杉並からの情報発信です

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「ウォール街の混乱のおさめ方」 Mr.マイケル・ムーア 映画監督

2008年10月07日 17時43分25秒 | 政治・社会
ご承知の様に、米証券大手4位のリーマン・ブラザーズが倒産し、世界最大の保険会社AIGが破綻しFRBが9兆円の資本注入で救済したことを契機に、米欧の金融機関の破綻と動揺が急速に拡大し、今ではその余波が世界中の株式市場を直撃しています。

このサブプライムローンのバブル崩壊による「米国金融システム」の破綻に対し、ブッシュ政権と米国議会は約75兆円の税金に上る救済資金で金融機関の不良債券を買い取る「金融救済法案」を、事前の談合で下院を通過させようとしましたが、大方の予想に反して反対多数で一回目は否決されてしまいました。

このことの背景には、「さんざん暴利をむさぼってきたウォールストリートの金持ちを、破綻したからといって何で我々が救済しなければならないのか?」という、至極まともな米国民の考えが、選挙をまじかに控えた下院議員を動かして予想外の反対多数となったと思われます。

それを実現した原動力の一つが、映画監督Mr.マイケル・ムーアの「ウォール街の混乱のおさめ方」の文章であり、メールによる草の根ネットワークで短期間に膨大な人々の関心を集めて、反対の大きな力を形成したのだと納得した次第です。

藤谷さんの邦訳に私が訂正・加筆したものをお送りさせていただきますので、お読みいただければ幸いです。

今後日本でも、「金融機関の救済案」が突然政府から提案される危険性が多いにありますので、ここに提案されています10項目の具体的な救済策は、多いに参考になると思われます。

原文は下記のURLです。

http://www.michaelmoore.com/words/message/index.php?messageDate=2008-10-01


●「ウォール街の混乱のおさめ方」 Mr.マイケル・ムーア 映画監督

友人の皆様!

400人の米国最富裕層、「たったの400人」が米国社会の底辺にいる1億5千万人の財産全部合わせた以上の富を所有しています。

最富裕層の400人が米国全体の富の半分以上を所有し隠匿しているのです。その総資産は正味1兆6千万ドルになります。

ブッシュ政権の8年間に彼らの富は7千億ドル近く増えました。7千億ドルはちょうど救済資金として我々に支払いを要求しているのと同額です。

彼らはなぜブッシュ政権の下で蓄積した富で自らを救済しないのでしょうか!

彼らには、自分達の救済に7千億ドル使ったとしてもまだ1兆ドル近くの資金が残ります。

勿論彼らにそんな積もりはありません。少なくとも自発的には。ジョー ジ・W・ブッシュ大統領は、クリントン政権から1,270億ドルの財政黒字を引き継ぎました。それは我々国民の金であって彼のものではないのですが、富裕層が求める通りに後先も考えずに支出しました。

その結果、国民は今9兆5千億ドルの負債を背負っています。我々はたとえ少額でも、なぜこんな盗人貴族に追い銭を与えねばなら ないでしょうか?

私の救済プランを提案したいと思います。下記の私の提案は「金持ちは自分で自分を救済しろ」という単純明快な信念から来ています。

富裕層の皆さん!申し訳ないが、これはあなた達がいやと言うほど我々の頭に叩き込んだことなのです。

タダ飯ハ食ワセナイ…。生活保護で生きる人達を憎むようにし向けたのはあなた方だ。だから我々からあなた達に施しはしないのです。

上院は今夜急遽、金融救済法案を採決に持ち込もうとしています。これは阻止しなければなりません。我々は月曜日に下院でこれを成し遂げました。今日上院でも出来るのです。我々は徒に抗議し続けるだけではなく、議会がなすべきことをはっきりと提案しなければなりません。そこでフィル・グラム(共和党・ジョン・マッケインの選挙参謀)よりずっと賢明な多くの人達と相談の上、「マイクの救済計画」と題して、ここに私の提案を記します。明快で単刀直入な10 項目です。

