●次元俳句433・老い(時間)1・秋元不死男11・2019-05-26(日)
○「煌々と夏場所終りまた老ゆる」(『万座』1967)(→秋元不死男11)
○季語(夏場所・初夏)(→「増殖する俳句歳時記」より引用)【→次元俳句-索引1・索引2・索引3 →俳人一覧(あ・い・うえ・お・かき・くけこ・さ・しすせそ・た・ちつてと・な・にぬねの・はひ・ふへほ・ま・みむめも・や~)】
【鑑賞】:「煌々と」は土俵を照らし出す華やかな照明であろうか。今日は大相撲夏場所の千秋楽。すでに14日目、平幕の朝乃山の初優勝が決まっている。富山出身では103年ぶりだという。「おめでとう」と声をかけた栃ノ心の優しさに脱帽だ。またその季節がきてその季節が終わる。定期的に興行の行われる行事の終りに感じる「老い」である。
●方法俳句432・比喩(直喩)ごとく42・江見渉1・2019-05-23(木)
○「鱚釣りや襤褸のごとく海女泳ぎ」(江見渉1)
○季語(鱚・三夏)(「俳句201411」より引用・第10回角川俳句賞受賞「一重帯」50句中の1句)※「襤褸らんる」:ぼろぼろの衣服。また、ぼろきれ。ぼろ。つづれ。【→方法俳句-索引1・索引2・索引3・索引4 →俳人一覧(あ・い・うえ・お・かき・くけこ・さ・しすせそ・た・ちつてと・な・にぬねの・はひ・ふへほ・ま・みむめも・や~)】
【鑑賞】:「キスの日」の今日は「鱚」の句を。のんびりと釣り糸を垂れている鱚釣の釣り人と、真剣勝負の戦いをしている海女たちを詠み込みました。
●江見渉(えみわたる)(1929~2003)
○好きな一句「羽抜鶏水没地区の水平ら」2
○季語(羽抜鶏・晩夏)(引用同上)
【Profile】:新潟県出身。「一重帯」50句にて第10回角川俳句賞受賞。受賞時は「鶴」所属。
●色彩俳句432・すみれ色1・吉沢紀子1・2019-05-22(水)
○「青嶺また青嶺遠きはすみれ色」(吉沢紀子1)
○季語(青嶺・三夏)(「俳句界201307」より引用)【→色彩俳句-索引1・索引2・索引3・索引4 →俳人一覧(あ・い・うえ・お・かき・くけこ・さ・しすせそ・た・ちつてと・な・にぬねの・はひ・ふへほ・ま・みむめも・や~)】
【鑑賞】:季語は三夏・地理分類の「青嶺(あおね)」。「青嶺また青嶺」で軽く切れる。青嶺が奥へと連なっていることを挙げ、その遠い青嶺は「すみれ色#7058a3」にかすんでいるのだ。
●吉沢紀子(よしざわのりこ)
○好きな一句「水恋鳥聞かな墓石の裏山に」2
○季語(水恋鳥・三夏)(引用同上)※みずこいどり【水恋鳥】= アカショウビンの異名
【Profile】:1943年東京都出身。1976年→右城暮石に師事、「運河」入会。「運河」天水集同人。