時 代 を 視 る
WIN WIN代表 赤松良子
ニュースレター No.196
7月10日が参議院議員の選挙である。争点は、「憲法改正の発議に必要な三分の二を
与党がとれるか」ということである。改選議席は半数だから、非改選の議席を加えての
話であることはいうまでもない。
このことは、じっと政局の動きを追って見ていれば、はっきり見えることなのだが、首相は
そ うとは明言しない。憲法の何条が改正したいのか、を明らかにするのはリスクが大きい
と考え、選挙の結果が分かって、三分の二がとれたら、国民に知らせ示しあうという方針
であり、国民はナメラレているのだと、国民の一人である私は感じている。2012年4月
(小泉内閣)に自民党は憲法草案を発表しているのだから、国会で改正発議ができる
時期を手ぐすねひいて待っているのでしょうというのは単なる推測ではない。
憲法改正に必要なもう一つの条件は、国民の直接投票で過半数を得ることである。
これは結果の読みにくさでは国会議員の選挙よりずっと大変なのではないかと思われる。
何しろ、日本ではその経験はかつて持っていない。他国でも例えば最近英国でEU離脱
是か否かをめぐって国民投票が行われ、離脱に反対したキャメロン首相がまさかの敗北
という憂き目にあったばかりである。
世論調査という方法で、国民の考えを予測することは可能だが、これとて確実性が
それほど高いとは言えず、まして今は憲法改正の賛否は拮抗しているという調査結果が
みられるのが実情である。
ともあれ、10日の参院選、重要なものであることを銘記しておこう。
英国の首相が、国民投票の帰趨(きすう)読み損ねて、辞任した結果、保守党に党首
選びが浮上した。新聞報道によれば、後任のcandidates は何れも女性ということで、
どちらになってもあの国で26年ぶりだかの女性首相が生まれることになった。
故マーガレット・サッチャー氏は在位も長かったし、何しろ「鉄の女」と呼ばれて毀誉褒貶
(きよほうへん)さまざまではあったが、存在感があった。第二次世界大戦後息も絶えだえ
になっ ていたイギリスに活気を与え、誇りを取り戻させた功績は忘れることはできない
女性宰相であった。今、ドイツには「世界最強の女帝(文春新書の題名)メルケル」と
いわれる女性が居るが、近くイギリスに女性宰相が出現すれば、まさに女性活躍の
時代が実現するヨーロッパとなる。アメリカに史上初の女性大統領が実現するかどうか
未だ予断は許さないが、十分期待は持てるであろう。(11月選挙)
そういう世界を見るにつけ、わが日本の状況は? と心は穏やかではないのだが、
WINWINの現状ではゴマメの歯ぎしりでしかないのであろうか。