フィールドワーク通信

広島を拠点にフィールドワーク。カンボジア、インドネシア、市民まちづくり

バリ風のあり方0824

2006-01-22 21:45:36 | インドネシア通信
 移動の日。今朝スモーキーマウンテンで作業をする予定であったが、段取りが悪く、始動が遅れたので、予定を変更した。フィリピン残留組に作業を任せて、我々は直接空港に向かうことにした。11時にホテルを出発して、バリに着いたのは10時。シンガポール航空を利用して、シンガポール経由での移動だった。久しぶりのSQはなかなか快適で、食事もおいしかった。

 インドネシアがビザを入国の際に課すようになっていたのが驚きだった。25ドルの支払いが必要で、年間の旅行者数を考えると、莫大な金額がインドネシアに流れることになる。

 再びインドネシアにやってきた。ロンボクに行くことだけは決まっているが、他の作業の予定は決まっていない。バリを中心に動くので、バリで作業ができればと思うが、なかなか面白いテーマが見つからない。いま頭にいくつかのテーマがあるが、いずれもいまいち魅力に欠ける。

 一つは昨年も考えたことだが、バリ風のあり方を問うものである。アピアピに泊まりながら、バリに新しく建つ建築と伝統建築との関係について考えたいと思った。バリの伝統的な住居の空間構成についてこれまで様々な蓄積があるが、そこで明らかにされている構成原理とは、異なる方向で多くの建築が建てられている現状をどう考えればいいのかという問いである。伝統はあくまで伝統として理解されるに留まっている現状がある。現実の分析を通じて、伝統の様々な要素のうち何が受け入れられ何が捨てられていくのかを明らかにするのは一つのテーマとなりうる。それは違う言い方をすれば、バリの住居の伝統が、新しくどう形成されていくのかという問いでもある。インターナショナリズムとは異なる新しい流れがバリにはあると考えられる。

 これは伝統と近代の関係でもある。伝統は過去のある時期のスタイルを継承するだけではない。常に変わり続けるものだと考えるのが適切である。常に変化する伝統。その変化の中での、地域や民族の独自性が問われるところだと思う。つまり先ほどの言葉でいえば、インターナショナリズムに回収されない変化があれば、それを新しい伝統として評価しうると考える。そういう視点で、地域性や民族性の強いインドネシアや東南アジアの各地で、伝統と近代の関係について考えることは有益であろう。

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