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自分の自分による自分のためのブログ。
だったけど、もはや自分の備忘録としての映画やドラマの感想しかないです。

自分よりも自分をわかってくれる友人が可能性を広げてくれる『あの夏のルカ』

2021年06月21日 00時35分14秒 | 映画


【個人的な評価】
2021年日本公開映画で面白かった順位:9/120
   ストーリー:★★★★★
  キャラクター:★★★★★
      映像:★★★★★
      音楽:★★★★☆
映画館で観るべき:☆☆☆☆☆(配信のみ)

【以下の要素が気になれば観てもいいかも】
ファンタジー
アドベンチャー
アニメ
ディズニー
ピクサー
友情

魚人
トライアスロン

【あらすじ】
海の世界に住むシー・モンスターの少年ルカは、
未知なる人間の世界への憧れを抑えきれず、
友人のアルベルトと共に、
本当の姿を隠して港町ポルトロッソにやってきた。

彼らは水に濡れるとシー・モンスターの姿になり、
乾くと人間の姿になるという特異な性質を持っているため、
この秘密を人間に知られる恐怖を抱きながらも、
目の前に広がる人間の世界に興味津々。

ひょんなことから知り合ったジュリアと
イタリア流トライアスロンレースに参加することになるが……。

【感想】
ピクサー長編作品第24作品目。
コロナ禍の影響で劇場公開が断念され、
ディズニープラスのみでの配信となったけれど、
今年公開(配信)の映画の中では一番泣いた。・゜・(ノД`)・゜・。

いや、もう何となくオチは想像できるぐらいシンプルだし、
いかにもディズニーらしい映画なんだけど、
それでも実際に観ると泣いちゃうぐらいの感動を届けてくれる。

ピクサーやディズニーの作品は多くの場合がそうだけど、
子供はまさに好奇心の象徴。
今回もそれは顕著に出てる。
抑えきれない人間界への興味を胸に、
親からきつく言われていてもそれを無視して、
危険を顧みずに人間の住む町まで行っちゃうから。

もちろん、子供であるがゆえに、
起こるべきリスクを想定しうるだけの
知識や経験がないというのはそう。
でも、きっとそういうことを知ってても彼らは行くだろう。
だって行きたいから。

海の底に沈む人間の落とし物を見つけては
外の世界に憧れるっていうのは、
『リトル・マーメイド』のアリエルを彷彿とさせるけど(笑)

自分たちのやりたいことや欲しいものに、
ただただ素直に忠実な彼らは、
わっかりやすい悪役のエンリコの妨害や、
初めて乗る自転車、
初めて食べるパスタの早食いにも負けることなく、
まっすぐに進んで行く。
このシンプルなストーリーラインと、
テンポよく進む展開は、
ディズニーやピクサーならでは。

途中、ルカとアルベルトに訪れる対立も、
小さい頃に同じような経験をした人は少なくないかもしれない。

最初はアルベルトが率先していたのに、
だんだんルカが自立するようになってくると、
アルベルトがちょっと苛立ってきたり。

2人いつまでもいっしょだと思っていたアルベルトからしたら、
ルカとジュリアが仲良くしているのが、
ちょっと居心地悪かったり。

最初に変化へ誘ったのはアルベルトの方だったけど、
いつの間にかルカの方がもっと大きな変化を求めるようになって、
アルベルトの思惑とズレてくる。
そこに対する違和感が爆発して、
仲違いするってのは、
まあ大人になってもあるだろうねー。

でも、本当の友人なら、
何があっても自分の背中を押してくれる。
自分よりも自分のことをわかってくれる友人ができたとき、
新しい可能性が開けるのだ。

この映画でも、
ルカとアルベルトの関係性は、
まさかの展開も織り交ぜながら、
友人のために一肌脱げる漢気と優しさを感じられて
涙が止まらなかった。

本作の監督は宮崎駿の影響を受けて
水彩画を取り入れるほどの徹底ぶり。
そのためか、舞台となった港町の風景や
青い空、白い雲、広い海はとても綺麗なので、
この季節に観るにはもってこいの映画でした。

あと、メチャクチャパスタが食べたくなる(笑)

ディズニー&ピクサー最新作「あの夏のルカ」|映画|ディズニープラス公式

ディズニー&ピクサー最新作『あの夏のルカ』公式サイト。6月18日(金)ディズニープラスで独占配信!北イタリアの美しい港町を舞台に&l...

Disney+ (ディズニープラス)公式

 

中国映画を思わせるほどのアクションが見ものだった『ザ・ファブル 殺さない殺し屋』

2021年06月20日 14時46分23秒 | 映画


【個人的な評価】
2021年日本公開映画で面白かった順位:64/119
   ストーリー:★★★☆☆
  キャラクター:★★★★☆
      映像:★★★★☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★★☆☆

【以下の要素が気になれば観てもいいかも】
アクション
殺し屋
ブラジリアン柔術

【あらすじ】
どんな相手も6秒以内に仕留める
伝説の殺し屋"ファブル"(岡田准一)。
ある日、ボス(佐藤浩市)から
「1年間、誰も殺すな。一般人として"普通"に生きろ」と命じられ、
佐藤アキラという偽名で、
相棒・ヨウコ(木村文乃)と共に、
一般人のフリをして暮らし始める。

猫舌で変わり者のアキラは、
今日もバイト先の社長(佐藤二朗)と
同僚のミサキ(山本美月)と関わりながら、
<プロの普通>を極めるため奮闘中。

一方この街では、
表向きは子供を守るNPO代表だが、
裏では緻密な計画で若者を殺す
最狂の男・宇津帆(堤真一)が暗躍。
凄腕の殺し屋・鈴木(安藤政信)と共に、
かつて弟を殺した因縁の敵・ファブルへの復讐に燃えていた。

同じ頃、
アキラは4年前のある事件で
自分が救えなかった車椅子の少女・ヒナコ(平手友梨奈)と偶然再会し、
これが後に大騒動へと発展する。

【感想】
前作よりは面白かった!
前作は、ファブルの導入だったこともあったせいか、
変わり者の殺し屋が主人公のアクション映画っていうだけで、
普段から海外のアクション映画を観慣れている身としては、
正直あまりハマらなかったんだよね。。。

でも、今回は敵役の堤真一のサイコっぷりがよかったのと、
前作を凌駕するアクションの派手さが好きだった!

堤真一は『砕け散るところを見せてあげる』でもサイコな父親役だったけど、
あの様子のおかしさと人をイライラさせる煽り方がうまい(笑)

アクションは後半の団地での戦闘が特に秀逸。
所狭しと駆けめぐるファブルの素早い身のこなしと、
工事現場の足場が崩壊していく中ダッシュをかますシーンが、
まるで中国のアクション映画のようでメチャクチャ興奮した!

木村文乃演じるヨウコの格闘シーンも
可憐にして最強な感じがして映えるし、
この映画のウリはやっぱりアクションだと思う。

ただ、気になるところを挙げるとすれば、
そのアクションシーンのひとつひとつは派手でいいんだけど、
頻度が少ないんだよね。。。
だから、アクションからアクションに移るまでの
ドラマパートが冗長に感じられて、
テンポは悪い印象。

しかも、そのアクションが予告でほとんど出ちゃってるから、
本編でのお楽しみがだいぶ減るっていうのはある。
それでも、映画館の大スクリーンで観ると
迫力があることに間違いはないんだけど、
メディアでの露出が多いことで、
本編ならではって部分が少ないことへの
残念感は否めなかったかなー。
これは昔、
『ラッシュアワー2』(2001)のときに感じたこととまったく同じ(笑)

とはいえ、今年の実写の邦画の中では
『るろ剣』に次いでアクションがすごいというのは
間違いないと思う。

映画『ザ・ファブル 殺さない殺し屋』公式サイト|大ヒット上映中!

