フィールドワーク通信

広島を拠点にフィールドワーク。カンボジア、インドネシア、市民まちづくり

車のトラブル1214

2006-03-05 16:34:28 | フィリピン通信
 マニラを離れる日である。バギオに泊まり、翌日に山間部へ向かう予定にしていた。運転手はホセ、9時半に出発した。1週間をともにする予定だったので、子どもにお別れをするために途中マニラの彼の家によった。マニラ郊外の、のどかなまちである。2階建ての長屋?の2階に居を構えていた。台所と応接間が1部屋ずつ、それに個室が3室からなる家である。とはいえ2世帯居住であり、ホセ自身は一つの個室に子どもと妻とすごしていて、他のもう1部屋でおじいさんおばあさんが生活しているようだった。狭いといえば狭いが十分といえば十分な大きさである。フィリピン・マニラの一般住宅をはじめてみた。

 あとになって教えてもらったが、今回のドライブの1日の彼の取り分は500ペソである。我々は1日3000ペソ支払うが、そのうち2500ペソはボスのところへ流れるわけである。500ペソは1000円。つまり1日の稼ぎが1000円というわけだ。30日まるまる働いたとして、3万円、これが彼の最大の月収になる。とはいえ毎日毎日仕事があるわけではないので、おおよそ2万円程度が平均月収だろうか。それで家族・子どもを養っているわけである。

 インドネシアでもそうだと思うが、タクシードライバーはその売り上げのほとんどをボスに持っていかれる。しかしそうでもしなければ彼らは車を運転することができないわけで、もっていかれることを承知せざるをえない。それにおそらく不文律だと思うが、彼らは生活に困った時や、何か一度に大金が必要な場合には、そのボスにお金を工面してもらうことがしばしばある。上記の2万円が高いのか安いのかは正確には判断がつかないのであるが、緊急時の保障が他にあるとすれば、その分正規の給料を抑えられてもしょうがないと考えるのかもしれない。しかし逆にボスの立場から考えると、そういう明確に規定されていない保障をたてに、不当に給料を抑えることを可能にしているのである。ここらへんの議論は、中西徹氏の論考にくわしい。

 事件は、バギオに向かう坂で起こった。というより既にマニラを出発するときにわかっていたのかもしれない。高地バギオへ続く坂を車が登らないのである。ギアの調子が悪く、ローに入れることができず、よって馬力がでないのである。仕方なしに、今日の坂越えはあきらめて、ヴィガンヘ向かうことにした。ヴィガンで車を修理しようという考えである。しかし車の調子は思ったよりも悪く、途中サン・フェルナンドの修理工場での修理となった。が、なおる見込みがないといわれ、結局、その車を使うことを断念せざるを得なくなった。

 で、われわれは今サン・フェルナンド近くのリゾートホテルにいるわけである。明日の朝早く、彼はちかくの友人と交渉して新しい車を調達してくれるという。どうなるかわからないが、とりあえずは彼に期待してみようと思う。毎回のことだが、何もかもがうまくいくとはかぎらない。

 今日再び、日本食を食べた。車の修理中に入った料理屋が、たまたま日本食レストランだったので、再び日本食を食べることになった。今回は、かつどんを注文した。ごはんを食べたかったのである。ご飯自体は、日本の米をもちいたおいしいものだった。が、味付けがやはりだめであった。どんぶりものの、だしの味をだせないのである。料理には疎いので、実際正当などんぶりの味付けをどのようにしているかは知らないのであるが、今日食べたのは絶対に違うことだけはわかった。甘いのである。ただただ甘ったるく、おいしくないのである。フィリピン人はだませても日本人をこれで納得させることはできない。日本独特の味付け法によるものであるから、異なった材料や方法では、同じものは作り出せない。ただ似て非なるものができあがるだけである。

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