酸いも甘いも・・・


酸いも甘いも、もっと経験してから、鈍行各駅停車の汽車でゆっくり
行きましょうか・・・

息子の回想記  6       それから・・

2023-09-29 22:38:59 | 日記
肝臓病の回復を見た息子は、また元気良く? (と言っても疲れやすい体質になりましたが)働き出しました。

その後20数年・・50歳になるまでお店は客足の衰えることもなく、順調な経営状態を保ち続けました。

20代にして結構豪華な一戸建て住宅を構え、子供二人を儲けて幸せな人生を送っていました・・・

でも、50代に入る前から糖尿病になり治療は受けてきましたが、特殊な糖尿病とかで改善の兆しはありませんでした。

インスリンを打ちながらも仕事はしていましたが、無理がたたり、うつ病を併発しました。

それからは体調が悪くなり続けていきました。
交通事故にも巻き込まれて、危うく一命を落とすような大怪我を負いました。

私はこれ以上お店を続けさせれば人生が終わってしまうと思い、思い切って閉店の選択をさせました。
とても勿体ない選択でしたが・・・命より大事なものはありませんでした。


息子が家にやってきた?  2

2023-09-29 09:18:47 | 日記
9月28日は私の誕生日でした。
八十路の旅も2年目に入りました・・

息子は私がまだ若く元気な頃です。
自分のお店で多くのおばさん達の先頭切って仕事をしていた居た頃、誕生日に大きな花束を送ってきました。

自宅ではなく、働いているお店に送ってきてくれた事が嬉しくて、おばさん達の前で号泣しました・・

息子に泣かせたくなかったら、誕生日のプレゼントはやめて欲しいと言ってしまいました。

それからの息子は、誕生日には必ず電話をしてきました・・
「母さん!  〇〇歳の誕生日おめでとう!  これからも元気で長生きしてください!」
いつも同じセリフなのですが、それは・・心のこもった言葉でした・・

自分の誕生日を忘れていて、息子の電話で気づいた時もありました。
その優しい息子が亡くなって昨日で34日目でした。

息子の住み慣れた、壁紙にタバコのヤニの付いたマンションで、息子を偲び泣いている母親を慰めることも出来ないので、親の自宅に来た痕跡を残していったとしか思えない、本当に不思議な事件が起きていました・・

私はリアリストであり、実存論者でもありますから、幽霊とか霊をまったく信じたことはない人でしたが・・・

確かに息子は家に来た!  !








息子が家にやってきた?

2023-09-28 17:54:15 | 日記

今日は午後3時から、息子が11年間一人で暮らしていたマンションの、返却による業者の立ち会い検査がありました。

修理、補修の部分のチェックを綿密に行っていました。
借主による損傷等なら、こちらに費用の請求がなされるとの契約事項がうたってあります。

扉・引き戸の一枚一枚から流し台の水道蛇口・トイレ・浴室・部屋中を入念に
調べあげた結果、こちらには何も請求されるものはありませんでした。

総ての家具や生活用品は、前日に遺品整理屋さんによって運びだされて、部屋はがらんどう状態になっていました。

部屋の壁紙がタバコのヤニによって薄茶色に変色しているのを見てるうちに、涙が止めどなく溢れ出ました。

この2年間、癌と向き合い、闘う中で、息子は一人タバコを吸いながら、何を思い暮らして来たのかと思うと、息子の苦悩の人生が悲しく憐れで堪らなかった・・
鼻水をすすり乍ら泣き続けていた・・

家に帰り着くと・・、息子が幽霊になって、留守の内に来たのだろうかと思われるミステリアスな事態が起きていた。

この話をしても誰にも分からないだろう・・
私達夫婦にも理解不可能なのだから・・・


息子の回想記 5 落とし穴

2023-09-27 13:45:49 | 日記
然しながら、人生、「濡れ手に粟」とばかりは行かないものです。
落とし穴は、あるものなのです・・・

お店は従業員も確保出来て、集客数は増える一方でした。
お店の前は長い行列が出来るようになりました。

息子は、体力いっぱいの毎日・・
突然、社員7名を抱えた「お兄ちゃん社長」の精神的な重圧から、一気に体調を崩しました。

近くの病院へ行きますと、すぐに入院となりました。
顔は真っ黄色になり、グッタリして寝ているばかりでした。

先生は、肝臓の機能が悪くなってしまっているので、2か月は入院治療が必要との見立てでした。

慌てず・・騒がず・・
2か月お店を閉めて回復を待てば良いだけと、従業員にも自分自身にも言い聞かせていました。

息子は「申し訳ない・・」と辛い顔を見せました。
人間は生身ですよ・・早くに分かって良かったじゃない、元気になったら頑張ればいいのよ・・
日頃君はお客様を大事にしているから、ちゃんと戻ってきてくれるから心配ない! ! と、笑って話ました。

私はここでつまずいた事は、将来に亘って良い結果を齎してくれると、心底信じたかった・・・

そして2が月の入院が終わり、1か月の自宅療養を経て、息子は目出度く復帰しました。

3か月の空白はありましたが、お店はすぐに元のように忙しくなり、活気は戻りました。

この時の肝臓病が38年後の癌に影響を及ぼすとは・・・



息子の回想記 4  お兄ちゃん社長への道

2023-09-26 13:14:33 | 日記
さて・・いよいよ開店の日が来ました。

まだ、二十歳の若者にやらせるのですから、希望もありますが、一抹の不安も抱きつつの幕開けとなりました。

開店の前日、息子と私は仕込みにてんてこ舞いしていましたら、半開きにしてあったシャッターから高校生らしき学生が5名で店の中に入ってきました。

今日はまだ食べられないのですか・・
開店を待っていたと言うのです。

全部用意は整っていたのですが、息子は、ごめんね・・明日開店だから明日来てくれると嬉しいんだよな~~と、まるで以前から知っている人に話すような口ぶりで対応していました。

私は内心、これは縁起が良いと心嬉しく思いました。

その縁起担ぎが見事店の成功に繋がっていくとは想像だにしませんでした。
息子にお商売の神様が乗り移ってくれたのかと思える程の勢いで、あれよあれよの勢いですぐに繁盛店になったのでした。

息子はすぐに従業員を募集していきました。
二人が三人に・・
三人が四人へと従業員の数は増えていき総勢8人での仕事になりました。

雑誌にも取り上げられたりして、その地域の一番店になりました。
見事息子は、二十歳のお兄ちゃん社長になりました。😂 😂 😂