前作に引き続き出演する豪華キャストと、新たに参戦するキャストが入り乱れ、前作をはるかに超えるアクションと笑い、そして衝撃のラストが待ち受ける...

映画『ザ・ファブル 殺さない殺し屋』公式サイト|大ヒット上映中!

 

自分の人生をどれだけ肯定できるかを考えた『コントが始まる』

2021年06月20日 00時49分01秒 | ドラマ
【個人的な評価】
2021年春ドラマで面白かった順位:2/8
 ストーリー:★★★★★
キャラクター:★★★★★
    映像:★★★☆☆
    音楽:★★★★☆

【以下の要素が気になれば観てもいいかも】
ヒューマンドラマ
コメディ
青春
お笑い

【あらすじ】
売れないお笑いコントトリオ「マクベス」。
メンバーは春斗(菅田将暉)、瞬太(神木隆之介)、潤平(仲野太賀)の3人。

鳴かず飛ばずの日々を過ごす中、
春斗と潤平はある決断を迫られていた。
それは、お笑いを始める前に両親と約束した
「10年やって売れなかったら辞める」ということ。

一方、1年半前に訳あって大手企業を辞めた里穂子(有村架純)は、
妹のつむぎ(古川琴音)と同居しながら
ファミレスでウェイトレスをしていた。

そこでネタ作りをするようになったマクベス。
里穂子はその姿を見ているうちに興味を持ち、
いつの間にか隠れファンとなっていた。

しかしある日、
初めてマクベスのライブを訪れた里穂子を待っていたのは、
トリオ解散という重大発表!
彼らはお笑い芸人の人生に終止符を打とうとしていたのだ。

ひょんなことから、
マクベスのメンバーたちと縁が生まれる里穂子。
彼らのコントに支えられながら、
笑いあり、涙ありの日々を送っていく。

そして、マクベスの3人もまた、
自分たちのお笑い人生に意味があったのかを自問自答する。

【感想】
お笑いトリオの10年間を描いた大人の青春ドラマ。
月並みな言葉で言えば、
今季のドラマの中で一番心が温まる内容だった。
なぜなら、このドラマで伝えたかったことは、
「自分のやってきたことをどれだけ肯定できるか」だから。

結局、マクベスは解散という道を選んだ。
それが「負け」なのかというと、
そうではないというのがこのドラマでの答え。
むしろ、瞬太は自分たちは勝っていると思っていた。

第9話で、
真壁先生(鈴木浩介)が解散ライブに向けて、
自宅の庭でバーベキューを開いてくれた。
こういう人間関係をいくつ作れるかが、
人生の勝敗を決めると。

そう考えると、
人生の指標っていっぱいあるし、
複数要素が絡み合うよね。
もし、「売れっ子芸人になる」という視点だけで見れば、
彼らは売れないまま解散したので、
負けということになるのかもしれない。

ただ、負けたからといって、
自分たちがやってきたことが無駄だったのかというと、
それは違う。
彼らのコントに支えられた人はいるから。

最終回での里穂子のセリフ。
「今後、どんなに面白い方たちが現れても、
 私にとってマクベスのお三方だけは、特別なんです」
こうやって誰かの人生に影響を与えたことは確か。
それだけで、マクベスがコントをやっていた意味はあった。

それが、第5話からつながる話なのかなって思う。
このとき、春斗は解散することに対して、
これまでの努力が報われなかったと嘆く。
でも、結果が遅れてやってくることもあると諭すのが里穂子。

彼女は高校時代に華道部の部長をやっていた。
優勝を目指していたものの、
3位で終わってしまった。
それ以来、花からは離れていたけれど、
バイト先のお客さんにたまたまお花のことを聞かれて、
それに答えたらものすごく感謝されたと。
そのとき、彼女は過去にやってきたことが今報われて、
初めて当時の自分を肯定してあげられる気がしたそうだ。

マクベスでの10年間、
売れることはなかったけれど、
最後に里穂子の支えになったのだとしたら、
それは後からやってきた結果なのかなって。

夢や目標っていうのは、
一番の理想は、
最初に目指したところにたどり着くこと。
それが叶う人ほど羨ましいことはないけれど、
どうしても無理なことはある。
それは、能力的な問題かもしれないし、
経済的な問題かもしれないし、
時期的な問題かもしれない。
けれど、行きたいところには行けなかったとしても、
行き着くところには行き着くんだよ。
(この言葉は受け売りだけどw)

負け惜しみと言われたらそれまでだけど、
勝ち負けだけでなく、
意味があるかないかでいったら、
人生に無意味なものはないと僕は思うし、
そうやって捉え方や方向性を変えながら進んで行くのが
人生なのかもなって思う。

だから、自分がこれまでやってきたことを肯定してあげることで、
人生に意味を持たせることを教えてくれたのがこのドラマ。

コロナ禍で先行きが不透明な今の時代だからこそ、
少しでも自分を大切にしてあげられる話になったのかなって思った。

あと、松田ゆう姫って松田龍平にそっくりだよね(笑)


娘への異常なまでの母親の愛が衝撃と恐怖を生み出す『RUN/ラン』

2021年06月19日 21時00分52秒 | 映画


【個人的な評価】
2021年日本公開映画で面白かった順位:22/118
   ストーリー:★★★★☆
  キャラクター:★★★★★
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★★☆
映画館で観るべき:★★★★☆

【以下の要素が気になれば観てもいいかも】
スリラー
サイコパス
歪んだ母親の愛
毒親

【あらすじ】
郊外の一軒家で暮らすクロエ(キーラ・アレン)は、
生まれつき慢性の病気を患い、
車椅子生活を余儀なくされている。
しかし、常に前向きで好奇心旺盛な彼女は、
地元の大学進学を望み自立しようとしていた。

そんなある日、
クロエは自分の体調や食事を管理し、
進学の夢も後押ししてくれている
母親ダイアン(サラ・ポールソン)に不信感を抱き始める。

ダイアンが新しい薬と称して差し出す緑のカプセル。
クロエの懸命の調査により、
それは決して人間が服用してはならない薬だった。

なぜ最愛の娘に嘘をつき、
危険な薬を飲ませるのか。
そこには恐ろしい真実が隠されていた。

ついにクロエは母親から逃れようと脱出を試みるが……。

【感想】
全編PC画面で進んでいく
『search/サーチ』の監督と製作チームが放つサイコ・スリラー。

予告やあらすじからわかる通り、
母親がやべえです。。。
毒親を通り越してサイコパス。。。

話自体はシンプルではあるものの、
ラストが近づくに連れて、
だんだん真実が明らかになっていく過程が
ハラハラして面白かった。

母親に違和感を抱く娘。
外との限られた連絡手段。
与えられていないスマホ。
リビングにしかないパソコン。
近くに頼れる人がいない孤立感。
そして、自由の利かない体。

この状況でクロエがどういう行動を取るのかが、
常に興味深かった。

この映画はストーリーだけじゃなく、
母娘共にキャストの演技もすごい。
娘に異常な愛を注ぐ母親の執念から生まれる怖さ。
そんな母親から逃げるため、
動かない体にムチを打つ娘の必死さ。

特に、娘のクロエを演じたキーラ・アレンは
実生活でも車椅子を使っているようで、
さすがのドリフトさばき!(笑)
そこもひっくるめて、
まだ19歳でここまでの演技ができるのは圧巻!

