聖アタナシオ(295-373) アレキサンドリアの司教
『アリウス派論駁』
御独り子であり、神の知恵そのものである方は、万物を造りだし、創造する者である。聖書は「あなたはすべてを知恵によって造られた。地はお造りになったものに満ちている※1」と言っている。ところで、造られた者がただ単に存在するだけではなく、美しいものとして存在するために、神は自らの知恵が被造物にまで降り、知恵の像となる似姿を、その全体にも、また個々の物にも刻印すことをお定めになったのである。それは、被造物が知恵によって造られ、神の業にふさわしいものであるということを示すためであった。
実際、私たちのことばは神の子であるみことばの像であるが、同様に私たちの内にできた知恵も、知恵そのものである方の像である。私たちはこの知恵によって知り、洞察する力を授けられ、創造する知恵である方をふさわしく迎え入れ、そしてこの知恵によって彼の父を知ることができるのである。確かに聖書は、「御子に結ばれている人は、御父にも結ばれている※2」(1ヨハネ2:23)と言い、また「わたしを受け入れる人は、わたしを遣わされた方を受け入れるのである※3」(マタイ10:40)とも言っている。この知恵の似姿は私たちの中にも、またすべての被造物の内にも刻み込まれているので、創造する真実の知恵である方が自らの似姿に固有のことを自らにあてはめて、「主はそのみ業のために私を造られた※4」(箴言8:22)と正しく言っておられる。
しかしながら、すでに説明したように「世は知恵で神を知る事ができなかった。それは、神の知恵にかなっている。そこで神は、宣教という愚かな手段によって救おうとお考えになった※5」(1コリント1:21)のである。すなわち、もはや神は、先の時代のように知られようとは望まずに、むしろまことの知恵である方が肉をとり、人となり、十字架の死を身に受けることにされた。それはこのことに対する信仰によって、それ以後、信じる者すべてが救われるためであった。
したがって、この神の知恵である方は、以前には被造物のうちに刻印された自らの像によって自らを表した。そのために「造られた」と言われている。また、この方は自分を通してその父をもお示しになった。その後、みことばであるこの知恵は、ヨハネの語るように肉となられた※6。そして死を滅ぼし、私たち人間を解放して、いっそう明らかにご自身と父とを明らかに示されたのである。イエスは言われる。「『唯一のまことの神であられるあなたと、あなたのお遣わしになったイエス・キリストを知る※7』(ヨハネ17:3)という望みを彼らに与えてください。」
このようにして、全地は彼に関する知識に満たされている。事実、御子を通して御父を知る事と、御父によって御子を知る事は同一の知識である。御父は御子を喜びとし、御子はその同じ喜びをもって御父において喜ぶ。そこで、御子は言われる。「主はわたしを喜びとし、わたしも日々、主のみ前で楽しんだ。※8」(箴言8:30)
年間第六火曜日 読書
第一朗読 箴言8:1-36
第二朗読 聖アタナシオ司教 『アリウス派論駁』
※1 詩編104:24
主よ、御業はいかにおびただしいことか。あなたはすべてを知恵によって成し遂げられた。地はお造りになったものに満ちている。
※2 1ヨハネ2:23
御子を認めない者はだれも、御父に結ばれていません。御子を公に言い表す者は、御父にも結ばれています。
※3 マタイ10:40
「あなたがたを受け入れる人は、わたしを受け入れ、わたしを受け入れる人は、わたしを遣わされた方を受け入れるのである。
※4 箴言8:22(七十人訳)
主は、その道の初めにわたしを造られた。いにしえの御業になお、先立って。(新共同訳)
※5 1コリント 1:21
世は自分の知恵で神を知ることができませんでした。それは神の知恵にかなっています。そこで神は、宣教という愚かな手段によって信じる者を救おうと、お考えになったのです。
※6 ヨハネ1:14
言は肉となって、わたしたちの間に宿られた。わたしたちはその栄光を見た。それは父の独り子としての栄光であって、恵みと真理とに満ちていた。
※7 ヨハネ17:3
永遠の命とは、唯一のまことの神であられるあなたと、あなたのお遣わしになったイエス・キリストを知ることです。
※8 箴言8:30(七十人訳)
御もとにあって、わたしは巧みな者となり 日々、主を楽しませる者となって 絶えず主の御前で楽を奏し(新共同訳)
聖アタナシオ
295年、エジプトのアレキサンドリアに生まれる。アレキサンドロス司教に同行してニケア公会議に出席し、やがてその後継者となった。アレイオス派と激しく争い、そのため多くの苦難に遭い、何度か追放された。正統信仰を解説し弁護するすぐれた著作を残した。正教会・非カルケドン派・カトリック教会・聖公会・ルーテル教会で聖人。
東方教会でも西方教会でも、常に正統教義の模範となりました。現在まで続いているキリスト教会の基礎を築いた一人です。(アタナシウス、Wikipediaではアレクサンドリアのアタナシオス)
女子パウロ会 聖人カレンダー 聖アタナシオ司教
http://www.pauline.or.jp/calendariosanti/gen_saint50.php?id=050201
