※コメントでのサスロさんのご指摘を受け、もう一度見返してみたところ、勘違いしている部分が発見されたので一部の記事を修正させて頂きました。
既に見て頂いた方すいません。
そして、サスロさんどうもありがとうございました。
(2007.12.16 20:00 彗星)
まず始めに、毎日非常に多くの方にアクセス頂いているようで、どうもありがとうございます。
新しいGジェネが面白くて……じゃなくて(汗)
色々と忙しくて毎日のように更新という訳にはいきませんが、00のレビューも11回まできました。
今回のサブタイトルはスバリ「アレルヤ」ということですが、独立したエピソードというよりは、前回の人革によるガンダム鹵獲作戦からの繋がり、特に超人機関及びソーマとアレルヤの関係についてのお話になりそうです。
特定の名前がタイトルになっていると総集編のような気がしてしまいます(笑)
アバンはここのところ影の薄いユニオンの対ガンダム調査団の面々です。
人革の行ったガンダム鹵獲作戦については、残されたデブリから20機以上のティエレンが失われたということです。
セリフや画面で確認した限りでは、エクシアが9機、デュナメスが7機、ヴァーチェが9機(内ナドレで6機)、そしてキュリオスが1機(ミン機)と計26機に輸送艦4隻と、まぁ当たらずも遠からずといった感じでしょうか。
「モビルスーツの性能差が勝敗を分ける絶対条件ではないさ」
グラハムは某赤い人のような言い回しで部下の不安を払拭しています。
エイフマン教授とビリーはガンダムの放出する特殊粒子を<多用変異性フォトン>と定義、そして教授はこのフォトンがガンダムの機関部から生み出されていて、それが驚異的な作戦行動時間と航続距離を生み出していると、ほぼGN粒子とGNドライブ(太陽炉)についてその正体に目星が付いているようです。
正体を突き止めるのと、それを生産して実戦に投入するのにはまだ大きな開きがありますが、各陣営ともに徐々にガンダムの秘密に迫ってきているようです。
教授はこの基礎理論を200年も前に確立したイオリア・シュヘンベルグを賞賛しますが、何故彼が戦争根絶という絵空事を実行に移したかという問いには
「紛争の火種を抱えたまま宇宙へと進出する人類への警告」
と受け取っているようです。
前回の戦闘で傷ついたトレミーの外装を修理するのは無数の無人作業機械。全部にハロが搭載されているのではなさそうですが、形は皆同じようです。
パージして漂っていたヴァーチェの外装もこのハロ軍団が回収したと思われますが、セルゲイあたりがこの光景を見たらぶったまげるかも(笑)
コンテナ内でもハロが大活躍でデュナメスの脚部も元通りになり、ナドレにはパージした外装が再び取り付けられます。
ニュータイプ誌の記事によると、特徴的な赤い髪は外装パーツに繋がっているコードということらしいので、一つ一つ接続し直すには骨が折れそうです。
ブリッジでは一人称の崩壊から立ち直ったと思われるティエリアがいつもの調子で作戦予報士であるスメラギさんの失態を責めています。
確かに前回の戦闘での采配は後手続きでしたので責められてしかるべきなのですが、ロックオンの言うとおりナドレを露見したのはティエリアにも責があるのでどっちもどっちといったところでしょうか。
スメラギさんの人間だから失敗してもしょうがないというのは、組織ではあまり通用しない言い訳ですね……そう言って慰めることはあっても失敗した本人が言ってはね(笑)
まぁ意図的に開き直っているのでしょうが、この組織は明確なリーダーや上下関係が存在していないのでロックオンのような存在が欠かせません。
「可愛いよな、生真面目で…他人に八つ当たりなんかしてさ」
かなり達観した大人でなければあそこでこのセリフは言えませんね。
冷徹でありながらとても人間臭い一面を見せるティエリアですが、ナドレが出現した時は彼が操作したのではなく、彼が感じた危機を察知して自動的にプログラムが走ったように見えたので、ナドレ(ヴァーチェ)にサイコミュ的な脳波感応装置があるのか、ティエリア自身にそういった能力が備わっているのでしょう。
エンディングの絵では、店頭のモニターに干渉しているように見えるので、ティエリアには電子機器に干渉できる能力があると見るのが有力ですかね。
そしてナドレについてあそこまで過剰になるのは現時点では謎です。
外伝を見ても分かるように、元となったプルトーネにも重要な謎が隠されているようですが、ただ単に重装甲の機体が装甲をパージしたというだけでは、キュリオスが変形可能な機体だという事とあまり変わらず、所謂フルアーマータイプというだけでさほど重要な機密にも思えないのですが……
プルトーネと共通する『何か』こそがナドレの重要機密な気がします。
自室ではソーマとの邂逅について考えを巡らせているアレルヤ。
カラーリングはともかく、ティエレンの高機動徴兵仕様という機体はかなり以前から存在していたのでしょう。
そして『忌まわしい研究』とアレルヤが称するのはもちろん超人機関での研究対象だった記憶。この機関は大人の兵士に後付で強化を施すのではなく、やはりというか子供がその対象のようです。SEEDでエクステンデットを生み出していた施設に近い印象です。
一方その頃、人革の低軌道ステーションでは前回の鹵獲作戦失敗によりセルゲイがその責を問われるかと思いきや、ガンダムの性能が予想を上回っていたということで無罪放免、辞表も受け付けないと、セルゲイさんかなりの高評価を受けているようです。
そしてガンダムの鹵獲は諦め、次の段階としてユニオンと接触しているとの事。これは当初から感じているソレスタル・ビーイングの思惑通りに事が進行しているということでしょうか。対ソレスタル・ビーイングの元に全ての国家群が一致すると。ソレスタル・ビーイングはその為の捨て石という……
当然のことながら、前回の戦闘でのアレルヤの肉声は録音されていて、超人機関の技術員がその声紋データから過去に在籍していた一人の被験者を割り出します。
