明日香の細い道を尋ねて

生きて行くと言うことは考える事である。何をして何を食べて何に笑い何を求めるか、全ては考える事から始まるのだ。

今日の視点(17)自衛隊での乱射事件を考える

2023-06-18 17:06:13 | 今日の話題

どこかで聞いたことがあるが、自衛隊は創設以来「海外で一発も弾を撃ってない」ことを誇りにしていた、という(今はどうしてるか知らないが)。つまり、有事に備えて日夜厳しい訓練を行っているにも関わらず、戦後70有余年というもの実際の戦闘は「全く経験」していないのである。ちょっと前にアフリカだかイラクだかで、テロ組織の砲弾が自衛隊の敷地内に落ちたことがあり、自衛隊は兵器を攻撃に使用出来無い決まりなので、英国かどこかの部隊に護衛して貰って退避した、という報道があった。別に私は戦争に賛成している訳ではさらさらないが、砲弾が飛んできた位で他所の国に護衛して貰うというんじゃ、自衛隊はなんの為にわざわざ遠くまで遠征してるのか?と情けなくなる。勿論あれは国際人道支援ということで行っている訳で、自衛隊はその警護の役割だったとも言える。だから戦闘行為は「出来る限り避けていた」というのが正直な話であろう。しかしそれにしてもニュースの報じ方は自衛隊をクローズアップし過ぎていて、物々しい。

まあそんなこんなで何かというと話題になる自衛隊だが、その活動がニュースになる時は大体「韓国・北朝鮮・中国」の何れかである。自衛隊が国民から声援を受けるのは、何かこの三国といざこざが起きた時と相場が決まっている。それ以外では普段何をやっているか、よく分からない組織なのだ。で、災害が発生して「救助」に向かうときには、「自衛隊が来てくれて本当に助かった」と大感謝される訳である。だから国民で自衛隊のことを悪く言う人は余りいないのだ。中には災害の時にいてくれないと困るから・・・という理由で自衛隊を捉えている人もいるらしい。私にしてみれば「バカヤロー」である。災害救助の役に立っているからと言って自衛隊が「有意義」な存在だと言うのは、本末転倒・夜間点灯のコンコンチキなのだ!(随分と気合が入っているねぇ)

冗談はさておき災害救助も他国防衛も、国民の安全を守るという意味では同じかも知らんが組織としての目的は「全然別」なのではないだろうか。一方は他国の侵略軍と戦うのであり、もう一方は自然の猛威から自国民を守る。一方は外向き、一方は内向き。向かっているベクトルが真逆なのだ。特に他国との戦争に関して言うならば、そもそも「外交努力」を平時より密に行なって「仲良くする」のが大前提である。例えばロシアと中国は以前から燻っていた「長年の国境紛争」を全て綺麗さっぱり解決して、今は「無くてはならないパートナー」になっていると言う。韓国との問題だって竹島とかいうたかが岩の隆起に過ぎないような小さな島が「どちらの国の領土か」などと言い争っていつまでも仲良くなれないのは、政府や一部の国民が「わざわざ紛争の火種を作っている」だけのように私には思える。もし竹島や尖閣諸島の領有権問題が二国間で平和的に解決し、北朝鮮もアメリカが韓国から手を引いて周辺の国と「友好関係」を築くことが出来れば、その時は自衛隊は「無くてもいい」のだろうか?

そうはならないのが自衛隊の難しい所である。

もう攻めて来る他国は少なくとも周りには「存在しなくなった」という状態になったとしても、世界第8位という普通に考えれば「強大な戦力」をおいそれと手放したくない、というのが政治家及び自衛隊幹部の考えであろう。そこで今回のテーマである「目的を見失った組織」が持ち上がって来る。

災害救助は本来は自衛隊の仕事では無いので分離し、消防署の一個格上の「災害対策省」みたいな専門省庁を創設すべきではないか。そうなると残された本来の自衛隊という組織は訓練はするけど「永遠に戦争しない軍隊」、つまり結果的には毎年何兆円も使う「無駄な金食い虫の組織」になってしまうのだ。この無駄を仮に「必要経費」と考える政治家や国民がいるとしても、中で働いて日夜訓練している自衛官の「モチベーション」は一体どうなってしまうんだろうか?

これが目的を失った組織の問題点である。

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軍隊と言うのは命懸けで相手と戦う職業だ。常に仮想敵国を頭にイメージして「ああしたらこう、こう来たらどう」と、肉体的にも精神的にも極限に耐えるべく日々訓練に励んでいる組織である。ところがその訓練した技と鋼のメンタルを「実際に試す機会(=戦闘行動)」が、起きない又は外交問題で解決してしまっている、という現実に直面した時、何が起こるか?

答えは無際限の「規律と服従」の連続である。

それでも大方の隊員は自分達の存在が国を守り、他国からの侵略の抑止力になっていると信じて(実際、そう言う考え方を骨の髄まで叩きこまれている、または、元々そういう考えを持っていて「国に殉ずる気概」を持っている人が自衛隊に入隊している)日夜訓練に勤しんでいると想像される。しかし自衛官のすべてが国を守るという高邁な目標を持って入隊する人「ばかり」ではない。戦車や駆逐艦や戦闘機に憧れて入隊する人もいると聞く。まあどんな理由で入隊するにしても、組織があれば「人間関係も千差万別」色々あって、中には暴力的指導で「権力志向」の強い上官もいるだろう。私が軍隊に抱くイメージの一番嫌いな点は、この「頭が悪いのにやたら命令し服従させまくる上官」の下に配属された兵隊の悲惨さである。

昔、帝国陸軍と言っていた時代に南印インパールで行われた日本軍の「信じられない非人道的な作戦」に象徴される如く、太平洋戦争時の日本軍の作戦の殆どはまさに「無茶苦茶を絵に描いた」な机上の空論に終始していた(これは山本七平の本の受け売りです)。こういう「腐り切った組織」というのは往々にして目的が変節していて、今の自衛隊で言うならば「国を防衛する」という大前提がどこかに飛んで行ってしまって、規律の為の規律・服従のための服従を美化するような組織に堕落してしまうのである。今回の銃乱射事件がこうした組織が内包する問題によるものとは言い切れないが、少なくとも「目的意識が希薄」にならざるを得ないのは当然であろう。では、どうすればいいのか?

それは、訓練した技を「実際に使う場」を用意することで解決する。

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そこで私の提案だが警察庁と自衛隊は一つの大きな組織に改編統合し、相互に人材・業務を共有するのである。ある時は「警察官」として暴力や詐欺から市民の生命・財産を守り、また別の時は「自衛官」として国の領土と経済活動の自由を防衛する。そうすれば現行二つの組織は相互に「目的を共有」する新しい組織として再スタートし、安全・安心な日本を維持してゆく使命に従事する「実戦機会」も与えられるという訳だ。勿論、予算も一体化して無駄を省き、実際に働いて役に立つ実感も得られる「一石二鳥」の名案だと思うがどうだろう?。

内部規律を見直して再発に備えると自衛隊のスポークスマンは言っているようだが、もっと「根本的なところ」を解決しないと自衛隊の問題は解決しないような気がするのだ。是非検討して貰いたいものである。

 



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