山口屋~活動日誌~

私生活で主な出来事をピックアップ

数値積分 ロンバーグ Romberg Euler-Maclaurin

2023-06-22 23:56:27 | ソフトウェア開発
コンピュータによる数値積分について整理。

●原始関数を求めることができない数値積分は、関数値と重み係数の積の形で表されることになる。
○例えば、台形公式の両端であれば、重み係数は 刻み幅×0.5 となる。

●Newton-Cotesの公式
○n+1点の等間隔:n次補間
(2点:1次補間→台形の公式)
(3点:2次補間→Simpsonの公式)
○Euler-Maclaurinの公式によって、周期関数に対しては台形公式の積分が高精度であることが示される。
○森正武:数値解析 第2版、共立出版、pp.183-189(2002)
○Masatake Mori : On the Superiority of the Trapezoidal Rule for the Integration of Periodic Analytic Functions, Memoirs of Numerical Mathematics, No.1, pp.11-19 (1974) → 日本応用数理学会(PDF)
○無限区間の解析関数の積分に対しても台形公式の積分は高精度である。
Hidetosi Takahasi, Masatake Mori : Error estimation in the numerical integration of analytic functions, Report of the Computer Centre, University of Tokyo, No3, pp.41-108 (1970)

●Gauss–Legendreの公式
○n+1点の間隔を未知数として、2n+1次多項式まで計算可能。

●Romberg積分
○台形の公式と級数の加速法の組み合わせ。感覚的にはEuler変換に似ている。
○Euler-Maclaurinの公式によって、積分の真値と台形の公式の関係が導かれる。
○森正武:数値解析 第2版、共立出版、pp.189-194(2002)
○台形の公式に加算する項に含まれる微分を、差分によって近似することを繰り返す。(補外法)
○差分の初期値を積分区間とすれば、繰り返しで真値に近づく。
○積分区間の両端が特異点(微分が無限大になる)等の場合は精度が良くない。
○重み係数は、高速フーリエ変換のようにインデックス値のビット順序反転値を求めることで条件分岐可能。

●二重指数関数型数値積分公式
○Hidetosi Takahasi, Masatake Mori : Double Exponential Formulas for Numerical Integration, Publications of the Research Institute for Mathematical Sciences, Vol.9, No.3, pp.721-741 (1974) → J-STAGE(PDF)
○Masaaki Sugihara : Optimality of the double exponential formula -functional analysis approach-, Numerische Mathematik, Vol.75, No.3, oo.379-395 (1997) → Springer

また、時間軸に対する積分には、微分方程式の解法から由来する、以下の名の手法がある。
(整理中)
●Runge-Kutta法
○2段→Heun法、修正Euler法
●Gear法

オイラー変換 Euler

2023-06-21 20:59:52 | 工学
オイラー変換は交代級数総和の加速方法の一つであるが、解説されている文献は意外に少ない。

加速を開始する項を適切に変更させた適応型オイラー変換なるものを解説しているものはさらに少ない。
SYSTEM5:Euler変換談義、数学セミナー、Vol.22, No.1, pp.41-45(1983.01)
適応型オイラー変換のアルゴリズムは下記の文献で触れられてはいる。
Numerical Recipes in C 日本語版、技術評論社、pp.147-150(1993)

オイラー変換は収束の遅い関数の積分にも応用されることがある。
永末宏幸:テイラー級数とオイラー変換を利用した数値積分法、佐世保工業高等専門学校研究報告、Vol.21, pp.39-46(1984)→佐世保工業高等専門学校学術機関リポジトリ

SELV 安全特別低電圧 主電源過渡電圧

2023-06-13 23:42:06 | 工学
安全特別低電圧:SELV(Safety Extra Low Voltage)という用語があるが、具体的な数値は規程・規格によってバラつきがあるようだ。

<JIS C 60364-4-41:2010 414 保護手段:SELV及びPELVによる特別低電圧>
電圧バンドIの交流50V又は直流120V(JIS C 0366:1997)の上限以下。

<JIS C 6950-1:2016 2.2 SELV回路>
導体間及び導体と大地との間の電圧は、通常動作状態の下ではピーク42.4V又は直流60V。(※故障状態での値は別。)

<JIS C 9335-1:2014 3.4 特別低電圧に関する定義>
導体間及び導体と大地との間の電圧が42V以下であって、無負荷電圧が50V以下のもの。

<J60598-1 (H14) 1.2.42 安全特別低電圧(SELV)>
導体間又は導体と接地間が、交流30V(実効値)、直流45Vを超えない電圧。

<IEC62368-1:2014(Edition2.0)>
安全特別低電圧:SELVの定義はなくなり、エネルギー源クラス:ES1が該当する。

この他、労働安全衛生規則の適用除外の対地電圧で50Vが定められている。(電気設備技術基準では60V?)
<第1編 通則-第4章 安全衛生教育-(特別教育を必要とする業務)第36条>
<第2編 安全基準-第5章 電気による危険の防止-第6節 雑則-(適用除外)第354条>