モニターには『SUPER SOLGIER ORGNIZATION TESTEE LIST』と表示されていて、訳すと超兵(超人)機関被験者リストですね。
RETRIEVALは検索、そしてE-0057の被験者と一致したようです。
「E-0057…脳量子波措置後、新たな人格が形成…凶暴性あり。データ収集後、処分」
DISPOSALは処分、廃棄ということで公には死亡扱いになっているようです。
「いかんな…この事実が上層部に知れれば…」
ん?これは何を恐れているのでしょうか。脳量子波の措置?でもこれは個人の研究者レベルでできる話ではないでしょうし…
破棄したはずの被験者が生存していてソレスタル・ビーイングのガンダムマイスターとして、人革の超人機関での研究成果が流出しているといったところですかね。
絶妙のタイミングで、以前からソーマとキュリオスのパイロットであるアレルヤとの関連を疑っていたセルゲイが研究員を問いただしますが、研究員はこれを否定。
他国でも同様の研究が行われているのではとアレルヤの件は伏せてしまいます。
この決断が後々大きな事件に発展します。
トレミーの展望スペースでは、文字通り自問自答するアレルヤとハレルヤ。後ろにハレルヤが立っているのは勿論イメージ的なものでしょう。
ソーマとタオツーの存在から、超人機関が今も存続している事を知ったハレルヤは、それが戦争扶助に該当するとして武力介入を示唆します。
「叩けというのか…仲間を…同類を」
(お優しいアレルヤさまには出来ない相談かァ?なら体をオレに渡せよ…ソッコーでカタ付けてやっからさ……あの時みたいに)
あの時というのは、以前にもでてきた宇宙船での遭難事故の事でしょうか。
「俺たちは死ぬのか…」
「いやだ!死にたくない!アレルヤ!アレルヤ!!」
着衣から被験者の一人と思われますが、その前には返り血で染まったアレルヤの姿が……
「だめだぁ…お前は死ぬんだ!」
「……アレルヤ…」
「違う!俺の名は――」
とここで我に返ってしまうアレルヤ(汗)
回想シーンの場所が宇宙船の中なのか、研究施設の中なのかは不明ですが、その返り血から既に別の誰かを殺害した後である事と、左目が露出していることからそれがハレルヤである事は読み取れます。
研究員の話では脳量子波措置を施した際に別人格が形成されたという事なので、宇宙船の事故に遭い、生き残る為にやむにやまれずに誰かを殺害し、その罪の意識から逃れる為に別人格のハレルヤを生み出したという訳ではなく、脳に対する何からの措置により殺人癖を持つもう一つの人格が形成されたと見るべきなのでしょう。そしてその名前がハレルヤ。
ハレルヤの受け持つ凶暴性は元々アレルヤの中にあったモノなのか、脳への措置が原因で生まれたモノなのかは現時点では分かりません。
施設の被験者を保護し救うことも可能ではというアレルヤ。そして、保護したところで戦闘用に改造された人間に未来はなく、それを一番分かっているのがお前(自分)だろうというハレルヤ。
別の二人が話しているように見えますが、これはアレルヤの中での自問自答。
戦うことしかできない運命だというハレルヤに反発し振り返ったところに刹那が(笑)
どうやらこの展望スペースはちょっとしたイベントスポットになっているようですね。
アザディスタンでは、マリナ皇女と国連大使としてのコーナーが会談中。太陽光発電の受信アンテナが建造中との事ですから、国連からの援助を受け入れて念願の太陽光発電によるエネルギー供給を受ける事になったのでしょう。
但し、反対派も存在するようで建設の妨害をしているようです。
オイルマネーにより発展してきた国でしょうから、他所からのエレルギー供給を受ける立場に反発があるのでしょう。
しかし化石燃料が枯渇し、輸出規制もされている現状ではこれしか国が生き残る手段がないのが事実。
国連のというよりコーナーの言葉に半信半疑のシーリンさん。マリナはコーナーの自らの気持ちを神に誓えるかと問いかけます。
「誓えます。アザディスタンの未来を…貴方の神にも」
コーナーの思惑は今のところ見えてきませんね。まさか国連大使としての責務を果たしているだけとは思えませんので、何かの思惑を含んでいるのだと思います。
にしても、コーナーが誓う“神”とは一体何を指しているのですかね。
自室?で酒飲んでやさぐれているスメラギさんの元へはアレルヤが。それにしても酒瓶3本がデスクの前に並んでます(汗)
スメラギさんは実はすごくネガティブな人で、過去に起こした失敗の事、そしてソレスタル・ビーイングの活動の事を常に思い悩んでいて、表面的な明るさはそれを取り繕うためのもの…とは以前ロックオンも言っていましたが、普段は酒の力を借りないと自我が保てないんでしょうね。
そんなスメラギさんとヴェーダに一つの作戦を提案するアレルヤ。手渡されたデータには人類革新連盟軍超兵特務機関の文字が。
ついにアレルヤは自らの手で悪夢の連鎖を断ち切る決断をしたようです。
CM後はいつものラブコメパート。着たきりスズメだったルイスの衣装はピンクと黒のボーダー……
部屋着にしてもセンス悪すぎなような(笑)
今回の作戦は、美味しい食事で母親を懐柔するようです。作ったのは沙慈で、これもルイスなりの沙慈アピール計画の一つ。
少なからず一歩前進したようですが、それにしても沙慈、割烹着が似合い過ぎ…
そんな弟の姿を知ってか知らずか、姉の方はイオリア・シュヘンベルグの足取りを追い続けています。
同じくイオリアの周辺を洗っているユニオンの安全保障局の動向に目を付けているようです。ユニオンの安全保障局ということは、現在のアメリカ国家安全保障局(NSA)の流れを汲む諜報機関なのでしょうね。
一介のジャーナリストとしてはかなり危険な領域にまで踏み込んでいるようで、後輩がビビるのも当然です。
アレルヤの提案をヴェーダも推奨し、超人機関への武力介入が決定します。初見の時は勘違いしていましたが、アレルヤの提供したデータによりスメラギさんもアレルヤが過去に超人機関に在籍していた事、そしてハレルヤというもう一人の自分が共存している事を知ったようです。オペレーターのクリスはアレルヤにご執心のようですが、中にあんなのがいるのを知ったらどうなるのでしょうか(笑)
