明日香の細い道を尋ねて

生きて行くと言うことは考える事である。何をして何を食べて何に笑い何を求めるか、全ては考える事から始まるのだ。

私のお気に入りの場所5選

2018-04-25 19:40:00 | 歴史・旅行
最近急に思いついたことがあって、なぜか「お気に入りの場所」ってのに妙に心が動いている自分に気がついた。嬉しいことや悲しいことや、なんでも無い時にも「何故か来てしまうお気に入りの場所」なんて、人生における「物言わぬ友達」みたいで、ちょっと自慢だなぁ、とも思える。そこで奈良に引っ越したときに備えて、私のお気に入りの場所ベスト5を選んでみた。

5位 不退寺
業平ゆかりの寺というのだが、この前行った時には人っ子一人いなくて閑散としていた。どうもネットで見る寺とは印象も門の大きさも違っていて、私には前にも地元の小さな神社を男山八幡神宮と間違えて帰ってきた「前科」があるので違っていた可能性があるが、それにしても「草深い庵に毛が生えたような寺」である。まあ業平にちなんだ寺であるから派手派手しいよりは「ひとけのない」ほうが物悲しい風情があっていいのだが、あんまり寂しそうなのでその時は「中には入らないで」帰ってしまったのだ。また来ることもあろうかと思ってのことであるが、「伊勢物語」なぞを愛読していれば「なにか心に刺さるものがあったのでは」と今では後悔している。ここからは平城宮跡や法華寺・海龍王寺なども近いし、新大宮から奈良一番の大通りにも出られるので交通は便利である。もしもの話であるが不退寺の住職が人なつっこくて勉強熱心で、なおかつ歴史に興味のある人だったならば(まずそんな都合の良いことにはならないだろうが)、この不退寺でしばらく歴史談義に花を咲かせてから「佐保路めぐり」の散歩に出かけるという手もあるのでは、と夢見ている。葛城山麓の広川寺には「西行終焉の墓」もあるそうなので、こちらは開基したのが業平という違いがあるが、彼を偲ぶキッカケとして眺めるには丁度いい。「歌の世界での有名人」二人に関係した場所が(南北にではあるが)近くにあるというだけで、なんか「歌心を刺激される」ではないか。というわけで実際行ってみたら「あれ?」ということになるかも知れないが、一応お気に入りスポット第5位である。

4位 遺跡と寺めぐり
奈良は京都と違って観光ズレしていないのがいい。お寺や神社の数は多いのに大概ひっそりと建っているので、一部の大寺院を除けば静かな境内で独り瞑想にふけることも可能である。私は建築とか来歴とかには全く興味がないので、雰囲気が好きなだけである。だいたい「こんな事があった」などという言い伝えは嘘っぱちが多くて信用ならないので、出来るだけ読まないようにしている。大化の改新が行われたとされる(今は乙巳の変というらしい)伝飛鳥板葺宮跡など見に行ったことがあるが礎石だけの何もない場所で、妄想を膨らませることなど不可能だから見てもつまらないし大した場所でもない。遺跡と寺巡りの要は「土地勘がつく」のが一番の目的なのである。例えば「ここを右に曲がると飛鳥寺の前の道に出る」とか、そういうことが歴史を身近に感じる近道なのだ。そういう意味では沢山の寺を「年中行事に合わせて見学」するというのもいい。ちょっと法隆寺まで行ってくる、というのが「近所のスーパーに行く感覚」になれば成功である。これはお気に入りというのとはちょっと違うかも知れないが、大きく言えば「奈良全体」がお気に入りだから、どこに行っても「お気に入りの場所の中」だとも言える。そのお気に入りの全体像を「自分の記憶に留める」ためにあちこち巡っていると解釈すれば、今日は奈良のこの部分で明日はあそこの部分、という「奈良めぐりの散策」が続くことになる。ちょっとこじつけだが、まあ許してもらうとしよう。で、第4位。