ネタバレしたら終わりなので、
内容には触れられないけど、
これは映画館で観てこそ。
BGMも無駄に怖さを煽ってきて
メチャクチャビビるから。
あと、90分という尺の短さも気軽に観れるからいいよ!

ちなみに、アメリカではコロナ禍のため、
昨年11月にHuluでの配信がスタートしたらしいけど、
配信初週における同サービス最高視聴者数の記録を更新したらしい。

映画『RUN/ラン』公式サイト 6月18日(金) TOHOシネマズ 日本橋他全国ロードショー

『search/サーチ』の監督・製作チームが放つサイコ・スリラー。母の愛からは逃れられない、溺愛する車椅子の娘に、毒母の狂気が暴走する―

映画『RUN/ラン』公式サイト 6月18日(金) TOHOシネマズ 日本橋他全国ロードショー

 

戦犯扱いされていた原田選手に金メダルを取らせた25人のテストジャンパーたちの物語『ヒノマルソウル ~舞台裏の英雄たち~』

2021年06月19日 20時15分20秒 | 映画


【個人的な評価】
2021年日本公開映画で面白かった順位:21/117
   ストーリー:★★★★★
  キャラクター:★★★★★
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★★★☆

【以下の要素が気になれば観てもいいかも】
ヒューマンドラマ
スキージャンプ
1998年長野オリンピック

【あらすじ】
長野オリンピック・ラージヒル団体で、
日本初の金メダルを狙うスキージャンプチーム。
そこに、エース原田のジャンプを複雑な想いで見つめる男―
元日本代表・西方仁也(田中圭)がいた。

前回大会・リレハンメルオリンピックで、
西方は原田と共に代表選手として出場するも、
結果は銀メダル。
4年後の雪辱を誓い練習に打ち込んだが、
代表を落選。
失意の中、
テストジャンパーとしてオリンピックへの参加を依頼され、
屈辱を感じながらも裏方に甘んじる。

そして迎えた本番。
団体戦の1本目のジャンプで、
日本はまさかの4位に後退。
しかも、猛吹雪により競技が中断。

メダルの可能性が消えかけたとき、
審判員たちから提示されたのは、
「テストジャンパー25人全員が無事に飛べたら競技を再開する」
という前代未聞の条件だった…。

命の危険も伴う悪天候の中、
金メダルへのかすかな希望は、
西方たち25人のテストジャンパーに託された―。

【感想】
日本人として観ておいた方がいい映画。
これ、原田選手と船木選手がね、
本当に原田と船木だった!
まずはそこを推したい!

邦画の伝記映画って、
けっこう実在の人物と演じている役者の見た目が違うことがあるけど、
この2人はハマり具合がすごくて。

特に、原田選手を演じた濱津隆之(『カメ止め』で監督役をやった方)は、
表情の作りがうまくて、
あの有名なインタビューのシーンとか、
まんま原田選手。

さて、この映画は1998年長野オリンピックの
スキージャンプの舞台裏を描いた作品。

当時、僕は観てなかった。
あんまり興味なかったってのもあるけど、
競技中は普通に学校あったし
(でも、クラスメイトが授業中にイヤホンでこっそりラジオを聞いていたのは覚えてるw)。

だから、あの原田選手のインタビュー映像ばかりが独り歩きして、
みんなモノマネするし、
僕の中ではお笑い要素が強かった。

ところが、だ。
この映画を観ると、
そんな自分を恥じたくなる。
本作のメインは25人のテストジャンパーたちなんだけど、
同時に原田選手の辛さを描いた作品でもある。

1994年のリレハンメルオリンピックで、
彼の失敗により、
金メダル確実と言われていた日本が銀メダルになった。
原田選手はメディアに叩かれ、
1年以上も嫌がらせされたよう。

そんな中での長野五輪だから、
本人のプレッシャーは半端なかっただろうし、
インタビューでの「またみんなに迷惑かけるんじゃないか」
っていう言葉が重かった。

その状況をリアルタイムで観てきた人は、
なおさら感慨深く感じる映画じゃないかなー。

で、テストジャンパーなんだけど、
そこでの西方選手の気持ちもすごく共感できるものがある。

彼は原田選手と同い年で、
小さい頃からバンバン記録を出す将来有望な選手だった。
それが、リレハンメルで金を取れるはずだったのが銀に終わり、
さらにケガも重なって長野五輪では代表に選ばれず、
裏方にまわる。
表舞台で金を取れるはずだった人が、
裏方にまわらざるを得ないときの悔しさときたら。。。

そもそも、ジャンプ団体戦って、
水泳や陸上のリレーと近いものがあると思う。
個人種目の連帯責任というか。
だから、余計に共感できる部分があった。

チームプレーならね、
よほど決定的なものでない限りは、
ミスの責任の所在はある程度分散されるイメージはあるけど、
この個人種目の団体戦って、
結局ひとりひとりのミスはその人にすべての原因があるから、
ミスした自分も責任を感じるし、
他の人からしても
「自分はちゃんとやったのにあいつのせいで」
となりがち。

西方選手は、
自分のせいじゃないところで銀メダルになり、
しかもその原因となった原田選手は
次の長野五輪で代表に選ばれた。
自分はそこに至れなかった
悔しさや嫉妬は想像を絶するものがある。

それを乗り越え、
「原田に金を取らせます」
と気持ちを切り替えて、
日本の金メダルへとつなげた西方選手の想いや、
テストジャンパーたちの努力は、
単なるスポ根の域を超えた感動があった。

映画『ヒノマルソウル 〜舞台裏の英雄たち〜』公式サイト

ヒノマルソウル 〜舞台裏の英雄たち〜 2021年6月18日公開 長野オリンピック悲願の金メダルに隠された感動の実話! 出演:田中圭 土屋太鳳...

 

メイン2人よりもその両親の離婚ドラマの方がよかった『リコカツ』

2021年06月19日 00時16分55秒 | ドラマ
【個人的な評価】
2021年春ドラマで面白かった順位:5/7
 ストーリー:★★★☆☆
キャラクター:★★★☆☆
    映像:★★★☆☆
    音楽:★★★☆☆

【以下の要素が気になれば観てもいいかも】
ラブコメ
離婚

【あらすじ】
水口咲(北川景子)と緒原紘一(永山瑛太)は、
運命の糸に導かれるように結婚した。
出会いは3ヶ月前。
雪山で遭難した咲を、
航空自衛隊航空救難団の紘一が救助したのがきっかけだ。

ファッション雑誌の編集者をしている自由奔放な咲と、
厳格な自衛官一家に育った生真面目な紘一。
性格は正反対だが、
2人で幸せな人生を築くと誓った。

ところが、結婚式の翌日。
咲は早朝4時に起床ラッパの音で起こされた上、
紘一から緒原家の家訓を唱和させられる。

休日の外食に行くときも、
紘一はファッションから店選びまで何もかもセンスが違う。
しかも、自分の考えを押し付けてくるため、
咲の不満が爆発。
紘一も「思っていた結婚生活と違う」と大喧嘩になり、
互いに離婚を言い放つ。

2人は離婚を考えていることを家族に伝えることにしたが、
それぞれの両親たちもまた離婚を考えており、
言うに言えない状況に。

とはいえ、離婚することで夫婦の意見は一致。
しかし、いざ関係性が終わるとわかると、
いまいち踏み切れない気持ちが芽生えてきて……。

【感想】
咲と紘一は本当に茶番で、
むしろその両親たちの話の方がいいなと思えるドラマだった。

いやだって、メイン2人はさ、
本当にオールオアナッシングの考えで、
口を開けばすぐ「離婚!」でしょ。
なのに、全然別れないから。。。

結局、別れることが決まってからお互いのよさに気づくって、
ある意味想定内すぎる展開(笑)
昔読んだ経済誌に、
「人はモノを失うとき、手に入れたときの7倍の価値を感じる」
と書いてあったけど、
そういう心理もあるのかな。
自分が離婚したことないからわからんけど。