そして扉の外にはティエリアが……(汗)
エクシアとデュナメスは南アフリカの国境紛争地域への武力介入を開始するようです。同時に行われるという事は、陽動の意味も含まれているのかも。
「エクシア、刹那・セイエイ出る」
11話にして始めて主役機の母艦からの発進というお約束のシーンが描かれました。
ティエリアは1話でいた場所、雑誌記事によれば統括コンピュータ・ヴェーダ内部でヴェーダのデータを閲覧する場所に漂っています。
今度は意図的に金色の目を使い情報にアクセスしたようで、スメラギとアレルヤがいた場所の監視カメラの映像を見ているようです。
扉の外では会話の内容までは分からなかったのか…
「アレルヤ・ハプティズム…そうか、彼は……」
ティエリアもここでアレルヤの秘密を知ったようです。
「人類というモノは…人間というモノは……ここまで愚かになれるのか」
人間ではない『何か』…から見た人間の考察のように感じます。ティエリアの正体については不明な点が多くて時期早々なのですが、少なくても自由にヴェーダに干渉あるいは同調してデータを見ることができる立場というのは明らかになりましたね。
愚かというのはアレルヤのことではなく、アレルヤのような存在を生み出した者に向けた言葉でしょう。
絶望した!愚かな人類に絶望した!!
アレ?何か違うセリフが聞こえる……
絹江は『松原』と表札の出たお宅へ訪問。どうやら曾おじいさんにあたる人物が200年前に行方不明になり、それを安全保障局が嗅ぎつけたとの事。
イオリアは太陽炉及びそれを搭載するガンダムを開発するためにあらゆる分野のエキスパートをスカウトしていたようで、この方は材料工学の権威だったようです。
絹江はデータ改ざんの困難な人の流れからイオリアに迫るヒントを見つけたようです。
南アフリカでの戦闘は旧式のアンフが相手とあって一歩的なイベント戦闘ですが、このようなシーンでも使いまわしの映像が確認できないですね。
このアンフというモビルスーツ、いかにも旧式然としたヤラレメカですが、是非キット化して欲しいものです。現在、HGのティエレンを作っているのですが、これが本当に楽しいんですよね。
初代ガンダムがそうであったように、男性視聴者にとっては、こういう脇役メカがどれ位魅力的かで作品の印象を大きく左右すると思います。
キュリオスとヴァーチェは人革連のスペースコロニー『全球』へと向かいます。
二手に分かれるときはこの組み合わせでの作戦行動が多いですが、機動性重視の機体と砲撃主体の機体の組み合わせ、そしてマイスターの相性的に刹那とティエリアは難しいとなれば必然的にこの組み合わせになりそうです。
スペースコロニーは、セリフの端々からその存在が示唆されていましたが、ついに画面に登場しました。大規模な宇宙移民の時代ではないので、シリンダー型やドーナツ型等の大規模な物ではなく、大きな丸いミラーにシリンダーを組み合わされた小規模な物のようです。
外伝で語られているガンダムの開発が行われたソレスタル・ビーイング所有のコロニー『クルンテープ』の描写によると、直系1キロメートル、長さ500メートルの円筒形の居住区を中心として、先端部に巨大な傘のような形の大型のミラーを持つ。人が住むコロニーとしては最低限の大きさしかなかったが、まだ宇宙開発が本格化していないこの時代において、「宇宙への橋渡し」としては、この大きさで十分だった―
とありますので、この世界での標準的な形状をしたコロニーという事でしょう。
迎撃に発進したティエレンを受け持つのはヴァーチェ。キュリオスはその目的を果たす為にコロニー内部に侵入します。
「過去というのがあの男を歪ませているのなら、それは自らの手で払拭する必要がある。それでこそガンダムマイスターだ」
こうやって理由付けしないとアレルヤの援護を行えないのか、ロックオン発言以降、ティエリアには子供のような可愛さを感じてしまいます。
コロニー外壁のハッチを指からのレーザー通信?によりセキュリティを解除、内部へ侵入します。
コロニー外壁のハッチといえば、マニュピレーターでグルグル回して開けるのが定石でしたが、こんな所にも先進的な描画がされています。
「セキュリティシステム制圧完了。ここから先は…出たとこ勝負!」
コロニー内部はよく知る宇宙世紀のコロニーと似通っていて、中心には太陽の代わりとなる巨大な照明が貫き、シリンダーの回転により擬似的な重力を生み出しているようです。
そのシリンダーの回転が起こす気流にとまどうアレルヤですが、コロニーの回転にキュリオスを同期する事によって解消します。
この辺りのコロニーの描写は、福井晴敏さんにより連載中の『機動戦士ガンダムUC』に特に詳しいのでオススメです。
どうやら各国家群の間ではコロニー内での戦闘行為を禁ずる条約があるようですが、テロリストであるソレスタル・ビーイングには通用する訳もなくキュリオスは超人機関の施設を目指します。
そのアレルヤには今もヘッドギアのような装置を付けられ、研究に苦しむ同類達の叫ぶ声が聞こえているようです。
自らはガンダムマイスターであると鼓舞して両腕に装備されたミサイルランチャーを構えるキュリオス。飛行形態の時は気が付きませんでしたが、施設破壊の目的の為に装備されたキュリオスの新しい武器ですね。
テールユニットは変形時にパージしなくてはならなかったので、この腕のランチャーは合理的ですが、その分通常のシールドや通常火器を装備できないようなので、拠点破壊の一点作戦にしか使えませんね。
これはスメラギさんのコロニー内での反撃はないとの予想から可能な装備なのでしょう。
施設を目の前にして、自らと同類である被験者たちの心の叫びが大きくなり、またも迷いを見せるアレルヤにハレルヤは甘いと囁きます。
(甘いな、どうやって保護する?どうやって育てる?!施設から逃げたお前がまともに生きてこられたか?ハン、出来もしねぇこと考えてんじゃねえヨ)
「しかし…このままでは彼らがあまりにも不幸だ……」
(不幸?不幸だって?!施設にいる奴等は自分が不幸だなんて思ってねぇ!)