ベネディクト十六世の「使徒の経験から見た、キリストと教会の関係の神秘」についての連続講話で「アレキサンドリアのアタナシオ」について解説しています。
http://www.cbcj.catholic.jp/jpn/feature/benedict_xvi/bene_message222.htm
『アリウス派論駁』

実際、私たちのことばは神の子であるみことばの像であるが、同様に私たちの内にできた知恵も、知恵そのものである方の像である。私たちはこの知恵によって知り、洞察する力を授けられ、創造する知恵である方をふさわしく迎え入れ、そしてこの知恵によって彼の父を知ることができるのである。確かに聖書は、「御子に結ばれている人は、御父にも結ばれている※2」(1ヨハネ2:23)と言い、また「わたしを受け入れる人は、わたしを遣わされた方を受け入れるのである※3」(マタイ10:40)とも言っている。この知恵の似姿は私たちの中にも、またすべての被造物の内にも刻み込まれているので、創造する真実の知恵である方が自らの似姿に固有のことを自らにあてはめて、「主はそのみ業のために私を造られた※4」(箴言8:22)と正しく言っておられる。
しかしながら、すでに説明したように「世は知恵で神を知る事ができなかった。それは、神の知恵にかなっている。そこで神は、宣教という愚かな手段によって救おうとお考えになった※5」(1コリント1:21)のである。すなわち、もはや神は、先の時代のように知られようとは望まずに、むしろまことの知恵である方が肉をとり、人となり、十字架の死を身に受けることにされた。それはこのことに対する信仰によって、それ以後、信じる者すべてが救われるためであった。
したがって、この神の知恵である方は、以前には被造物のうちに刻印された自らの像によって自らを表した。そのために「造られた」と言われている。また、この方は自分を通してその父をもお示しになった。その後、みことばであるこの知恵は、ヨハネの語るように肉となられた※6。そして死を滅ぼし、私たち人間を解放して、いっそう明らかにご自身と父とを明らかに示されたのである。イエスは言われる。「『唯一のまことの神であられるあなたと、あなたのお遣わしになったイエス・キリストを知る※7』(ヨハネ17:3)という望みを彼らに与えてください。」
このようにして、全地は彼に関する知識に満たされている。事実、御子を通して御父を知る事と、御父によって御子を知る事は同一の知識である。御父は御子を喜びとし、御子はその同じ喜びをもって御父において喜ぶ。そこで、御子は言われる。「主はわたしを喜びとし、わたしも日々、主のみ前で楽しんだ。※8」(箴言8:30)
年間第六火曜日 読書
第一朗読 箴言8:1-36
第二朗読 聖アタナシオ司教 『アリウス派論駁』
※1 詩編104:24
主よ、御業はいかにおびただしいことか。あなたはすべてを知恵によって成し遂げられた。地はお造りになったものに満ちている。
※2 1ヨハネ2:23
御子を認めない者はだれも、御父に結ばれていません。御子を公に言い表す者は、御父にも結ばれています。
※3 マタイ10:40
「あなたがたを受け入れる人は、わたしを受け入れ、わたしを受け入れる人は、わたしを遣わされた方を受け入れるのである。
※4 箴言8:22(七十人訳)
主は、その道の初めにわたしを造られた。いにしえの御業になお、先立って。(新共同訳)
※5 1コリント 1:21
世は自分の知恵で神を知ることができませんでした。それは神の知恵にかなっています。そこで神は、宣教という愚かな手段によって信じる者を救おうと、お考えになったのです。
※6 ヨハネ1:14
言は肉となって、わたしたちの間に宿られた。わたしたちはその栄光を見た。それは父の独り子としての栄光であって、恵みと真理とに満ちていた。
※7 ヨハネ17:3
永遠の命とは、唯一のまことの神であられるあなたと、あなたのお遣わしになったイエス・キリストを知ることです。
※8 箴言8:30(七十人訳)
御もとにあって、わたしは巧みな者となり 日々、主を楽しませる者となって 絶えず主の御前で楽を奏し(新共同訳)
聖アタナシオ
295年、エジプトのアレキサンドリアに生まれる。アレキサンドロス司教に同行してニケア公会議に出席し、やがてその後継者となった。アレイオス派と激しく争い、そのため多くの苦難に遭い、何度か追放された。正統信仰を解説し弁護するすぐれた著作を残した。正教会・非カルケドン派・カトリック教会・聖公会・ルーテル教会で聖人。
東方教会でも西方教会でも、常に正統教義の模範となりました。現在まで続いているキリスト教会の基礎を築いた一人です。(アタナシウス、Wikipediaではアレクサンドリアのアタナシオス)
女子パウロ会 聖人カレンダー 聖アタナシオ司教
http://www.pauline.or.jp/calendariosanti/gen_saint50.php?id=050201
ベネディクト十六世の「使徒の経験から見た、キリストと教会の関係の神秘」についての連続講話で「アレキサンドリアのアタナシオ」について解説しています。
http://www.cbcj.catholic.jp/jpn/feature/benedict_xvi/bene_message222.htm