNBに国全体の利益を考慮した金融政策を行うよう義務付けている。収益を上げたり配当金を分配したりすることはSNBの目的ではない。全ての主要政党は中央銀行の独立性を尊重している。
それでもこの数年は外貨準備や黒字の拡大を背景に、配当金の増額を求める圧力が高まっている。
労組は一例として、基礎老齢年金(AHV)の健全化や企業年金の利子率引き上げに収益を充てるよう提案している。5年前に始まったSNBのマイナス金利政策により、年金基金の運用が難しくなっていることが理由だ。スイス労働組合連合(SGB/USS)のピエール・イヴ・マイヤール会長は「SNBが数十億フランの収益の扱いに困っているのに、年金制度が弱体化しますます財布の紐を締めなければならない理由を人々にどう説明すればいいというのか」と話す。
SNBのトーマス・ジョルダン総裁は数週間前、こうした要望をやんわりと拒否した。「金融政策と社会政策を混同するのは危険なことだ。SNBに不必要な圧力がかかるため、SNBの適切な機能遂行を阻害することになる」
【該当記事2】
▲通貨の番人 GAFA投資進めるスイス中銀が抱えるリスク
ムートゥ朋子
2019/07/19 スイスインフォ
https://bit.ly/38fQBvT
スイス国立銀行のファサード
グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン。「GAFA」と総称され政治さえ動かす力を持つ巨大IT企業たちに、巨額を投資する世界でもまれな中央銀行がある。スイス国立銀行(SNB)だ。
米証券取引委員会(SEC)は1億ドル以上の米国株を保有する機関投資家に、四半期ごとに保有株の総額・数量などの開示を義務付けている。SNBもその対象で、直近3月末時点で保有する米国株は2507銘柄、総額911億6099万ドル(約9兆8千億円)。上位10銘柄には米国を代表する大企業が名を連ねる。
SNB保有米国株 保有額の推移
SNB保有米国株 保有額の推移を示す折れ線グラフ
公表データで遡れる2013年6月からの変化をみると、アップルやフェイスブックなど、「GAFA」と呼ばれる巨大IT企業への増額が際立つ。6年前にトップだったエクソン・モービルは低調だ。足元の順位は米国の時価総額ランキングに酷似する。
一方、保有株数を眺めると、その順位は少し異なる。トップはジェネラル・エレクトリックの2903万株で、2013年から王座を譲ったことはない。その他通信事業者や精密、製薬などの企業がトップ10に並び、GAFAではアップルしか顔を出していない。GAFAに積極投資しているというより、保有株の評価額が膨らんでいる格好だ。
SNBの米国株 保有数
SNBの保有する米国株数の推移を示す折れ線グラフ
フラン売り介入の副産物
SNBの株買いがこれほど注目されるのは、個別株を買う先進国の中央銀行はスイスくらいだからだ。SNBは米国株を含め1527億フラン(約16兆6千億円)を外国株に投じている。一方、米連邦準備制度理事会(FRB)は株の購入が禁止されており、欧州中央銀行(ECB)の資産購入プログラムも国債や政府機関債などに対象を絞っている。日銀も上場投資信託(ETF)の購入を通じて株に投資するが、個別の銘柄の買い手として名が挙がることはない。これら中銀の資産の大半は国債で構成されている。
SNBはなぜ個別株を買うのか。他の中銀との違いは、SNBが金融緩和の手段として資産を購入しているわけではないことだ。
日銀などの資産購入は国内の金融市場に十分な資金を提供することで、企業がお金を借りやすくし、景気を下支えする狙いがある。多少はリスクの高い資産を買い取り、市場参加者がリスクを取って投資するのを促す必要があるが、「景気刺激」の名目で個別企業の株を買い入れれば市場に思わぬ憶測を呼ぶ。大半は安全性の高い国債に振り向ける。