「いつかはそう思うようになる」
(ならティエレンに乗っていたオンナは自分が不幸だと感じているのか?そうじゃねぇだろ?独りよがりの考えを相手に押し付けんな。どんな小綺麗な言葉を並べ立てても、お前の優しさは偽善だ…優しい振りして自分が満足したいだけなんだヨ!)
このハレルヤの言葉は強烈です……
「でも彼らは生きてる…」
(改造されてなァ!そしていつかオレ等をコロシに来るゥ!!敵に情けを掛けるな!!それとも何か……またオレに頼るのか?!自分のやりたくない事に蓋をして…自分は悪くなかったとでもいうのか??オレはやるゼ…他人なんかどうでもいい!オレはオレという存在を護る為に戦う!!)
う~ん…やはり心の逃避が生み出した人格なのか?それとも心の内にある殺人癖を満たす為に生み出した人格なのか??
「そんなこと…」
(なら何故お前はここに来た?!)
「僕は、ソレスタル・ビーイングとして……」
(コロシにきたのか?)
「違う!ガンダムマイスターとして!」
(立場で人をコロスのかよォ…引鉄くらい感情で引け!己のエゴで引け!!無慈悲なまでに!!!)
「う…撃ちたくない…」
(アレルヤーーーー!!)
「撃ちたくないんだぁぁぁぁぁーーー!!」
絶叫と共にイメージの中でハレルヤに向けて拳銃の引鉄を引き、と同時にキュリオスのミサイルランチャーが火を噴きます。
破壊される施設、業火に照らされるキュリオス、そして本部施設が火の海に包まれると、よろめくように変形をしてその場を立ち去るキュリオス。
施設にいた被験者は自ら気付く間もなく業火に焼かれ、本部施設は崩壊します。
「ハハハハハ!よくやった!!それでこそオレの分身…おもしろくなりそうだゼ……」
そういって操縦桿を握るのはいつの間にかハレルヤになっていますが、その左目からは涙が…
ランチャーの引鉄を引いたのは明らかにアレルヤだったので、そのショックでハレルヤに体を明け渡したという事なのかそれとも…
この辺りのセリフや演出には鬼気迫るものを感じます。アレルヤとハレルヤの考察については自分の中でまだ答えが纏まらないので、その後の展開を待つことにします。
スメラギさんは、手筈通りに超人機関の情報をマスコミにリークし、大スキャンダルだと浮き足立つクルーを戒めます。
唯一、アレルヤの過去を知る身として(ティエリアが覗き見していた事は知らない)クルーの軽口に憤りを感じずにはいられなかったのでしょう。
低軌道ステーションでは、例の研究者にセルゲイ自身もその存在を知らなかった『全球』の施設をソレスタル・ビーイングが襲撃した事について、やはりガンダムのパイロットが超人機関出身者であること、そしてその事実を隠蔽していたことを問いただします。
セルゲイの権限で低軌道ステーションにある研究施設は閉鎖、研究員は連行されます。
超人機関襲撃のことが気になってか、セルゲイに声を掛けるソーマに対して見せる表情は、歪んだ研究によって生み出された存在に対する憂い…でしょうか。
そして、晴れない気分を抱えてスメラギさんの元を訪れるアレルヤは、自分にも酒を一杯貰えないかと話しかけます。
「未成年はだめよ。犯罪者になっちゃう」
「僕等は稀代のテロリストですよ」
「それでもダメなものはダメ」
「それがもういいんです。グリニッジ標準時間でつい先程20歳になりましたから」
全世界共通で飲酒は20歳からなのかは知りませんが、その報告を受けて乾杯を交わす二人。
スメラギさんがここまで頑なに拒絶するのには、抱えきれない感情を酒の力で誤魔化すことの虚しさを自らが一番感じているからなんでしょうね。
そして、アレルヤには、どうやらお酒の味は分からなかったようです。
今回も豪く濃い内容の回でしたね。一人一人の登場人物を掘り下げていく回というのも悪くはありませんでした。
脚本の黒田洋介さんは『おねがい☆シリーズ』しか知らないのですが、前回のティエリアといい今回のアレルヤといい、キャラクターの描写やセリフに惚れました。
次回はどんどん影が薄くなっている刹那が遂にアザディスタンを訪れるようで、物語はここからどんどん加速していくのでしょうか。
アザディスタンで起きた内紛により、故郷へと向かう刹那
彼がそこで受ける断罪とは何か
次回『教義の果てに』
希望の背後から絶望が忍び寄る
既に見て頂いた方すいません。
そして、サスロさんどうもありがとうございました。
(2007.12.16 20:00 彗星)
まず始めに、毎日非常に多くの方にアクセス頂いているようで、どうもありがとうございます。
新しいGジェネが面白くて……じゃなくて(汗)
色々と忙しくて毎日のように更新という訳にはいきませんが、00のレビューも11回まできました。
今回のサブタイトルはスバリ「アレルヤ」ということですが、独立したエピソードというよりは、前回の人革によるガンダム鹵獲作戦からの繋がり、特に超人機関及びソーマとアレルヤの関係についてのお話になりそうです。
特定の名前がタイトルになっていると総集編のような気がしてしまいます(笑)
アバンはここのところ影の薄いユニオンの対ガンダム調査団の面々です。
人革の行ったガンダム鹵獲作戦については、残されたデブリから20機以上のティエレンが失われたということです。
セリフや画面で確認した限りでは、エクシアが9機、デュナメスが7機、ヴァーチェが9機(内ナドレで6機)、そしてキュリオスが1機(ミン機)と計26機に輸送艦4隻と、まぁ当たらずも遠からずといった感じでしょうか。
「モビルスーツの性能差が勝敗を分ける絶対条件ではないさ」
グラハムは某赤い人のような言い回しで部下の不安を払拭しています。