そもそもは極限状態で知り合った2人が恋に落ちて、
交際ゼロ日で結婚。
人間性のすり合わせができていないんだから、
そりゃ後から不満もいっぱい出てくる。

でも、話し合いを重ねて解決できる問題もあると思っていて、
そういうお互いの歩み寄りがないまま、
いきなり離婚だからね。
互いに譲らないわがままっぷり。
でも、時折見せるお互いの優しさにキュンって。
メンヘラかって。
まあ、最終回になって
ようやく歩み寄りを学んだっぽいけど(笑)

咲が元カレと別れた当てつけ婚っていうのは、
もっと前面に出してもよかった気がするなー。
あと、咲も紘一もそれぞれ言い寄ってくる人がいたから、
ワンチャンあって「しまった、寝てしまった!!」
っていう展開の方がラブコメとして笑えたかも。

あと、小説家の水無月先生(白洲迅)。
「あんたたち夫婦の本物の愛を信じていたのに離婚とかしてんじゃねーよ」
とかいきなりキレるからね。
おいおいどーしたって。
もっと女関係が派手で、
咲のことを口説きに口説きまくるぐらいのキャラだったら、
そのキレ方にも納得感あったけども。

てか、咲と紘一よりも、
それぞれの両親の離婚の方が
人間ドラマとしてよかったと思うんだよ。
特に、紘一の母親の薫(宮崎美子)が
離婚するという結論に至った背景の方がわかりみが深い。
彼女は、自分のアイデンティティを持つための離婚だったんだよね。
ずっと「父の妻」であり、
「子供の母」っていう記号でしかなかった人生から脱したかった。
父親の正(酒向芳)が古い考えの人だったから、
余計にそう感じたのかもしれない。

咲の母親の美土里(三石琴乃)が
武史(佐野史郎/平田満)に離婚をつきつけた真相もよかった。
武史の若い女の子との浮気もわかりやすいんだけど、
それはあまり問題ではなくて。
本当は美土里が病気で、
いつ死ぬかもわからない状態。
だから、家族に迷惑をかけず、
自分は綺麗なままそっと死にたかったと。

いずれも奥さんの方から別れを告げ、
最終的に夫が自分の気持ちを伝えるって形で収まってたね。
男の方がだいぶ立場弱いなと男目線で思ったりもしたけど、
元をたどれば「夫に愛想を尽かした妻」
って構図からのスタートだったから、
そりゃそうか。

この両親ぐらいかなー、
夫婦という関係性にこだわらなかったの。
いろんな夫婦の形を肯定する感じがしてよかった。

だから、咲と紘一よりも、
両親たちのエピソードにグッとくることが多かった。

TBSテレビ「金曜ドラマ『リコカツ』」

TBSテレビ 金曜ドラマ『リコカツ』の公式サイトです。毎週金曜よる10時放送。主演・北川景子、共演の永山瑛太、平岩紙、宮崎美子、酒向芳、三石...

TBSテレビ

 

トドメの一撃がB級スプラッターな『モータルコンバット』

2021年06月18日 23時34分20秒 | 映画


【個人的な評価】
2021年日本公開映画で面白かった順位:34/116
   ストーリー:★★★☆☆
  キャラクター:★★★★☆
      映像:★★★★★
      音楽:★★★★☆
映画館で観るべき:★★★★☆

【以下の要素が気になれば観てもいいかも】
アクション
格闘ゲーム
スプラッター
フェイタリティ

【あらすじ】
胸にドラゴンの形をしたアザを持つ
総合格闘技の選手であるコール(ルイス・タン)は、
自らの生い立ちを知らぬまま、
金のために戦う日々を送っていた。

ある日、魔界の皇帝がコールを倒すために放った
最強の刺客サブ・ゼロ(ジョー・タスリム)に命を狙われる。

コールは家族の危険を察知し、
特殊部隊少佐のジャックス(メカッド・ブルックス)と
女性戦士ソニア(ジェシカ・マクナミー)と合流。
地球の守護者ライデン(浅野忠信)の寺院を訪れる。

そこで太古より繰り広げられてきた
世界の命運を懸けた格闘トーナメント“モータルコンバット”の存在と、
自らが魔界の敵たちと戦うために選ばれた戦士であることを知る。

コールは新たな仲間たちと共に、
自らの秘められた力を解放し、
家族、そして世界を救うことが出来るのか?

【感想】
ゲーム好きにはお馴染みの残虐格闘ゲーム
『モータルコンバット』の映画版。
このゲーム、
あまりにも残虐すぎて、
日本じゃ発売されていないんだよね。
どれだけ残虐かと言うと、
対戦終了後、
勝者が敗者の首を脊髄ごと引っこ抜いたり、
チョップドサラダみたいに細切れにしたりするから(笑)

で、1995年と1997年にそれぞれ映画化されていて、
1作目は映画版『バイオハザード』シリーズの
ポール・W・S・アンダーソンが監督。
アメリカではメチャクチャヒットしたらしいけど、
僕の中ではワーストに入るぐらいつまらなかったw

オリジナル版はね、
とにかくポッと出のキャラクターたちがわちゃわちゃして終わりだし、
映像技術が今ほど発達してなかったから、
見た目もショボくて、
アクション映画なのに眠くなる。

ただ、今回のリブート版はよかった。
まあ、ストーリーはねー、
武術大会に向けて因縁の強敵を倒すっていうだけだから、
正直あってないようなものだとは思う。

でも、主人公だけが奥義を発動できない苦悩や、
敵との戦いに大敗を喫するなど、
負の部分を踏まえた上での
そこからの脱却があるから、
ジャンプ的な展開で個人的には好きだったなー。
だいぶ都合よく進んでいるところはあるにせよ、
オリジナル版と比べたらかなりいいと思う(笑)

バトル自体は『るろ剣』と比べちゃうと、
ちょっともっさりしている印象はあるんだけど、
刀に格闘に炎に氷にと、
最新の映像技術で実写化された
超絶空想バトルはやっぱりかっこよかったわ。
今後、格闘ゲームの実写化は
これぐらいの派手さが欲しいなと思う(笑)

特に真田広之ね、
あの渋さと強さを兼ね備えたキャラクターはしびれたわ。
唯一、定期的にハリウッドのアクション映画に出演している
日本人俳優ではなかろうか。

浅野忠信は雷の神様って役どころなんだけど、
彼は『マイティ・ソー』で
雷の神様の友達だったよねと思って
感慨深かった(笑)

そして、今回あってよかったなと思ったのが、
ゲームの一番のウリである残虐シーン。
過去作にはなかったけど、
今回はちゃんとあります!
ここだけB級スプラッターになってて
笑っちゃうんだけど(笑)

続編もありそうな終わり方だったし、
個人的には好きな映画なんだけど、
ポスターを見る限り、
誰が主人公なのかわからない。。。(笑)

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恋愛か漫画のどっちかにした方がよかったんじゃないかと思った『レンアイ漫画家』

2021年06月18日 01時01分04秒 | ドラマ
【個人的な評価】
2021年春ドラマで面白かった順位:5/6
 ストーリー:★★☆☆☆
キャラクター:★★☆☆☆
    映像:★★★☆☆
    音楽:★★★☆☆

