→第1句集「眼光」50句 →第2句集「潟風」50句 →第3句集「起伏」50句 →第4句集「雷光」50句 →第5句集「残光」50句 →第6句集「剥離」50句 →第7句集「接岸」50句 →第8句集「浮游」50句 →第9句集「蒼穹」50句 →第10句集「道界」50句 →第11句集「半夜」50句 →第12句集「虚空」50句 →第13句集「暁闇」50句 →第14句集「月命」50句 →第15句集「遠景」50句
●透次第3句集「起伏」
透次第3句集「起伏」。句集名は「掌で顔の起伏を撫でる冬の果」より。その他の代表句は「夥しきOの唇爆音下」、「忌野忌RADIOバラード遠くより」、「号令は短き言葉晩夏光」など。透次が送り出す、まるで電子の塵のように軽妙な50句。帯文:遅れてきた透次。幻想出帆社(2013.7.20感光)
○透次第3句集「起伏」50句
101乱歩忌の鉄路の上を来る常夜(乱歩忌・夏)2012/7/28
102遠泳の抜き手の上の乱層雲(遠泳・夏)2012/8/4
103長崎忌雨中にて喉渇きけり(長崎忌・秋)2012/8/11
104号令は短き言葉晩夏光(晩夏光)2012/8/18
105夥しきOの唇爆音下(無季)2012/8/25
106一箇ずつ椅子を抱えて震災忌(震災忌・秋)2012/9/1
107餡麺麭に餡が片寄る九月かな(九月・秋)2012/9/8
108教室の誰話すともなき秋意(秋意)2012/9/15
109高階のプランターにもある花野(花野・秋)2012/9/22
110台風圏発光しあう家族かな(台風圏・秋)2012/9/29
111どの窓より鼻を出しても木犀香(木犀・秋)2012/10/6
112東北の新米くだる関東へ(新米・秋)2012/10/13
113おのづから稲穂の生みし稲穂風(稲穂・秋)2012/10/20
114十月の喇叭に映る歪み顔(十月・秋)2012/10/27
115末枯るる買物籠の真下より(末枯れ・秋)2012/11/3
116月欠けて厚木の次は本厚木(月・秋)2012/11/10
117ハートブレークウインドブレーカー着て(冬)2012/11/17
118吹雪く夜の電子時計の刻なめらか(吹雪・冬)2012/11/24
119霜夜より顎尖らせて戻りけり(霜夜・冬)2012/12/1
120古びゆくもの手袋と掌と(手袋・冬)2012/12/8
121食肉目イヌ科を放つ枯野原(枯野・冬)2012/12/15
122馬蹄型で歌ふ聖夜の黒人霊歌(聖夜・冬)2012/12/22
123歳晩の家屋が宿す真暗がり(歳晩・冬)2012/12/29
124かまくらの中雪の香のざんざ降り(かまむら・新年)2013/1/5
125爆音へマスクの男降りゆけり(マスク・冬)2013/1/12
126人に蹤き人に蹤かれて鬼房忌(鬼房忌・冬)2013/1/19
127人に憑き人に憑かれて法然忌(法然忌・冬)2013/1/26
128エスカレーター冬の階段生み続け(冬)2013/2/2
129ビクターの犬首傾げ春の雪(春の雪)2013/2/9
130雪解けて百葉箱の白さかな(雪解け・春)2013/2/16
131うすあかりあるや二月のポケットに(二月・冬)2013/2/23
132掌で顔の起伏を撫でる冬の果(冬の果)2013/3/2
133たしかなる根雪の底の伏流水(根雪・冬)2013/3/9
134栄螺焼陸繋島の奥深し(栄螺・春)2013/3/16
135朧夜のズックの底に迷路あり(朧夜・春)2013/3/23
136携帯の声突然に朧より(朧・春)2013/3/30
137提灯を灯してよりの夕桜(夕桜・春)2013/4/6
138大学の名のつく駅や花の雨(花の雨・春)2013/4/8
139花時に遅れて届く宅配便(花・春)2013/4/20
140黄水仙風がいよいよ生きてきて(黄水仙・春)2013/4/25
141忌野忌RADIOバラード遠くより(忌野忌・夏)2013/5/2
142傘雨忌やわがよたれそつねに呑む(傘雨忌・夏)2013/5/6
143桜桃届く地方紙に包まれて(桜桃・夏)2013/5/18
144三鷹市の上連雀の夕焼雀(夕焼・夏)2013/5/25
145扇風機の反復一日昏れにけり(扇風機・夏)2013/6/22
146マンションの最上階の油虫(油虫・夏)2013/6/28
147そのなかに無鉄砲な百合もゐる(鉄砲百合・夏)2013/7/06
148額の花来てより帰ることばかり(額の花・夏)2013/7/13
149祖母が来て陽のあるうちに蚊帳を吊る(蚊帳・夏)2013/7/20
150麦藁のぼんやりとした不安顔(麦藁・夏)2013/7/25
(透次第3句集「起伏」50句)
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