エイフマン教授とビリーはガンダムの放出する特殊粒子を<多用変異性フォトン>と定義、そして教授はこのフォトンがガンダムの機関部から生み出されていて、それが驚異的な作戦行動時間と航続距離を生み出していると、ほぼGN粒子とGNドライブ(太陽炉)についてその正体に目星が付いているようです。
正体を突き止めるのと、それを生産して実戦に投入するのにはまだ大きな開きがありますが、各陣営ともに徐々にガンダムの秘密に迫ってきているようです。
教授はこの基礎理論を200年も前に確立したイオリア・シュヘンベルグを賞賛しますが、何故彼が戦争根絶という絵空事を実行に移したかという問いには
「紛争の火種を抱えたまま宇宙へと進出する人類への警告」
と受け取っているようです。
前回の戦闘で傷ついたトレミーの外装を修理するのは無数の無人作業機械。全部にハロが搭載されているのではなさそうですが、形は皆同じようです。
パージして漂っていたヴァーチェの外装もこのハロ軍団が回収したと思われますが、セルゲイあたりがこの光景を見たらぶったまげるかも(笑)
コンテナ内でもハロが大活躍でデュナメスの脚部も元通りになり、ナドレにはパージした外装が再び取り付けられます。
ニュータイプ誌の記事によると、特徴的な赤い髪は外装パーツに繋がっているコードということらしいので、一つ一つ接続し直すには骨が折れそうです。
ブリッジでは一人称の崩壊から立ち直ったと思われるティエリアがいつもの調子で作戦予報士であるスメラギさんの失態を責めています。
確かに前回の戦闘での采配は後手続きでしたので責められてしかるべきなのですが、ロックオンの言うとおりナドレを露見したのはティエリアにも責があるのでどっちもどっちといったところでしょうか。
スメラギさんの人間だから失敗してもしょうがないというのは、組織ではあまり通用しない言い訳ですね……そう言って慰めることはあっても失敗した本人が言ってはね(笑)
まぁ意図的に開き直っているのでしょうが、この組織は明確なリーダーや上下関係が存在していないのでロックオンのような存在が欠かせません。
「可愛いよな、生真面目で…他人に八つ当たりなんかしてさ」
かなり達観した大人でなければあそこでこのセリフは言えませんね。
冷徹でありながらとても人間臭い一面を見せるティエリアですが、ナドレが出現した時は彼が操作したのではなく、彼が感じた危機を察知して自動的にプログラムが走ったように見えたので、ナドレ(ヴァーチェ)にサイコミュ的な脳波感応装置があるのか、ティエリア自身にそういった能力が備わっているのでしょう。
エンディングの絵では、店頭のモニターに干渉しているように見えるので、ティエリアには電子機器に干渉できる能力があると見るのが有力ですかね。
そしてナドレについてあそこまで過剰になるのは現時点では謎です。
外伝を見ても分かるように、元となったプルトーネにも重要な謎が隠されているようですが、ただ単に重装甲の機体が装甲をパージしたというだけでは、キュリオスが変形可能な機体だという事とあまり変わらず、所謂フルアーマータイプというだけでさほど重要な機密にも思えないのですが……
プルトーネと共通する『何か』こそがナドレの重要機密な気がします。
自室ではソーマとの邂逅について考えを巡らせているアレルヤ。
カラーリングはともかく、ティエレンの高機動徴兵仕様という機体はかなり以前から存在していたのでしょう。
そして『忌まわしい研究』とアレルヤが称するのはもちろん超人機関での研究対象だった記憶。この機関は大人の兵士に後付で強化を施すのではなく、やはりというか子供がその対象のようです。SEEDでエクステンデットを生み出していた施設に近い印象です。
一方その頃、人革の低軌道ステーションでは前回の鹵獲作戦失敗によりセルゲイがその責を問われるかと思いきや、ガンダムの性能が予想を上回っていたということで無罪放免、辞表も受け付けないと、セルゲイさんかなりの高評価を受けているようです。
そしてガンダムの鹵獲は諦め、次の段階としてユニオンと接触しているとの事。これは当初から感じているソレスタル・ビーイングの思惑通りに事が進行しているということでしょうか。対ソレスタル・ビーイングの元に全ての国家群が一致すると。ソレスタル・ビーイングはその為の捨て石という……
当然のことながら、前回の戦闘でのアレルヤの肉声は録音されていて、超人機関の技術員がその声紋データから過去に在籍していた一人の被験者を割り出します。
モニターには『SUPER SOLGIER ORGNIZATION TESTEE LIST』と表示されていて、訳すと超兵(超人)機関被験者リストですね。
RETRIEVALは検索、そしてE-0057の被験者と一致したようです。
「E-0057…脳量子波措置後、新たな人格が形成…凶暴性あり。データ収集後、処分」
DISPOSALは処分、廃棄ということで公には死亡扱いになっているようです。
「いかんな…この事実が上層部に知れれば…」
ん?これは何を恐れているのでしょうか。脳量子波の措置?でもこれは個人の研究者レベルでできる話ではないでしょうし…
破棄したはずの被験者が生存していてソレスタル・ビーイングのガンダムマイスターとして、人革の超人機関での研究成果が流出しているといったところですかね。
絶妙のタイミングで、以前からソーマとキュリオスのパイロットであるアレルヤとの関連を疑っていたセルゲイが研究員を問いただしますが、研究員はこれを否定。
他国でも同様の研究が行われているのではとアレルヤの件は伏せてしまいます。