【以下の要素が気になれば観てもいいかも】
ラブストーリー
おっさんの少女漫画家
美女の居候

【あらすじ】
久遠あいこ(吉岡里帆)の働く「あかり葬祭」では、
彼女の初恋相手だった刈部純(白石隼也)の葬儀が営まれていた。

そこで、彼の兄である刈部清一郎(鈴木亮平)と出会ったあいこは、
唐突に「レンアイしろ!」と詰め寄られるも、
驚きのあまり突き飛ばしてしまう。

清一郎にケガをさせたことが原因で
葬儀社を解雇されてしまったあいこ。
職探しも難航する中、家に戻ると不審な男がいた。
出版社の向後達也(片岡愛之助)と名乗るその男は、
あいこに仕事を依頼したいと持ちかけ、
ある豪邸に連れて行く。

そこであいこを迎えたのは、
なんと葬儀場で突き飛ばした男・清一郎だった。
彼の正体は大ヒット漫画『銀河天使』
の連載を続ける人気少女漫画家。

その漫画のネタのために
疑似恋愛のミッションを課せられたあいこ。
渋々引き受けるも、
やがて清一郎との間に妙な感情が芽生え始める。

【感想】
世間的にはどうだったのかわからないけれど、
個人的には正直微妙なドラマだった。

とにかく、あいこと清一郎の結びつきが不自然というか、
「そうはならんだろ」としか思えなくて。。。

もともとの設定は好きだった。
超人気少女漫画の作者である苅部マリア先生が、
実はイカついおっさんだったっていう振り切った設定で。

ハリウッドスターと比べると、
見た目にインパクトある知名度高い役者が少ない日本で、
鈴木亮平って本当に貴重だと思った。
ガタイも顔もイカつくて。
(これハリウッドだったら、
 ドウェイン・ジョンソンにやって欲しいけどw)

でも、肝心のその後の展開が微妙だったなー。
前半は吉岡里穂のコスプレドラマかって思うほど、
彼女のキャラ変身に寄ってて、
「これ、どうやって清一郎とくっつくんだろう」
って疑問しかわかず。

後半になって、
ようやく人嫌いだった清一郎が
人らしくなってきて。
それまでずっと漫画という
虚構の世界の住人だったのが
現実世界に入ってきて。

まあ、全然タイプが違う人間といっしょに暮していたら、
何かしらの変化はあって然るべきだとは思うけど、
そもそもタイプが違う人といっしょに住みたいとは思わないだろうし、
この2人ぐらい違うなら、
家出てくだろって思った。

それを引き留めたのが、
清一郎があいこの初恋の人の兄だったということと、
その子供がいるってことなんだろうけど、
それだけでストレスフルな同居生活するかなっていう違和感。
そんな関係性で恋仲に発展するってのも、
なかなか考えづらいよな。。。

そして、終盤で起こる清一郎が恋をしてしまったせいで
漫画が描けなくなるという事件。
ここで『映画大好きポンポさん』のセリフを紹介したい。

「満たされた人間っていうのは、
 満たされているが故にモノの考え方が浅くなるわ。
 だって、深く考えなくても今幸せだから。
 幸福は創造の敵」

僕はこれが清一郎にも当てはまったのかなって思ってた。
でも、最終回で言ってたのは
「自分は天才がゆえにひとつのことだけに集中してしまう。
 恋愛したことで漫画のことだけを考えるという
 ルーティンが変わってしまった」
という自己分析。
わからなくもないけど、、、
イマイチつながりが見えにくいかな。。。
(ちなみに、クリエイターが幸福を感じると
 ダメになるのは本当なのかは知りたいw)

結局、後半は恋愛に焦点が当たりすぎて、
漫画の創作上の苦悩ってのがオマケっぽくなってしまった印象。
それなら、クリエイターな職業である必要性が
あまりないんじゃないかなって感じてしまった。
で、恋愛自体も2人がくっつくところに違和感がありすぎて、
キュンがないっていう。。。

このドラマで唯一面白かったのは、
最終回で清一郎がメッチャハイテンションで
「モッツァレラチーーーズ!!」って叫ぶところかな。
昔、たまにそのゲームで遊んでいた身としては懐かしい(笑)

それにしても、いまだに異業種交流会であんなことしてんのかな。

レンアイ漫画家 - フジテレビ

レンアイ漫画家 - オフィシャルサイト。毎週木曜よる10時放送。鈴木亮平,吉岡里帆

フジテレビ

 

何者かになりたいがために平気で嘘をついてでも必死に他人にしがみつく女の子の生き様を描いた『猿楽町で会いましょう』

2021年06月17日 23時19分17秒 | 映画


【個人的な評価】
2021年日本公開映画で面白かった順位:51/115
   ストーリー:★★★★☆
  キャラクター:★★★★☆
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★★☆☆

【以下の要素が気になれば観てもいいかも】
ヒューマンドラマ
ラブストーリー
夢と現実
嘘と本音
セックス
メンヘラ

【あらすじ】
小山田修司(金子大地)は、
駆け出しのフリーカメラマン。
売り込み先の雑誌編集者の嵩村秋彦(前野健太)からは、
「作品にパッションを感じない」
と厳しくダメ出しされる。

そんな嵩村に紹介されたのは、
インスタグラム用の写真を撮影してくれるカメラマンを探していた、
読者モデルの田中ユカ(石川瑠華)だった。

撮影を通して距離を縮めていく2人。
しかし、ユカは決して身体を許そうとはせず、
家にも入れてくれず、
微妙な距離感が漂っていた。

そんなある日、
以前、小山田が売り込みに行った編集者から
仕事の依頼が舞い込んでくる。
またとないチャンスに喜ぶ小山田だったが、
突然、泣きはらした顔のユカがアパートにやって来る。

打ち合わせに向かおうとしていた小山田に抱きついて
「お願い、ひとりにしないで」と懇願するユカ。
小山田の中で溜まっていた想いが爆発して、
そのまま2人は初めて身体を重ねた。

数日後、小山田は意を決してユカの住むマンションの部屋を訪ねる。
ところが、目の前でユカの部屋に入って行く男の姿を目撃してしまう。
部屋の中に聞き耳を立てる小山田だったが……。

【感想】
夢を追いかけるフリーカメラマンの男と、
何者かになりたくて上京してきた女の、
夢と現実と嘘と本音が入り混じった映画。

人生に思い悩む若者系の映画で、
若者の青春を描く松居大悟監督、
男女の気持ちの交錯を描く今泉力哉監督の作品の、
ちょうど中間にあるような印象だったかなー。

時間軸がちょっと前後する構成になっていて、
全部で3章から成り立っているんだけど、
第1章の裏側が第2章でわかるっていう見せ方が面白かった。

特にヒロインのユカがね、
もう「何なんだこいつは」っていうほどのめんどくささ(笑)
人によって態度を変え、
呼吸するように嘘をつき、
自分を正当化し、
すべてを自分に都合のよい方向へ持っていこうとする。
そして、なぜかそれが許されると思っている。
限りなく「お引き取り願いたい」人種(笑)

ある程度歳を重ねた今なら、
「若いときってこういう感じの子いるよね」
って微笑ましく感じられなくもないけど、
身のまわりにいて巻き込まれたら完全に事故だろうな。

でも、それが彼女の処世術でもある。
強い意志もなく、頼れる人もいない。
でも、寄ってくる人はいる。
だから、そこにすがる。
嘘をついてでも。
誇りを売ってでも。

自分に何もないことは自分が一番よくわかっているから、
他人にしがみつくことに必死になるのかもしれない。

そこには、映画やドラマでよくあるような、
「がんばったから報われる」、
「たまたま才能を見つけてもらえる」
なんてお花畑のような世界はない。

むしろ、孤独や嫉妬、疑心や絶望といった
負の感情にまみれる現実が広がっている。
これを辛い現実と捉えるかは人それぞれだけれど、
綺麗事が一切ない物語と、
感情むき出しで体当たりな役者さんたちの演技は
見ごたえありでした。

