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《注目記事》 イスラエルのイラン攻撃に米大統領は反対 桜井春彦氏

2009年07月16日 10時54分25秒 | 政治・社会
■ イスラエルのイラン攻撃に米大統領は反対 桜井春彦氏

 2009.07.08 http://plaza.rakuten.co.jp/31sakura/

 イスラエルに対してイラン攻撃の「青信号」をアメリカ政府が出したとする見方をバラク・オバマ米大統領は明確に否定した。5日にジョー・バイデン米副大統領がアメリカのネットワーク局ABCの番組の中で、イスラエルのイラン攻撃を止めないと語ったことから、そのように解釈する人が出てきていた。

 物事を単純化し、「アメリカはユダヤ人に支配されている」という「公式」を自動的に当てはめて何かを理解したかのように錯覚する人もいるようだが、これはネオコンの思うつぼだ。現実はもっと複雑である。親イスラエル派に従えばアメリカのエリートたちに喜ばれると思っている人間が日本の政界やマスコミにいるようだが、根本的に間違っているということだ。

 ラーム・エマニュエル大統領主席補佐官やヒラリー・クリントン国務長官のような親イスラエル派がオバマ政権の内部に存在していることは確かだが、 1980年代から親イスラエル派と対立してきたロバート・ゲーツ国防長官やブッシュ・ジュニア政権の「中国脅威論」を太平洋軍司令官の立場から公然と否定したデニス・ブレア国家情報長官、イラク攻撃に軍人として反対したエリック・シンセキ退役軍人長官なども配置されている。

 親イスラエル派は「ネオコン(新保守)」と「シアコン(神保守)」を柱にしているのに対し、ゲーツたちはアメリカを拠点とする勢力で、いわば「旧保守」である。彼らも決して平和的なグループではないのだが、アメリカという国家を崩壊させるような政策には反対する。ベトナム戦争を経験し、戦後の戦争は儲からない、つまり領土を拡大できず、財宝を略奪できず、賠償金も手にできないことを悟り、「デタント(緊張緩和)」に舵を切った人たちも出てきた。ネオコンが「第2次朝鮮戦争」を始めようとしたとき、東アジアに多額の投資をしている旧保守は止めさせている。

 日本には戦争が大好きでネオコンに惹かれる人が少なくないようだが、希望的観測から決めてかかるべきではない。戦争好きな人の多くは「儲かる」と信じている。それで、不景気になると戦争待望論が出てくる。

 考えてみると、明治以降、日本の輸送は東海道、つまり太平洋のすぐそばを通る道路や鉄道が中心になっている。日本海の沿岸には原子力発電所が乱立している。日本が攻撃されると考えれば、ありえないことだ。他国が戦場になるだけで、自分たちは戦争の被害を受けないと思っているとしか考えらえない。「防衛戦争」は想定していないのだろう。第2次世界大戦を経験した人々は違うだろうが、「戦争を知らずに育った」世代で想像力のない人たちは、他国に攻め込むことで頭がいっぱいのようだ。

 ところで、中央アジアの混乱は中国の西部、新疆ウイグル自治区へも波及、最近ではウイグル族と漢族が衝突して多くの死者が出たと言われている。自治区の西にはカザフスタンがあり、そのカザフスタンを含め、カスピ海周辺は世界有数の油断地帯である。地政学的な意味も含め、中国政府としては手放したくない地域だろう。

 別の民族が住む地域を支配しようとする場合、自分たちに近い民族を移住させようとすることはよくあるが、土地を奪われる形になる先住民が怒るのは当然のことだ。新疆ウイグル自治区でも以前から不満は爆発寸前で、北京オリンピックのときには同地区からきていた人たちは北京から追い出されている。アメリカ、イスラエル、ドイツ、クロアチアなどの場合、邪魔な民族を大量殺戮したが、そうしたことのできる時代ではなく、できてもするべきではない。

 さて、新疆ウイグル自治区と関係が深いカザフスタン、そしてイラクのクルド人が居住している地域で親イスラエル派の大物、リチャード・パールは石油ビジネスを展開しようとしていると報道されている。

 パールが休暇をともに過ごすほど親しいアレキサンダー・ミルチェフはワシントンを拠点とするコンサルタントで、カザフスタン政府の顧問を務めている。この話が正しいかどうかは不明だが、注目しておく必要はある。

(終わり)




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