一方、SNBの株買いの資金源は、フラン相場の高騰を食い止めるための為替介入だ。リーマン・ショックや欧州財政危機以降、安全通貨とされるスイスフランには資金が集まりやすく、フラン高が進みがちだ。フラン相場を押さえるため、SNBは2011年9月にフランの対ユーロ相場に上限を設け、無制限でフラン売り・ユーロ買い介入をする姿勢を見せた。15年1月に上限は撤廃されたが、その後もフラン高圧力が高まる場面では介入を続けていた。
買い入れた外貨は、緊急時に外貨建て債務の支払いなどに充てる外貨準備に充てられる。昨年末時点で7385億ドルと、10年前の10倍以上に膨らんだ。ただ18年初以降は増加が止まっている。フランが上昇しにくくなり、介入の必要がなくなってきたためだ。
外貨準備とフラン相場
SNBの外貨準備高の推移を示すグラフ
スイスで外貨準備の管理は中央銀行の役割で、「いつでも金融・通貨政策をとる余地がある」状態を保つ使命がある(中央銀行法第5条他のサイトへ)。SNBは04年に策定した投資政策の基本方針で「長期的な収益性とリスクのバランスを改善するため、外国為替資産の一部は、株を含む国債以外の資産にも振り向ける」と明記している。
要は、スイス企業が輸出競争力を失わないために為替介入を行い、その結果貯まった外貨の運用先として、一部を米国株など先進国株に充てているという構図だ。
外貨準備は、スイス中銀のバランスシート(貸借対照表)の資産の部に「外国為替投資」と計上される。2018年の決算では、外国株が124億フランの損失を出したが、外国債券の損失56億フランと合わせた損失180億フランのうち、113億フランは為替相場の変動が原因だった。外国株は配当金340億フランという収益ももたらしており、株の暴落がなければまずまずの収益源と言ってよさそうだ。
本当のリスクはどこに?
SNBはどのように収益とリスクのバランスをとっているのか。外国為替投資の内訳をみると、7割は外国債、2割が外国株、1割がその他の債券で、この配分はほぼ一定だ。通貨別にみたユーロ建てが40%、ドル建てが35%、円建てが10%、英ポンド・カナダドルなど他の通貨が15%程度という比率もほぼ変わらない。
SNBで投資方針を決めるのは理事会他のサイトへだ。総裁と副総裁、理事から成る組織で、日本の政策委員会に当たる。安全性や流動性、収益性を踏まえ、金融政策と利益が相反しないように投資戦略を立てる。その枠組みの中で、行内の投資委員会が通貨の配分や期間などを決める。中銀の監視役である銀行評議会(Bank Council)他のサイトへもリスクを管理する。
株式投資に関しては次のようなルールがある。
購入対象は主要株価指数を構成する上場企業の株。先進国・途上国かは問わない
戦略的利益を追求することはなく、一般的に株式の選択には関与しない。株価指数の組み合わせを複製することによって受動的に管理する
潜在的な利益相反を排除するために、原則として中・大型株の銀行および先進国の銀行には投資しない
国際的に違法な武器を製造する企業、基本的人権を大規模に侵害する企業、または重大な環境破壊を体系的に引き起こす企業には投資しない
リスクはきっちりコントロールされているようだが、国民の目は厳しい。批判の矛先はリスクの高さよりも、環境や人権への配慮が足りないことだ。
スイス気候連盟はSNBの投資が気温を4~6度上昇させていると非難。昨年4月にはパリ協定や国連の持続可能な開発目標(SDGs)に公式にコミットするなど、10項目の提言を盛り込んだ報告書を発表した。
ドイツ語圏のスイス公共放送(SRF)は昨年、トーマス・ジョルダン総裁との独占インタビュー他のサイトへで、SNBが米軍需メーカーのレイセオン株を保有していると厳しく追及した。総裁は「兵器メーカーをすべからく除外するのではなく、違法な兵器を生産する企業の株はポートフォリオから外している」と説明し、中銀の方針に変更はないと強調した。