いやー、
自分が付き合っている彼女がこうだったら、
相当ショックだよ。
特に男目線からしたら。
よほどの仙人か、
もしくは彼女に興味がない人じゃないと、
耐えられないと思う。

小山田が「彼女が嘘をついているかもしれないんです。でも、なんでそれが許せないんだろう」
ってぼやくシーンがあるんだけど、
ある意味、彼女のことちゃんと好きなんだなって思った。
自分が与えている愛と同等かそれ以上を返して欲しいと思うタイプか、
他人に期待してしまうタイプの人間ほど、
こういう現実は辛いかもしれない。。。

他人は信用しすぎない方がいいのかも、
この世を楽に生きていくには。
精神衛生上(笑)

それにしても、邦画でちょっと重めの話にするときって、
多くの場合「性」が絡むよなあ。

映画『猿楽町で会いましょう』公式サイト

映画『猿楽町で会いましょう』公式サイト。6月4日(金) 渋谷ホワイトシネクイント、シネ・リーブル池袋 他 全国順次ロードショー

 

母娘の絆よりも焼肉を推したい『漁港の肉子ちゃん』

2021年06月17日 01時17分49秒 | 映画


【個人的な評価】
2021年日本公開映画で面白かった順位:64/114
   ストーリー:★★★☆☆
  キャラクター:★★★★☆
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★★☆☆

【以下の要素が気になれば観てもいいかも】
ヒューマンドラマ
親子愛
焼肉

【あらすじ】
愛情深い性格ゆえに、
これまでの人生、
ダメ男ばかりを引き寄せては、
何度もだまされてきた母・肉子。

とんでもなく豪快で、
子供みたいに純粋な母に比べて、
しっかりもので大人びた性格の小学5年の娘・キクコ。

ふたりは肉子ちゃんの恋が終わるたびに各地を放浪し、
北の漁港の町へと流れ着く。

漁港で途方にくれる母娘の胃を満たしたのは、
一軒の焼き肉屋「うをがし」の焼肉だった。
妻に先立たれ、
店をたたもうとしていた店主・サッサンは、
目の前に現れた肉子ちゃんを”肉の神様”だと思い、
「決しておなかを壊さないこと」
を条件に肉子ちゃんを雇い入れる。
こうして、
サッサンが所有する漁港の船を住処に、
肉子ちゃんとキクコの新しい生活が始まった。

キクコは地元の小学校に転入する。
学校ではこの年頃特有の女子グループ間のやっかいな抗争や
風変わりな少年・二宮との出会いを通じて、
キクコは少しずつ成長していく。

肉子ちゃんの次の恋が終わったら、
またこの町を出て行かなければならない。
そんな不安がよぎるキクコと肉子ちゃんの大きな秘密が明らかになり……。

【感想】
涙ちょちょぎれる母娘の物語。

明石家さんまが前面に出てるから、
てっきり彼の創作か半生に近い話なのかと思ったら全然違った(笑)
普通に2013年に発売された小説が原作。

お話としては、
前半はあまり動きがなく、
肉子とキクコの日常が流れるだけ。
後半から面白くなってくるかなー。
まあ、「わかってましたw」
っていう流れではあるんだけど。
感動的ではあるものの、
肉子の顔芸がおかしくて、
なかなか泣くに泣けなかった(笑)

個人的には、
肉子とキクコのエピソードよりも、
キクコの友達のマリアのエピソードの方が印象深かった。

女子グループのいざこざなんだけど、
ちょっと変革を起こそうとしたら、
失敗して孤立するっていう。

大人の世界でも革命に失敗して左遷されてしまい、
まわりからは腫れ物に触れるかのような
扱いを受けるってこともあるから、
社会の縮図かなって(笑)

全体的に『となりのトトロ』へのオマージュがいくつかあるから、
同作を観てる人はいろいろ気づく点があるかも。

キャストの声の演技もよくて、
肉子を演じた大竹しのぶはもちろんのこと、
キクコの声をやったCocomiも、
よくある専業声優さんじゃないことの不自然さがなくて、
普通にうまいなって感じた。

あと、焼肉!
これはもう焼肉好きとしてはポイント高いよ!
厚切りのみすじを焼いてるところが
メチャクチャうまそうで腹減るわ。

それにしても、
公式サイトをスマホで見たときの企業のバナーがえげつない。。。
これだけで作品の世界観がぶっ壊れるほど。
まあ、ビジネス的に仕方ないとは思うけど。。。

劇場アニメ映画『漁港の肉子ちゃん』公式サイト

企画・プロデュース:明石家さんま×原作:西加奈子×制作:STUDIO4℃。心温まる感動エンターテイメント『漁港の肉子ちゃん』大ヒット上映中!

劇場アニメ映画『漁港の肉子ちゃん』公式サイト

 

人の孤独を埋めるのは愛されることじゃなく愛することだった『大豆田とわ子と三人の元夫』

2021年06月15日 23時33分44秒 | ドラマ
【個人的な評価】
2021年日本放送ドラマで面白かった順位:1/5👑
 ストーリー:★★★★☆
キャラクター:★★★★☆
    映像:★★★☆☆
    音楽:★★★☆☆

【以下の要素が気になれば観てもいいかも】
ヒューマンドラマ
コメディ
ラブストーリー
絶妙なセリフの言い回し

【あらすじ】
大豆田とわ子(松たか子)は、
これまでに3回結婚して3回離婚した、いわゆる"バツ3"。
建設会社『しろくまハウジング』の社長に就任し、
最初の夫・田中八作(松田龍平)との間に生まれた
中学3年生の娘・唄(豊嶋花)と暮らしている。

しかし、元夫たちはいまだに未練タラタラで、
八作だけでなく、
2番目の夫・佐藤鹿太郎(角田晃広)も、
3番目の夫・中村慎森(岡田将生)も、
何かととわ子に近づいてくる。

それぞれの想いを胸に秘めた4人は、
果たして幸せになれるのだろうか。

【感想】
これはすごく面白かったなー。
坂元裕二さんの作品ってどれもそうなんだけど、
日常を大袈裟にするのがうまいよね。
今回だって、結局
「3人の元夫たちは今でも別れた奥さんが大好き」
っていうだけだからね。
そんな彼らととわ子の他愛もない日々を描いているのみで、
ものすんごいロマンチックだったり、
ドラスティックだったりってことは、
あまりなかったかも。

まあ、唐突すぎることはいくつかあったけどね。
かごめ(市川実日子)はいきなり亡くなってるし、
大史(オダギリジョー)はしれっといなくなってるし、
最終回で母親の恋人(風吹ジュン)がポッと出てくるし。

それらがまたいいスパイスだったりもするんだけど、
そういうの全部ひっくるめて、
このドラマがこんなに面白いと思ったのは、
やっぱり神がかったセリフに表れる「共感度」の高さかなー。

比喩や例えにおいて、
みんなが「そうそう、そういうことある!」
ってわかるような、
最大公約数的なところを突いてくるのがうまいのよ。
そのセリフの掛け合いだけで、
強く引き込まれちゃうんだよなー。
ほーんと、このドラマだけ、
セリフを毎話メモっちゃうぐらい(笑)

元夫たちも、
人間誰しもそういう部分あるよね
っていう性格をうまく3人に分割したと思ってる。
真っ当そうに見えて何も言っていない八作。
器の小ささが溢れ出ちゃってる鹿太郎。
世間のいろんなことに文句垂れちゃう慎森。