この決断が後々大きな事件に発展します。
トレミーの展望スペースでは、文字通り自問自答するアレルヤとハレルヤ。後ろにハレルヤが立っているのは勿論イメージ的なものでしょう。
ソーマとタオツーの存在から、超人機関が今も存続している事を知ったハレルヤは、それが戦争扶助に該当するとして武力介入を示唆します。
「叩けというのか…仲間を…同類を」
(お優しいアレルヤさまには出来ない相談かァ?なら体をオレに渡せよ…ソッコーでカタ付けてやっからさ……あの時みたいに)
あの時というのは、以前にもでてきた宇宙船での遭難事故の事でしょうか。
「俺たちは死ぬのか…」
「いやだ!死にたくない!アレルヤ!アレルヤ!!」
着衣から被験者の一人と思われますが、その前には返り血で染まったアレルヤの姿が……
「だめだぁ…お前は死ぬんだ!」
「……アレルヤ…」
「違う!俺の名は――」
とここで我に返ってしまうアレルヤ(汗)
回想シーンの場所が宇宙船の中なのか、研究施設の中なのかは不明ですが、その返り血から既に別の誰かを殺害した後である事と、左目が露出していることからそれがハレルヤである事は読み取れます。
研究員の話では脳量子波措置を施した際に別人格が形成されたという事なので、宇宙船の事故に遭い、生き残る為にやむにやまれずに誰かを殺害し、その罪の意識から逃れる為に別人格のハレルヤを生み出したという訳ではなく、脳に対する何からの措置により殺人癖を持つもう一つの人格が形成されたと見るべきなのでしょう。そしてその名前がハレルヤ。
ハレルヤの受け持つ凶暴性は元々アレルヤの中にあったモノなのか、脳への措置が原因で生まれたモノなのかは現時点では分かりません。
施設の被験者を保護し救うことも可能ではというアレルヤ。そして、保護したところで戦闘用に改造された人間に未来はなく、それを一番分かっているのがお前(自分)だろうというハレルヤ。
別の二人が話しているように見えますが、これはアレルヤの中での自問自答。
戦うことしかできない運命だというハレルヤに反発し振り返ったところに刹那が(笑)
どうやらこの展望スペースはちょっとしたイベントスポットになっているようですね。
アザディスタンでは、マリナ皇女と国連大使としてのコーナーが会談中。太陽光発電の受信アンテナが建造中との事ですから、国連からの援助を受け入れて念願の太陽光発電によるエネルギー供給を受ける事になったのでしょう。
但し、反対派も存在するようで建設の妨害をしているようです。
オイルマネーにより発展してきた国でしょうから、他所からのエレルギー供給を受ける立場に反発があるのでしょう。
しかし化石燃料が枯渇し、輸出規制もされている現状ではこれしか国が生き残る手段がないのが事実。
国連のというよりコーナーの言葉に半信半疑のシーリンさん。マリナはコーナーの自らの気持ちを神に誓えるかと問いかけます。
「誓えます。アザディスタンの未来を…貴方の神にも」
コーナーの思惑は今のところ見えてきませんね。まさか国連大使としての責務を果たしているだけとは思えませんので、何かの思惑を含んでいるのだと思います。
にしても、コーナーが誓う“神”とは一体何を指しているのですかね。
自室?で酒飲んでやさぐれているスメラギさんの元へはアレルヤが。それにしても酒瓶3本がデスクの前に並んでます(汗)
スメラギさんは実はすごくネガティブな人で、過去に起こした失敗の事、そしてソレスタル・ビーイングの活動の事を常に思い悩んでいて、表面的な明るさはそれを取り繕うためのもの…とは以前ロックオンも言っていましたが、普段は酒の力を借りないと自我が保てないんでしょうね。
そんなスメラギさんとヴェーダに一つの作戦を提案するアレルヤ。手渡されたデータには人類革新連盟軍超兵特務機関の文字が。
ついにアレルヤは自らの手で悪夢の連鎖を断ち切る決断をしたようです。
CM後はいつものラブコメパート。着たきりスズメだったルイスの衣装はピンクと黒のボーダー……
部屋着にしてもセンス悪すぎなような(笑)
今回の作戦は、美味しい食事で母親を懐柔するようです。作ったのは沙慈で、これもルイスなりの沙慈アピール計画の一つ。
少なからず一歩前進したようですが、それにしても沙慈、割烹着が似合い過ぎ…
そんな弟の姿を知ってか知らずか、姉の方はイオリア・シュヘンベルグの足取りを追い続けています。
同じくイオリアの周辺を洗っているユニオンの安全保障局の動向に目を付けているようです。ユニオンの安全保障局ということは、現在のアメリカ国家安全保障局(NSA)の流れを汲む諜報機関なのでしょうね。
一介のジャーナリストとしてはかなり危険な領域にまで踏み込んでいるようで、後輩がビビるのも当然です。
アレルヤの提案をヴェーダも推奨し、超人機関への武力介入が決定します。初見の時は勘違いしていましたが、アレルヤの提供したデータによりスメラギさんもアレルヤが過去に超人機関に在籍していた事、そしてハレルヤというもう一人の自分が共存している事を知ったようです。オペレーターのクリスはアレルヤにご執心のようですが、中にあんなのがいるのを知ったらどうなるのでしょうか(笑)
そして扉の外にはティエリアが……(汗)
エクシアとデュナメスは南アフリカの国境紛争地域への武力介入を開始するようです。同時に行われるという事は、陽動の意味も含まれているのかも。
「エクシア、刹那・セイエイ出る」
11話にして始めて主役機の母艦からの発進というお約束のシーンが描かれました。
ティエリアは1話でいた場所、雑誌記事によれば統括コンピュータ・ヴェーダ内部でヴェーダのデータを閲覧する場所に漂っています。
