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≪注目意見≫天木直人氏「多田富雄東大名誉教授の言葉とナツメロ「異国の丘」

2008年06月12日 14時10分51秒 | 政治・社会
読者は多田富雄東大名誉教授(74)のことを知っているだろうか。

世界的な免疫学者であると同時に「能」学者、文筆家という知の巨人が、ある日脳梗塞に倒れ、たちまちにして第一級の障害者になった。その人である。

私が彼を知ったのは、後遺症と闘いながら、なんとか左手だけでパソコンを打ち、命の言葉を必死で紡いでいる姿をテレビで見たからであった。

以来私は、彼の生き様を、感嘆と畏敬の念を持って眺めている一人である。

その多田富雄氏が、10日の朝日新聞で日本の行く末を次のように憂いていた。

「・・・戦後の復興期には、私たちも貧しかったが、少なくとも人間らしい健康な日常がありました。

そして誰もが意見を持っていた。学生だって、時には反体制の運動に走るくらい元気がありました。

ところが最近は、暮らしの原理ともいえる憲法を改正する国民投票法が強行採決されても、文句も出ないし、デモらしいデモも起こらない。

昭和の日本には、社会の中心となる健全な中流が育っていました。日本はこの健全な中流に支えられていたのです。

それが過剰な競争と能率主義、成果主義、市場原理主義で「格差」が広がり、もはや中流はろくに発言ができなくなった。

一昨年4月から施行されたリハビリの日数制限、そして今年から始まった後期高齢者

医療制度など、市場原理主義に基づく残酷な「棄民法」としかいいようがありませ

ん。日本はいつからこんな冷たい国になってしまったのでしょう。病にかかっている

としか見えません・・・」

たまたまその日の夕にNHKの歌謡ショーがあり作曲家吉田正特集をやっていた。

彼の出世作である「異国の丘」が流れた時、なぜか私は多田教授の言葉を思い出した。

子守唄がわりに親からよく聞かされたなつかしい歌だ。

戦前、戦後を生き抜いた日本人は、今度こそ平和で豊かな日本をつくろうと、
歯を食いしばって頑張ったに違いない。

 その歌詞は次の通りだ。

 今日も暮れ行く異国の丘に、
 友よつらかろ、せつなかろ
 我慢だまってろ嵐が過ぎりゃ
 帰る日も来る、春も来る

 今日も昨日も異国の丘に
 重い雪空 日が薄い
 倒れちゃならない 祖国の土に
 たどり着くまで その日まで

  
日本は、多くの犠牲者の上に戦後の復興を成し遂げた。

高度成長を果たし、豊かな日本が実現するはずであった

それがどうだろう。

多田富雄氏の言うとおり、今日の日本は病んでいる。

私たちの手で日本を蘇生させなければならない。

政治家や官僚に期待するのではなく、我々の手で蘇生させるのだ。

そうでなければ、苦しみながら戦後復興を成し遂げた日本国民に申し訳がたたない。

将来の世代に、蘇生させた日本を残していかなければ無責任だ。
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