スイスの「軍隊なきスイスを目指す会他のサイトへ(GSoA/GSsA)」らはSNBや政府系基金などに兵器メーカーへの投資を完全に禁止するよう求めるイニシアチブ(国民発議)他のサイトへを提起。昨年6月に必要な署名を集め成立した。連邦議会は今年6月にイニシアチブに反対する方針を決めた。来年にも提案の是非が国民投票にかけられる。
扱う金額も中銀という立場からも、SNBの投資方針が市場の手本となるのは確かだ。だが環境や人道を突き詰めすぎると投資が恣意的になったり、投資先が絞られすぎたりといった危うさも出てくる。SNBにとっての最大の投資リスクは、直接民主制の根付いたスイスの国民性かもしれない。
(おわり)
(2)今日のトッピックス
①安倍首相「躊躇ない」が発端 通常国会“冒頭解散説”再浮上
2020/01/15 日刊ゲンダイ
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/267591
「桜」を蹴散らしたい(2019年「桜を見る会」の安倍首相夫妻)/(C)日刊ゲンダイ
20日の通常国会召集を前に、永田町に“微風”が吹き始めた。内閣支持率の下落に加え、カジノ汚職事件で元内閣府副大臣が逮捕されて立ち消えになった冒頭解散説が再び流れているのだ。国会冒頭の動き次第では、一気に突風になる可能性がある。
◇ ◇ ◇
直接のきっかけは、安倍首相が12日のNHK番組で、衆院解散・総選挙に関して「解散すべき時が来たと思えば解散に躊躇はないが、現在のところ全く考えていない」と話したことだ。解散時期については嘘を言うのが永田町の慣例だから、「躊躇はない」の発言だけがクローズアップされた。そのうえ、最近の安倍首相はやけに上機嫌なのだという。
「下落が止まらなかった支持率が回復基調にあるからでしょう。共同通信の世論調査では6ポイントも上がった。『桜を見る会』の疑惑追及や公私混同批判にさらされてイライラしているところに、カジノ汚職事件で逮捕者が出た年末が“底”でした。野党の合流話が進んでいることにもカリカリしていた。解散が遠のいたと見て、野党の合流話が止まったことも好材料です。総理の周辺でも『今なら勝てる』という主戦論が再浮上しているのです」(官邸関係者)
「今なら勝てる」
それで囁かれているのが、補正予算をさっさと成立させて解散、2月中に投開票というシナリオだ。
本予算の審議に入れば、「桜を見る会」やカジノ汚職、自衛隊の中東派遣などで野党から厳しく追及される。最近の政府答弁の迷走ぶりをみていると、嘘とゴマカシで長丁場を乗り切れそうにない。野党が攻め立てれば、再び支持率が下がることは確実だ。その前に解散を打った方が得策だと考えても不思議はない。
選挙後に内閣の小幅改造を行って、カジノ疑惑などで名前が挙がっている政務三役を本予算審議の前に交代させられるメリットもある。このタイミングを逃せば、夏の東京五輪後まで事実上、解散権が封じられる。二階幹事長も13日、解散の時期について「必然の課題があれば別だが、わざわざ東京五輪の前に大騒ぎする必要はないんじゃないか」と語り、東京五輪・パラリンピックが閉幕する9月上旬までの解散には否定的だった。
支持率が下がり、伝家の宝刀も竹光だとバレていたら、首相が求心力を保つことは難しい。2月選挙は五輪前のワンチャンスでもあるのだ。
「死に体になるのを避けようと思えば、選挙に打って出る可能性は十分ある。野党の合流がまとまらず、準備が間に合わない今が勝てる好機なのは間違いありません。“桜疑惑”は首相夫妻の問題ですから、本予算審議の前に選挙でリセットして、うるさい野党を蹴散らしたいという願望もあるでしょう。最後は首相がどう決断するかです」(政治評論家・有馬晴海氏)