3位 甘樫丘展望台
私は小学5年生の時に大分から東京に引っ越してきて、それからしばらくは「高層マンション暮らし」だった。高層と言っても「40階とか言うほどのバカ高いマンションではない」から、地上の景色がよく見える。人間は5・6階に住むのが丁度良いらしい。それ以上の高さだと「下界から切り離された空中感覚に陥る」そうである。だから私は高い所から地上を見るのが大好きである(まあ大抵の人はそうだが)。それで甘樫丘に登るとちょっと広めの展望台があって、明日香や奈良周辺・その周りの山々が一望に見渡せる。夕日に黒く沈む生駒・葛城連山の山並みなど「お気に入り」の名に相応しい。旅行で行くときは泊まるホテルなどの場所に合わせなければならず、人里はなれた片田舎で月影に見惚れるなんて経験は出来ないが、奈良に住んで入れば好きな場所で好きな時間を過ごせるのだ。私が奈良に引っ越したい理由も「自由で制約がない」ことにある。極端に言えば「東大寺二月堂でお水取り」を体験したその足で「夜半の月」を見ながらテクテク自転車を漕ぎ、朝方アパートに帰ってきて布団に潜り込むことだって「可能なのである」。体力とトイレの課題さえクリアすれば、もはや遮るものは「何もない」。自由に勝手気ままでいられること、これが奈良に引越す最大のメリットだ。そんなことを考えているが奈良でのアパート暮らしは「家賃の都合もあって」、高層マンションには暮らせそうもない。それで「甘樫丘展望台」で高いところに暮らす気分を味わおうという魂胆である。コーヒー持参で文庫本(今はiPadで電子書籍か)片手にあれこれ考えながら、空とぶ雲を眺めたりして「ボーッと時間を費やす」ことも、たまには気分転換に良いのではないだろうか。私は人生にやり残したこともなく「歴史を空想する」ことだけを唯一の楽しみに生きながらえていこうという老人だから、酒船石の坂道を下った先にある「藤原夫人邸宅跡地」といった粗末な立て看板一つあれば、存分にアレコレと妄想できるのである。奈良にはそういった「空想の素」が、ゴロゴロ「はいて捨てるほど」転がっているから楽しいのだ。京都との違いが「それが奈良時代以前」だということである。京都は時代が新しくて「つまらない」のだ。歴史浪漫というからにはせめて「天智天皇や天武・持統天皇」の頃までは遡って欲しい。「青丹よし 奈良の都は 咲く花の 匂うがごとく いま盛りなり」である(実はこれは奈良を歌ったものではないらしいのだが)。で、第3位。

2位 飛鳥川散策
奈良の魅力の一つに「自然の美しさ」がある。吉野から湧き出てきて飛鳥台地をぐるっと巡って大阪湾へと注いでいる飛鳥川べりは、春や夏・秋と散策にもってこいだ。幸い奈良はいまでも交通量がそんなに多くないので、自転車でのんびりポタリングしながら珍しい草花をネットで調べたり、川沿いの古民家を写真に取ったり、野原を渡る心地よい風に吹かれながらポテトチップをつまみにビールを飲んだりと、何でもやりたい放題である。勿論自転車には「ナビ地図」を付けて周辺の情報も完璧に怠りなく、脇道があれば寄ってみるのも楽しい限りである。飛鳥川は蘇我氏の支配地域を流れていて、石舞台古墳などの歴史にも事欠かないから「いろいろ考えることも多い」のだ。ちなみに石舞台は馬子の墓だというのが定説だが果たしてどうなのか。流石にここだけは観光客でごった返しているのが「ちと不満」であるがしょうがない、私は古墳は素通りしてトイレを借り、岡寺や飛鳥寺や山田寺跡とか大官大寺跡のほうに行くルートを通り「血なまぐさい政変の故地めぐり」を楽しもうと思う。自然豊かな風光明媚な地でありながら同時に「陰謀・裏切り・謀反」の連続する政争の地でもあるということが、この狭い奈良盆地が「歴史好き」を引き寄せる理由でもある。「謎が渦巻く呪われた地」、いやはや何とも恐ろしげで魅力ある古代史ではないだろうか。で、第2位。

1位 静かな喫茶店
というわけで、栄えある第一位には「静かな喫茶店」が選ばれた。といってもまだ引っ越してもいない私だから「場所はまだ決まっていない」、これから探すのである。条件はアパートから10分くらいで、静かな大きめの喫茶店である。ちょっと広いところの片隅で「大きな窓際の明るい席」が私は好きだ。そして出来れば「通りに面していて行き交う人が見える」のがいい。こういう条件の店は東京では「ファミレス」しか無いのだが如何せん、子供連れのママや男子高校生などが「激しく談笑している」のが常なので、居心地が大変よろしく無い。かと言ってドトールやサンマルクなどの「低価格すし詰めコーヒーショップ」は、肝心要の「優しく流れていく時間」というものが全然無く、ゆっくりコーヒーを楽しむことすら出来ない。誰かとおしゃべりを楽しむには問題ないのだろうが(イタリアなんかでは映像で見る限り皆おしゃべりしているが)、独り静かにとはとてもいかない。まあ奈良の鄙びたロケーションであれば「少しはマシな喫茶店」もあるだろうと一縷の望みではあるが、第一位にあげておいた。

如何でしたでしょうか?お楽しみいただけたかは心もとないが、実際に奈良に引っ越したら「毎日写真を取ってブログにアップする」つもりだから、お気に入りの喫茶店が見つかったら「真っ先にお知らせする」ことは約束しておこう。勿論今回ご紹介したお気に入りスポットも「いち早く写真にとって」本物の美しさを堪能頂けるものと確信している次第である。そうすれば、北朝鮮や官僚のセクハラなどの「しょーもない話題」はそっちのけにして、奈良のあちこちの魅力ある風景を「私の目線で」バンバン紹介する予定なのでどうぞ、ご期待頂ければ幸いである。こうなったらなるべく早く奈良に引越すだけであるが、70歳になって「個人年金が満期になった夏」というのを一応の目安に考えているので、あと2年である。それまでには一回ぐらい旅行で下見に行こうと思っているわけである。できれば良いアパートが見つかるといいのだが。

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