[3]
さて、20世紀も終わりごろになって、ようやくわが国にもプロサッカーリーグ(Jリーグ)が生まれました。1993年のことです。ずいぶん遅かったですね。待ちくたびれました。どうしてこんなに遅かったのでしょう?(ホント、なぜだと思いますか? 後述しますよ。ご期待ください)
プロサッカーリーグが生まれたことによって、ただ「どこのファン?」と問うだけで「あなたの好きな日本のプロ野球チームはどこですか?」という意味をなしていたような時代、つまり「野球一色」の時代は一応、終了しました(10代の若者などにはあまりピンとこない話かもしれませんが)。
しかしながら、サッカー人気がわが国に高いレベルで定着するには、もうちょっとだけ時間を要するでしょう。
なにしろ、サッカーサイドの人間たち(わが国においてはまだまだ少数派=「野党」です)が業を煮やした形で始まったのがJリーグです。若い世代にはフィットしているようですが、全体としては、まだどこか新奇で、エキゾティック(異国的)で、ぎこちない印象を与えているように見えます。
なんだかんだ言って、この国のスポーツの「御主人様」は野球=ベースボールです。その人気は、ベースボールの本場たるアメリカ合衆国をもはるかに上回っているのではないでしょうか?
米国には人気の面でベースボールと肩を並べる他競技があります。バスケットボールにアイスホッケー、そしてアメリカンフットボール(という名の、妙に不自由で、ラテンアメリカの人々にとってはいささか目ざわりであろう、あまり“フット”ボールには見えないフットボール)(注2)。
私は USA-hater (アメリカ嫌い)なのであまり詳しいことは知りませんが(知りたくもありませんが)、USAにおいてベースボールは他の人気スポーツと共存しており、その存在感は one of them といった印象です。野球濃度は、う~ん、大きく見積もっても「30%」ぐらいではないでしょうか?
ところが、日本では事情は異なります。わが国は「50%」です。ちょっと高過ぎます。濃厚に過ぎます。某大手電気メーカーのビデオデッキのリモコンには「野球延長」なんていうボタンがついているくらい。
また、日本全国どこへ行っても、野球場は常にその街の中心にドッカァ~ンとあるし、この国のスポーツ新聞(注3)の一面を飾るのは、野球の話題がまだまだ圧倒的。オフシーズンには「だれがいくらでハンコ押した」とか、「新人選手が寮に入りました」などといった瑣末なプロ野球情報がメディアに横溢。ブクブク太った野球選手がトレーニングをしているところなんて見苦しいだけなのに、映像付きでタップリ伝えますね。また、私たち日本人の普段の会話には、野球用語や野球にまつわる比喩表現が頻繁に登場するし……。
そう言えば、以前、民主党の岡田代表が党運営に関し「全員野球で」などと発言していたのを私はなぜか覚えています。えっ? あなたたち、野球するの? びっくり仰天でした。
まあ、多くを語る必要はないと思います。わが国日本はものすごくバランスの悪い「野球偏重国家」です。
諸外国から日本へやってきた人々は、わが国の野球人気の大きさにまだまだビックリするのだそうです。最近の人気凋落傾向を十分考慮しても、「わが国ニッポンは途轍もない野球大国だぁ!」ということで異論はないと思います。(つづく)
(注2)
「アメリカ」という言葉は本来、北はアラスカ、カナダから南はチリ南端までの、あの広大な大陸全体のことを言います。「南米」「中米」「北米」ですね。ですから「アメリカ」とはアメリカ合衆国だけを指すのではなく、コスタリカも、ブラジルも、コロンビアも、ベリーズも、スリナムも、カナダも、ホンジュラスも、パラグアイも、メキシコも、ベネズエラも、パナマも、チリも、ペルーも、エルサルバドルも、グアテマラも、……ぜ~んぶ「アメリカ」なのです。
「アメリカンフットボール」とはすなわち、「アメリカのフットボール」と言っているわけです。ということは、たとえばパラグアイの人々に言わせてみると……
「私たちだって『アメリカ』だよ。でも、私たちのフットボールはそれではないよ」ということになります(注のなかの注:パラグアイの人々にとってのフットボールはもちろんサッカー、fútbol です)。
本文で「ラテンアメリカの人々にとってはいささか目ざわりであろう」と言っているのはそういう意味です。
また本文中、私は「USA」や「米国」などという言葉を連発しますが、これもまた同じ理由からです。私はアメリカ合衆国のことを、ただ「アメリカ」とはあまり言いたくありません。どうぞご理解くださいませ。
(注3)
「スポーツ新聞」と言っても、この国にはそんなものはありません。この国の「スポーツ新聞」の内実は明らかに「与太オヤジ慰安紙」であります。「スポーツジャーナリズム」はほんのちょっとだけ。
事実、与太オヤジ、あるいは与太オヤジになることが必至の若者には、日本の「スポーツ新聞」がよく似合うでしょ?