大義など関係なく、勝てるときに選挙をやるのが安倍政権の流儀だ。野党は内輪モメしている場合ではない。
②真珠湾訪問「何のため?」 地理歴史にうといトランプ氏浮き彫り、米記者新刊
2020年1月16日 AFP日本語版
https://www.afpbb.com/articles/-/3263735?cx_part=latest
米ハワイ・ホノルルの真珠湾で、第2次世界大戦中の日本軍の奇襲による犠牲者を追悼するアリゾナ記念館を訪問し、海に花を投げるドナルド・トランプ米大統領とメラニア夫人(2017年11月3日撮影)
【1月16日 AFP】ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領はインドと中国が国境を接していることを知らず、ハワイの真珠湾(Pearl Harbor)を訪問する意味もよく理解していなかった──米紙ワシントン・ポスト(Washington Post)の記者2人による新著「A Very Stable Genius(非常に安定した天才)」の内容の一部が15日、同紙に掲載され明らかになった。
フィリップ・ラッカー(Philip Rucker)記者とキャロル・レオニグ(Carol Leonnig)記者が手掛けた同書は、トランプ氏の気まぐれな振る舞いの数々とともに、基礎的な地理や歴史に対する無知ぶりを浮き彫りにしている。
同書によるとトランプ氏は、インドのナレンドラ・モディ(Narendra Modi)首相との会談の席で、「あなた方は中国と国境を接しているというわけではないでしょう」と発言したという。実際にはインドと中国は隣国で、1962年にはヒマラヤ(Himalaya)山中の係争地をめぐって紛争も起きている。
このトランプ氏の発言と、インドが直面する中国の脅威を否定するような態度を受けて、「モディ氏は驚きに目を見張った」「モディ氏の表情は徐々に、衝撃から懸念へ、そして諦めへと変わっていった」と同書は記している。
この首脳会談の後、米国との外交関係から「インドは一歩引いた」とトランプ氏側近の一人は著者らに語ったとされる。
また同書には、1941年12月7日の真珠湾攻撃で日本軍によって撃沈された米戦艦アリゾナ(USS Arizona)の追悼式典にトランプ氏が出席した際のエピソードも紹介されている。それによるとトランプ氏は、当時大統領首席補佐官だったジョン・ケリー(John Kelly)氏に向かって「ジョン、一体これは何だ? 何のための訪問だ?」と尋ねた。
「トランプ氏は『真珠湾』という言葉を聞き、歴史的な戦闘のあった場所を訪れるのだという点は理解したようだったが、それ以上はあまり分かっていないように見えた」という。
新著は、「彼(トランプ氏)は時々、危険なほど無知だ」との米ホワイトハウス(White House)元上級顧問の言葉も引用している。
③トランプ大統領の弾劾訴追決議、上院に送付 21日に審理開始
2020年1月16日 AFP日本語版
https://www.afpbb.com/articles/-/3263696?cx_part=latest
米首都ワシントンで、ドナルド・トランプ大統領の弾劾訴追決議に署名するナンシー・ペロシ下院議長(2020年1月15日撮影)
【1月16日 AFP】米下院は15日、ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領の弾劾訴追決議(起訴状に相当)を上院に送付した。
民主党のナンシー・ペロシ(Nancy Pelosi)下院議長は、「大統領がわが国の国家安全保障を台無しにし、就任宣誓に違反し、わが国の選挙の安全を危うくする行動を取ったことは、非常に悲しく、悲劇的なことだ」と述べた後、儀式用のペンで「職権乱用」と「議会妨害」の2つの弾劾訴追決議に署名した。
