鶴竜(手前)を押し出しで破った稀勢の里=泉祥平撮影
前日ぶざまな相撲を取ったまな弟子の耳には、先代鳴戸親方(元横綱隆の里)の小言が聞こえていたようだ。
稀勢の里が、上を目指すための最大の壁だった「連敗癖」を迷いのない相撲で克服した。
5連勝と好調の鶴竜が相手でも、自分の持ち味を貫けたことが収穫だ。先場所、白鵬を粉砕した左おっつけと右ノド輪で強烈に押し込み、土俵際での相手の逆転も警戒しながらライバルを圧倒。「立ち合いからうまく当たれたし、泡を食って出ていくと懐に入られるからね」。普段は寡黙な男が冗舌に勝因を語ったことでも、満足ぶりが分かる。
前日の豪栄道戦は、受け身の相撲で完敗。「昨日の相撲なら多分また怒られると思いますから、しっかり自分で反省して臨みました」。場所に入ってから触れないできた先代師匠への思いをあえて口にした。それは、自分を奮起させるための決意の表れとも受け取れる。
先場所、途中で3連敗して崩れかけた稀勢の里は、師匠から言われた「自分を信じないとダメだ」との言葉を胸に刻み、立ち直った。逆境に立ったときに平常心を保つことがいかに難しいか。強敵を前にしても心が乱れなかったのは、大関昇進に向けてただの1勝以上の価値がある。
(上村邦之)
(2011年11月18日20時32分
読売新聞)
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