<参考>
電気製品のEMC/安全適合性:用語解説
株式会社フジセーフティ・サポート:IEC/EN 62368-1を適用する製品における部品の間の連携

また、主電源過渡電圧というものも JIS C6950-1 で定められていて、2.10.3.2 主電源過渡電圧、2.10.3.6 交流主電源からの過渡電圧 のところに関係する内容の記載があるらしい。
コロナの最中、IEC60950-1 は IEC62368-1 に統合されていたんだ・・・。JISC62368-1:2021/AMENDMENT1:2022 もあるし、早速反映されたのかな。
過電圧カテゴリのほかに、JISC60364-4-44に定められたインパルス耐電圧カテゴリ(過電圧カテゴリ)、JISC1010(-2-33:2015付属書に詳細)に定められた測定カテゴリというのもあるようだ。

<参考>
Electrical Information:『主電源過渡電圧』とは?空間距離の算出に必要となります!
アナデジ太郎の回路設計:【IEC62368-1対応】空間距離・沿面距離の求め方

疎行列 フィル・イン ピボット選択 LU分解 コレスキー分解

2023-06-06 22:16:51 | 工学
疎行列のLU分解で生じるゼロ要素が非ゼロ要素に変わる部分(fill in)は、ピボット選択範囲の外側に非ゼロ要素を含む行と列の交差点のうち既存の非ゼロ要素がない部分となる。すなわち、一つの段でピボット選択を開始した時点でフィル・インが生じる部分は決まっており、ピボット確定した行と列についてはフィル・インの位置が確定(※ピボット確定した行と列のどちらかの外側に非ゼロ要素が無ければフィル・インは生じない。その意味で1行目と1列目にフィル・インは存在しない。)、残る範囲は次の段のピボット選択範囲でピボット確定した行と列の結果次第でフィル・インが生じる部分が変わる。全ての段でピボット選択が完了すればフィル・インが生じる部分が確定することとなり、LU分解の開始前にメモリ確保することも可能である。

疎行列をフィル・インが生じない不完全LU分解をする場合、係数行列 A = L A+ DA + UA とすれば、不完全LU分解:
(LADA-1 + I)(DA + UA)(Doolittle法に対応)
(LA+ DA)(I + DA-1UA)(Crout法に対応)
出典:反復法Templates、朝倉書店、pp.87-91(1996)

したがって、完全LU分解との関係は、不完全LU分解 = 完全LU分解 + LADA-1UA となるから、-LADA-1UA でフィル・インの発生が表される。ということで、結局フィル・インは“」”の形で決まっていくことになりので、ピボット選択完了の行と列でしか確定しない。-LADA-1UA は完全LU分解の更新処理そのもので、完全LU分解が成立する前提で導出されるクラウト法のアルゴリズムに対応していると見ることができる。

前進代入では対角より下方向で、後退代入では対角より上方向で、LU分解列を辿ることができれば効率よく解を計算できる。この列方向のリンクを作成しながらLU分解の開始前にフィル・インの確定をしていくのには、1行ずつ更新する内積形式ガウス法をベースにすると記述しやすいかもしれない。

係数行列の非ゼロ構造を再利用して計算を反復するなら、ピボット選択後でしか必要にならないリンク作成とフィル・イン分メモリ追加は、ピボット選択と共にまとめておく必要がある。

スタインメッツ Steinmetz 鉄損 ヒステリシス損 渦電流損

2023-06-04 21:27:27 | 工学
スタインメッツの実験式は1892年にCharles P. Steinmetzによって提唱された鉄損を求めるための実験式。鉄損にはヒステリシス損と渦電流損が含まれる。
構造計画研究所:電磁界のお話 Vol.6 | スタインメッツの実験式
株式会社ミューテック:μ-E&S シリーズ-技術コラム-

鉄損の計算手法はいろいろあるようだ。
スタインメッツの実験式:正弦波の波形のみ対応
スタインメッツの実験式の改良:正弦波以外の波形にも対応、直流偏磁には対応せず。
ヒステリシス磁場解析を行って損失図の面積から求める:計算時間はかかる。

いろいろ調べ中。
林和延:高精度広帯域パワーアナライザと電流センサによる低損失インダクタの実動作損失測定、日置電機技術資料(→PDF
和嶋潔、平山隆、大杉保郎:電磁鋼板利用技術のための電磁界解析・モータ計測技術、新日鉄住金技報、No.411、pp.126-132(2018)(→PDF
J-GLOBAL:スタインメッツ回路理論のシェルクノフ伝達インピーダンス法に対する優位性