米共和党のミッチ・マコネル(Mitch McConnell)上院院内総務は、「上院での弾劾裁判は21日に本格的に始まる予定」と語った。審理は2週間続く見通し。
共和党は定数100の上院で53議席を占めているため、有罪・罷免に必要な上院議員の3分の2以上の賛成を得る可能性は極めて低い。
④トランプ氏やグレタさん参加 ダボス会議、気候や中東議題に
2020年01月15日 時事通信
https://www.jiji.com/jc/article?k=2020011500179&g=int
国連本部で開かれた気候行動サミットで演説するスウェーデンの環境活動家グレタ・トゥンベリさん=2019年9月23日、ニューヨーク(AFP時事)
【ベルリン時事】世界経済フォーラムは14日、スイス東部ダボスで21~24日に開く年次総会(ダボス会議)に、トランプ米大統領やメルケル独首相、環境活動家グレタ・トゥンベリさんら、各界のリーダー約3000人が参加すると発表した。
気候変動や格差問題に加え、緊張が高まる中東情勢も主要議題となる見通し。中東からはイラクのサレハ大統領らが参加するが、米国と対立を深めるイランのザリフ外相は出席を直前に取りやめた。
日本の安倍晋三首相や、中国の習近平国家主席、ロシアのプーチン大統領は参加者リストに入っておらず、欠席するとみられる。民間企業からは、米アップルや中国の阿里巴巴(アリババ)集団などの幹部が集まる。
昨年9月にニューヨークの国連本部で開かれた気候変動対策の具体策を表明する「気候行動サミット」では、グレタさんが「怒りの演説」を行い、注目を浴びた。トランプ大統領も短時間出席し、会場でグレタさんと「ニアミス」する場面もあった。
⑤「名簿はなかったことに…」官僚たちが目論んだ完全犯罪 すべてはアベのために
2020年1月14日 田中龍作ジャーナル
https://tanakaryusaku.jp/
山井和則議員。オリジナルの文書を出すよう内閣府に求めているが、約束の時刻を過ぎても持って来ない。「本物を止めているのは誰か?」と語気を強めた。=14日、衆院16控室 撮影:田中龍作=
官僚たちは安倍首相のウソを繕うために完全犯罪を目論んだ。
黒塗りであれば隠したことが明らかになる。だが、白塗りにしてコピーをかければ、問題の箇所は最初からなかったことになる・・・
“事件”のいきさつはこうだ―
昨年11月22日、参院予算委員会の理事懇談会に、政府が桜を見る会の推薦者名簿を提出した。各省庁が保管していた4千人分だ。
この名簿の一部に巧妙な文書改ざんがあった。部局名を修正テープで白塗りにしたうえでコピーをかけていたのだ。それが理事懇に提出された。
白塗りにしたのは「内閣官房内閣総務官室総理大臣官邸事務所」とその略称である「閣総」。閣総は安倍首相からの推薦を取りまとめる。疑惑の核心を握る組織だ。
理事懇に名簿を提出する2日前(11月20日)に、衆院内閣委員会で内閣官房の審議官が「内閣総務官室(閣総)の推薦者名簿は廃棄済み」と答弁していた。
もし「内閣官房内閣総務官室総理大臣官邸事務所」と「閣総」を消さずに出したら、廃棄していないことがモロバレとなる。
このため内閣府は白塗りの細工を施したのである。ウソにウソを重ねるというやつだ。
政府が参院予算委員会の理事懇に提出していた改竄文書。左はしの空白には「閣総」と書かれていた。
理事懇への書類は与野党が合意したうえで提出される。改竄した書類を出すのは、公文書偽造の罪にあたるばかりではない。国会に対する冒涜なのである。
役人の一存でこんな大それた犯罪ができるわけがない。
きょう14日にあった野党ヒアリングで、山井和則議員(立憲)が「決裁したのは(内閣官房)人事課長か、官房長か、菅官房長官か?」と政府側を質した。
内閣府大臣官房の酒田元洋・総務課長は「最終的には人事課長です」と答えた。