1.【承知の上で今回の危機に加担したウオール街関係者を特定し、犯罪者として起訴する特別検察官を任命せよ】

議会は責任を持って、何らかの新たな支出をする前に、我が国の経済の略奪に少しでも関わった者を刑事犯として起訴することを決議すべきである。

即ち、インサイダー取引き、証券詐欺その他今回の崩壊に何らかの関与した者はすべて投獄されるべきである。この事態を出現させた全ての者と、今後も社会を欺く全ての者を精力的に追求するための特別検察官を招聘すべきである。

2.【救済資金は富裕者が自ら負担すべきである】

彼らが住む邸宅は7軒から5軒に減るかも知れない。乗る車は13台から9台になるかも知れない。飼い犬のミニテリアの世話係が変わるかもしれない。ブッシュ政権下で世帯当たり収入を2,000ドル以上も減らされた勤労者や中流層が、彼らのもう1隻の
ヨットのために10セントでも払ってやるいわれなどありはしない。

もし彼らが必要だと言う7千億ドルが真に必要なものならば、彼らが簡単に実現できる方法を以下に記しましょう。

a) 年収100万ドル以上の全ての夫婦と年収50 万ドル以上の独身納税者は、5年間10%の追加所得税を支払う。

(これはサンダーズ上院議員の案である。彼は[訳注:ケンタッキーフライドチキン創業者の]カーネル・サンダー ズのようだ。彼だけが正しいチキンを揚げている。)これでも富裕層は カーター政権の時よりも税負担が少ないのだ。これで3千億ドルが出来る。

b) 殆どの他の民主主義国家のように、全ての株取引に 0.25%を課税する。これで毎年2千億ドル以上が出来る。

c) 株主はみな愛国的米国人であるから、四半期ごとの配当金小切手の受領を辞退し、その分を財務省の救済資金の足しにする。

d) 米国の大企業の25%は現在連邦所得税を全く払っ ていない。企業からの連邦税収は現在GDPの1.7%であるが、 これは1950年代には5%であった。もし企業の連邦所得税を1950年代の水準に戻せば更に5千億ドルが出来る。

以上を組み合わせればこの惨状を十分に終わらせられるはずである。富裕層はマンションや使用人を持ち続けられるだろうし、我らの合衆国政府 (「国が第一!」)は多少の余剰金で道路や橋や学校の修繕が出来るだろう。

3.【緊急に救済すべきは住居を失う人々だ。8件目の住宅を建設する連中ではない。】

現在130万軒の住宅が抵当として取り上げられています。これこそが正に問題の核心なのだ。だから救済資金を銀行に贈与するのではなく、1人当たり10万ドルでこれらの住宅ローンを払うのです。住宅の持ち主が時価に基づいてローンを返済出来るよう、銀行を再交渉に応じるように強制するのです。

この救済措置の対象は、持ち主が居住する住宅のみとし、投機家や家転がしで儲けを企んでいる者は対象外とします。

この10万ドルの救済資金と引替えに、政府は住宅ローン債権を所有者と共有して負債を回収できるようにします。

このように、貪欲な貸し手をはずして、住宅ローン危機を根底で解決するのに必要な初期コストは、7千億ドルではなく千五百億ドルで済むことになります。

ここで少し整理しましょう。住宅ローンの返済不能に陥った人々は「不適正なリスク」ではありません。彼らは、我々米国民の仲間であり、我々全てが望み、多くの人が実現していること、即ち自分の家を持つことを望んだに過ぎないのです。

しかし ブッシュ政権時代には、何百万人もの人々が過剰なローン支払で職を失ったのです。600万人が困窮し、700万人が健康保険を失ったのです。

彼らの全ては実質賃金が 2,000ドルも減少したのです。つまずきの連鎖に見舞われたこれらの人々を見下す者は恥を知れと言いたい。

我々国民全員が自分の家に住める時、社会はより良く、より強く、より安全でより幸せなものとなるのです。

4.【あなた達銀行や会社が我々からの「救済資金」を少しでも受け取れば、我々はあなた達の主人だ】

気の毒だがそれが世の決まりなのです。 もし我々が家を買うために銀行から資金を借りれば、全額を利子も付けて返済するまでは銀行がその家を「所有」することになります。ウオール街についても同じです。もしもあなた達が良い生活を続けるために何らかの資金を必要とし、また政府があなた達を低リスクで、国家のためにも必要な者だと判断したら、ローンは得られれます。