僕は慎森のキャラが一番好きだったなー。
みんなが当たり前のようにやってることに疑問を感じては、
ブーブー言ってるんだけど、
ひねくれているように見えて一番素直かなって。

彼のセリフを聞いてるとさ、
「全体会みたいに、上の人が状況知りたいがためだけに、
 現場みんな集められるの意味あります?」
って、メッチャ脳内再生されるんだよね(笑)

あと、そんな3人に惹かれる女性たちが
ふらって登場するのも面白かった。
八作の親友の恋人である早良(石橋静河)。
鹿太郎が出会う不倫中の女優、美怜(瀧内公実)。
慎森の滞在しているホテルで清掃員として働く翼(石橋菜津美)。

とわ子を追いかけつつ、
急に出てきた魅力的な女性にみんなよそ見しちゃって。
結局、グサリとくるセリフと共に、
全員フラれちゃったけどね(笑)
でも、第6話であった男性陣へのダメ出しのエピソードが、
一番笑えると共に、
自分の中にもあるかもとヒヤッとしたかも(笑)

毎週、セリフを聞くのと
とわ子のオシャレが本当に楽しみなドラマだった。

以下、推したいセリフたち。

慎森「僕が心配するのは、
   シャンプーしてるときの背後と、
   おにぎり出すときに海苔が破れないかだけです」

とわ子「人生に失敗はあったって、
    失敗した人生なんてないと思います」

翼「ロマンチスト最悪。
  そういう人ってロマンはごはんだと思ってるんですよ。
  でも、ロマンはスパイスなんですよね。
  主食じゃないんだなあ」

美怜「はい出た、言い訳の第1位。
   言いたいことの半分も言えなかった」
翼「言えたことですよ。
  言えたことだけが気持ちなんですよ」

早良「どこを好きだったか教えるときは、
   もうその恋を片付けるって決めたときだよ。
   せっかく自分だけが見つけた秘密だったんだから」

大豆田とわ子と三人の元夫 | 関西テレビ放送 カンテレ

松たか子が、問題はあるが明るくてユーモラスでキュートなバツ3女性に!

大豆田とわ子と三人の元夫

 

人生の分岐点である法廷だからこそ“正しい裁判”にこだわった『イチケイのカラス』

2021年06月14日 23時07分21秒 | ドラマ
【個人的な評価】
2021年春ドラマで面白かった順位:1/4👑
 ストーリー:★★★★☆
キャラクター:★★★★☆
    映像:★★★☆☆
    音楽:★★★★☆

【以下の要素が気になれば観てもいいかも】
ヒューマンドラマ
法廷ドラマ
検察
弁護士
裁判官

【あらすじ】
坂間千鶴(黒木華)は若くして特例判事補になったエリート。
このたび、東京地方裁判所第3支部第1刑事部<通称:イチケイ>に配属となった。

東大法学部出身の彼女は、
冗談がまったく通じない堅物タイプで、
裁判官が的確かつ速やかに事件を処理することで、
日本の治安が維持されていると自負している。

そこで出会った入間みちお(竹野内豊)。
元弁護士という異色の経歴を持つ刑事裁判官で、
ヒゲを生やし、服装はカジュアル、
とぼけた発言もしばしばという、
お堅い裁判官のイメージとはほど遠い、
ゆるい空気をまとった男だ。

千鶴はことごとく自分の常識を覆していく
入間と共に審理を行うことで、
裁判官に対する考えが大きく変わっていくことになる。

【感想】
面白かった。
安定の法廷モノ。
いつもは弁護士か検察だけど、
まさか裁判官とはね。

昨年、裁判員をやらせていただいたとき、
「我々ってほとんど事件の捜査を行わないから、ドラマとかになりづらいんですよね」
なんて裁判官の方々がおっしゃっていたから、
ちょっとびっくりだった。
ドラマになってるやん、と。
このドラマ観てから行きたかったなあ(笑)

内容的には、これまでの弁護士モノや検察モノと大きく変わらなかったね。
「職権を発動します」と声高らかに宣言し、
毎週裁判所主導で事件の捜査を行うから(笑)

入間のゆるーい雰囲気とは裏腹に、
事実をきっちり追求する点は、
『99.9』に近しい世界観かなーって思った。
ただ、その事実の追求に対する姿勢は、
こっちの方が強いかもしれない。
なぜなら、被告人を弁護することが目的ではなく、
正しい判決を下すためだから。

特に、入間は常に正しい裁判をすることが
裁判官の務めであるという
信念を持っているんだよ。
それは第3話での彼のセリフにも表れていたと思う。
「起きてしまったことは変えられない。
 でも、これからのことは変えられる。
 その分岐点がこの法廷です」と。

裁判は人生のY字路。
ここでの判決が、
被告人の人生を大きく変えることになる。
だからこそ、有利なことだろうが不利なことだろうが、
事実として何が起こったのかを
明らかにする必要があるんじゃなかろうかと。

これは、裁判官を主人公にしたドラマだからこそ、
より強く伝えるべきことだと思うし、
入間自身、かつて弁護士として救えなかった命があったから、
余計にこだわるんだなと感じた。

ラストの終わり方からして、
これシーズン2ありそう。

あと、職権を発動するときに流れるBGMが耳に残りやすくて、
たまに鼻歌うたうわ(笑)

イチケイのカラス - フジテレビ

イチケイのカラス - オフィシャルサイト 2021年4月スタート 毎週月曜よる9時放送 主演:竹野内豊

フジテレビ

 

すべてが“ごっこ”に見えた『ネメシス』

2021年06月14日 00時09分25秒 | ドラマ
【個人的な評価】
2021年春ドラマで面白かった順位:3/3
   ストーリー:★☆☆☆☆
  キャラクター:★☆☆☆☆
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆

【以下の要素が気になれば観てもいいかも】
探偵ドラマ
ゲノム編集ベビー

【あらすじ】
探偵事務所ネメシス。
横浜のさびれたビルの2階に居を構えるこの事務所のメンバーは3人。
天才的ヒラメキで、
事件を解決に導く助手の美神アンナ(広瀬すず)。
一見デキる男風だが、
実はかなりのポンコツ探偵=風真尚希(櫻井翔)。
ネメシスの社長であり、
探偵歴30年の大ベテラン=栗田一秋(江口洋介)。

日々訪れる依頼者のために、
難解事件を解決に導いていくが、
その裏ではメンバーの過去に大きく関わる
“ある計画”が密かに動いていた……。

【感想】
個人的にはまったく入ってこないドラマだった。。。
これは、、、近年稀に見る、、、(略)

第1話の時点で、
どこぞの少年探偵を模したようなテンポの悪い推理に、
「あ、これやばいかも」とは思ってた(笑)

ただ、過去の秘密が明かされていく展開に
面白さを感じられるんだろうと
淡い期待は抱いてたんだよね。

ところが、毎週行われる推理と呼べない推理を観るのが辛くて
心が折れてしまい。。。
なんとか最終回まで観たのだけど、
よくわからなかった。。。

アンナの「入る」って何なんだろうか。
その説明が何もないまま、
とりあえず一時的に過去に戻ることで、
見落としていた新事実を発見し、
事件を解決するというチート能力は、
もはや探偵ごっこだったなーって。

まあ、ゲノム編集ベビーだからね、、、
普通の人間では使われていない脳の力を覚醒させ、
全能力を飛躍的に上げることで、
過去のある時点における
時間的・空間的認知力を拡張させてるとか、
そんなとこだろう。