政治家を守るために、官僚は泥をかぶる決心を固めているようだ。
東京新聞の追及がなければ、与野党の国会議員はガセをつかまされたままだった。
公文書改竄すなわち歴史を改竄するという犯罪は闇に埋もれたまま。完全犯罪が成立していたのである。
~終わり~
◇
【お知らせ】
サーバー料金の請求が来ました。払えなければ『田中龍作ジャーナル』は止められます
田中龍作の取材活動支援基金
⑥鳩山氏遺族は7億円申告漏れ 世襲議員に"無税相続"の抜け穴
2020/01/15 日刊ゲンダイ
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/267528
遺産は100億円超の鳩山邦夫元総務相(C)日刊ゲンダイ
東京国税局が故・鳩山邦夫元総務相の遺族に相続財産約7億円の申告漏れを指摘した。問題は漏れた相続財産の中身だ。政治団体への貸付金を相続財産に含めないなどのミスがあったという。資金管理団体など政治団体を用いた資産継承こそ、国税のタブーだった。
邦夫氏が代表を務めた資金管理団体「新声会」の収支報告書によると、2016年6月の死去時に邦夫氏からの貸付金は6件、計約4億5000万円あった。うち1件8000万円は母・安子さんの死去に伴う相続分。もう1件の約2400万円は当初、妻エミリーさんが16年7月に貸し付けたと記載したが、昨年4月に修正。邦夫氏が亡くなる4日前に貸し付けたと改められた。
16年8月に新声会は貸付金を清算せず、人件費に約55%の資金を費やすなど残金をほぼ使い切り、いったん解散。当時は秘書だった次男の二郎衆院議員が同名の資金管理団体を届け出ると、貸付金の記載はごっそり消えた。
故人が会社や個人などに貸し付けた資金は原則、相続対象となるが、遺族は新声会への貸付金を申告しなかった。
■安倍家も小渕家も…
政治団体の代表の政治家が死亡、もしくは引退後の残金処理に規定はない。後継者が新たな代表になって政治資金を継承したり、別団体に移すことも可能な上、引き継いだ資金は相続税や贈与税の課税対象外となる。
この“抜け穴”こそ「課税逃れの世襲特権」と呼ばれるゆえんで、国税当局も手も足も出せなかった経緯がある。実際、00年の小渕恵三元首相の急逝後、資金管理団体に残った約1億6000万円は、娘の優子元経産相の資金管理団体が複数の政治団体を通じて“相続”。小泉進次郎環境相も父・純一郎元首相の引退後、複数の政治団体を通じて政治資金をほぼ丸ごと継承した。安倍首相も父・晋太郎元外相の死後、政治団体を引き継ぐと同時に6億円超もの政治資金をそっくり継承。「相続税逃れ」と報じられた。
「当局が政治団体を用いた資産継承に踏み込んだのは画期的。相続税の大幅改正で大した資産のない庶民まで課税強化される中、世襲議員の課税逃れの放置は許されない。今回を機に国税には追及を強めて欲しい」(政治資金に詳しい神戸学院大教授の上脇博之氏)
持っている人から取るべきだ。
⑥
(3)今日の重要情報
①山口敬之逮捕を握り潰した中村格が警察庁ナンバー2に!『報ステ』に圧力、安倍秘書の息子の喧嘩にまで介入した“官邸の忠犬”
2020.01.15 Litera
https://lite-ra.com/2020/01/post-5206.html
警察庁ナンバー2に中村格が!(警察庁HP)
ついに、あの“官邸の忠犬” “政権の爪牙”が警察庁ナンバー2の座に就く。昨日14日、警察庁長官に松本光弘次長、警視総監に斉藤実副総監が昇格する人事が閣議で承認されたが、同時に警察庁次長に中村格官房長が就くことがわかったからだ。
次長というと長官のたんなる補佐役のように受け取られがちだが、実際にはその権力は絶大で、指揮監督は全国におよび、事実上、警視総監以上の権限をもつ。しかも、予算をはじめ人事や政策立案まで握るポジションであり、さらに出世コースとしては次期長官が約束されたも同然だ。
