フィールドワーク通信

広島を拠点にフィールドワーク。カンボジア、インドネシア、市民まちづくり

アジアとゼミ1211

2006-03-05 16:40:55 | フィリピン通信
 12月11日から1月1日までフィリピン・インドネシアで調査を行っている。私自身、アジアへ来るのは、3年ぶりで、調査となると5年ぶりとなる。前回のアジア調査は、インド、スリランカ、フィリピンでの植民都市研究の一環であったから、独自のテーマでやってくるのは、5年をゆうに越えている。

 アジアへの今回の再訪は、広島工業大学への転職が契機になっている。具体的に言うと、アジアを対象に卒業論文を書きたいという学生がいたからで、今回は、4年生寺本、3年生平川、反木、酒巻の4名を連れてきている。この文章は、アジアのフィールドでの生き生きとした議論や体験を記録に残すこと、日本にいるゼミ生に伝えることを目的として書かれている。

 12月11日、マニラに着いた。思いのほかはやく、現地時間の3時(日本時間4時)に到着した。宿泊するホテルは、best western hotel la corona,tel.632-5242631,fax.632-5258268。なかなか快適なホテルで、ホテルからインターネット接続も可能である。これからスペイン人が16世紀末にマニラに最初に建設した都市イントラムロスに行ってこようと思っている。現時点では、2日間マニラをさらっとみて、1週間ぐらいルソン島山間部にいこうと思っている。

 夕方はリザル公園を抜けてイントラムロスへ行ってきた。夜のリザル公園は、市民の憩いの場になっていて、涼をもとめて多くの人がやってきて、寝転がっておしゃべりをしていた。公園という都市施設がこのようなかたちで根づいているのはなかなか興味深い。日本の場合、夜の公園というと危険な場所というイメージが付きまとうが、フィリピンの場合、少なくともリザル公園のような都市中心部にある大規模な公園が、活用されていることがわかる。

 夕食は、イントラムロス内の肉や魚や野菜を売る屋台が並ぶ通り沿いのめし屋でとった。いわば庶民がよく通う定食屋のような風情で、周辺に住む人たちがテレビを見にやってきていたりもしていた。私たちは、道端で焼いていた魚や肉のにおいにつられて入った。店内には、さまざまなおかず類が皿に盛られていて、気に入ったおかずをもらってきて食べる形式である。鶏のカレー風味、野菜の煮物、肉団子、ポークの炭焼き、あじの炭焼き、羊肉のカレーと常温ペプシ氷入りとライスとスープで5人が腹いっぱいになった。しめて200ペソ、400円と格安だった。あまりの安さに我々は一桁間違えてしまった。日本的な感覚でいうと一桁間違えても、これだけ大量に食べて4000円、一人800円である。けっして高くはない。それが80円である。初日ということもあって、間違えても無理はない。
帰りに、セブンイレブンによって、しこたま酒類を購入した。

 夜はフィリピンの旅程についての打ち合わせ。とりあえずは、メインとなるルソン島山間部のイメージを話し合意を得た。その前後がマニラとなるが、マニラの予定が決まらない。スモーキーマウンテンなき後の新しいスクウォッター地区ケソン市のパヤタスにいくことを決めた。それともう一つは国立図書館。都市計画法やゾーニング法に関する資料の収集を目的とする。それも現在のものだけでなく、過去にさかのぼって、どういった変遷をへて現在の法となったのかを明らかにするための資料もみつけたい。

 結局、事前の情報収集不足で、特段いきたいところも提案されず、イントラムロスをきちんと歩くということと、フィリピンの文化を理解するために博物館等に行くという、いってみれば観光のようなことをやろうということになった。まあ学生にとっては無理もないといえば無理もないわけで、ほとんどがはじめての海外旅行で、それもアジアははじめてである。事前の準備も1週間程度やったぐらいでは、なんのイメージも湧かないのは当然である。

 今日久しぶりにマニラにきて、交通の問題と、不自然な空き地が気になった。渋滞がものすごい。空港からホテルまで350ペソでタクシーに乗ったが、1時間近くかかった。距離自体は、7キロということであったが、車がほとんど動かない状態が長く続いたことが長時間かかった理由である。

 これだけ渋滞が起こるのは、交通マネジメントが的確に行われていないことに起因している。信号設置の不備が大きな問題である。その道路なり交差点が抱えている交通量を調査し、その交通量にしたがって信号機の設置の有無を決定すべきであるが、といってもこれは常識的な認識だと思われるが、そういったことがされていないのである。というより、戦後のアメリカ都市計画のまま、その後の交通量の増大への対応を特段対処しなかったため、現在のような渋滞が頻発していると考えられる。今後交通問題についてはその都度考えていきたいと思うが、ハードだけの問題でないことも明らかである。

 それともう一つ不自然な空き地であるが、これは民間地にみられるのではなく、公共地と思われる部分に見られるものである。車道から眺めて気づいたものだから多くは車道に付随する空間だったが、車道を拡幅したり、植栽を施したりなどして、都市空間として有効活用することが可能と考えられるような空地をしばしば目にした。

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