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諏訪大社下社春宮 社殿(神楽殿 筒粥殿 など)🙂😐😐主祭神「八坂刀賣神」に「八重事代主神」が合祀される神社

2020-08-30 15:00:00 | 神社仏閣

「諏訪大社下社秋宮(すわたいしゃ しもしゃ あきみや)」から徒歩約20分、西に「砥川(とがわ)」が流れる「下諏訪町大門」で、「下社」最初の遷座地とされる地に鎮まるのが「諏訪大社下社春宮(すわたいしゃ しもしゃ はるみや)」だ
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社殿は、地元宮大工の大隅流「柴宮/伊藤長左衛門矩重(のりしげ)」(1747/延享4年~1800/寛政12年)が「春宮」を、立川流初代「立川和四郎(たてかわわしろう)富棟(とみむね)」(1744/延享元年~1807/文化4年)が「秋宮」を、同じ図面で請け負って、技を競ったといわれる。
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「杉の木」を御神木とする「春宮」の主祭神は、神話「国譲り」で「建御雷神(たけみかづちのかみ)/建御雷之男神(たけみかづちのおのかみ)」に敗れて、「州羽の海」に逃げたとされる「大国主神(おおくにぬしのかみ)」次子「建御名方神(たけみなかたのかみ)」の妃神「八坂刀賣神(やさかとめのかみ)」だが、「大国主神」長子で出雲系の神でありながら、娘が「神武天皇」皇后となって大和朝廷との縁が深い神「八重事代主神(やえことしろぬしのかみ)」が合祀されている。
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その「下社」の祭神は、2月から7月まで「春宮」に鎮まり、8月1日の「御舟祭(おふねまつり)」で「秋宮」に遷座して、翌年2月1日「遷座祭」で再び「春宮」に帰座するという半年ごとに遷座する神
 ❖ 大鳥居  御影石の大鳥居(高さ8.2m 柱回り2.1m)は、近隣「万治の石仏(まんじのせきぶつ)」の言い伝えをもとに、同じ石工による1659(万治2)年の建立と推定される一方で、1675(延宝3)年に大坂の石工により完成したとの記録もあるという。いづれにしても、約350年の時間がつくり出した気韻を湛える御影石の大鳥居だ。

 ❖ 神楽殿  「諏訪大社下社春宮」入口の御影石「大鳥居」から、先ず目に入る社殿が「神楽殿」だ。その名称のとおり雅楽や舞を奉納するほか、祈願も行う建物で、天和年間(1681~1684)の造営といわれるが、その後修改築が繰り返され、1936(昭和11)年に大改修されて現在に至っているという。同一の図面で建築されたという「秋宮」よりは小ぶりの建物で、施されている彫刻も異なっている。はじめ「出雲大社奉賛会」の指導で作られ、「御柱祭」毎に新しく奉納されているという重量約1トンになる「下社秋宮」の大注連縄と同じ様式の注連縄も、比較するとかなり小さいものになっている。
 ❖ 筒粥殿  「神楽殿」左脇に特殊神事「筒粥神事(つつがゆしんじ)」の行われる「筒粥殿」がある。「筒粥神事」は、各地の神社で祭礼として行われる「粥占(かゆうら/よねうら)」のひとつと言われるが、起源は中国から伝えられたものだという。
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毎年、1月14日夜から15日早朝にかけ、「筒粥殿」において、神職が江戸初期のものという土間中央の囲炉裏を囲んで、米と小豆と葦の筒を入れた大釜を一晩中炊く神事だ。44本の筒の中で43本は農作物43種の豊凶を、残りの1本は世の中を、できた粥の状態で占うという。
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なお、「筒粥神事」はかつて「上社本宮」でも行われていたというが、現在は「筒粥殿」遺構が境内に残るだけだ。
 ❖ 御柱  正式には「式年造営御柱大祭」といい、日本三大奇祭のひとつとされる「御柱祭」は、寅と申の年に樅の大木を「御柱」として伐り出し、氏子が各地区分担して二社四宮(「上社本宮」「上社前宮」「下社秋宮」「下社春宮」)へそれぞれ4本ずつ曳行し、社殿の四隅に建てる「諏訪大社」最大の行事だ。
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起源については諸説あるが、平安時代の桓武天皇の時代(781/天応元年~806/延暦25年)の「御柱祭」の記録が残されているという。縄文時代の日本海が、大陸と列島の文化交流に大きな役割を果たして生まれた山陰から北陸にかけての「日本海文化圏」で、核をなした「出雲」の神々との系譜から、「日本海文化圏」の巨木信仰が、「諏訪大社」に繋がったという説があるという。
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「下社」の「御柱祭」は、3年前から御用材選定が始まり、「八島高原」近くの「東俣」から曳き出す4月10日前後の「山出し」に次いで、5月10日前後に「里曳き」が行われるが、見ごたえは何と言っても「男見るなら 七年に一度 諏訪の木落し」と言われる最大斜度約45度、長さ約100mの急坂「木落し坂」を、男たちが「御柱」に跨ったまま下る圧巻の「木落し」だろう。「平成二十八丙申年」の次回は「令和四壬寅年」の開催になる。
 ❖ 結びの杉  「神楽殿」手前右に、縁結びのパワースポットと言われる「結びの杉」がある。幹の末で二股に分かれているが、根元でひとつになっていることから「結びの杉」と呼ばれるという。