そのポストに官邸の忠犬たる中村氏が就く──。この人事に、憤りを覚える人はきっと多いはずだ。
というのも、中村氏といえば、昨年12月に東京地裁で勝訴した伊藤詩織さん事件で山口敬之氏の逮捕を潰した最重要キーマンだからだ。
あらためて振り返ると、元TBS記者で「安倍首相にもっとも近いジャーナリスト」と呼ばれていた山口敬之氏から性暴力を振るわれたという伊藤さんの相談を受け捜査を担当していた高輪署の捜査員が、2015年6月8日、逮捕状を持って成田空港で山口氏の帰国を待ち構えていた。ところが、この逮捕直前に上層部からストップがかかった。この逮捕取りやめを指示したのが、当時、警視庁刑事部長だった中村氏だった。実際、山口氏の逮捕を取りやめるよう指示したことについて、本人が「週刊新潮」(新潮社)の直撃に対し、「(逮捕は必要ないと)私が決裁した」と認めているのである。
伊藤さんの著書『Black Box』(文藝春秋)には、伊藤さんが直接、中村氏への取材を二度試みたくだりが出てくるのだが、それによれば、中村氏は一切の説明をせずに逃げたのだという。
〈出勤途中の中村氏に対し、「お話をさせて下さい」と声をかけようとしたところ、彼はすごい勢いで逃げた。人生で警察を追いかけることがあるとは思わなかった。
私はただ、答えが欲しいのだ。中村氏にはぜひ、「私のした判断は間違いではなかった。なぜなら……」ときちんと説明して頂きたい。なぜ元警視庁刑事部長の立場で、当時の自分の判断について説明ができず、質問から逃げるばかりなのだろうか?〉(『Black Box』より)
結果的に事件は2015年8月に書類送検され、山口氏は翌年7月22日付けで嫌疑不十分で不起訴処分に。逮捕寸前まで行った事件が、このように中村氏の逮捕取りやめ指示によって“ブラックボックス”のなかに押し込められてしまったのである。
そして、この中村氏による逮捕取りやめ指示の背景にあるとみられてきたのが、中村氏と菅義偉官房長官の関係だ。中村氏は第二次安倍政権発足時に菅官房長官の秘書官をつとめており、“菅の懐刀”と言われてきた。
その深い関係を象徴するのが、『報道ステーション』(テレビ朝日)の古賀茂明降板事件だ。2015年、IS人質事件に関してレギュラーコメンテーターだった古賀氏は安倍首相が「『イスラム国』と戦う周辺国に2億ドル出します」と宣戦布告とも取られかねない発言をおこなったことを批判。さらに「まぁ私だったら“I am not ABE”(私は安倍じゃない)というプラカードを掲げて、『日本人は違いますよ』ということを、しっかり言っていく必要があるんじゃないかと思いましたね」と発言した。
この発言に官邸は大激怒。本サイトでも当時伝えているが、「菅官房長官の秘書官」が番組編集長に電話をかけまくり、編集長が出ないと今度はショートメールで「古賀は万死に値する」という、恫喝をかけた。その「菅官房長官の秘書官」が中村格氏だったのである。
『報ステ』に圧力メール、安倍首相秘書の息子のために「ゲーセンのケンカ」に捜査一課を投入
古賀氏は著書『日本中枢の狂謀』(講談社)のなかで、この『報ステ』に恫喝メールを送った「菅官房長官の秘書官」が中村氏であることを明かし、こう綴っている。
〈一月二三日の最初の「I am not ABE」発言の直後、なんと番組放送中に、まず中村格官房長官秘書官(当時)から、報道局ニュースセンター編集長の中村直樹氏に電話があったという。たまたま中村編集長が電話を取り損ねると、今度はショートメールが入った。テレ朝関係者に聞いた話では、その内容は「古賀は万死に値する」といったような、強烈な内容だったそうだ。〉
〈報道によると、この日、菅官房長官は、秘書官と一緒に官邸で番組を見ていたそうだ。その真偽はさておき、仮に直接聞いていなくても、私の発言を知れば、菅官房長官が激怒することは容易に推測できる。
