フィールドワーク通信

広島を拠点にフィールドワーク。カンボジア、インドネシア、市民まちづくり

よい景観の事例

2006-06-02 17:47:29 | 研究室通信
展示会に向けて「よい景観」の事例があったら・・・という要請を受けた。

良好な景観の事例というのは、なかなか難しい。

一つは、悪い例はいくらでもあるが、よい例はちょっと・・・という意味で。悪い例は、一歩外に出るとすべてだ。

もう一つは、よい例といっても、いわゆる観光地になるような町並みの例はあるが、一般的なまちレベルでのよい例がない、という意味だ。
近江八幡や妻籠や脇町や竹原など、歴史的な町並みの例はある。しかし一般的な住宅地ではなかなか見つかりにくい。

そこで、今日提案しておいたのは、以下の2つだ。

・宮脇檀氏がやった神戸の六甲アイランドの住宅地
・篠原さんがやった津和野川の河岸整備

本来ならば、商店街や農村の例が欲しかったが、思いつかなかった。
商店街では、よく知られるのは黒壁だが、黒壁は観光地化してしまっているし、歴史的な建造物という核があってはじめて成立するような町並みなので、ちょっと一般化しにくい。

閑散とした地方都市の商店街で、景観的に成功した例。
なかなか見つからない。

低層の商業建築で、ということなら、ヒルサイドテラスであろうか。
しかし、あれも、様々な意味で特殊例といわざるを得ない。


農村では、あまり思いつかないが、先ほど写真を整理していて、柿木村の棚田景観の写真を見つけた。この棚田景観というやつも特殊といえば特殊だが、事例の一つとしては挙げられそうである。

棚田は棚田であることを観光資源として、あるいは歴史資源・生態環境資源?として位置づけることでしか、いまのところ生き残る道筋がないように思える。オーナー制の話であるが、あの美しい棚田のオーナーである、という個人の優越感をくすぐるような文言でしか人を集められない限界が見え隠れする。

外から人が入ってきてお金が流れてこなければ地域を保っていけないようなあり方は、やはり特殊といわざるを得ない。

だからといって、棚田がなくなってもいいというわけではないし、存続して欲しいとは願っているのだが・・・

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