我々があなた達を所有することになるのです。

もし債務不履行があれば、我々はあなた達を売却することになります。これはスエーデン政府が行って成功した方法なのです。

5.【規制は全て回復しなければならない。「レーガン革命」は死んだ】

今回の悲劇は、狐に鶏小屋の鍵を持たせたことが原因であす。1999年 に、フィル・グラム上院議員がウオール街と銀行システムを管理する全ての規制を撤廃する法案を起草しました。法案は成立してクリントンが署名しました。その署名の時、マッケイン共和党大統領候補の主任経済顧問であるフィル・グラム上院議員が言った言葉は次のようであった。曰く、

「1930年代、…政府が答えであった。動いている自由市場を政府が支配することで安定と成長がもたらせられると信じられていた。」

「今日我々はそれを撤回する。我々は政府が答えではないことを学んだからだ。自由と競争こそが答えであることを学んだ。競争と自由を手にすることで経済成長を促進し安定を推進することを学んだ。」「ここに立っていることを誇りに思う。これ が重要な法案だからだ。規制撤廃法案なのだ。私はこれが未来の波であると信じている。その実現の一端に参加できたことをとても誇りに思う。」

この法案は撤回されなければならない。この法案に署名したビル・クリントン元大統領は、グラム法案を撤回して金融機関に一層厳格な規制を復活させる努力を主導できるはずだ。もしグラム法案の廃止が出来たら、航空会社、食品検査、石油業界、 職業安全衛生管理局、その他日常生活に影響する全てのことに関する規制の回復が出来る。どのような「救済処置」が実施されるにせよ、投入される資金の厳格な管理と違反者の刑事処罰が行われねばならない。

6.【失敗が許されないほど巨大なものは存在も許されない】

超大型合併を許し、独占法やトラスト禁止法をないがしろにすることで多くの金融機関や企業が合併で巨大になりすぎて、その破綻が一国の経済全体の破綻に至るほどになってきた。1つや2つの企業がこれほどの威力を持つことがあってはならない。

いわゆる「経済的真珠湾攻撃」は、人々の資金が何百何千の金融機関に分散していたら起こりえないことである。自動車会社が12社もあれば、その1つが倒れても国家の惨事にはならない。もしあなたの町に別々の経営による3紙の日刊紙があれば、1社だけが情報を独占することはない(自分は何を言っているのだ?!今時新聞など読んでいる人などいるのか?数多くの合併と買収の結果、強力で自由なメデイが一つとなってしまったことは、本当に喜ばしいことなのか?)

企業が余りに大きく独占的になりすぎて、ぱちんこの一撃で倒れて死ぬようなことがないように、企業の肥大化を防ぐ立法が必要である。

又、どんな金融機関にも、誰も理解できないような資金運用計画を作らせてはならない。簡潔に説明出来ない計画であれば、他人の資金を利用させてはならない。

7.【いかなる会社経営幹部も、従業員の平均賃金の40倍を超える報 酬を受け取ってはならい。会社から受け取る寛大な労働対価以外にはいかなる「落下傘ボーナス」(訳注:破綻企業を退職する時受け取る巨額の退職金など)も受け取ってはならない】

1980年には米国の平均的な最高経営責任者(CEO)は従業員の45倍を得ていた。2003年には自社従業員の254倍を稼いだ。8年のブッシュ時代が過ぎて、今では従業員の平均給与の400倍を得ている。全員に公開されている会社でこのようなことが起こるのは、正気の沙汰ではない。

英国では平均的な最高経営責任者は28倍稼いでいる。日本では17倍に過ぎない!最近聞いたところでは、トヨタの社長は東京で高級な暮らしていたらしい。こんな少額でなぜそんな暮らしが出来るのか?欧米のCEOからみれば異常なことなのだ。

我々が今陥っている苦境は、我々自身が経営トップに何百万ドルの報酬を与えた結果、信じられないほど高慢にしてしまったことに原因がある。高額報酬は止めるべきだ。経営幹部は、この苦境から脱出するために受ける救済援助から利益を得てはならない。