にしては、アンナのキャラが地味というか、
暗い過去を背負う陰も感じられなければ、
アクションも拙く、
こちらもごっこ感が強かったなあ。。。

ラスト2話は、
それまでの探偵ドラマを無にするかのような
SFチックな世界観になっていて、
「これなんのドラマだっけ」と思うほど(笑)

レギュラーの登場人物も多すぎて、
ひとりひとりが印象に残りづらかったし、
正直、「んー」なドラマでした。。。

探偵ドラマよりも刑事ドラマの方が相性よさそうだなと思ったけど、
それだと『ニッポンノワール-刑事Yの反乱-』と変わらないか。

ちなみに、最終回のサブタイトルは
『愛してくれてありがとう』。
火拳のエースかよって(笑)

https://www.ntv.co.jp/nemesis/

他愛もない世間話が延々と続く『逃げた女』

2021年06月13日 18時30分32秒 | 映画


【個人的な評価】
2021年日本公開映画で面白かった順位:113/113🤯
   ストーリー:★☆☆☆☆
  キャラクター:★☆☆☆☆
      映像:★☆☆☆☆
      音楽:★☆☆☆☆
映画館で観るべき:★☆☆☆☆

【以下の要素が気になれば観てもいいかも】
ヒューマンドラマ
韓国映画
女性の生き方

【あらすじ】
ガミ(キム・ミニ)は、
5年間の結婚生活で一度も離れたことのなかった夫の出張中に、
ソウル郊外の3人の女友だちを訪ねる。

バツイチで面倒見のいい先輩ヨンスン(ソ・ヨンファ)。
気楽な独身生活を謳歌する先輩スヨン(ソン・ソンミ)。
そして偶然再会した旧友ウジン(キム・セビョク)。

行く先々で、「愛する人とは何があってもいっしょにいるべき」
という夫の言葉を執拗に繰り返すガミ。

穏やかで親密な会話の中に隠された女たちの本心と、
それをかき乱す男たちの出現を通して、
ガミの中で少しずつ何かが変わり始めていく。

【感想】
ごめんなさい。
「よくわかりませんでした。。。」
というのが正直な感想です。。。

結婚生活が5年続く中、
1度も夫と離れたことのない主人公が
3人の旧友に会いに行くというシンプルな話なのだけど。

ひたすら他愛もない世間話だけが続くのみ。
旦那がどうとか、仕事がどうとか。
主人公の近況も3回同じこと聞かされるから辛い。。。
しかも、たまに会話が噛み合ってない。

「過去にこういうことかあったのだろう」とか、
「本当はこう思ってるんじゃないか」とか、
あれこれ想像はするものの、
想像しただけで終わってしまうという。

個人的には、みんな相手の出方を探り探りして、
本音を隠しているように感じたけれども。

カメラワークも固定で動きはなし。
たまに、ハンディカムのような謎のズームがあるぐらい。

んんん。。。
まわりの評価が高すぎなのが
まったく理解できないのだけど、
このホン・サンスという監督の作品って、
こんな感じらしい。
僕は初めてだったけど。

うん、これは観る人を選びそう(笑)

ホン・サンス監督作品『逃げた女』オフィシャルサイト

ホン・サンス監督作品『逃げた女』オフィシャルサイト

 

安楽死を決意した母親とその家族の在り方が尊い『ブラックバード 家族が家族であるうちに』

2021年06月13日 15時55分07秒 | 映画


【個人的な評価】
2021年日本公開映画で面白かった順位:18/112
   ストーリー:★★★★★
  キャラクター:★★★★★
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★★★☆

【以下の要素が気になれば観てもいいかも】
ヒューマンドラマ
安楽死
家族の秘密

【あらすじ】
ある週末、
医師のポール(サム・ニール)とその妻リリー(スーザン・サランドン)が暮らす
海辺の家に娘たちが集まってくる。
病気が進行し、
次第に体の自由が利かなくなっているリリーは
安楽死する決意をしており、
家族と最後の時間をいっしょに過ごそうとしていた。

長女ジェニファー(ケイト・ウィンスレット)は
母の決意を受け入れているものの、
やはりどこか落ち着かない。
家族だけで過ごすはずの週末に、
リリーの親友リズ(リンゼイ・ダンカン)がいることにも
納得がいかない。

詳しい事情を知らなかった
15歳の息子ジョナサン(アンソン・ブーン)も、
この訪問の意味を知り、
驚きを隠せない。

長らく連絡が取れなかった次女アナ(ミア・ワシコウスカ)も、
くっついたり離れたりを繰り返している
恋人クリス(ベックス・テイラー=クラウス)と共にやってくるが、
姉と違い、
母の決意を受け入れられておらず、
ジェニファーと衝突を繰り返す。

大きな秘密を共有する家族が共に週末を過ごす中、
それぞれが抱えていた秘密も浮かび上がり、
ジェニファーとアナの想いは揺れ動き、
リリーの決意を覆そうと試みる…。

【感想】
おおおお、
こんなに面白い映画だとは思わなかった。。。

泣ける内容ではあるものの、
安楽死を決意した母親と過ごす最後の時間は、
そうとは感じさせない楽しさがあって、
まるでこれから旅に出る前の送別会のような雰囲気。

でも、だんだん"そのとき"が近づくに連れ、
些細なことからそれぞれ抱えていた秘密が表に出てきて、
一悶着ある人間ドラマがメチャクチャ面白い。

長女のジェニファーが気づいた父の秘密。
次女のアナに起こった真実。
孫のジョナサンが密かに抱く夢。

最後だから気が緩むのか、
最後だから言ってしまおうと腹を括れるのか、
普段はなかなか言えないことがポロっと出ちゃうのは、
この状況ならではだと思うんだよね。

それほどまでに、
"人生の最後"というのは
何かパワーを持っているんだと思う。

でも、いくら最後だからとはいえ、
リリーにネガティブな感情は一切ない。
むしろ、前向きで誇らしく、
力強ささえ感じるのだ。

きっと、死を"自ら"選択したからなんだと思う。
普通、死っていつ来るかわからないよね。
わからないからこそ、
人は恐れるし、怯える。

リリーはそのタイミングを自分で選んだ。
いつ死ぬかわかっているのだ。
「安楽死を決意してから、恐怖はなくなった」と言っていたけど、
"わかる"、"知っている"という状態が、
どれほど人から恐怖を取り除くのかが伝わってくる。

で、リリーがまたすんごくキャラしてるんだよ!!
孫に残す遺産の使い道は「酒と女に散在しな」と言い切るわ、
ハッパは「死ぬ前とセックスの前だけ」とアドバイスするわ、
長女のへプレゼントに大人のおもちゃをあげるわで、
ファンキーすぎ(笑)
こういうおばあちゃん、好き。

これはあくまでも映画の感想なので、
死の在り方について議論する気はないけれど、
法的な問題、倫理的な問題を抜きにしたら、
個人的には、"生"は自分で選べないからこそ、
"死"を選ぶ自由はあってもいいと思っている。

ただ、もちろんそれは自殺とは違う。
自殺はネガティブな理由を苦に
自ら命を絶ってしまうけれど、
今回のリリーにそれはない。
病気で体の自由が利かなくなり、
栄養をチューブで取り込む状態が嫌という想いはあるものの、
それを苦に感じて、、、ではなく、
そんな生き方をするぐらいなら、
元気なうちに自分ができる選択として死を選んだというだけ。

生物として生を受けた以上、
避けて通れない死を、
あえて自ら選択した人と
その家族の在りようはとても尊く、
興味深く観れる映画だった。

オススメ。

映画『ブラックバード 家族が家族であるうちに』オフィシャルサイト

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