今度は意図的に金色の目を使い情報にアクセスしたようで、スメラギとアレルヤがいた場所の監視カメラの映像を見ているようです。
扉の外では会話の内容までは分からなかったのか…
「アレルヤ・ハプティズム…そうか、彼は……」
ティエリアもここでアレルヤの秘密を知ったようです。
「人類というモノは…人間というモノは……ここまで愚かになれるのか」
人間ではない『何か』…から見た人間の考察のように感じます。ティエリアの正体については不明な点が多くて時期早々なのですが、少なくても自由にヴェーダに干渉あるいは同調してデータを見ることができる立場というのは明らかになりましたね。
愚かというのはアレルヤのことではなく、アレルヤのような存在を生み出した者に向けた言葉でしょう。
絶望した!愚かな人類に絶望した!!
アレ?何か違うセリフが聞こえる……
絹江は『松原』と表札の出たお宅へ訪問。どうやら曾おじいさんにあたる人物が200年前に行方不明になり、それを安全保障局が嗅ぎつけたとの事。
イオリアは太陽炉及びそれを搭載するガンダムを開発するためにあらゆる分野のエキスパートをスカウトしていたようで、この方は材料工学の権威だったようです。
絹江はデータ改ざんの困難な人の流れからイオリアに迫るヒントを見つけたようです。
南アフリカでの戦闘は旧式のアンフが相手とあって一歩的なイベント戦闘ですが、このようなシーンでも使いまわしの映像が確認できないですね。
このアンフというモビルスーツ、いかにも旧式然としたヤラレメカですが、是非キット化して欲しいものです。現在、HGのティエレンを作っているのですが、これが本当に楽しいんですよね。
初代ガンダムがそうであったように、男性視聴者にとっては、こういう脇役メカがどれ位魅力的かで作品の印象を大きく左右すると思います。
キュリオスとヴァーチェは人革連のスペースコロニー『全球』へと向かいます。
二手に分かれるときはこの組み合わせでの作戦行動が多いですが、機動性重視の機体と砲撃主体の機体の組み合わせ、そしてマイスターの相性的に刹那とティエリアは難しいとなれば必然的にこの組み合わせになりそうです。
スペースコロニーは、セリフの端々からその存在が示唆されていましたが、ついに画面に登場しました。大規模な宇宙移民の時代ではないので、シリンダー型やドーナツ型等の大規模な物ではなく、大きな丸いミラーにシリンダーを組み合わされた小規模な物のようです。
外伝で語られているガンダムの開発が行われたソレスタル・ビーイング所有のコロニー『クルンテープ』の描写によると、直系1キロメートル、長さ500メートルの円筒形の居住区を中心として、先端部に巨大な傘のような形の大型のミラーを持つ。人が住むコロニーとしては最低限の大きさしかなかったが、まだ宇宙開発が本格化していないこの時代において、「宇宙への橋渡し」としては、この大きさで十分だった―
とありますので、この世界での標準的な形状をしたコロニーという事でしょう。
迎撃に発進したティエレンを受け持つのはヴァーチェ。キュリオスはその目的を果たす為にコロニー内部に侵入します。
「過去というのがあの男を歪ませているのなら、それは自らの手で払拭する必要がある。それでこそガンダムマイスターだ」
こうやって理由付けしないとアレルヤの援護を行えないのか、ロックオン発言以降、ティエリアには子供のような可愛さを感じてしまいます。
コロニー外壁のハッチを指からのレーザー通信?によりセキュリティを解除、内部へ侵入します。
コロニー外壁のハッチといえば、マニュピレーターでグルグル回して開けるのが定石でしたが、こんな所にも先進的な描画がされています。
「セキュリティシステム制圧完了。ここから先は…出たとこ勝負!」
コロニー内部はよく知る宇宙世紀のコロニーと似通っていて、中心には太陽の代わりとなる巨大な照明が貫き、シリンダーの回転により擬似的な重力を生み出しているようです。
そのシリンダーの回転が起こす気流にとまどうアレルヤですが、コロニーの回転にキュリオスを同期する事によって解消します。
この辺りのコロニーの描写は、福井晴敏さんにより連載中の『機動戦士ガンダムUC』に特に詳しいのでオススメです。
どうやら各国家群の間ではコロニー内での戦闘行為を禁ずる条約があるようですが、テロリストであるソレスタル・ビーイングには通用する訳もなくキュリオスは超人機関の施設を目指します。
そのアレルヤには今もヘッドギアのような装置を付けられ、研究に苦しむ同類達の叫ぶ声が聞こえているようです。
自らはガンダムマイスターであると鼓舞して両腕に装備されたミサイルランチャーを構えるキュリオス。飛行形態の時は気が付きませんでしたが、施設破壊の目的の為に装備されたキュリオスの新しい武器ですね。
テールユニットは変形時にパージしなくてはならなかったので、この腕のランチャーは合理的ですが、その分通常のシールドや通常火器を装備できないようなので、拠点破壊の一点作戦にしか使えませんね。
これはスメラギさんのコロニー内での反撃はないとの予想から可能な装備なのでしょう。
施設を目の前にして、自らと同類である被験者たちの心の叫びが大きくなり、またも迷いを見せるアレルヤにハレルヤは甘いと囁きます。
(甘いな、どうやって保護する?どうやって育てる?!施設から逃げたお前がまともに生きてこられたか?ハン、出来もしねぇこと考えてんじゃねえヨ)
「しかし…このままでは彼らがあまりにも不幸だ……」
(不幸?不幸だって?!施設にいる奴等は自分が不幸だなんて思ってねぇ!)