秘書官としては、アリバイ作りのためにも、すぐに抗議しておかなければならない。それが秘書官の務めだ。そこで、とにかく放送中にアクションを起こしたことを菅官房長官に示すため、ショートメールを送ったのではないか、といわれている。〉
つまり、菅官房長官によるメディア圧力の実行部隊として中村氏は動いてきた人物でもあるのだ。その後、中村氏は警視庁刑事部長として伊藤さんの事件の逮捕状を握り潰したわけだが、この一件にとどまらず、中村氏は安倍政権の“秘密警察”と化してきた。
たとえば、中村氏がやはり刑事部長だった2015年、中村氏の指示により、安倍首相の秘書の息子が被害者となったゲームセンターでの喧嘩になんと凶悪犯罪を扱う捜査一課が投入され、強引に容疑者逮捕に及んだと昨年11月に「週刊新潮」が報道。記事によると、事情聴取で被害者の父親が「安倍総理の秘書をしていた」と話し、その報告書が本部に上げられたため中村部長が大騒ぎ。〈被害者は安倍(晋三)総理の秘書の息子さんなんだ。すぐに逮捕して欲しい〉と捜査一課長に精鋭を招集させた。そして、当時は東京・三鷹の小学校教諭の男性が児童に対する強制わいせつなどの疑いで逮捕されメディアでも大きく報じられたのだが、その捜査が大詰めを迎えていたときに釣宏志・捜査一課長が捜査員を呼び出し、こう命じたのだという。
〈三鷹をちょっと止めて別の件をやって欲しいんだ。世田谷署管内のゲームセンターで子供が殴られた。すぐやってくれ。(加害者を)3日で逮捕しろ。これは中村刑事部長のご下命だ〉
官邸の忠犬”中村格が実権を握り、警察はますます“安倍首相の私兵”に!
また、中村氏をめぐっては、昨年2月に刑事告訴され議員辞職した自民党の田畑毅・前衆院議員(のちに書類送検、不起訴)の問題でも、捜査の指揮を執った愛知県警本部長を警察庁に呼んで慎重捜査を厳命したと噂され、「田畑氏が刑事告訴された2月上旬以降、警察庁の中村格官房長が頻繁に官邸を訪ねている」とも報じられた。
安倍首相にベッタリの記者の逮捕取りやめを指示しただけではなく、政権に打撃を与える議員の事件への介入まで……。まさに“安倍官邸の忠犬”と呼ぶにふさわしい中村氏だが、問題なのは、今後、警察庁次長として権力を増大させた中村氏による“政権の秘密警察化”がさらにエスカレートすることは目に見えているということだ。
前述したように、中村氏は菅官房長官の秘書官時代に『報ステ』に圧力をかけた張本人だったわけだが、警察庁ナンバー2という立場から社会部にも睨みをきかせることができる。つまり、官邸が政治部に圧力をかけているのと同様、中村氏の権限で社会部の報道にまで介入することもできると言っていい。
さらに、一般市民への圧力も強まるはずだ。すでに昨年7月の参院選時には北海道札幌市で安倍首相の街頭演説中に「安倍やめろ!」とヤジを飛ばした市民が警察に取り押さえられ強制排除されるといった問題が起こり、この1月9日には、12日の“安倍やめろデモ”の運転手として東京都公安委員会に届出をしていた男性が「車庫飛ばし」という微罪で逮捕され、実名報道されるという事件が起きている。
中村次長の下で、こうした戦前の言論弾圧さながらの警察による違法捜査が頻発するだろう。
忠臣が論功行賞を得て、ますます安倍首相による「警察権力の私物化」が進んでゆく──。それは安倍首相を批判する行為自体が取り締まり対象となりうるという、恐怖の世界のはじまりなのである。
(編集部)
*************************
【杉並からの情報発信です】【YYNews】【YYNewsLive】
情報発信者 山崎康彦
メール:yampr7@mx3.alpha-web.ne.jp
*************************