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お気入俳人の俳句鑑賞します。
多側面から俳句を分類します。
俳句付きイラストを描きます。

俳句の箱庭

「箱庭へ風の粒子の粗く吹く」(透次) ◯浮かんだときが作るとき。作ることに無理はしないように。 ◯各俳人の情報は書籍・ネット他で一般に公開されたものから得ています。各俳人の情報は最新でない場合があります。各俳人の敬称略させていただきます。Tweet句については作者の承諾を得ていませんが、営利目的の要素はありませんのでご了承ください。 ◯「俳句の箱庭」ヽ(^ι_^)ゞノ♪透次

●方法俳句003・動逆転01・桂信子

2010-08-14 08:42:32 | 方法俳句

○方法俳句003・動逆転01・桂信子

○「ひとづまにゑんどうやはらかく煮えぬ」(『月光抄』1949)(桂信子01)

○季語(ゑんどう・初夏)

【鑑賞】:作句方法の一つに「動逆転」というものがあります。本来動作できないものが動作する、というものです。次の句を挙げてみました。エンドウ豆を煮るのではなくてエンドウ豆が人妻へ煮えるのです。しかも人妻のために自らを柔らかくして煮えています。技法の中の擬人の要素も大きいのですが、ここでは小気味よく「動逆転」の機微を押したいと思います。



桂信子(かつらのぶこ)(1914~2004)

○好きな一句:「ゆるやかに着てひとと逢ふ螢の夜」(『月光抄』1949)02

○季語(螢・仲夏)

【Profile】:夫と二年で死別。新興俳句の→日野草城が主宰する「旗艦」の同人となる。戦後は会社に勤めながら、「青玄」などに参加。1970年に主宰誌「草苑」創刊。1977年『新緑』で第1回現代俳句女流賞。82年に句集『樹影』で蛇笏賞。99年に現代俳句協会大賞。03年第10句集『草影』で第45回毎日芸術院賞受賞。

桂信子掲載句

03冬の暮板の間を踏むいくたびも(『新緑』1974)(冬の暮)〈次元28・反復(時間)〉2011/1/30 

04外套のなかの生ま身が水をのむ(『女身』1955)(外套・冬)〈方法28・根源行動〉2011/2/3

05花冷えの壷が吸ひこむ母の息(『新緑』1974)(花冷え・春)〈方法37・動逆転3〉2011/4/21

06眼帯の朝一眼の濃山吹(『晩春』1967)(山吹・春)〈色彩38・濃2〉2011/4/27 

07足音のひと現れず夏座敷(『緑夜』1981)(夏座敷)〈方法40・不明3〉2011/5/12

08しぼり出す新茶つめたき緑かな(新茶・夏)〈五感42・冷感3〉2011/5/23

09春の夢あまたの橋をわたるかな(春の夢)〈特集72・言葉=橋〉2012/4/13

10遠く去るものへ風吹き蕗の薹(『初夏』1977)(蕗の薹・初春)〈方法465・不明28〉2020/2/10

11緑蔭の奥の緑蔭男女ゐて(『月光抄』1949)(緑蔭・三夏)〈特集480・女や男の俳句1-9(男女)〉2020/5/29

12遠雷や山のかたちを山覆ふ(『初夏』1977)(遠雷・三夏)〈方法654・同質回帰35〉2024/6/26

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