「いつかはそう思うようになる」
(ならティエレンに乗っていたオンナは自分が不幸だと感じているのか?そうじゃねぇだろ?独りよがりの考えを相手に押し付けんな。どんな小綺麗な言葉を並べ立てても、お前の優しさは偽善だ…優しい振りして自分が満足したいだけなんだヨ!)
このハレルヤの言葉は強烈です……
「でも彼らは生きてる…」
(改造されてなァ!そしていつかオレ等をコロシに来るゥ!!敵に情けを掛けるな!!それとも何か……またオレに頼るのか?!自分のやりたくない事に蓋をして…自分は悪くなかったとでもいうのか??オレはやるゼ…他人なんかどうでもいい!オレはオレという存在を護る為に戦う!!)
う~ん…やはり心の逃避が生み出した人格なのか?それとも心の内にある殺人癖を満たす為に生み出した人格なのか??
「そんなこと…」
(なら何故お前はここに来た?!)
「僕は、ソレスタル・ビーイングとして……」
(コロシにきたのか?)
「違う!ガンダムマイスターとして!」
(立場で人をコロスのかよォ…引鉄くらい感情で引け!己のエゴで引け!!無慈悲なまでに!!!)
「う…撃ちたくない…」
(アレルヤーーーー!!)
「撃ちたくないんだぁぁぁぁぁーーー!!」
絶叫と共にイメージの中でハレルヤに向けて拳銃の引鉄を引き、と同時にキュリオスのミサイルランチャーが火を噴きます。
破壊される施設、業火に照らされるキュリオス、そして本部施設が火の海に包まれると、よろめくように変形をしてその場を立ち去るキュリオス。
施設にいた被験者は自ら気付く間もなく業火に焼かれ、本部施設は崩壊します。
「ハハハハハ!よくやった!!それでこそオレの分身…おもしろくなりそうだゼ……」
そういって操縦桿を握るのはいつの間にかハレルヤになっていますが、その左目からは涙が…
ランチャーの引鉄を引いたのは明らかにアレルヤだったので、そのショックでハレルヤに体を明け渡したという事なのかそれとも…
この辺りのセリフや演出には鬼気迫るものを感じます。アレルヤとハレルヤの考察については自分の中でまだ答えが纏まらないので、その後の展開を待つことにします。
スメラギさんは、手筈通りに超人機関の情報をマスコミにリークし、大スキャンダルだと浮き足立つクルーを戒めます。
唯一、アレルヤの過去を知る身として(ティエリアが覗き見していた事は知らない)クルーの軽口に憤りを感じずにはいられなかったのでしょう。
低軌道ステーションでは、例の研究者にセルゲイ自身もその存在を知らなかった『全球』の施設をソレスタル・ビーイングが襲撃した事について、やはりガンダムのパイロットが超人機関出身者であること、そしてその事実を隠蔽していたことを問いただします。
セルゲイの権限で低軌道ステーションにある研究施設は閉鎖、研究員は連行されます。
超人機関襲撃のことが気になってか、セルゲイに声を掛けるソーマに対して見せる表情は、歪んだ研究によって生み出された存在に対する憂い…でしょうか。
そして、晴れない気分を抱えてスメラギさんの元を訪れるアレルヤは、自分にも酒を一杯貰えないかと話しかけます。
「未成年はだめよ。犯罪者になっちゃう」
「僕等は稀代のテロリストですよ」
「それでもダメなものはダメ」
「それがもういいんです。グリニッジ標準時間でつい先程20歳になりましたから」
全世界共通で飲酒は20歳からなのかは知りませんが、その報告を受けて乾杯を交わす二人。
スメラギさんがここまで頑なに拒絶するのには、抱えきれない感情を酒の力で誤魔化すことの虚しさを自らが一番感じているからなんでしょうね。
そして、アレルヤには、どうやらお酒の味は分からなかったようです。
今回も豪く濃い内容の回でしたね。一人一人の登場人物を掘り下げていく回というのも悪くはありませんでした。
脚本の黒田洋介さんは『おねがい☆シリーズ』しか知らないのですが、前回のティエリアといい今回のアレルヤといい、キャラクターの描写やセリフに惚れました。
次回はどんどん影が薄くなっている刹那が遂にアザディスタンを訪れるようで、物語はここからどんどん加速していくのでしょうか。
アザディスタンで起きた内紛により、故郷へと向かう刹那
彼がそこで受ける断罪とは何か
次回『教義の果てに』
希望の背後から絶望が忍び寄る