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だったけど、もはや自分の備忘録としての映画やドラマの感想しかないです。

強制送還によって家族が引き裂かれる危機に瀕した姿が辛い『ブルー・バイユー』

2022年03月09日 22時18分02秒 | 映画

【個人的な評価】
2022年日本公開映画で面白かった順位:11/39
   ストーリー:★★★★★
  キャラクター:★★★★★
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★★★☆

【ジャンル】
ヒューマンドラマ
移民
強制送還

【原作・過去作、元になった出来事】
何人かの実体験を元に製作。

【あらすじ】
韓国で生まれ、
わずか3歳でアメリカに養子に出されたアントニオ(ジャスティン・チョン)。
しかし、自身は知る由もない30年以上前の書類不備で、
国外追放命令を受けてしまう。

アメリカの移民政策で生じた法律の隙間に落とされてしまった彼は、
愛する家族との暮らしを守れるのだろうか。

【感想】
とても心が痛む映画だった。
主人公の見た目が同じアジア人っていうことで、
より感情移入しやすくて辛い。。。

◆自分に落ち度がないのに法的に裁かれてしまう現実

この映画の題材は、
移民の強制送還。
でも、そのきっかけは不運すぎる偶然だった。

アントニオは妻のキャシー(アリシア・ヴィキャンデル)と
娘のジェシー(シドニー・コワルスケ)と
3人で仲良く暮らしていた。
ジェシーはキャシーの連れ子で、
アントニオと血の繋がりはない。

ある日、スーパーでアントニオとキャシーが
些細ことから口論していたところを、
巡回中の警官が見つけちゃって。
それが、ジェシーの実の父親でもあるエース(マーク・オブライエン)と、
同僚のデニー(エモリー・コーエン)。
このデニーが本当にひどい野郎でね。
アジア人のこと嫌いなんだろうか、
アントニオは何も悪いことしてないのに、
ちょっとした言い合いから逮捕。

で、アントニオも前科があるから、
捕まった後にいろいろ調べられちゃう。
そこで、国際養子縁組でアメリカに渡ってきたことがわかるんだけど、
30年前の書類に不備があって、
韓国に帰らないといけない状況に。
まあ、その書類の不備の責任は、
アントニオの養父母にあるんだけど、
すでに他界。
自分のまったく知らないところで、
自分に何の責任もないのに、
国外追放されちゃう状況がもう辛い。
しかも、彼にはキャシーとの間に新しい子供を授かっていて、
このままだと家族がバラバラになっちゃうんだよ。

◆アントニオに訪れる不幸の連続

残された選択肢は強制送還を受け入れるか、
もしくは公聴会でアントニオの有用性を訴えて判決を委ねるかの二択。
前者は受け入れ難いので、
後者でがんばろうとするんだけど、、、
これがまたアントニオにとって辛いことで。
有用性を訴えるってのは、
彼がいかにまわりに貢献していて、
このまま国外追放されるとデメリットになるかを
証明しなくちゃいけない。
もちろん、タダではなく、
高額な費用が必要になる。

そんな大変な状況にも関わらず、
またあのアジア人嫌いのデニーも絡んでくるし、
「こんなに不幸なことって連続するの?」
ってぐらいアントニオの置かれた状況が辛すぎた。

◆決してフィクションではない出来事

この話自体は、
いくつかのインタビューを元に作られている話だけど、
アントニオのようなケースは多いらしい。
1945年~1998年の間に
国際養子縁組を結ばれてアメリカに来た人たちの中には、
市民権を持たない人が大勢いて、
実際に強制送還された人もいるとか。

日本にいると、
まず移民とかって目にしないし、
映画でも白人以外の外国人がそういう役どころだったりして、
かわいそうだとは思いつつも、
遠い海の向こうの話として、
身近に感じることはなかった。
でも、今回アントニオを演じたジャスティン・チョンは
韓国系アメリカ人で、
見た目的にはアジア人。
だから、それだけで感情移入しやすいってのはある。

デニーからの絡みだって、
アジア人差別の延長だよなって感じるんだけど、
こんないたたまれない気持ちになるのかって思った。
黒人差別はよく映画の題材であるけど、
アジア人差別を描いたのって観たことない。
昔の映画だと、
アジア人がバカにされたような扱いなのは目にするけど。
『ティファニーで朝食を』(1961)に出てきたユニオシの
メガネ、出っ歯、つり目とか。

◆そんなわけで

とても興味深い内容なのでオススメ。
主人公の置かれた立場に加えて、
娘ちゃんの演技にも号泣なので、
ハンカチ必須の映画です。



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