フィールドワーク通信

広島を拠点にフィールドワーク。カンボジア、インドネシア、市民まちづくり

調査の教育的効果などなど

2006-07-16 00:10:16 | 研究室通信
1.調査の概要

 これまでの海外調査(カンボジア)では、主に、①学校建設と②住居ならびに路地の調査を行ってきた。

 ①では、現地のNGOと連携して、日本人の寄付金によって建てられる学校建設の支援を行っている。現地の材料(土)を使って、現地の人々とともに、現地の環境に即した建築を提案し、実際に建設を行った。海外の資本(企業や物資)に依存するのではなく、カンボジア人が自分たちの力で学校を建てることができるようになるための支援である。

 ②では、首都プノンペンで集合住宅(マンション・アパート)の個々の家の図面を採ったり、路地での人々の活動の調査を行った。カンボジアが発展していくに従い、海外の資本が入りつつあるが、放っておくとカンボジア人の生活にそぐわない、カンボジアの伝統を無視した西洋的なマンションが建ち並ぶことになる。カンボジア人の生活に相応しい集合住宅を提案するための基礎データの収集のための調査である。
 いずれも、現地NGO、カンボジア王立芸術大学、プノンペン市役所、日本の国際協力機構
JICA(ジャイカ)と連絡を密に取りながら調査を行っている。

2.教育的効果

 こういった調査に学生を参加させることの教育的効果として以下の3点を考えている。

(1)建築を体感的に学ぶことができる。
 実際に学校をつくるという作業や住居や路地の実測という作業を通じて、建築や都市を実感として「わかる」ことができる。日本では、学生時代に、建設の現場に携わることは稀で、そのことが学生の建築に対する理解を一面的なものにしているという現状がある。

(2)建築をゼロから、総合的に考えることができる。
 日本で我々が当たり前と思っていることが通用しない世界で、建築を考えることで、建築を本質的に考える必要性に直面させられる。建築基準法で決まっているから、とか、日本の一般的なマンションがそうだから、といった前提は通用しない。また、調査→計画→実現の過程すべてに関わることが要求され、建築を総合的に考えることができる。

(3)国際感覚を身につけ、人間的な成長がみこまれる。
 調査の中で、人々の生活に直接触れることができる。アメリカやヨーロッパのような近代的な世界でない世界に触れることによって、世界の現実に直面することができる。日本人の私たちが経験している毎日が、いかに特別なものかということを知ることは、国際感覚を身につけることにつながる。当たり前でない世界に触れることで、人間的に大きく成長する。


3.これまでの調査実績

2003年12月 フィリピン、インドネシア(22日間)
4年男子1名、3年女子2名、2年男子1名(寺本、反木、酒巻、白石)
2004年8月 フィリピン、インドネシア、カンボジア(20日間)
4年女子1名、3年男子5名、3年女子2名
(反木、白石、平川、佐古、大塚、亀山、瀬古、藤井)
2005年8月 カンボジア、ベトナム(28日間)
4年男子2名、4年女子2名、3年男子4名
(白石、佐古、大塚、亀山、持田、藤本、桔梗、広畑)
2005年12月 カンボジア(10日間)
4年男子2名、3年男子2名(白石、佐古、持田、広畑)

以上、いずれも大学の休業期間を利用して脇田が引率して実施したものである。
その他 2005年3月、11月、2006年7月に学生が現地NGOや広島県のプロジェクトをサポートする目的で渡航している。2005年10月には、㈱ウエストの支援により、ウエスト関係者の方々10数名と本学学生9名(+脇田)とで、4日間のカンボジア研修を実施している。

なお、脇田自身の過去の海外渡航歴は19カ国、東南アジアでは、インドネシア10回、フィリピン、カンボジア4回、あとは、タイ、ベトナム2回、シンガポール、マレーシア1回である。

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