小さな旅を愉しむための情報PLUS

生活圏での小さな旅を愉しむために、暮らしの歴史に目を向けた情報発信を目指します。

光前寺庭園😐😐😐秋がやって来た

2021-09-30 15:00:00 | 四季

中央アルプス山麓の国指定名勝「光前寺庭園」に、秋がやって来た。

 ❖ 光前寺庭園 
参道の杉並木や自生するヒカリゴケを含めて「光前寺」境内全域が、「光前寺庭園」として1967(昭和42)年に国の名勝に指定されている。「三重塔」と「本堂」の間に龍門瀑を造った池泉回遊式庭園につては、鎌倉「建長寺」開山の禅僧「蘭渓道隆(らんけいどうりゅう)」(1213/嘉定6年~1278/弘安元年)による作庭ともいわれ、「本坊客殿」庭園は、山畔を築山とした池泉観賞式庭園で、江戸初期の作庭だという。

 ❖ 光前寺 
中央自動車道「駒ヶ根インターチェンジ」から車約3分、中央アルプス山麓に広がる「宝積山(ほうしゃくざん)無動院(むどういん)光前寺(こうぜんじ)」は、天台宗信濃五山に数えられた比叡山延暦寺末だ。本尊は「大日如来(だいにちにょらい)」の化身とも言われる「不動明王(ふどうみょうおう)」で、天台宗「別格本山」の寺院だともいう。
◇ ◇ ◇
四大絵巻物とされる国宝「伴大納言絵詞」の題材で、大伴氏没落と藤原氏摂関政治確立のきっかけとなった事件とされる866(貞観8)年の「応天門の変」と同時代の860(貞観2)年に、第3代天台座主「円仁(えんにん)慈覚大師(じかくだいし)」の弟子「本聖上人(ほんじょうしょうにん)」によって開基されたとする。時代は、905(延喜5)年奏上の「古今和歌集」や935(承平5)年頃の成立とされる「土佐日記」、あるいは10世紀半ばまでの成立とされる「竹取物語」などから遡ること半世紀から1世紀前のことだ。
◇ ◇ ◇
その古刹を舞台に語り継がれる「早太郎(はやたろう)伝説」は、かつて「市原悦子」「常田富士男」の語りによりTBS系列で放映された「まんが日本昔ばなし」でアニメ化されたという「猿神退治伝説」で、遠州府中(現在の静岡県磐田市)の人身御供を要求する妖怪を退治する説話だ。平安時代後期「天永」から「保安」年間(1110~1124年)に成立とされる「今昔物語集」の「巻二十六 美作國神依猟師謀止生贄語」や鎌倉時代「建保」から「承久」年間(1213~1222年)の成立とされる「宇治拾遺物語」の「巻第十ノ六 吾妻人生贄を止むる事」などに収録され、各地でも語り継がれる説話のご当地版だ。なお「早太郎」を、駒ヶ根では「疾風太郎(しっぷうたろう)」 磐田では「悉平太郎(しっぺいたろう)」とも呼んでいるという。
◇ ◇ ◇
妖怪との戦いで息絶えたとされる光前寺で飼われていた山犬「早太郎」の供養に、「一実坊弁存(いちじつぼうべんぞん)」が奉納したとする「大般若心経」が、寺宝として現在に伝わるといい、本堂脇には墓として「早太郎」が祀られる


信州伊那高原赤そばの里🙂😐😐標高900メートルの里山に拓かれた広大な畑に真紅の花のそば「高嶺ルビー2011」が栽培されている

2021-09-26 15:00:00 | 国内旅行


「富良野ラベンダー畑へ行きたしと思へども / コロナ禍で富良野ラベンダー畑はあまりに遠し / せめては信州伊那高原赤そばの里で / きままなるひと時を過ごさん」(「萩原朔太郎」のパクリです…)ということで、長野県上伊那郡箕輪町上古田「信州伊那高原赤そばの里」を訪ねた。
◇ ◇ ◇
「赤そばの里駐車場」へは、中央自動車道「伊那インター」から車約15分、「伊北インター」からは車約10分で、さらに10分ほど登り下りの小径を歩くと、面積約4.2ヘクタールという「信州伊那高原赤そばの里」が眼前に広がる。山の緑と高く青い空の下、標高900メートルの里山に拓かれた真紅の花のそば「高嶺ルビー2011」の畑は、9月下旬ころから10月上旬ころまでが見ごろになるという。
◇ ◇ ◇
白い可憐な花ではなく、真紅の花が咲くそば「高嶺ルビー2011」は、信州大学の故「氏原暉男」名誉教授が、赤い花の咲くそばを、1987年に、標高3800メートルのヒマラヤから日本へ持ち帰り、「タカノ株式会社」(上伊那郡宮田村)と共同で品種改良をかさねて誕生させたそばだという。