× × × × ×
さて、20世紀も終わりごろになって、ようやくわが国にもプロサッカーリーグ(Jリーグ)が生まれました。1993年のことです。ずいぶん遅かったですね。待ちくたびれました。どうしてこんなに遅かったのでしょう?(ホント、なぜだと思いますか? 後述しますよ。ご期待ください)
プロサッカーリーグが生まれたことによって、ただ「どこのファン?」と問うだけで「あなたの好きな日本のプロ野球チームはどこですか?」という意味をなしていたような時代、つまり「野球一色」の時代は一応、終了しました(10代の若者などにはあまりピンとこない話かもしれませんが)。
しかしながら、サッカー人気がわが国に高いレベルで定着するには、もうちょっとだけ時間を要するでしょう。
なにしろ、サッカーサイドの人間たち(わが国においてはまだまだ少数派=「野党」です)が業を煮やした形で始まったのがJリーグです。若い世代にはフィットしているようですが、全体としては、まだどこか新奇で、エキゾティック(異国的)で、ぎこちない印象を与えているように見えます。
なんだかんだ言って、この国のスポーツの「御主人様」は野球=ベースボールです。その人気は、ベースボールの本場たるアメリカ合衆国をもはるかに上回っているのではないでしょうか?
米国には人気の面でベースボールと肩を並べる他競技があります。バスケットボールにアイスホッケー、そしてアメリカンフットボール(という名の、妙に不自由で、ラテンアメリカの人々にとってはいささか目ざわりであろう、あまり“フット”ボールには見えないフットボール)(注2)。
私は USA-hater (アメリカ嫌い)なのであまり詳しいことは知りませんが(知りたくもありませんが)、USAにおいてベースボールは他の人気スポーツと共存しており、その存在感は one of them といった印象です。野球濃度は、う~ん、大きく見積もっても「30%」ぐらいではないでしょうか?
ところが、日本では事情は異なります。わが国は「50%」です。ちょっと高過ぎます。濃厚に過ぎます。某大手電気メーカーのビデオデッキのリモコンには「野球延長」なんていうボタンがついているくらい。
また、日本全国どこへ行っても、野球場は常にその街の中心にドッカァ~ンとあるし、この国のスポーツ新聞(注3)の一面を飾るのは、野球の話題がまだまだ圧倒的。オフシーズンには「だれがいくらでハンコ押した」とか、「新人選手が寮に入りました」などといった瑣末なプロ野球情報がメディアに横溢。ブクブク太った野球選手がトレーニングをしているところなんて見苦しいだけなのに、映像付きでタップリ伝えますね。また、私たち日本人の普段の会話には、野球用語や野球にまつわる比喩表現が頻繁に登場するし……。
そう言えば、以前、民主党の岡田代表が党運営に関し「全員野球で」などと発言していたのを私はなぜか覚えています。えっ? あなたたち、野球するの? びっくり仰天でした。
まあ、多くを語る必要はないと思います。わが国日本はものすごくバランスの悪い「野球偏重国家」です。
諸外国から日本へやってきた人々は、わが国の野球人気の大きさにまだまだビックリするのだそうです。最近の人気凋落傾向を十分考慮しても、「わが国ニッポンは途轍もない野球大国だぁ!」ということで異論はないと思います。(つづく)
(注2)
「アメリカ」という言葉は本来、北はアラスカ、カナダから南はチリ南端までの、あの広大な大陸全体のことを言います。「南米」「中米」「北米」ですね。ですから「アメリカ」とはアメリカ合衆国だけを指すのではなく、コスタリカも、ブラジルも、コロンビアも、ベリーズも、スリナムも、カナダも、ホンジュラスも、パラグアイも、メキシコも、ベネズエラも、パナマも、チリも、ペルーも、エルサルバドルも、グアテマラも、……ぜ~んぶ「アメリカ」なのです。
「アメリカンフットボール」とはすなわち、「アメリカのフットボール」と言っているわけです。ということは、たとえばパラグアイの人々に言わせてみると……
「私たちだって『アメリカ』だよ。でも、私たちのフットボールはそれではないよ」ということになります(注のなかの注:パラグアイの人々にとってのフットボールはもちろんサッカー、fútbol です)。
本文で「ラテンアメリカの人々にとってはいささか目ざわりであろう」と言っているのはそういう意味です。
また本文中、私は「USA」や「米国」などという言葉を連発しますが、これもまた同じ理由からです。私はアメリカ合衆国のことを、ただ「アメリカ」とはあまり言いたくありません。どうぞご理解くださいませ。
(注3)
「スポーツ新聞」と言っても、この国にはそんなものはありません。この国の「スポーツ新聞」の内実は明らかに「与太オヤジ慰安紙」であります。「スポーツジャーナリズム」はほんのちょっとだけ。
事実、与太オヤジ、あるいは与太オヤジになることが必至の若者には、日本の「スポーツ新聞」がよく似合うでしょ?
× × × × ×