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長尾剛著[話し言葉で読める西郷南洲翁遺訓]より[十四:収入と支出]

2012年02月24日 15時33分15秒 | 政治・社会
西郷隆盛は[自分で自分を世に残す]ことをしたがらなかったために、著書を一
冊も残していません。[西郷南洲翁遺訓]は幕末の戊辰戦争で薩摩軍と戦った
庄内藩(言山形県)の元藩士たちが明治になって西郷隆盛との交流の中で彼が
語った言葉をまとめたものです。

西郷隆盛は決して多弁ではなくむしろ他人の話をよく聞く聞き手上手だと言わ
れていますので、[西郷南洲翁遺訓](岩波文庫)の原文本編四十一、追加分2項目
合計四十三項目は簡潔で短い文書担っています。

[話し言葉で読める西郷南洲翁遺訓]はノンフィクション作家長尾剛氏が西郷隆盛の
言葉に込められた心情を押し量らって、西郷の別の談話や様々 なエピソードをベース
にして現代風の読み物としてリニューアルしたものです。

今日お届けする[西郷南洲翁遺訓][十四:収入と支出]には会計(財政)を扱
う最も大切な心得は、歳入を先に考え、それから支出を考える、すなわ ち[入
るを量って、出を制する]ことと書かれています。[この順番を遵守すること、カネの
運用を無事にこなすに、これより良い方法などは、 絶対にない]と書かれています。

庶民の暮らしがますます窮乏している現実を無視して消費税増税に突っ走る野田首相と
勝栄二郎財務省次官に聞かせたい言葉ですが、たとえ聞いても彼らは理解出来ないでしょう。

■長尾剛著[話し言葉で読める西郷南洲翁遺訓]より[十四:収入と支出]

会計出納、すなわち予算財政は、お国の根幹であります。あらゆる事業は、カネ
がなければ実現しない。言い換えるなら、お国の事業はすべて”予算か ら生まれ
る”わけでです。会計こそが国家運営の中枢である。であるからこそ、会計と
は、よほど慎んで扱わなければならない。

では、会計を扱うに、最も大切な心得とは何か?

一つしかないのである。

すなわち[入るを量って、出を制する]ことでありる。歳入を先に考え、それか
ら支出を考える、この順番を遵守することである。カネの運用を無事に こなす
に、これより良い方法などは、絶対にないのです。

カネはいかほど入るのか・準備できるのか。

まず、この点を明確にする。そして、この歳入の額のうちに収まるようにすべて
の支出を決めるのです。

こんな事業をやりたい、あんな事業を起こすべきだ。となると、これだけの良s
何が必要となる。では、それだけの予算を組めるようにカネを集めよ う。ーと
いった考え方は、誤った会計の認識である。[まず支出ありき]の発想は、道に
外れている。カネと言うものは、どうしたって集められるだけ しか集められ
ぬ。限度を超えて集めようとすれば、必ず破綻します。

だから会計を任された者、財政の権限をあたえられた者は、身を持ってこの制限
を絶対に守らねばなりません。

すなわち、です。

任されたカネ・預かったカネを、文字通り[我が身を削って得たカネ]なのだ
と、[自ら汗水流して必死に働いて得たカネ]なのだと、そのくらいの想 いを
込めて扱うようにしなければ、ならぬのです。

それだけの覚悟があれば、おのずから、”眼の前にあるカネ”を大切にせずにはい
られない。浮ついた気持ちで歳入を超える事業予算を組むようなバカ な真似
は、決してしなくなります。

会計をなすものにそうした心得がないと、どうなるか?

周囲からの[こうした事業が必要なのだ][ああした事業がお国の発展させるの
だ]といった無責任な甘言に乗ってしまい、それこそ”ほんの一時の必 要”に、
目をくらませられます。すると、歳入の限度を無視した予算を組むようになって
しままう。愚かしい豊満財政に、突っ走ってしまうのです。

すなわち、[出るを見て、入るを見る]という”正道の逆”を、行なってしまうの
である。支出を優先させ、支出にあわせて歳入を無反省に増やそうと するので
ある。[カネが必要だ。もっともっと必要だ]と、浅ましい態度で民に向かって
くるのである。

集まる限度を超えたカネを集めようとするなら、重税によって民から搾り取るし
かないではないか。これは、民の血を搾り上げるのと同じだ。すなわ ち、民を
殺すのと同じである。

そんな真似をしてまで起こした事業など、国にとって何の益にもならす。

そりゃ、事業を起こした政府高官どもは、目の前に現実となった発展を見て、越
に入るだろう。おのれの手柄であるかのように思って、下卑た歓喜に沸 くであ
ろう。

しかし、である。その場限りの見た目だけは進歩発展したかのように映るかも知
れないけれど、その裏で生田の民が絞り上げられ、疲弊している。民が 苦しめ
ば、国力は衰える。国そのものが疲弊して、ついには救いようがなくなってしまう。

すなわち、です。歳入に収まらぬ予算とは、どれほど見た目には立派な事業に注
がれようと、長い目で見れば、国をダメにする元なのです。

無論、この真理は国に限らず、あらゆる組織の運営に通ずる審理です。人の営み
は、すべからくカネがなければ動かぬものなのですから。

(引用終わり)



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