新山地区トンボの楽園😐😐😐始まった秋の中で夏の虫たちは自分の時間が尽きるのを静かに待っている

2021-09-23 12:00:00 | 四季



夏の名残りを探しに「新山地区トンボの楽園」(長野県伊那市富県上新山)を訪ねた。40種類以上のトンボが確認されているという一郭だが、「ハッチョウトンボ」や「ヒョウモンチョウ」などは、すでに限られた数となり、やって来た秋の中で、残された時間がまもなく尽きてしまうのを、静かに待つ姿を見せている。


 ❖ ハッチョウトンボ 
体長17~21 mmの日本一小さなトンボ「ハッチョウトンボ」は、環境省が「良好な自然環境を知る目的」として選定した生物指標昆虫10種のうちの一つで、5月下旬から8月下旬に成虫を見ることが出来るという。丘陵地や低山地の水が滲出している日当たりがよい湿地や湿原、休耕田などに生息し、オスの体は羽化後20日ほどで鮮やかな赤色となり、メスは茶褐色で、腹部に黄色や黒色の横縞がある。翅は透明だが付け根は橙黄色になっている。一円玉(直径20 mm)の中に頭から腹端までが納まる大きさであることで知られている

 ❖ ヒョウモンチョウ 
その名のとおり黄色の地に黒い斑点が並んだ豹柄模様の翅を持つものが多く、山麓の乾燥した明るい草原に生息するが、生息条件の悪化で個体数の減少が著しいという。



アサギマダラの里😐😐😐フジバカマにアサギマダラが飛来し始めた

2021-09-17 12:00:00 | 四季

上伊那郡宮田村の「フジバカマ」が広がる「アサギマダラの里」に、長距離を移動するチョウとして知られる「アサギマダラ」が飛来し始めている。「ヒョウモンチョウ」や「ジャノメチョウ」なども飛来して、遠慮がちに「フジバカマ」のご相伴にあずかっている。



 ❖ アサギマダラ 
青緑色の古称「浅葱」に由来するやや大型のチョウは、生態調査のため捕獲場所などを羽に記して再び放つ「マーキング調査」が1980(昭和55)年代から始まっていると言うが、和歌山県から香港まで移動した個体や、宮田村から沖縄県まで移動した個体が確認されているという。

 ❖ ヒョウモンチョウ 
その名のとおり黄色の地に黒い斑点が並んだ豹柄模様の翅を持つものが多く、山麓の乾燥した明るい草原に生息するが、生息条件の悪化で個体数の減少が著しいという。

 ❖ ジャノメチョウ 
翅は表裏ともに一様に茶褐色で、前翅に2つ・後翅に1つの蛇の目状の眼状紋をもっていることからこの名を持つ地味なチョウだ。都市部郊外から山間部まで、分布が広く個体数も多いという。

 ❖ フジバカマ 
万葉集にも歌われる古くから親しまれてきた多年草で、夏の終わりから秋のはじめに花を咲かせる秋の七草の一つ。藤色の花弁が袴のような形であることから、「藤袴」の名が生まれたと言われる。日当たりのよいやや湿った河原の堤防や草地に自生するが、護岸工事によって激減しているという。


八島ヶ原湿原🙂😐😐標高約1,600メートルにあって約12,000年前に誕生した我が国の南限にあたる「高層湿原」

2021-09-11 06:00:00 | 国内旅行


中央自動車道「諏訪インターチェンジ」から車約30分、国道20号線信号交差点「元町」(「宮坂醸造」前)から車約25分の「八島ヶ原湿原」は、「八ヶ岳中信高原国定公園」の「霧ヶ峰高原」北西部の標高約1,600メートルに位置する高層湿原だ。
◇ ◇ ◇
我が国「高層湿原」の南限にあたり、約12,000年前に誕生したという同湿原は、1939(昭和14)年に国の「天然記念物」に指定されているが、面積は約3,000ヘクタールで、寒冷地のため植物の腐敗と分解がしにくく、約8メートルの厚さとなった泥炭層が堆積しているという。
◇ ◇ ◇
長野県諏訪市と諏訪郡下諏訪町にまたがる同湿原は、繊細な湿原植物や亜高山植物など年間約360種類もの植物と、過酷な環境の中で生命を繋ぐ動物たちを育んできたという。しかし灼熱の夏はここにも及び、目にするのは、湿原を彩るはずの植物の群落の著しい衰退で、未来の世代へこの高層湿原を残せるのだろうかとの思いが昂じるばかりだ。