また、会社の破綻に責任ある経営幹部は、会社が援助を受ける前に辞職しなければならない。

8.【連邦預金保険公社を強化して、国民の預貯金にとどまらず年金と住宅の保護機関とせよ】

昨日オバマが国民の銀行預金に対する連邦預金保険公社による保護の範囲を25万ドルにまで広げるよう提案したのは正しかった。

しかし同様の政府系保険が国民年金基金も保護しなければならない。国民が老後のために支払った掛け金がなくなっていないかと心配することがあってはならない。これは、従業員の年金の基金を管理する企業を政府が厳格に監督することを意味する。

或いは企業が年金基金とその運用を政府に委ねるのも一案だ。

国民の退職基金も保護が必要だ。その基金が株式市場という博打へ投資されることがないようにする時期かも知れない。

我が国の政府は、何ぴとも年老いて赤貧に投げ込まれることがないことを保障する厳粛な義務を負うべきである。

9.【深呼吸をし、落ち着いて、恐怖に日々を支配させないことが誰にも必要だ】

テレビを消そう!今は「第二の大恐慌」などではない。天は落ちては来ない。評論家や政治家が余りにも矢継ぎ早に、おどろおどろしく嘘をついているので、我々は降りかかる恐怖の影響を免れるのが困難になっている。私でさえ、昨日、ダウ平均株価が過去最大の1日の下落を示したとのニュースを聞いて皆さんに記事を送り、その内容を繰り返した。

それはその通りだが、7%の下げは1987年に株価が1日で23%暴落したブラックマンデーにはほど遠いものだ。 80年代には3,000の銀行が閉鎖された。しかし米国は破産しなかった。

金融機関は絶えず上がり下がりの波に遭いながらも結局は何とかなった。そのはずだ。金持ちは自分たちの富を粉々にしたくはないのだから!彼らは事態を沈静化させ、ジャグジー温泉を楽しむ生活に戻りたいのだ。

事態は狂っているのもかかわらず、今週万単位の人が自動車ローンを組んだ。何千もの人が銀行でローンを借りて家を買った。大学に戻った学生達を15年の学生ローンに取り込んだ銀行はほくほく顔だ。

日々の営みが続いている。銀行預金や財務省証券、定期預金証書の形である限り
誰一人金を失わなかった。

そして何より驚くべき事は米国民が恐怖キャンペーンに乗らなかったことだ。人々はひるむどころか議会に救済法案を葬らせたのだ。それは真に印象深い出来事だった。民衆が大統領やその一味が繰り出す恐怖に満ちた警告に屈しなかったのはなぜだろうか?そう、

「サダムは大量破壊兵器をもっている」などと何度も言えるものではない。すぐに大嘘つきだと見破られるのだ。ブッシュ政権の長い8年のあと、国民は疲れ果て、もはやウソを信じなかったのだ。

10.【「民衆銀行」を作ろう】

我々が本当に1兆ドルを印刷するとしたら、一握りの大金持ちに与えるのではなく我々自身に与えようではないか。フレディーとファニー(2大政府系住宅金融会社)が我々の手に落ちた今こそ、民衆の銀行を作ろうではないか。自宅の購入、小規模事業の起業、進学、癌治療、或いは次の大発明のための資金を望む全ての人に低金利の融資を行う銀行である。

また、米国最大の保険会社AIGも我々の手に落ちたのだから、次の段階に進んで全ての人に医療保険を提供しよう。全国民にメディケアーだ。これで 長期的には大きな節約が出来るだろう。又、平均寿命が世界12位よりもっと長くなるだろう。もっと長生きして、政府保障の年金と生活をエンジョイ出来るようになるだろう。

やがて、多くの苦境をもたらした企業犯罪者達が許されて出獄し、新しい市民生活に順応出来るようになるだろう。…素敵な家1軒と、民衆銀行の援助で発明されたガソリンを使わない自動車1台を持つ市民生活だ。

マイケル・ムーア

MMFlint@aol.com

追伸:地区の上院議員に今すぐ呼び掛けて下さい。議会のサイトが再び クラッシュした時のために予備のリンクを示しておきます。

 http://www.congressmerge.com/onlinedb/indehtmx. 

上院では今夜、アメリカ略奪の独自改正案を審議します。又、あなたが マイクの10

項目計画に賛同していることを地域の下院議員に知らせて下さい。
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